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愛する君を逃さない、絶対に - 2
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転移先の世界は華やかだった。リボンが付いたピンク色のカーテン、窓際に飾られたチューリップやダリアの花、ぬいぐるみがいっぱいのベッド。日当たり良好な部屋はどこを見ても可愛らしく、少女の夢を詰め込んだかのようにきらきらとしている。レースとフリルがたっぷりの空間に、ルクレーシャは目を輝かせた。
「わあぁぁ、可愛い! ここがフローリアンくんのお部屋? 君も寮暮らしなんだね!」
「はい。僕の家は工房区にあるんですけど、調合に集中したくて一人暮らししてるんです。狭苦しくてすみません。こんなところで良ければ、ぜひゆっくりしていってください」
フローリアンはルクレーシャを座らせた後、すぐさま窓に向けて指差し確認をした。険しい表情でさっと辺りを見渡す彼は、何かを酷く警戒しているようだ。分厚い二重窓を叩きながら、彼はじっと外の様子を窺った。
「沈黙の霧よし、姿隠しの薬よし、魔力障壁よし、マジックミラーよし、監視検知機よし! 大丈夫、誰も僕達のことを見ていませんね」
「げ、厳重だね。どうしてそんなに用心深いの?」
「これは習慣なんです。僕、昔から変質者に追いかけられたり、誘拐されそうになったりすることが多かったので」
こちらを振り向く後輩の顔を見て、ルクレーシャはなるほどねと思った。
フローリアンは美少年だ。大きな眼鏡に隠れて目立たないが、くりくりとした瞳と艷やかな唇、クリームのような白い頬がとても可愛らしい。光輪を宿した金の髪と背丈の低さも相まって、思わず頭を撫でたくなるような魅力があった。
彼は独特の笑い方をするが、話しやすいし人当たりもいい。男女問わず惹きつけてしまうのも頷ける。
「でもそんなことよりっ、僕はダリル先輩のことが怖くて! アイドルを部屋に連れ込んでいるところを見られたら、絶対彼に殺されてしまいます! だからこうして中の様子が見えていないか確認しないと……」
彼の怯えようは哀れだ。フローリアンはがたがたと震えながら己の腕を摩っている。ルクレーシャは自分のライバルが、この可愛い後輩をどんな目に遭わせてきたのだろうかと気になった。
「そんなに怖がらなくても大丈夫、私がフローリアンくんを守ってあげるよ」
「ふっ、フヒヒ。先輩に守ってもらえるなら嬉しいですが……。でも安心してください、ここには誰も入ってこられませんし、もし来たとしても自作の薬でどうにかしてみせますよ。僕、すっごく逃げ足が速いですから。この逃げ足の速さでダリル先輩からも逃げ続けてきたんです!」
胸元からいくつかの香水瓶を取り出し、フローリアンは得意げに胸を張った。
(ああ、だからか。不思議に思ったのよ、どうしてこの子は薬なんか持ち歩いてるんだろうって。ダリルから逃げるためだったのね)
「せ、せんぱいっ。あのルクレーシャ先輩が僕のお部屋に……! くぅぅ、憧れのアイドルが僕の椅子に座ってるなんて尊すぎるッ! たまらなすぎて興奮が抑えきれません。あっ、今すぐお茶を用意します。少し待っていてくださいね!」
フローリアンは嬉しそうにはしゃぎ笑いをし、てきぱきと茶を淹れ始めた。彼の黄緑のシャツと同じ色のハーブティーが、ガラスポットの中で美しく揺蕩う。爽やかな香りを楽しみながら、ルクレーシャは自分の部屋とは全く異なる後輩の部屋に圧倒された。
(すごいなあ。こんなにお部屋を綺麗に保てるなんて。同じ寮に住んでるのに散らかしっぱなしの私とは大違い)
ダリル以外の錬金術士の部屋にお邪魔するのは初めてだ。ルクレーシャは忙しなく首を動かし、後輩の部屋を観察した。
広めに取られた調合スペースには、鍋や大型の錬金炉、冷蔵庫が備え付けられている。壁にはレードルやクッキーの型抜きがぶら下げられ、棚の上には飴玉や金平糖、蜜漬けの果実が詰め込まれた瓶が見えた。
アンティーク机の上では、自動するくるみ割り人形が本物の職人のように木の実を砕いている。フラスコの中でカラメルが泡立ち、白金耳の先には薔薇色のジャムが付着していた。
この部屋からは、薬液のつんとした臭いが全く感じられない。甘ったるい砂糖の匂い、微かに漂うバニラやシナモンの香りを嗅ぎながら、ルクレーシャは首を傾げた。
「錬金術というよりは、お菓子を作ってるみたい?」
「あははっ、正解です! 僕、パティシエ見習いで。毎日ここでお菓子を作っているんですよ。将来の仕事に錬金術の知識を活かしたいと思ってこの学校に入りました。僕が作るお菓子はとっても美味しいって評判なんです!」
人気を集めすぎて、クラスメイト達から追いかけ回される羽目になりましたけどね――フローリアンはそうこぼした後、楽しげな顔でルクレーシャを見つめた。
「オタク語り失礼しますが……。材料の計量、厳密な温度管理、四元素のバランスを考えた配合。錬金術とお菓子作りはよく似ています。例えば錬金術の世界において、火属性と水属性は相性が悪いというのはよく知られた理論ですが、料理の世界でも同じです。火と水の食材を組み合わせると味が落ちるんですよ」
「へえ、そうなんだ!」
「この錬金術全盛の時代、菓子職人も錬金術を学んでおいて損はありません。実際に錬金術は、僕に多くの閃きを与えてくれました。舐める度に味が変わるキャンディ、口の中で弾けるスライムゼリー、おまじない薬をシロップに使ったフルーツタルト。実家のケーキショップでは、僕が考案したこれらのレシピが採用されています。フヒッ。実は全部、ルクレーシャ先輩のお陰で思いついたんですよ」
「えっ、わたし?」
自分を指差すルクレーシャに頷き、フローリアンは弾んだ声で続けた。
「先輩の作品は奇抜で、型破りで、圧倒的な個性がある。見ているとどんどん楽しいレシピのアイディアが湧いてくるんです。人を魅了する作品を次々に生み出す様は、まるで本物の魔法使いみたいだ。だから僕は先輩のファンなんです!」
「ルクレーシャ先輩は、僕の中の固定観念を崩してくれました。僕は今まで、火と水の食材は絶対に組み合わせちゃいけないと思っていたんです。でも、先輩はそんなの気にしない。どんな材料でも、先輩の手にかかれば素晴らしい作品になる。だから僕も先輩を見習って挑戦してみることにしたんです。……さて、これはルクレーシャ先輩をイメージして作ったケーキです。お口に合えばいいんですが」
フローリアンが茶を運んでくる。彼が持つトレーの上に大きなケーキが乗っているのを見て、ルクレーシャは歓声を上げた。
「わっ、綺麗なチョコレートケーキ! これもフローリアンくんが作ったの?」
「はい。タブーを乗り越えた僕の自信作です! このケーキの中には火属性の唐辛子と、水属性のクリスタルベリーを合わせたジャムが入っているんですよ。可愛くてちょっと癖がある。そんな先輩のための、甘くて辛いケーキです」
濃厚なチョコレートの香りが漂ってくる。ルクレーシャはいただきますと手を合わせた後、そっとケーキにフォークを沈めた。ずっしりとした黒いスポンジの中から、赤く透き通ったジャムがとろとろと溢れ出てくる。
口の中に広がる甘味と辛味のハーモニーに、ルクレーシャはうっとりと顔を蕩けさせた。
「んっ、んんんっ。これ、すっごく美味しい……! 甘いのにスパイシーで不思議な感じがするわ。チョコレートと唐辛子ってこんなにも合うのね! フローリアンくん、あなたは最高の職人よ!!」
あまりの美味しさに手が止まらない。ケーキの味を褒め称えながらもぐもぐと口を動かす女を、フローリアンは誇りが滲む顔で見つめていた。
ケーキを食べ終えたルクレーシャは、フローリアンに勧めてもらった本の感想を熱心に語っていた。
「お互い想い合っているのに、周りからいつまでも邪魔され続けるのよ。そんなことってある!? もう、切なくて苦しくてページを捲る手が止まらなかったわ。二人が幸せになれて本当に良かったぁ!」
桃色の目が興奮に潤んでいる。自分事のように熱を入れて話すルクレーシャに、フローリアンは生温かい視線を向けた。
「その様子だと、先輩は主人公に共感しながら読んだみたいですね?」
「そ、そうね。正直言うと、私は主人公の気持ちになりながらあの本を読んだし、相手の貴族にはダリルを重ねたの。あまーい恋愛小説なんか微塵も興味がなかったのに、彼らの気持ちを考えながら読むとどんな本よりも面白かった! はぁ、つらい。この現実も、あの本みたいに綺麗なものだったら良かったのに」
嘆くルクレーシャの足元から何かがよじ登ってくる。かごに隠れていたパペットは彼女の首元に飛び乗り、滲む涙を布切れで優しく拭った。ダリルそっくりの小さなパペットに、フローリアンが悲鳴を上げる。
「ひぇっ! 待ってください、それってもしかして……」
「うん。似ちゃった」
えへへと笑うルクレーシャの横で、パペットが可愛らしく手を振る。フローリアンは口を開けながら小さなダリルをじっと見つめた。
「……ふむ。黒い悪魔も、ちっちゃくなると可愛いもんですね」
「でしょ? ダリルくんって呼んでるのよ。すっごくいい子なの」
愛情込もった目でパペットを撫で回す女に、フローリアンは眼鏡を光らせた。
「小説の登場人物にダリル先輩を重ね、挙げ句彼によく似たパペットまで作る……。これは重症です。そういえばダリル先輩とはどうです? せっかく僕の部屋に来たんですし、ガチ恋の進捗を聞かせてください」
「ガ、ガチ恋って」
「恋バナしましょ。ね? ね! 僕はアイドルの恋路が心配で仕方ないんです。僕、先輩のお話が聞きたいなあ。話してくださいよ、はやくぅ」
フローリアンがずいっと顔を近づけてくる。後輩に迫られ、ルクレーシャは渋々自分の悩みを打ち明けた。
*
「えええええええええっ!? 待って、どうしてナシにしちゃったんですかあ!? せっかくの大チャンスだったのに!!」
ふとしたことでダリルに好きだと言ってしまったが、その後すぐに嘘だと誤魔化した――沈んだ顔でそう話すルクレーシャに、フローリアンは信じられないといった様子で大口を開けた。
「スキだと伝えたのに両想いにならなかった!? しかも嘘って!? はぁ、なぜそんな拗れるようなことを?」
「だ、だって。ダリル、嬉しそうじゃなかったから」
「彼は驚いただけですよ、先輩が別の男に恋をしていると思ってるから! 二人は両想いだって僕が説明したでしょう!?」
「でも……」
「でもじゃないです! んもぅ、じれったいなあ。先輩のこと、応援したくないのに応援したい。ああ、僕はどうすれば……!」
声を張り上げる後輩を前に、ルクレーシャは目を潤ませた。
(でも、本当に私のことが好きなら、最後までしてくれるでしょう?)
あの交わりは、ダリルにとっても性欲を解消する絶好の機会だったはずだ。理性を失くした裸の女が足を絡ませて、あなたが欲しいと一生懸命訴えてくるのだから。だが、ダリルはいくら頼んでも肉棒を挿れてくれなかった。助けて、責任を取ってと迫っても、気まずそうに俯くだけだった。
性欲を抑え込んでまで、目の前の女を抱きたくない理由があったはずだ。その理由が何であれ、ダリルは自分を遠ざけた。だから……。
(フローリアンくんの勘違いだよ。あいつは、私のことなんか好きじゃない)
ライバルの唖然とした顔を思い出すと、ずきずき胸が痛む。
俯いてしまったルクレーシャに、フローリアンはそっと声をかけた。
「せんぱい。ルクレーシャ先輩があの悪魔に捕まるのは嫌だけど……でも、アイドルのそんな顔は見たくない。だから、もう一度彼に告白してきてください。今度はきっと上手くいくはず」
「……ありがと。でも、無理だよ。嘘だって言っちゃったし、ダリルに嫌がられたら立ち直れない。あいつは私を女として意識していないのよ? 最初から結果は分かってるのに、当たって砕けるような真似はできないわ」
それに、自分の股間には異質な魔力を宿す男根があるのだ。こんな体をしていたら、実験体にはなれても彼の恋人にはなれない。
ルクレーシャの目尻に涙が滲む。フローリアンは彼女の手をきゅっと握り、優しい声で励ました。
「あの本を思い出してください。主人公のメイドは一度姿を消すけれど、想いを伝えなかったことに後悔して数年後屋敷を訪れる。そこで彼らは、お互いの誤解を解いてようやく結ばれた。いいですか、あの主人公が幸せになれたのは、勇気を出して告白したからです」
「…………」
「告白するのが怖いのは分かります。でも、先輩はこのまま嘘ってことにしておいていいんですか? 後悔しませんか?」
後悔。その言葉に、ルクレーシャの胸がとびきり痛む。
自分の気持ちを伝えないまま錬金術学校を卒業し、名家専属の錬金術士としてダリルから逃げるように調合に打ち込む日々を想像する。貴族社会と関わりながら過ごすのだから、きっとダリルの姿は一日も頭から離れない。数年後、ダリルが結婚したと風の噂で聞いて、強烈な後悔に苛まれるのだろう。「あの時、せめて本当の気持ちを伝えておけばよかった」と。
「……わたし、後悔するかも」
「そうですよ、そのままじゃ後悔するでしょう? それに、ダリル先輩が嫌がるなんてことはないですよ。だって、もしルクレーシャ先輩が彼から告白されたらどう思いますか? ダリル先輩のことをこっ酷く跳ね除けますか?」
「……それは、しないわ。ダリルはやなやつだけど、よく私を助けてくれるもの。あいつのことが好きだって気が付く前の私でも、ちゃんとダリルの気持ちを受け止めると思う……」
「多分、ダリル先輩も同じです。彼は嫌がったりしません。ずっと一緒に過ごしてきたルクレーシャ先輩のガチ恋を、しっかり受け止めてくれるはず」
後輩の慰めに心が和らぐ。涙を拭った後、ルクレーシャは静かな声で訊いた。
「いつも言われるの、君はがさつで大ざっぱで女らしくないって。そんな私でも、あいつに好きだって言っていいのかな?」
「もちろん」
「……わ、わたしが、他の女の子とは違う体をしていても、ダリルは嫌がらずに受け止めてくれるかな……?」
「ええ、絶対」
不安げな表情をするルクレーシャの手を、フローリアンは優しく握った。
「先輩がちょっとだけ勇気を出せば、この現実もあの本みたいに輝き始めるかもしれません」
「そっか。そうだよね。どうせ無理だって決めつけるなんて、私らしくないもんね。……それなら、ダリルとの勝負に勝ったら告白しようかな?」
ここで諦めたら負けず嫌いがすたる。
心の底から湧き上がってきた勇気に、ルクレーシャは口角を上げた。
「前にも言ったけど、今ダリルと勝負をしてるの。絶対に負けられない戦いよ。私が負けたら、あいつの専属錬金術士になれって脅されてる。反対に、私が勝った時にどうするかはまだ決めてなかったわ。だから、勝負に勝ったら言おうと思うの……。今から伝えることを馬鹿にせず受け止めて、って。頑張って、あいつに私の気持ちをぶつけてみる!」
「ええ、いい考えだと思います。ルクレーシャ先輩、笑顔ですよ、笑顔。先輩は勢いと笑顔を身に付けている時が一番カワイイんですから! ダリル先輩をぶっ倒して、思いの丈をぶつけてきてください!」
「え、えへへ。ありがとね、フローリアンくん! ダリルのこと格好良すぎて直視できないし、好きだって伝えるのに一時間くらいかかっちゃうかもしれないけど……。あの本の主人公みたいに、私も勇気を出してみる。フローリアンくんとお話できて良かったよ!」
晴れやかな顔の女を見つめながら、フローリアンは内心で複雑な感情を噛み締めた。
(……はあ。僕、なんでルクレーシャ先輩の背中を押してるんだろう? 黒い悪魔に捕まったら、先輩は二度と外に出られなくなるかもしれないのに。一人のオタクとして、あんな怖ろしい男なんかにアイドルを関わらせちゃいけないのに。でも……)
「僕たちの女神は、悲しい顔をしているより笑っていた方がカワイイですからね。これは全オタクの総意です」
聞こえないくらいの声でそう呟き、フローリアンはベッド横に飾られたルクレーシャの写真にそっと視線を向けた。
「わあぁぁ、可愛い! ここがフローリアンくんのお部屋? 君も寮暮らしなんだね!」
「はい。僕の家は工房区にあるんですけど、調合に集中したくて一人暮らししてるんです。狭苦しくてすみません。こんなところで良ければ、ぜひゆっくりしていってください」
フローリアンはルクレーシャを座らせた後、すぐさま窓に向けて指差し確認をした。険しい表情でさっと辺りを見渡す彼は、何かを酷く警戒しているようだ。分厚い二重窓を叩きながら、彼はじっと外の様子を窺った。
「沈黙の霧よし、姿隠しの薬よし、魔力障壁よし、マジックミラーよし、監視検知機よし! 大丈夫、誰も僕達のことを見ていませんね」
「げ、厳重だね。どうしてそんなに用心深いの?」
「これは習慣なんです。僕、昔から変質者に追いかけられたり、誘拐されそうになったりすることが多かったので」
こちらを振り向く後輩の顔を見て、ルクレーシャはなるほどねと思った。
フローリアンは美少年だ。大きな眼鏡に隠れて目立たないが、くりくりとした瞳と艷やかな唇、クリームのような白い頬がとても可愛らしい。光輪を宿した金の髪と背丈の低さも相まって、思わず頭を撫でたくなるような魅力があった。
彼は独特の笑い方をするが、話しやすいし人当たりもいい。男女問わず惹きつけてしまうのも頷ける。
「でもそんなことよりっ、僕はダリル先輩のことが怖くて! アイドルを部屋に連れ込んでいるところを見られたら、絶対彼に殺されてしまいます! だからこうして中の様子が見えていないか確認しないと……」
彼の怯えようは哀れだ。フローリアンはがたがたと震えながら己の腕を摩っている。ルクレーシャは自分のライバルが、この可愛い後輩をどんな目に遭わせてきたのだろうかと気になった。
「そんなに怖がらなくても大丈夫、私がフローリアンくんを守ってあげるよ」
「ふっ、フヒヒ。先輩に守ってもらえるなら嬉しいですが……。でも安心してください、ここには誰も入ってこられませんし、もし来たとしても自作の薬でどうにかしてみせますよ。僕、すっごく逃げ足が速いですから。この逃げ足の速さでダリル先輩からも逃げ続けてきたんです!」
胸元からいくつかの香水瓶を取り出し、フローリアンは得意げに胸を張った。
(ああ、だからか。不思議に思ったのよ、どうしてこの子は薬なんか持ち歩いてるんだろうって。ダリルから逃げるためだったのね)
「せ、せんぱいっ。あのルクレーシャ先輩が僕のお部屋に……! くぅぅ、憧れのアイドルが僕の椅子に座ってるなんて尊すぎるッ! たまらなすぎて興奮が抑えきれません。あっ、今すぐお茶を用意します。少し待っていてくださいね!」
フローリアンは嬉しそうにはしゃぎ笑いをし、てきぱきと茶を淹れ始めた。彼の黄緑のシャツと同じ色のハーブティーが、ガラスポットの中で美しく揺蕩う。爽やかな香りを楽しみながら、ルクレーシャは自分の部屋とは全く異なる後輩の部屋に圧倒された。
(すごいなあ。こんなにお部屋を綺麗に保てるなんて。同じ寮に住んでるのに散らかしっぱなしの私とは大違い)
ダリル以外の錬金術士の部屋にお邪魔するのは初めてだ。ルクレーシャは忙しなく首を動かし、後輩の部屋を観察した。
広めに取られた調合スペースには、鍋や大型の錬金炉、冷蔵庫が備え付けられている。壁にはレードルやクッキーの型抜きがぶら下げられ、棚の上には飴玉や金平糖、蜜漬けの果実が詰め込まれた瓶が見えた。
アンティーク机の上では、自動するくるみ割り人形が本物の職人のように木の実を砕いている。フラスコの中でカラメルが泡立ち、白金耳の先には薔薇色のジャムが付着していた。
この部屋からは、薬液のつんとした臭いが全く感じられない。甘ったるい砂糖の匂い、微かに漂うバニラやシナモンの香りを嗅ぎながら、ルクレーシャは首を傾げた。
「錬金術というよりは、お菓子を作ってるみたい?」
「あははっ、正解です! 僕、パティシエ見習いで。毎日ここでお菓子を作っているんですよ。将来の仕事に錬金術の知識を活かしたいと思ってこの学校に入りました。僕が作るお菓子はとっても美味しいって評判なんです!」
人気を集めすぎて、クラスメイト達から追いかけ回される羽目になりましたけどね――フローリアンはそうこぼした後、楽しげな顔でルクレーシャを見つめた。
「オタク語り失礼しますが……。材料の計量、厳密な温度管理、四元素のバランスを考えた配合。錬金術とお菓子作りはよく似ています。例えば錬金術の世界において、火属性と水属性は相性が悪いというのはよく知られた理論ですが、料理の世界でも同じです。火と水の食材を組み合わせると味が落ちるんですよ」
「へえ、そうなんだ!」
「この錬金術全盛の時代、菓子職人も錬金術を学んでおいて損はありません。実際に錬金術は、僕に多くの閃きを与えてくれました。舐める度に味が変わるキャンディ、口の中で弾けるスライムゼリー、おまじない薬をシロップに使ったフルーツタルト。実家のケーキショップでは、僕が考案したこれらのレシピが採用されています。フヒッ。実は全部、ルクレーシャ先輩のお陰で思いついたんですよ」
「えっ、わたし?」
自分を指差すルクレーシャに頷き、フローリアンは弾んだ声で続けた。
「先輩の作品は奇抜で、型破りで、圧倒的な個性がある。見ているとどんどん楽しいレシピのアイディアが湧いてくるんです。人を魅了する作品を次々に生み出す様は、まるで本物の魔法使いみたいだ。だから僕は先輩のファンなんです!」
「ルクレーシャ先輩は、僕の中の固定観念を崩してくれました。僕は今まで、火と水の食材は絶対に組み合わせちゃいけないと思っていたんです。でも、先輩はそんなの気にしない。どんな材料でも、先輩の手にかかれば素晴らしい作品になる。だから僕も先輩を見習って挑戦してみることにしたんです。……さて、これはルクレーシャ先輩をイメージして作ったケーキです。お口に合えばいいんですが」
フローリアンが茶を運んでくる。彼が持つトレーの上に大きなケーキが乗っているのを見て、ルクレーシャは歓声を上げた。
「わっ、綺麗なチョコレートケーキ! これもフローリアンくんが作ったの?」
「はい。タブーを乗り越えた僕の自信作です! このケーキの中には火属性の唐辛子と、水属性のクリスタルベリーを合わせたジャムが入っているんですよ。可愛くてちょっと癖がある。そんな先輩のための、甘くて辛いケーキです」
濃厚なチョコレートの香りが漂ってくる。ルクレーシャはいただきますと手を合わせた後、そっとケーキにフォークを沈めた。ずっしりとした黒いスポンジの中から、赤く透き通ったジャムがとろとろと溢れ出てくる。
口の中に広がる甘味と辛味のハーモニーに、ルクレーシャはうっとりと顔を蕩けさせた。
「んっ、んんんっ。これ、すっごく美味しい……! 甘いのにスパイシーで不思議な感じがするわ。チョコレートと唐辛子ってこんなにも合うのね! フローリアンくん、あなたは最高の職人よ!!」
あまりの美味しさに手が止まらない。ケーキの味を褒め称えながらもぐもぐと口を動かす女を、フローリアンは誇りが滲む顔で見つめていた。
ケーキを食べ終えたルクレーシャは、フローリアンに勧めてもらった本の感想を熱心に語っていた。
「お互い想い合っているのに、周りからいつまでも邪魔され続けるのよ。そんなことってある!? もう、切なくて苦しくてページを捲る手が止まらなかったわ。二人が幸せになれて本当に良かったぁ!」
桃色の目が興奮に潤んでいる。自分事のように熱を入れて話すルクレーシャに、フローリアンは生温かい視線を向けた。
「その様子だと、先輩は主人公に共感しながら読んだみたいですね?」
「そ、そうね。正直言うと、私は主人公の気持ちになりながらあの本を読んだし、相手の貴族にはダリルを重ねたの。あまーい恋愛小説なんか微塵も興味がなかったのに、彼らの気持ちを考えながら読むとどんな本よりも面白かった! はぁ、つらい。この現実も、あの本みたいに綺麗なものだったら良かったのに」
嘆くルクレーシャの足元から何かがよじ登ってくる。かごに隠れていたパペットは彼女の首元に飛び乗り、滲む涙を布切れで優しく拭った。ダリルそっくりの小さなパペットに、フローリアンが悲鳴を上げる。
「ひぇっ! 待ってください、それってもしかして……」
「うん。似ちゃった」
えへへと笑うルクレーシャの横で、パペットが可愛らしく手を振る。フローリアンは口を開けながら小さなダリルをじっと見つめた。
「……ふむ。黒い悪魔も、ちっちゃくなると可愛いもんですね」
「でしょ? ダリルくんって呼んでるのよ。すっごくいい子なの」
愛情込もった目でパペットを撫で回す女に、フローリアンは眼鏡を光らせた。
「小説の登場人物にダリル先輩を重ね、挙げ句彼によく似たパペットまで作る……。これは重症です。そういえばダリル先輩とはどうです? せっかく僕の部屋に来たんですし、ガチ恋の進捗を聞かせてください」
「ガ、ガチ恋って」
「恋バナしましょ。ね? ね! 僕はアイドルの恋路が心配で仕方ないんです。僕、先輩のお話が聞きたいなあ。話してくださいよ、はやくぅ」
フローリアンがずいっと顔を近づけてくる。後輩に迫られ、ルクレーシャは渋々自分の悩みを打ち明けた。
*
「えええええええええっ!? 待って、どうしてナシにしちゃったんですかあ!? せっかくの大チャンスだったのに!!」
ふとしたことでダリルに好きだと言ってしまったが、その後すぐに嘘だと誤魔化した――沈んだ顔でそう話すルクレーシャに、フローリアンは信じられないといった様子で大口を開けた。
「スキだと伝えたのに両想いにならなかった!? しかも嘘って!? はぁ、なぜそんな拗れるようなことを?」
「だ、だって。ダリル、嬉しそうじゃなかったから」
「彼は驚いただけですよ、先輩が別の男に恋をしていると思ってるから! 二人は両想いだって僕が説明したでしょう!?」
「でも……」
「でもじゃないです! んもぅ、じれったいなあ。先輩のこと、応援したくないのに応援したい。ああ、僕はどうすれば……!」
声を張り上げる後輩を前に、ルクレーシャは目を潤ませた。
(でも、本当に私のことが好きなら、最後までしてくれるでしょう?)
あの交わりは、ダリルにとっても性欲を解消する絶好の機会だったはずだ。理性を失くした裸の女が足を絡ませて、あなたが欲しいと一生懸命訴えてくるのだから。だが、ダリルはいくら頼んでも肉棒を挿れてくれなかった。助けて、責任を取ってと迫っても、気まずそうに俯くだけだった。
性欲を抑え込んでまで、目の前の女を抱きたくない理由があったはずだ。その理由が何であれ、ダリルは自分を遠ざけた。だから……。
(フローリアンくんの勘違いだよ。あいつは、私のことなんか好きじゃない)
ライバルの唖然とした顔を思い出すと、ずきずき胸が痛む。
俯いてしまったルクレーシャに、フローリアンはそっと声をかけた。
「せんぱい。ルクレーシャ先輩があの悪魔に捕まるのは嫌だけど……でも、アイドルのそんな顔は見たくない。だから、もう一度彼に告白してきてください。今度はきっと上手くいくはず」
「……ありがと。でも、無理だよ。嘘だって言っちゃったし、ダリルに嫌がられたら立ち直れない。あいつは私を女として意識していないのよ? 最初から結果は分かってるのに、当たって砕けるような真似はできないわ」
それに、自分の股間には異質な魔力を宿す男根があるのだ。こんな体をしていたら、実験体にはなれても彼の恋人にはなれない。
ルクレーシャの目尻に涙が滲む。フローリアンは彼女の手をきゅっと握り、優しい声で励ました。
「あの本を思い出してください。主人公のメイドは一度姿を消すけれど、想いを伝えなかったことに後悔して数年後屋敷を訪れる。そこで彼らは、お互いの誤解を解いてようやく結ばれた。いいですか、あの主人公が幸せになれたのは、勇気を出して告白したからです」
「…………」
「告白するのが怖いのは分かります。でも、先輩はこのまま嘘ってことにしておいていいんですか? 後悔しませんか?」
後悔。その言葉に、ルクレーシャの胸がとびきり痛む。
自分の気持ちを伝えないまま錬金術学校を卒業し、名家専属の錬金術士としてダリルから逃げるように調合に打ち込む日々を想像する。貴族社会と関わりながら過ごすのだから、きっとダリルの姿は一日も頭から離れない。数年後、ダリルが結婚したと風の噂で聞いて、強烈な後悔に苛まれるのだろう。「あの時、せめて本当の気持ちを伝えておけばよかった」と。
「……わたし、後悔するかも」
「そうですよ、そのままじゃ後悔するでしょう? それに、ダリル先輩が嫌がるなんてことはないですよ。だって、もしルクレーシャ先輩が彼から告白されたらどう思いますか? ダリル先輩のことをこっ酷く跳ね除けますか?」
「……それは、しないわ。ダリルはやなやつだけど、よく私を助けてくれるもの。あいつのことが好きだって気が付く前の私でも、ちゃんとダリルの気持ちを受け止めると思う……」
「多分、ダリル先輩も同じです。彼は嫌がったりしません。ずっと一緒に過ごしてきたルクレーシャ先輩のガチ恋を、しっかり受け止めてくれるはず」
後輩の慰めに心が和らぐ。涙を拭った後、ルクレーシャは静かな声で訊いた。
「いつも言われるの、君はがさつで大ざっぱで女らしくないって。そんな私でも、あいつに好きだって言っていいのかな?」
「もちろん」
「……わ、わたしが、他の女の子とは違う体をしていても、ダリルは嫌がらずに受け止めてくれるかな……?」
「ええ、絶対」
不安げな表情をするルクレーシャの手を、フローリアンは優しく握った。
「先輩がちょっとだけ勇気を出せば、この現実もあの本みたいに輝き始めるかもしれません」
「そっか。そうだよね。どうせ無理だって決めつけるなんて、私らしくないもんね。……それなら、ダリルとの勝負に勝ったら告白しようかな?」
ここで諦めたら負けず嫌いがすたる。
心の底から湧き上がってきた勇気に、ルクレーシャは口角を上げた。
「前にも言ったけど、今ダリルと勝負をしてるの。絶対に負けられない戦いよ。私が負けたら、あいつの専属錬金術士になれって脅されてる。反対に、私が勝った時にどうするかはまだ決めてなかったわ。だから、勝負に勝ったら言おうと思うの……。今から伝えることを馬鹿にせず受け止めて、って。頑張って、あいつに私の気持ちをぶつけてみる!」
「ええ、いい考えだと思います。ルクレーシャ先輩、笑顔ですよ、笑顔。先輩は勢いと笑顔を身に付けている時が一番カワイイんですから! ダリル先輩をぶっ倒して、思いの丈をぶつけてきてください!」
「え、えへへ。ありがとね、フローリアンくん! ダリルのこと格好良すぎて直視できないし、好きだって伝えるのに一時間くらいかかっちゃうかもしれないけど……。あの本の主人公みたいに、私も勇気を出してみる。フローリアンくんとお話できて良かったよ!」
晴れやかな顔の女を見つめながら、フローリアンは内心で複雑な感情を噛み締めた。
(……はあ。僕、なんでルクレーシャ先輩の背中を押してるんだろう? 黒い悪魔に捕まったら、先輩は二度と外に出られなくなるかもしれないのに。一人のオタクとして、あんな怖ろしい男なんかにアイドルを関わらせちゃいけないのに。でも……)
「僕たちの女神は、悲しい顔をしているより笑っていた方がカワイイですからね。これは全オタクの総意です」
聞こえないくらいの声でそう呟き、フローリアンはベッド横に飾られたルクレーシャの写真にそっと視線を向けた。
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