最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga

文字の大きさ
13 / 96
第二章 リュータと不思議な他種族

第十三話 リュータと孤島ダンジョン、再び

しおりを挟む
 やってまいりました、孤島。
 目の前には石碑。
 そして人影まったく見えません。

「神よ!! 俺が何をしたと言うのですクェーー!!」

 おっと、思わず野生が飛び出てしまった。

 と言う訳で、現在地、

 うん、異世界降りた当時もこんなだった。

 と言うよりも、折角前の孤島ダンジョンを突破して人里に行ったのに、何故か神の御業により孤島に戻されました。
 あー、ガルフやステファン、ジョンソンにクワトリ少佐と、色々な人に出会ったんだけどなぁ・・・。
 空飛ぶ巨大キノコの襲来とか、もう訳分かんない異世界クオリティだったけど、平和に終わったらしいし、今となったらいい思い出。


 だったんだけど、なぁ・・・。
 エルフも、獣人もいるらしいし、女の子とのラブラブライフの妄想が膨らんでいたんだけどなぁ、はぁぁぁぁ。

 あ、いや、俺が気付かなかっただけでステファンさんと言う超絶美女とお知り合いにはなったんだった。
 でもあの人、今頃人妻だろうしなぁ。そもそも宝塚か! ってくらいのイケメンだったからな。


 だが、そんなこんながあろうとも、今現在、俺の所在地は、孤島、浜辺。

 またボッチだよ!
 また孤島でゼロ円生活だよ!!

「しかし今回は勝手が分かってるから、さっさと脱出だ!」

 そしてあの街に戻るんだ!


 ちなみに砂浜から海に出ようとしたら、謎のバリアに弾かれた。
 たぶん、ダンジョンをクリアしないと出れない仕組みなのだろう。
 仕方がないので、まずはそう

「水だな。前回はこの湧き水を確保できていなかったし」

 『収納室』にえっちらほいっと放り込む。
 表示に『10,000リットル』と書かれている。
 え? いちまんりっとる?

「やばいな、ちょっとやりすぎたかも」

 謎の湧き水がストップしている。
 少し待っても湧いてこない。

「まぁ、放っておけば湧いてくるかな」

 『収納小箱』から棍を取り出して、軽く素振る。
 スピピンと今まで以上に軽快な音がする。これもクワトリ少佐の鍛錬の賜物だ。

「とは言え、不可抗力だけど途中で投げ出す形になっちゃったなぁ」

 畑仕事も途中だったし、『棒術』も教えてもらう事がまだあったんだけど、仕方がない。
 いずれ会ったらお詫びして、また教練してもらおう。

 ひとまず『消臭』『消音』を使ってから、目の前の森に入る。

 肌の青いゴブリンがいる。
 棍で突いて、焼いた。ゴブリンは死んだ。

「は?」

 ズカズカ進めば、肌の青いオークがいた。
 棍で突いて、焼いた。オークも死んだ。

「はい?」


 いや、待って。
 ちょっと待って。
 いくらパワーアップしているからって、これはないよね?

 困ったときの『鑑定』様!


 オーク(青種)
 -縄張り意識の強い魔獣の亜種。原種よりも高い身体能力を持つ。音と臭いで敵を探す。目がほとんど見えない。ダンジョンコアにより水に対する加護を得ている。火が弱点。
 ※魔獣:人型に近い魔物の呼称。完全な人型は魔人と呼ばれており知能が高い。単なる魔物は知能が低い傾向にある。


 以前よりも説明が増して、『鑑定』様がパワーアップしているな。
 そして火が弱点か。


 神様、最初にこのダンジョンに連れて来てくれれば、俺、苦戦しなかったんじゃないですかね。



「今更言っても仕方がないけど、そこはかとなく悪意を感じる」

 まぁ、サクサクっと行きましょうか。


***

 勝手知ったるなんとやらでスイスイと進んでき、植物系の採取も忘れずに様々にゲット。
 今回のキノコは何故かマイタケだった。でもこれも好きだから助かるわー。
 そして例のトイレ葉も無事にゲット。
 今度またいつ来るか分かんないし、枯れない程度にもげるだけもいでおいた。

 ギヴったから、もちろんテイクも忘れなかったさ。ふふふ。


 しかし、登っていたかと思いきや、少し下り始めた。
 そうしたら、目の前にぽっかりと空いた、穴。それも水で満たされている不可思議な状況。
 その穴の手前にはご丁寧にも石で出来た階段が設置されており、いいから降りろと自己主張していらっしゃいます。
 しかしその目前には、三つ又の槍を持った魚男。
 サハギンとかマーマンとか言われる種族だと思う。


 さて、どうしよう。
 たぶん、こいつがこの先にあるダンジョンコアを守っているボスなんだろうけど・・・

 以前オーガを鑑定しようとしたら見つかった事を思い出す。
 ヤツもたぶん、魔力感知的なスキルを持っているのだろう。
 『鑑定』した瞬間、やんのかゴルァと襲い掛かってくる可能性、大。
 どうしたものか・・・。

「ま、なるようになるか!」

 今の俺は、スーパーリュータだ。以前の俺とは違う。
 そう

 いけるいける!


 そう思っていた時期が、僕にもありました。


***

「ひえーー! こんな手練れだなんて、聞いてないって!!」

 はい、絶賛逃亡中です。
 サハギンさん、滅茶苦茶槍の使いがうまかったです。
 先端に火が付いた棍棒なんかチョチョイのチョイって感じでいなしてあっさりへし折って、そのままエイヤヤヤって突き連打。
 途中でやけくそ気味に色々投げたけど、回した槍で叩き落とすの、ちょっとカッコよかった。
 しかしまぁ、君どこのゲームのキャラ? と見惚れるくらいの槍力であっという間に大ピンチ。
 今ココ。

 チキキキキキと鳴き声なのか違う音なのか、とにかく訳の変わらない甲高い音を発しながら迫ってくる魚男に、俺氏、ガン泣きですよ。

「うびゃーーー! お助けーーー!」

 叫んでも誰も助けに来てくれません。
 サハギンさんも見逃してはくれません。

 どっどっど、どうするのさーーー!


 走っていたら拠点の近くまで来ていた。
 これ以上は逃げられない!

「毎度毎度、懲りないな、俺!」

 しかし今度は棍が一切効かない相手。
 さて、どうする、って悩む時間もねーし!?

「って、どぁぁぁ!! こ、こけたぁぁあ・・・」

 こけました。それはもう、盛大に顔からズゴーンです。
 漏れた、何かが漏れたよ。どこぞが濡れた。

 もう無理だ。
 
「チキチキうるさささ、うるっさいんだよ!! 俺だって、俺だってなぁ!!」

 やはり以前のオーガ同様に悪い笑みを浮かべて、槍の後ろ側で小突いてくる性悪なボスに、もう自棄だ!!

「俺だって、うるさくできるんだよ! 『虫よけ』!!」

 ィィィイイイイイイン。

 するとサハギンが槍を落として、頭を抱え出した。
 そう思ったら徐々に身体を畳みはじめ、しまいには正座の状態から前屈をしたような状態になった。
 焼き土下座した人みたいになっている。

「お、おい。大丈夫か?」

 先ほどまで襲われてたんだけど、あまりの変化に心配になって近寄ってみた。
 すると、サハギンがビクンビクンし始めた!?

 あれ!?

 顔を地面に投げ出して、口から泡出して、舌を出して、白目向いて・・・

 動かなくなりました。


 『鑑定』様により、サハギン氏、HP0により殉職なされたのが判明。



「まじかー」

 サハギン、超音波、苦手だってさ。


***

「この展開は、笑うしかないでしょ」

 あれから水になったサハギンに手を合わせてから拠点に戻り、はい、いつも通りの洗濯です。
 相変わらず湧き水が復活していないので、『収納室』に入れた水でお洗濯。

 え? なんで魔法水で洗わないのかって?
 いや、洗濯って結構水を使うのよね。
 だからMPが足りないのさ。フッ。

 いやいや、前に使おうとして気絶して、服にまみれて窒息死しかけたなんて、ないよ?


「それにしても、この『洗濯』の魔法は便利だなー」

 正確には俺の脳内にある洗濯機を模倣した魔法っぽいんだけど、これまた『生活魔法』らしい。
 現状で『生活魔法』で出来ない生活関連って、料理くらいなんじゃないだろうか。

「しまったな。結局ババビアルカで『魔力操作』とかその手の魔法について聞きそびれてたわ」

 今頃思い出しても遅いんですよね。
 なんかこう、メモとか取りたいな。


- 魔力操作について聞く を記録しました-


「おういえ」

 何事ですかー!?
 って、ああ、『メモ』の『生活魔法』か。
 え?

「まじかー」

 そんな事まで出来るのか。さすがは神様お勧めの『生活魔法』だな。
 あの神様、かなり気まぐれと言うか、軽いと言うか、お調子者な性格だけど、それでもやっぱり神様だな。
 はー、やっぱり言う事聞いとくか。

「確か、次の場所で布教活動だったっけ? でもそもそも神様の名前すら知らないんだけど」

 それに、八百万か! ってくらい神様いるらしいし。
 っと、MP満タン!!
 服も乾いた。

「さって、あの洞窟に行きますかね」


***

「聞いてないよ」

 まだあれから一時間経っていないのに、山の穴の前には、二匹のサハギンがいました。
 てーことは、あいつがボスじゃなかったの!?

「まじかー」

 神様のしれん、ちょうつらいっす。

 なーんて、ね。

「お前ら弱点なんて、分かってるんだよ!!」

 いざ発動、『虫よけ』。
 おら、おらおら。お前の嫌いなキーン音、出てるぞ。どうだ? 怖いか! 苦しいかぁ!!


 ぶ、ぶも、ぶもももも。ふごふご。

「え?」

 ぶももおおおおおおおおお!!!
 チキキキキキ!!

「えええええええ!?」

 いや、それ、まじ勘弁!!

「オークとサハギンのハイブリットは、らめぇえええ!!」

 力の一号と技の二号が俺を追いつめる。


 走った、こけた。
 あ、もうだめ。

「何かないか何かないか・・・、あ!!」

 前のダンジョンコアからもらった魔石!
 頼む、お前が頼りなんだ!!

「助けてくれ、お前だけが頼りなんどっせい!!」

 魔石が思ったより重かった!!
 てんてんてん・・・とオークとサハギンの足元に転がる。
 それを見て、首をかしげているお二人の隙を突いて・・・逃げれるか、ばか!!

「も、もうだめ・・・」

 なんて思っていたら、魔石から煙が出てきた。

 なにそれ。聞いてない。

「呼ばれて飛び出てじゃんじゃかじゃーん! ダンジョン界のアイドル、原初の赤いダンジョンコアとはアタイの事だよ! 分体だけどね!」

 え!? なにそれ!! ほんと、聞いてないよ!?
 てか、誰様?

 宙に浮かんだちっこい妖精? みたいな子がオークとサハギンの間でふんぞり返っていた。

「ほらあんたら、さっさと向こういきな。やり直しだよ」

 ちっこいのがしっしと手で追い払うようにすれば、しゃーねーなぁと言う調子で帰っていくオークとサハギン。

 なにそれ!?

「じゃ、願いは叶えたから。死なないでね!」

 しゅぴん、と言う効果音と共に魔石の中に帰っていった妖精、妖精? うーん、良く分からん。

「でも、とにかく助かったのか」


 腰が抜けて立てない。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る

夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

処理中です...