リア=リローランと黒の鷹

橙乃紅瑚

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Extra.糸の魔術師

Ex4.糸を断ち切る

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 糸が持つ陰の力にリアが気が付いたのは、視察である山間の村を訪れた時だった。

 その山間の村は、はずれの村よりも大きいがどこか物悲しい雰囲気に包まれた陰気な村だった。すれ違う人々の顔は暗く、外から訪れたリアを避けるようにして家の中に籠もった。リアは村の住民たちの顔に宿る陰を訝しく思っていたが、すぐにその理由に気が付いた。

 近くの林に鴉が集っていた。その鴉の鳴き声に胸騒ぎを感じ、リアは遠見の水晶球を出してその場所を覗いた。

 林の中の切り拓かれた場所にある穴。そこには野晒しにされたいくつもの人骨が散らばっていた。村の長にこれはどういうことなのかと聞けば、流行り病で死んだ者の骨をそこに置いているのだと言った。

 流行り病で死んだ者に触れば、触った者に病が移る。そうして約三ヶ月の間に二百人以上の者が次々と命を落とした。だから病で死んだ者を家ごと燃やし、残った骨は林に置くのだと言う。丁重に埋葬してやりたいが新たな墓を作る気力はもうないのだと、長は涙ながらにリアに伝えた。

 鴉の鳴き声、羽音、そして煤と焼けた木のみが残る家の跡。リアは平和であっただろう田舎村を襲った不幸に目を瞑った。

「中央政府の者は、派遣されて来なかったのですか?」

「……ひと月ごとに、別の方がいらっしゃいました。ですがお役人様方はこの村を襲う流行り病のことを聞いてすぐに帰られます。こうして村を巡られたのは、あなただけでございます……」

 哀しみを顔に宿した老人は、深い溜息を吐いた。

(街も近くにない孤立した村。せっかくこの村を訪れたのなら応援を要請するべきなのに、前の役人は自分が流行り病に感染することを怖れて何もしなかったのね……)

 リアはかつての役人の怠慢さに呆れと憤りを感じた。ふと、ある家の中から咽び泣く声が聞こえた。リアは戸をそっと叩きその家の中に入った。

 饐えた臭いが鼻をつく。簡素な寝台の上に、男が寝ていた。そしてその傍らにはくたびれた様子の女がいて、男の手を握り大きな泣き声を上げていた。女が握る男の手は黒い。同じく奇妙に変色した顔からは一切の生気が感じられず、死を間近に思わせるような掠れた息を男は吐いていた。病が移っては大変だからと止める村長にリアはそっと頭を下げ、男に近づいた。

(……なるほど)

 男に縋りついて泣く女はリアには目もくれず、ただひたすら男の名を呼んでいる。男の黒く変色した指、そして女の細い指には同じ輪が着けられていて、彼らは契りを交わした夫婦なのだとリアは気が付いた。

 ふと、男の姿にゼルドリックの姿が重なる。リアは見ていられず、男に対して治癒の魔法を施した。だがリアがいくら治癒を施しても、男の身体には何の変化もない。それは男の生命力が尽きかけていることの証左だった。

 リアは目を凝らして男の手を見た。
 男の変色した指に、夜の闇を思わせるような真っ黒な糸が巻き付いている。

(黒。黒い糸は、一体……?)

 リアは導かれるように、その黒い糸に爪を引っ掛けて断ち切った。

「……え?」

 男の様子を見守っていた女が、呆然とした様子で握り込んだ手を見た。黒く変色していた手はもとの健やかさを取り戻し、掠れた息を吐き続けていた男は、ゆっくりと目を覚ました。その顔には確かな生気が宿っている。

「どうして……?」

 女は目を見開き、驚愕と歓喜を滲ませた顔をリアに向けた。リアは微笑むだけにとどめ、そっと家を後にした。

(そうか。黒い糸を切ればいいのね)

 黒い糸。それはきっと、死や不幸を表すものなのだとリアは気が付いた。

 それからリアは村中を巡り、村人たちの指に絡みついた黒い糸を断ち切ってやった。糸を切れば、死の淵にいた者さえ忽ち健やかさを取り戻した。リアは涙ながらに深く頭を下げる長に微笑み、村人の指から断ち切った何本もの黒い糸を見た。

 黒い糸のひとつは納屋に繋がっている。糸を辿れば、物陰に一匹の鼠がいた。リアは鼠の身体に黒の糸を巻きつけた。すると鼠はひどく悶え苦しみ、やがて息絶えた。

 黒い糸を切ればその者の命は助かる。
 黒い糸を巻き付ければその者の命は潰える。

 リアは糸が持つ力に慄きつつ、一本一本糸を辿り同じ様に鼠に巻きつけた。そして、己の手の中から黒い糸が全て無くなった後、リアは静かに村を後にした。

 村を苦しめ続けていた流行り病は、リアが訪れてからはたと消えた。


 ――――――――――


 緑の国エリテバラント、暗黒街。
 この絢爛な緑の国にも退廃地区というものはあり、リアは汚職に関わった犯罪人を追うため暗黒街に足を踏み入れた。淀んだ空気に薬と酒の臭い、娼婦の視線。心の中で溜息を吐いた後、リアは暗黒街の夜闇に溶け込んだ。

 犯罪人の命の有無は問わないと伝えられていた。捕縛するつもりだったが抵抗するなら殺害も止むなしとリアは考えていた。だがリアが手を下さずとも、追っていた犯罪人は酷い暴行を受け、スラムの汚れた路の上で息絶えようとしていた。

 子供を攫い売り払った。それを恨まれ復讐されたのだと、男は笑いながらリアに話した。

 リアは男の指から伸びる糸を見た。
 黒い糸の他に、夥しい数の灰色の糸が絡みついている。

(灰色の糸)

 生きて罪を償うことを望むかとリアが尋ねれば、男は緩やかに首を振った。恨みを買いすぎた、俺はどこに行っても生きてはいけないのだと男は掠れた声で吐き、そしてやがて動かなくなった。

 リアは男の指から伸びた灰色の糸をぼんやりと見て、そして思った。

(灰色。恨み、憎しみの色か)

 そっと辺りを見渡す。あらゆる場所から灰色の糸が伸びている。それは人を狡猾に絡め取る巨大な蜘蛛の巣のようにも見え、リアは悍ましさに目を瞑った。憎悪渦巻く貧困街の空気をそれ以上吸いたくはなく、男の目を閉じてやった後、リアは速やかに暗黒街を去った。


 ――――――――――


 三人の尊敬するエルフから教えを受けながらも、リアはひたすら任務をこなし続けた。身を案じるオリヴァーに力強い言葉を返し、必ず任務を成功させて帰ってくるリアの元に、やがてひとつの命が届いた。

 それは中央政府に於いて最大の権力を持つ上層部「円卓」からの命だった。

 来たか、とリアは思った。

 かつて己の夫を駒として使っていた組織。自分が最も警戒する、中央政府の暗部。長い長い螺旋階段を一歩ずつ降り、寒々しく暗い中央政府本部の地下へと進む。そしてリアは彼らの元に辿り着いた。

「ようこそ、オフィーリア=オルフィアン殿」

 揺れる蝋燭が、巨大な石造りの丸机をぼんやりと照らした。醜く歪な笑みを浮かべたひとりの男がリアに手を差し出す。リアは微笑みながら握手をしたが、心は嫌悪に揺れていた。

 上層部がなぜ自分を呼び出したのかリアは分かりきっていた。彼らは駒を探している。かつて禁呪に手を出し正常な精神と魔力を失ったダークエルフの代わりとなる、優秀で冷静さを失わない使い勝手の良い駒を。

「君は若くも飛び抜けて優秀なエルフだと聞く。なあ、オフィーリア殿。揺らがぬ立場と、大量の給金が欲しくないか……? 我々と仲良くしてくれるというのなら、君を可愛がってやりたいと思っているのだが?」

 快く返事をしながらも、リアは心の中で彼らへと侮蔑の言葉を吐いた。

 円卓。

 巨大な丸机の前には、オーク、獣人、人間、そしてドワーフや竜人、妖精族など様々な種族の者が座っている。五十あまりの者の中に、エルフの姿はひとつもない。彼らは調子の良い言葉を吐きながらも、その視線に隠しようもないエルフへの怖れと軽蔑を込めた。

 かつてオルフィアンの地で深く感じた不信と不和を、リアはここでまたはっきりと感じ取った。
 円卓という言葉は、立場と種族の違いなく平等に意見を交わし互いの協力を表す象徴だというのに、それを彼らが名乗るとは何とも皮肉なものだとリアは嗤った。

(彼らはエルフと共存する気はない。エルフをただの国の兵器、自分の駒だと見做している)

 ――やたらと驕り高ぶった耳長族どもめが。あれは、神に選ばれし一族などではない。政府に縛られた哀しき生き物、ただの使い捨ての兵器よ。

 ――他の種族に何度も何度も争いを仕掛け、そしてその牙すら折られたのにもかかわらずまだ驕り高ぶっている。救いようのない種族だ。エルフがいなければ、この国にも、この世界にも平和が訪れたのに!

(オルフィアンの地で聞いた言葉が、今も私を苦しめる)

 ――フー。

 ハーフオークの朗らかな声を思い出す。混ざり血、そして他国からの移民でありながらも南部ブラッドスターの主席に上り詰めた親友。己を馬鹿にしたエルフを庇い、その命を潰えさせた心優しき水の魔術師。

(彼の存在こそ、緑の国エリテバラントが掲げる理想の体現であったのに)

 リアはマイムの姿を思い浮かべ、心の中に溢れた不和と不信への怖れを掻き消そうとした。

 それからリアは、穏やかながらも、魔力操作術に優れた野心のあるエルフとして振る舞った。その姿勢は上層部の機嫌を取っていく。上層部は汚職に塗れていた。賄賂、横領。彼らと会話を交わし始めてからそれほど時間は経っていないのに、リアは円卓の汚れ具合に嫌気が差していた。

(ゼル。あなたはこんな組織の下で働いていたのね)

 リアが夫を想い心を痛めていると、ふと一人の者がゼルドリックの名を出した。あれほど優秀なエルフはなかったと一人が言えば、周囲の者たちは同意を示した。オリヴァーの言う通り、上層部はミーミスの報告を疑い、ゼルドリックがまだ駒として使えないか考えているようだった。

 リアは心の中でなお上層部への嫌悪を強めた。

(上層部はまだゼルを捜している。見つかってしまえば、彼は絶対にここへと呼び戻される)

 自分、そして五人の子。ゼルドリックはそれらを人質に取られ、再びこの暗部へと捕らわれてしまうかもしれない。そして危険な任務へと駆り出され、その命を潰えさせてしまうかもしれない……。

 怒りと恐怖が湧き上がる。血の海に沈んだゼルドリックの幻が、またリアを苦しめる。

(させない)

 リアはぐっと拳を握り込んだ。

(させない! 私の夫をお前たちなどに渡してなるものか! 愛する者は私が守る! 私が駒になってやろう。私がゼルよりも優秀な駒であり続ける限り、彼には手を出さないはず……)

 リアは目を凝らし、円卓の前に腰掛ける者たちの手をひとつひとつ観察した。指で蜘蛛の巣を巻き取ったような分厚い灰色の糸が彼らの指に醜く絡みついている。薄暗い中でその灰色は黒ずんで見え、ふと、リアの心に闇が覗いた。

 村に、黒死の病をもたらした鼠。
 その鼠に黒の糸を巻き付けた時の記憶が蘇る。

(彼らの指に、黒い糸を巻き付けたらどうなる?)

 夜闇を思わせる真っ黒な糸。悶え苦しみ絶命した鼠。

(ゼルを、守れるのではないか……?)

 リアの心に、闇が湧き上がる。
 女神の瞳のような昏い昏い色が、心に確かな染みをつくる。

 精々優秀な駒となれ、とある男が吐き捨てれば、リアを侮蔑するようにまた別の者たちが嗤った。リアはかつて北部オルフィアンの地でそうした様に、微笑みを浮かべやり過ごした。心の内に家族を守るという決意と、夫を狙う者たちへの苛烈な怒り、憎悪を秘めながら。

 そしてリアは、円卓の新たな駒となった。


 ――――――――――


 黒と灰の糸が何を表すかに気が付いてから、リアは己の夫と子供たちの指に、その怖ろしい色の糸が絡みついていないか確認することに執心した。遠見の水晶球を使い、彼らの手を観察し続ける。

 そしてリアは、夫の指を見て深く息を吐いた。ゼルドリックの長い指には、悍ましい灰の糸がたくさん絡みついている。それはゼルドリックの美しい指を汚すものに見え、リアは焦りや怒りを外に逃がすように掠れた息を吐いた。

(オリヴァー様は言っていた。ゼルは飛び抜けて優秀で、厳格で、悪や不正を許さなかったと。嫉妬、憎悪、逆恨み。それらの感情をゼルに向ける者は多いのでしょうね)

 ゼルドリックに絡みつく陰の糸。
 リアはそれに強烈な不快感を覚えた。

(許せない。あの美しく長い指は、私のものであるのに)

 リアの心に、小さくも強烈な炎が灯る。

(許せない。どこの馬の骨とも分からないものたちが、あの指を穢している……)

 血の海に沈む夫。不和と不信溢れる暗部に捕らわれる夫。冥府の河の濁流に飲み込まれていく愛しい夫……。蜘蛛の巣を思わせる灰の糸にゼルドリックが絡め取られ、自分から引き離されていく想像が脳裏に過ぎる。

 リアは荒い息を吐きながら胸を押さえた。

(許せない。あの美しい指に絡みつく、穢い糸を一つ残らず断ち切らなければ)

 胸を掻きむしりたくなるほどの不快感。
 蘭蕉カンナの華の如き赤、そして夜闇のように昏い地の底の炎が、心の中で燃え盛っていく。

(許せない! 早く、早くあの指から穢れた糸を切らなければ! あれは私だけのもの! 肉の一片、骨のひとかけらまで私のもの!)

 リアの心が激情と怒り、暗い情欲に支配される。

 滑らかで繊細な黒檀の指。あの美しく長い指を綺麗にしてやり、その黒い肌を味わうように舌を這わせたい。ひとつひとつを舐めしゃぶり彼の指に快楽を与えたい。あのような穢い糸ではなく、彼の指には心からの奉仕と愛情、私の独占欲を纏わせてやるのだ。爪の先まで私のものだと示してやるのだ。

 そう、あれは私の男。私だけの男。
 他の者が手を出していい存在では、決してない!!

 リアは怒りから遠見の水晶球を両手で力強く掴み、食い入るように球の中のゼルドリックを覗き込んだ。だが、球に映り込んだ自分の瞳を見て驚き、すぐに顔を離した。

 そして呆然と呟いた。

「……ぁ、わたし……何を……?」

 水晶球に映った己の赤い瞳。それは、げに怖ろしいものに見えた。嫉妬に狂った女の目。リアは己の赤い瞳に、地獄の炎が宿っているのをはっきりと認めた。

(私……いま、何を考えた……?)

 ばくばくと跳ねる胸に手を当てる。リアの胸に不穏が込み上げる。

(許せない、憎いって思った。ゼルに憎悪を向ける人たちを殺したいって、心の底からそう思った……)

 リアは勢い良く水を呷り心を落ち着かせようとした。だが、心の奥深くには未だ激情の炎が燻り、女神の瞳を思わせるような昏い昏い闇が巣食ったままなのを自覚する。一度染み付いた黒は消えず、心を覆い隠し、そこに秘められていた感情が闇の中で暴かれようとしている。

 苦悩、愛欲、狂気、偏執……。

 リアは目を瞑った。


 女神の声が、闇の奥から響く。

 ――仔よ。胸に花を宿した仔よ。

 女神の声が、頭に流れ込む。

 ――妾は母。闇の太母。全ての命、そして夜の淵源よ。

 灰色の手が闇の帳を上げ、激情を掬い上げていく。

 ――蜜の集め仔。汝、花を咲かせよ。

 そして心に、新たな花が宿る。



 リアは、ゆっくりと目を開け微笑んだ。

「ふふっ……」

 己を支配した激情の形をはっきりと捉え、リアは乾いた笑い声を漏らした。

「ふふっ……あははははっ……」

 心を覆った闇が晴れる。そして後に残されたものを確かめるべく、リアは己の胸に白い手を差し込んだ。

「ねえ、ゼル。あなたは私に出逢えた奇跡を愛おしく思いながら、青い契りの薔薇を創ったのよね?」

 熱の籠もった視線を水晶球に向け、リアはうっとりとした様子で話しかけた。

「綺麗な言葉よね、奇跡なんて。でも私はよく知っているわ。あなたが薔薇に込めた想いは、奇跡なんて綺麗なものだけじゃないってこと。嫉妬に苦しみ続けて、私の肉体を支配したい、引きずり込んでしまいたい、自分に縛り付けたいって強く思いながら、毎夜毎夜、ひとひらひとひらを編んでいったのよね……?」

 魂に食い込む薔薇の蔓を愛おしく思い、ゼルドリックから伝わる感情に溺れる。

「私はゼルから伝わるその感情を、ずっと味わい続けてきたわ。幸福、哀しみ、強い恋情……。花蜘蛛が蜜を啜るように、あなたが贈ってくれた薔薇から、深い深い愛を愉しみ続けてきたの」

 リアは胸奥から取り出したそれを見て、ほうと感嘆の息を吐いた。鮮血の如き赤。紅蓮の炎の如き赤。

「ああ、どうして忘れてたのかしら。私、魔法が使えたら薔薇を創り出してみたいって思ってたじゃない」

 つぼみのままの、赤い赤い契りの薔薇。

「私も同じよ、ゼル。あなたが好き、大好き。心の底から愛しているわ。あなたを支配したくて、自分だけのものにしたくて堪らない。あなたの全てが欲しいと思う。私たちは同じ感情を抱えている……。ふふ、やっぱり私も狂ってる。私とゼル、似た者夫婦なのね……」

 青い契りの薔薇の蔓が伝えるゼルドリックの感情。
 それはリアの心とぴったりと共鳴した。

「ゼル。愛おしいゼル。私の心が見えればいいのに、そっくり理解できればいいのにと、あなたはいつもそう思っていたわね。私がいくら口で好きだと伝えても、内心が見えないからと不安を感じていたわね……。可愛いひと。あなたの献身に私も応えなければ。薔薇を贈って、私の抱える感情はあなたと同じなのだと、魂を削って伝えてあげなければ……」

 生み出されたばかりの薔薇の可愛らしいつぼみを見て、リアは優しく微笑んだ。

「この薔薇には花びらが少ない。私が抱える感情を伝えるには少なすぎる。そうね、花びらを編みましょう。十、百、千……。たくさんの花びらに想いを込めましょう。そしてこの恋情の結晶を、ゼルに捧げるのよ……」

 心から湧きずる愛を、膨れ上がる嫉妬を、苦い憎悪を、汚泥のような執着を。かつてゼルドリックが薔薇へと込めた感情を、己も強く強く込めるのだ。

 胸に在る狂愛の土壌。
 リアはその土壌に、新たな薔薇を根付かせた。

「花を咲かせなければ」

 女の呟きが、暗い部屋に落ちた。


 ――――――――――


(ゼルは今どうしているのだろう?)

 赤い契りの薔薇を創り出してからというもの、リアは耐え難い焦燥感に苛まれるようになった。

 ゼルドリックは今どこにいて、何をして、何を考えて、何を見ているのだろうか。夫のことが気になって仕方がない。任務漬けの身であることを煩わしく思い、リアはもどかしさに唇を噛み締めた。リアは忙しい身でありながらも、必ず朝昼晩と遠見の水晶球でゼルドリックの姿を確認した。一日三度、水晶球を覗き込んでゼルドリックの身に何もないことを確認しなければ、決して心が安らぐことはなかった。

 そしてある日、水晶球の内に映ったものにリアは強い嫉妬心を湧き上がらせ、ぎりぎりと歯を食いしばった。

(何、あの女)

 自警団の事務所で働く女が、ゼルドリックにしきりに話しかけている。高い声、やや紅潮した顔。少し潤んだ瞳。リアはその女の表情が意味することをはっきりと解っていた。己が王子へと抱く感情と同じ、恋。リアは拳を握り締め、勢い良く目の前の机に振り下ろした。

(誰よあなた、ねえ、ふざけているの? その男は私の夫なの。私だけの王子なの!)

 リアは水晶球の内の女に殺意の籠もった目を向けた。そして女の手を見て、強く唇を噛み締めた。

(赤……?)

 赤い糸が伸びている。糸の先はどこにも繋がってはいないが、ゼルドリックへの身体の方へと確かに伸びている。リアはその悍ましさに身体を戦慄かせ頭を抱えた。強く噛み締めた唇から、ひとすじの赤が流れる。

「赤い糸ですって!? 許せない……!」

(許せない、許せない、許せない!)

 嫉妬心が膨れ上がる。

(あの女は私の王子へと恋情を向けている! あれは私のもの、憎悪も恋情も彼に向けていいのは私だけ! 身の程知らずのあの女を、決して許すことができない!)

「……ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなあっ!!」

 リアは魔力が滲み出た激情の叫びを上げた。魔力の糸が部屋のものを薙ぎ倒し、目の前の水晶球をひび割らせる。遠見の水晶球は大きな音を響かせ、ばらばらに砕け散った。

「はあっ、はあっ……はあ……」

 荒い息を吐く。リアは床に散らばった水晶のかけらをぼんやりと見つめ、憎しみが込められた呟きを落とした。

「本当に放っておけない。何よゼル。あなたも隙だらけじゃない……? あなた、前に俺以外の男に近づくな、話をするなって私に言ったわよね? なのにどうして? どうしてあなたはあの女を近づけさせているの……? 私と契りを交わしたって自覚が足りないんじゃないの!?」

 リアは吼えた後、胸に手を当てゼルドリックから伝わる感情を味わおうとした。ゼルドリックの抱える己への強い愛と、そして喪失の悲しみが深く共鳴する。リアは心地良くも胸が抉られそうなその感情をうっとりと味わい、そして微笑んだ。

「そう、そうよ。ゼル、あなたを疑ってごめんなさい……。死んだ私を想ってこんなに心を苦しませているものね? ゼルが愛しているのは私だけ。王子の愛を得られるのは私よ。……決して、あの女ではない……!」

 リアは唇から流れた血を拭うと、込み上げる恨みのまま自身の身体に変化の魔法を施した。リアは一匹の赤い鳥となり、はずれの村へと向かった。大空から村を見下ろし、そして自警団の事務所の屋根を認めると真っ直ぐにそこへと留まった。

(……いた)

 女が事務所を出てどこかへと歩いていく。そして女の指からは、確かに赤い糸が伸びていた。悍ましくて堪らない、黒の王子への懸想を示す糸。

 リアはその糸を嘴で挟み、そして勢い良く引き千切った。女の赤い糸は根元からぶっつりと切れ、そして風に溶けるように消えていった。己が持つ赤い糸が切れたことにも気が付かず女は歩き続けている。その後ろ姿を何とも愚かしいと思い、リアは心の中で狂気の笑い声を上げた。

(ゼルには、私の糸さえあればいい。あの黒檀の指を彩るのは私の糸だけでいい! ああ、私は一日三度しかゼルを見守れない……。私が見ていない間に、他にも彼に近づく女がいたらどうしようか?)

 耐え難い焦燥感がいつまでも消えない。リアは感情に覚えがあった。

(この焦り……。そう、ゼルが私に対して抱いていた感情よ。離れていくかもしれない、自分の傍からいなくなるかもしれない、そんなことは決して耐えられないという恐怖! ゼルは私にこんな感情を向けてくれたのね……? 本当に愛おしいわ、私のゼル!)

 うっとりと息を吐く。夫の絡みつくような束縛と愛情を蜜のように味わい、リアは考え込んだ。

(こういう時、ゼルはどうしていた?)

 リアの脳裏に、ゼルドリックの精神世界で見た光景が蘇る。

 一分の隙も無く壁に張られた、何十万もの自分の写真。硝子箱の中に陳列されていた自分にかかわる品々。盗撮と監視のための水晶球。そして自分の記録が記され続けていたと思われる、分厚い本。

(ああ、そうか……そうよね。私も、ゼルを真似すればいいのだわ)

 リアは浮かんだ考えを掬い上げ、そしてすぐさまそれを実行に移すことにした。リアは高台へと飛び立ち、そこで変化を解いた。高台に植えられたパルシファーから、ふわふわとした綿毛が風に乗って村全域に飛んでいく。リアは魔力を集中させ、植わったパルシファーひとつひとつに遠見の魔法を施していった。

「オリヴァー様に植物操作魔術を教えてもらって良かったわ。ふふ、ゼル。私はあなたのように、一から鷹を創り出すことはできない。だけどこのパルシファーに魔法をかけて、綿毛越しに何かを観察することはできるわ。あなたが鷹を使って私を監視したように。私もこの綿毛を使って、あなたを見守ることにするわ……」

 美しい青空の下、魔力が込められた赤い綿毛が飛んでいく。

「誰かゼルの話はしていないか? ゼルに近づく女はいないか? ゼルを害そうとする者はいないか? ゼルは特別誰かと仲良くしていないか……? あなたの感情はそっくり私に伝わってくるけれど、それだけじゃとても安心できないの。許せないのよ、あなたに誰かの恋情が向けられること自体が……!」

「だから見守ってあげないと。ゼルをずっとずっと見守ってあげないと……。ねえ、ゼル。あなたが私を想って精神世界に城を創ったように、私もあなたを住まわせるための世界を創ることにするわ。そしてそこに、ゼルにかかわる物や写真を集めるの。ふふっ、すごく素敵ね……考えただけでうっとりするわ」

 リアは植えられたパルシファーから、綿毛を取った。そして冥府の河にて女神がしてみせたように、真っ赤な綿毛を指の中で撚り合わせた。

 綿毛はすぐさま、一本の魔法の糸となった。
 リアが愛情を込めれば赤い糸が、憎悪を込めれば灰の糸が紡がれた。

「一本では到底足りない。何本でも、何百本でも、何千本でも糸を紡がなければ。この魔法の糸で、ゼルの身体を縛り付けるのよ。どこにも行かないように。私から離れないように。私の魔力で彩って、あなたをいつか精神世界へと招けるように……」


 それからというもの、リアは何本も何本も糸を紡ぎ続けた。そしてゼルドリックを想い、己の精神の中に巨大な城を建てていった。綿毛から見聞きした記録を確認し、ゼルドリックの写真を現像して壁中に貼り付けていく。

 そして己の身に強力な遮蔽魔術を施してはゼルドリックの元に向かい、哀しげな寝顔をうっとりと見つめながら、彼の指に絡みついた灰色の糸を断ち切っていく。指のみならず、手首、腕、背から腹、首まで、己の紡いだ赤い糸を巻きつける。

 ゼルドリックの身体はやがて、己の赤い魔力に汚されていった。強い独占欲と征服欲が満たされる。かつて夫が自分を魔力で酔わせた時も、彼はこんな思いを抱いていたのだろうかとリアは薄暗く笑った。



 ――――――――――



 任務の合間、リアは黄色い糸を辿ってある街へと足を運んだ。風車と野花が美しい、小さな丘の街。

 リアは風に赤い髪をなびかせながら、目の前にある教会を見上げて微笑んだ。荘厳な扉を開けば、中に満ちる黄金と銀の光が陽を反射して眩く輝いた。その輝きの中にいる男はリアの姿を認めて、綺羅びやかで優しい笑みを向けた。

「リアさん。お久しぶりです」

 レント=オルフィアン。
 かつて中央政府の役人として働いていた、類まれなる未来視の能力を持つハーフエルフ。

「オリヴァー様からお話を伺った時は本当なのかと疑いましたが、事実あなたはこうして僕の前に現れた。これも、神のお導きというものでしょうか」

 彼は聖職であることを示す白の服を纏っていた。
 リアはレントに頭を下げ、そして丁寧な挨拶をした。

「お久しぶりです、レントさん。こうしてまた、この世に戻ってきました。私もメルローちゃんから聞いた時は驚きましたよ、レントさんが中央政府を辞め、故郷に帰りそこで神父様をしていると……」

 リアがまじまじとレントの姿を見ると、彼は笑って白くゆったりとした服の袖を上げた。

「ふふ、僕のこの格好を変に思いますか?」

「いいえ。その格好の方が、あの黒い制服よりもずっと似合っています」

「それは良かった」

 レントはリアを教会の奥の部屋に招いた。そして簡素な机の上に茶を出し、リアに腰掛けるように言った。

「今度はリアさんが、中央政府の役人となりましたか」

 リアの身に着ける中央政府の黒い制服を見て、レントは眉を下げた。

「飛び抜けて優秀、ゼルドリック様と同じく魔力操作に優れた北部オルフィアンの誇りとオリヴァー様からお聞きしています。素晴らしいですね、リアさん。あなたはたくさん努力されたのですね」

 レントは深みのある灰色の瞳をリアに向けた。

「ですが心配だ、あなたの身に危険が降りかからないか。中央政府で力を示せば、その分、暗部に近づく可能性も高くなる。ゼルドリック様がこのことを知ったら気が気でなくなるでしょう。あなたが駒になってしまわないか、と……」

(ふふ、もう遅いですよレントさん)

 リアは心の中で嗤った。
 自分はもう既に暗部の駒なのだ。

(だが、奴らの思い通りには動かない。私からゼルを奪おうとする者は、皆敵だから……)

 暗部の者たちの指に絡みつく、黒ずんだ灰色の糸の塊を思い出す。
 あの灰色をまとめて撚り合わせてやる時が楽しみだと、リアは残酷な想像をした。

 暗い意思を秘め、リアはレントに向けて穏やかな微笑みを返した。

「心配無用ですよ、レントさん。私は何があっても上手くやります。強くなって、家族を守り通す力を何としても身に着けてみせます。誰も彼も、何者も。私の家族に決して手は出させません」

 リアの赤い瞳が爛々と煌めく。レントはそれをじっと見た後、静かに頷いた。

「そうですか。それは頼もしい。……リアさん、あなたは何だか雰囲気が変わったようだ」

「雰囲気ですか?」

「何と言いますか。ゼルドリック様によく似てきました」

「……ふふっ」

 リアはレントの言葉を聞き声を出して笑った。ゼルドリックに似ている。それは全くその通りで、この灰色の瞳を持つ友人は観察力に長けているとリアは思った。

「元々、ゼルとはよく似ていたのかもしれませんね。隠された私の性格が、今になってやっと出てきたのかもしれません」

 リアはそう言い、僅かに困惑の視線を向けるレントを安心させるように微笑んだ。

 それから、二人はゆっくりと会話をした。

 レントは己の身に起きたことを話した。リアの未来を視てから、その後一切未来視の能力が使えなくなったこと。魔力も段々と失われていき、それによって中央政府から追放され、今は穏やかな気持ちで神父として働いているのだということ。彼は中央政府にいた時よりも、今の暮らしの方が遥かに幸福だとリアに笑った。

「リアさん、せっかくここにいらしたのですからお祈りを捧げていってはどうですか?」

「ええ、ぜひ」

「ご存知の通り、この緑の国エリテバラントは多神教です。それぞれの種族の、それぞれの神が教会には祀られています。リアさん、あなたはどの神に祈りを捧げられますか?」

 レントが穏やかに尋ねると、リアは迷わず愛の女神の名を答えた。

「オーレリア様に」

 レントの目が、見開かれる。

「オーレリアの名を出すとは意外でした。リアさんであればドワーフが信奉する鍛冶の神か、あるいは大妖精信仰に基づく神々の名を出すかと思いましたので。まさか、エルフの祖の名を出すとは」

「ふふ。せっかくエルフとして生まれ変わったのです。感謝を捧げたくて」

「そうですか。ではこちらへ」

 レントはオーレリアを祀る祭壇の前にリアを案内した。リアは美しい女神像を見上げ口角を上げた。目を閉じ穏やかに微笑む女神の像は、穢れなくどこまでも神聖さを漂わせているようだった。冥府の河にてはっきりと見た邪さ、冒涜的な雰囲気は一切感じられない。

 ――仔よ。胸に花を宿した仔よ。

(肌は白くなかったし、腕だって蜘蛛みたいにたくさんあった)

 ――妾は母。闇の太母。全ての命、そして夜の淵源よ。

(私の頭に流れ込んだのは、昏い昏い闇の概念だった。女神の声は怖ろしかった)

 ――蜜の集め仔。汝、花を咲かせよ。

(オーレリアは邪神なのかもしれない。それでも、私は女神のお陰でここにいる。女神の赤い糸を伝ってここに戻ってきた)

 パルシファーの赤い花冠が女神の頭の上で光を受け色鮮やかに輝く。

 リアは祈った。自分に力を、ゼルドリックと子供たちに守護をと。そして、心からの感謝を女神へと捧げた。



 ――――――――――


 リアの準備は整っていった。

 想いを込めた花びらを契りの薔薇に加え、精神世界に城を創り上げ、子供たちに元気な顔を見せつつ、そして幾千もの糸を紡いだ。ゼルドリックを見守り、彼に仇なす者には糸を操って不幸を与えた。



 そうして過ごすうちに、リアはとうとう百二十七の歳を迎えた。

 紡ぎ終わった大量の赤と灰の糸。リアは大事にそれを胸に仕舞い、変化の術を己に施した。
 水色の髪を持つ背丈の高いエルフの男。瞳の色は愛しい夫に合わせ、名はかつての親友のものを借りることにした。

 リアはマイムという若きエルフの役人を装い、はずれの町を訪ねた。
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