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終章 リュータとそれぞれの話
第八十六話 リュータの話 その2
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俺が笑いの神様に詰め寄った所、エンテ様がこちらに頭を下げてきた。
「リュータ、ありがとうございました」
「突然なんですか、エンテ様!? 顔を上げて下さい!!」
そう言うの、対応に超困るからやめて欲しい。
「リュータ、僕からも礼を言わせて欲しいっす」
ア゛? テメーは何便乗してんだ?
「ああ、お前はもっと感謝しろ。それとなんで俺を選んだのか説明しろ」
「その扱いの違いはなんすか!?」
さすがにあの最初のまったりスカウトからこんな事態に巻き込まれるとか、詐欺じゃんね。
十分に抗議案件だと思うんですわ。
それに
「ひどいっす。僕、泣いちゃうっすよ!」
「いや、泣きたいのは俺の方だよ!! 何だよあの禿げない『呪い耐性』って。あれ結局『必要経験値増』のデメリット付きだったじゃん! 禿げないけど、結局この世界で生きにくくなってたじゃん!」
「うっ!」
そう、俺はあの『必要経験値増』のお陰で必要以上にハードモードだったのだ。これは許してはいけないだろう。
「で、でもそれで助かった面もあったじゃないっすか!」
「確かにそのおかげでダンジョンコアは破壊できたし、それで妖精さんたちと出会えたのはまさに幸運だった。でも、それでも明らかな契約違反だったじゃん! 戦わない選択とか、ド初っ端から無理だったしさぁ!」
「そうですね。いくら必要であったとは言え、事前説明もなくそうしたのであれば、だましていたと違いはありません。それは認めなければならないでしょう」
おっしゃ、エンテ様がこっちの味方に付いてくれた!
「生命神様までそんな事を言うっすか!?」
おうおう、オメーんとこの上役もお認めになってるんだ。早く罪状を認めてほれ、詫びの一つでも入れろよ?
オラオラオラ、ん?
エンテ様が前に出て
「罪には罰を。そうですね、こう言うのはいかがでしょうか」
そう言うや、手に持った杖を掲げて、振り下ろした。
ひゅるるるる~~~っと音がして、上空から光る何かが落ちてくる。
「あれは・・・、まさか、タライ!?」
金色に光る見事なタライが底面をこちらに向けたままと言う不自然極まりない形で空から落ちてくる。
空気抵抗とかどうなってるんだ・・・。
「笑いの神を自称していたと聞きました。ならばこれが罰として相応しいでしょう」
「ちょっとお待ちくださいっすぐごあ!?」
がごわぁぁぁん、と見事な打撃音と共に笑いの神様の頭に吸い込まれたタライは、そのまま地面へと落ちる事無く消えた。
無駄にすごい技術だが、何と言うか、技術の無駄遣いっぷりが半端ないな。
「思う所は多々あるでしょうが、しかしこの子の生い立ちを知るあなたたちならば、この程度で許してくれると信じております」
「その言い方は卑怯な気もしますが、ええと、まぁ、いいです、はい」
「あなたならそう言ってもらえると信じておりました」
さすがは神様。ほんと、してやられたわ。俺の中のモヤヨヤと言うかそんな感情が全部吹っ飛んだわ。
と言うか、そう思わざるを得ない理不尽さだった。神様ってのは誰も彼もこんななのかねぇ。
諦めにも似た境地となり気の抜けた俺の袖を引っ張るのは、シルちゃん?
俺の顔をしたから覗き込むようにして、どうしたの?
「リュータよ、上に立つ者として寛大な心もまた、必要じゃと思うのじゃ」
・・・。
「うん、そうだね。許す許す」
本人がまったく無意識でやっている上目遣いが可愛すぎて、もうなんでも許せちゃう。
「軽いっすね!? 最初から僕はその子に頼ればよかったっすよ」
そんなの俺とエンテ様が許すわけないじゃん。
「ふふ、仲が良くて結構な事です。私、生命神エンテはあなたを祝福しますよ、リュータ。どうかこの荒廃した世界で子沢山な家庭を築いてください。具体的には、百人ほど子供を作って下さい」
「百人って、無理ですよ!」
なんだよ子供が百人って! サッカーが出来るとかそう言う次元をはるかに超えてるんだけど!?
「それは冗談ですが、それでも励んでいただけると助かります」
「は、はぁ・・・」
「百はともかく最低でも十人、いえ二十人は作って下さい」
「妥協してその数ですか!?」
俺の叫びにこっくりと頷くエンテ様。
これ、遠回しに嫁も沢山もらえって言われてます?
そう思いエンテ様を見るも、ただ微笑まれるだけだった。
ああ、はい、そうですね。
が、がんばります・・・。
「ご納得いただけたようですね。それでは里に着くまで少しだけがあるようですので、ある神の話をしましょうか」
そう言って始まったのは、破壊神の話だった。
その神は、この世界で生まれた一番最初の神様でした。
つまり創造神ともなるべき存在。
しかし、その世界はゆがめられた世界だったのです。
創造すべき無の世界に、なぜか生命が存在する。しかも幾度も進化を繰り返し、その生命はいびつとなっていた。
原因は外的な要因。他の世界の神々が真っさらなその世界に勝手に手を加えてしまっていたのです。
それもおよそ他の世界では行われていないおぞましい進化の形に、苦悶するその生命たちの叫びに、最初の神はこう考えました。
- この世界は、滅びを望んでいる -
そしてその思いと同時に、第二の神が誕生しました。
最初の神はリセットを望む破壊神に、その次に生まれた神はその穴を埋めるために命を祝福する生命神に。
「これが、私とあの破壊神が生まれた理由です」
半分消えて幽霊みたくなっている笑いの神様を連れて森の中を歩きながら、俺は先ほどの話を考える。
今の破壊神の話に納得がいくかと言われると、難しい。かと言って否と即答も出来ない。
「あなたはどう思いますか、リュータ?」
すぐに答えが出ないから保留にしようとしたけど、どうやら今すぐに考えなくてはいけないようだ。
なら、俺の今の状況で置き換えてみてどう感じるか、考えてみよう。
そうして考えてみると俺の領地が今まさに似たような状況だ。俺と言う領主はいるけど、実際は周りが好き勝手やって地下都市を改造しまくっている。
これを周りの連中を他世界の神々、俺を破壊神に置き換えれば、だいたい外れてはいないだろう。
ここまではいい。
なら、そこでドワーフたちが地下で核燃料を作っていたらどうだろうか。
放射能はこの世界の生物にも有効だろう。そんな危険なものを作っている。
こちらがやめろと言ってもやめない。獣人王国に帰れと言っても居座られ続ける。
ヤツの状況を俺に当てはめるとこんな感じだったのだろうか。
・・・うん、そりゃ怒るわ。
「これは確かに怒るのも無理のない話ですね。世界を滅ぼそうと言うのも分からなくもないです」
そんな危険地帯となったら、住民全員避難させた上で封印処理か爆破処理せざるを得ないもんな。さすがにそこまで行くと、俺も強硬手段に出るしかないのは分かる。
さらにそれが魔法技術により、住人の体内で核燃料が生成され、それが解除できない、後は滅びるのみとなってしまったら、俺は無慈悲な選択をするしかない。一応これでも為政者だから、そう言う選択自体は否定すべきではないだろう。
しかし、それでも胸のあたりがスッキリしない終わりになりそうだな。それに、結局アイツと同じ結論ってのがヤダヤダ。俺はそんな事態にはさせないぞ!
「でも、最終手段を取る前に色々と手を打って、最後まであがきますね。いきなり全部ぶっ壊そうとか、いくらなんでも極端すぎます」
「・・・。あなたならそう言ってもらえると信じていました」
最終的な部分がアイツと同じだったのはシャクだけど、エンテ様の笑顔に免じてこれ以上は考えないようにしよう。
そして俺はそれ以外にもいろいろとエンテ様から話を聞いた。
エンテ様の後から生まれた神々の事。
この世界に生まれ、消えていった数々の種族の事。
それと俺がこれから先に向かうべき場所。最低限制圧して欲しいモノリスやダンジョンについて。
途中、笑いの神様が限界になって「じゃ、またっす!」と軽いあいさつと共に消えたのは、どうでもいい事か。
そして話は終局へ
「それで、破壊神の魂はどうなったのですか?」
この世界について粗方聞き終え、エルフの里も間近に見えてきた頃、俺はふとそんな事を口走っていた。
あの破壊神の事を考えないようにしていたけど、どうしてもやっぱり気になる。
そもそもあの『フォーチュン』って何さ。
俺、訳も分からん状態で訳の分からんスキルを使ってしまったんですけど。
しかしそんな俺に疑問に、エンテ様は笑顔ではぐらかした。
「うふふ、さぁて、どうなったんでしょうね、おにいさま?」
「え?」
「なんでもありません。さぁ、つきましたね。シルビィエンテクライテア、頼みますよ」
眼前に見えるは、超巨大ビル、を模しただけの巨壁。エルフの里の防壁だ。
そこの間にあるこれまた巨大な門は大きく開け放たれ、大勢のエルフ達がどうやら俺たちの帰還を待ち構えていたようだ。
みんな疲れているようだが、出る前に感じたあの悲壮感は一切なく、全員が笑顔だった。どうやらあれ以上の犠牲者は出なかったようで思わずほっとため息が漏れた。
「ただいま戻ったのじゃ! そして皆の者! さっそく宴の準備じゃ!」
シルちゃんが魔法を使い拡声しながらそう叫ぶと、里中からワッと歓声が上がった。
そして門で待ち構えていたエルフが一斉に倉庫へと向かい、残るリザードマンたちと軽く挨拶を俺は交わす。そして椅子を用意され疲れた俺は早速座り、労いの言葉や感謝の言葉を受けつつ来る人に対応していると、気が付けば小一時間で祭りの準備が整っていた。
「いくらなんでも早すぎない?」
ミチルさんたちが先に帰っていたとは言え、飾りつけだけでなく前準備も必要なパーティ料理もあっという間に出来上がってる。
エルフの人たちは平均身長二メートルほどで身体能力が高いとは言え、ちょっとこれは、どうなんだ。
「リュータよ、行くのじゃ」
「・・・」
よく分からないけど、まぁいいか!!
シルちゃんの手、あったかくて柔らかいなぁ、ニギニギ。
「皆の者、集まるのじゃ!」
「あれ? ここはドコ?」
気が付いたら俺は祭りの会場の中心部のお立ち台に、エンテ様と共に立っていた。
呆然とする俺とニコニコ笑顔なエンテ様をよそに、シルちゃんの声が会場全体に響くように魔法で拡声される。
「まずは右手側におわす方を紹介するのじゃ。なんと、あのお方は我らが守護神である生命神エンテ様じゃ! 皆の者、拍手!」
「「「「わーーー!」」」」
「うおお!?」
割れんばかりの歓声と鳴りやまない拍手に手を振って応えるエンテ様。なんかこう、王侯貴族っぽい立ち回り方と言うか、気品があると言うか。そんな雰囲気だった。
さっきまで俺に百人子供作れとか言っていた下世話なオバサンっぽくはない。
そう言えばエンテ様はすごい神様だったっけか。シルちゃんそっくりな顔と気さくな性格に、さっきまで話をしていたからか、そんな意識が無くなってたわ。
「続いて、その隣はリュータじゃ」
「わー」
・・・、うん、知ってた。
あ、リュータじゃん、って感じで指差された。そうだよね、みんな俺の事は見慣れてるもんね。歓声や拍手よりも、知り合いを見つけたからって手を振ってくれる人の方が圧倒的に多い。アレックスさんたちリザードマンズは両拳を振り上げて何故かガッツポーズしてるけど。
こういうアットホームな感じは好きだけど、規模が全然アットホームじゃないんだよなぁ。リザードマン含め千人超えてるからとんでもない迫力だよ、このアットホーム。
え? もう降りていいの? はいはいーっと。
「お疲れさまでした」
「あー、うん、おっつー」
「オッツー」
いえーい。ツヨシ君と力ないハイタッチ。
すると俺の元に集まってくるのはいつものメンバー。元からいるシルちゃんに、ツヨシ君、ミチルさんに、ミントさんもいる。妖精ズはどうやら体が慣れなくて横になっているらしい。
全員無事だと聞いてほっとしたら、ミントさんがお盆を持ってきた。
お盆に乗っているのは透明な液体で満たされたグラス。それの一つをミントさんは手に持ち、エンテ様に差し出している。
「エンテ様、こちらをどうぞ」
「あら、ありがとう」
「リュータも、これ」
「はーい、って、ミントさん、これは?」
最初は水かと思ったけど、このにおいは、アルコール?
「米から作られたお酒よ」
つまり、ほっほー、日本酒ですか。こちらの世界ではエールが基本、時々ワインだったからないと思ってたけど、あるんだね。
「エルフ秘蔵の品だそうよ。とてもおいしいらしいわ」
「へー、そうなんだ。それは楽しみ」
そう言って口を付けようとしたら、やんわりとミントさんの手で制されてしまった。
まだ飲んじゃダメ? ああ、そうなの。まだ何かあるのね。
そう思いミントさんの顔を見て、その視線の先を追えばシルちゃんが俺の持つグラスと同じものを手に持っていた。どうやら演説はもうちょっとばかり続くんじゃよ状態だったようだ。
「他にも勇者ミチル、勇者スレーブワンと、里の防衛、魔王の討伐に尽力してくれたものたちは多いのじゃ。そして里の者たちも、居場所を奪われたにも関わらず協力してくれたリザードマンの勇士たちも、本当によくやってくれたのじゃ! 里が無事なのは皆のお陰なのじゃ! よって、それぞれに対して、拍手じゃ!」
「「「「「わーーーーー!!」」」」」
・・・、中には泣いている人や抱き合っている人たちもいる。
そりゃそうだよね。あれだけの事態だったんだから、死人がまったくいない訳じゃない。だからそう言う人たちもいる、か。泣いている人の大半は被害が大きかったリザードマンたちで、もらい泣きなのか、あるいは共に戦った仲だからか一部のエルフの人たちも泣いていた。
だが、それもほんのわずかな時間だった。肩を、背を叩きあい、もう笑っている。一部泣き笑いっぽい人たちもいるけど、野暮な指摘をする人はいない。
「本来であれば今日から収穫祭を行うのじゃが、悲しい事があったのじゃ」
ざっと見ると、リザードマンたちは若干申し訳なさげに、それに対してエルフの人たちは胸を張りリザードマンを取り囲んで大半が肩を組んでいた。
「ゆえに、我らが行うべきは、エンテ様降臨の祝いと、勝利の祝いじゃ!!」
え!? そうなの!?
「皆の者、今日は飲んで食べて騒いで、それで明日からまたがんばるのじゃ!! 我らの元気を、先に大地へ還った者たちへと伝えるのじゃ!!」
「「「「うおおおおお!!」」」」
「我らは生きていると、そしてこれからも目いっぱい生きていくと、先に眠った者たちに力の限り伝えるのじゃ! それが、生き残った我らが行うべき使命じゃ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
すごい、すごい迫力、すごい大音量だ!
これなら確かに死んでいった人たちにも伝わるかもしれない。
「全ての者たちに感謝を込めて、乾杯じゃ!!」
「「「「感謝を!! 乾杯!!」」」」
そのあと俺たちは真昼間から飲んで食って騒いで、夕方には力尽きて翌日の朝まで寝た。
なお、里の大半の人間が翌日に二日酔いになってエルフの里が機能不全を起こしたのは、笑うしかないだろう。
「リュータ、ありがとうございました」
「突然なんですか、エンテ様!? 顔を上げて下さい!!」
そう言うの、対応に超困るからやめて欲しい。
「リュータ、僕からも礼を言わせて欲しいっす」
ア゛? テメーは何便乗してんだ?
「ああ、お前はもっと感謝しろ。それとなんで俺を選んだのか説明しろ」
「その扱いの違いはなんすか!?」
さすがにあの最初のまったりスカウトからこんな事態に巻き込まれるとか、詐欺じゃんね。
十分に抗議案件だと思うんですわ。
それに
「ひどいっす。僕、泣いちゃうっすよ!」
「いや、泣きたいのは俺の方だよ!! 何だよあの禿げない『呪い耐性』って。あれ結局『必要経験値増』のデメリット付きだったじゃん! 禿げないけど、結局この世界で生きにくくなってたじゃん!」
「うっ!」
そう、俺はあの『必要経験値増』のお陰で必要以上にハードモードだったのだ。これは許してはいけないだろう。
「で、でもそれで助かった面もあったじゃないっすか!」
「確かにそのおかげでダンジョンコアは破壊できたし、それで妖精さんたちと出会えたのはまさに幸運だった。でも、それでも明らかな契約違反だったじゃん! 戦わない選択とか、ド初っ端から無理だったしさぁ!」
「そうですね。いくら必要であったとは言え、事前説明もなくそうしたのであれば、だましていたと違いはありません。それは認めなければならないでしょう」
おっしゃ、エンテ様がこっちの味方に付いてくれた!
「生命神様までそんな事を言うっすか!?」
おうおう、オメーんとこの上役もお認めになってるんだ。早く罪状を認めてほれ、詫びの一つでも入れろよ?
オラオラオラ、ん?
エンテ様が前に出て
「罪には罰を。そうですね、こう言うのはいかがでしょうか」
そう言うや、手に持った杖を掲げて、振り下ろした。
ひゅるるるる~~~っと音がして、上空から光る何かが落ちてくる。
「あれは・・・、まさか、タライ!?」
金色に光る見事なタライが底面をこちらに向けたままと言う不自然極まりない形で空から落ちてくる。
空気抵抗とかどうなってるんだ・・・。
「笑いの神を自称していたと聞きました。ならばこれが罰として相応しいでしょう」
「ちょっとお待ちくださいっすぐごあ!?」
がごわぁぁぁん、と見事な打撃音と共に笑いの神様の頭に吸い込まれたタライは、そのまま地面へと落ちる事無く消えた。
無駄にすごい技術だが、何と言うか、技術の無駄遣いっぷりが半端ないな。
「思う所は多々あるでしょうが、しかしこの子の生い立ちを知るあなたたちならば、この程度で許してくれると信じております」
「その言い方は卑怯な気もしますが、ええと、まぁ、いいです、はい」
「あなたならそう言ってもらえると信じておりました」
さすがは神様。ほんと、してやられたわ。俺の中のモヤヨヤと言うかそんな感情が全部吹っ飛んだわ。
と言うか、そう思わざるを得ない理不尽さだった。神様ってのは誰も彼もこんななのかねぇ。
諦めにも似た境地となり気の抜けた俺の袖を引っ張るのは、シルちゃん?
俺の顔をしたから覗き込むようにして、どうしたの?
「リュータよ、上に立つ者として寛大な心もまた、必要じゃと思うのじゃ」
・・・。
「うん、そうだね。許す許す」
本人がまったく無意識でやっている上目遣いが可愛すぎて、もうなんでも許せちゃう。
「軽いっすね!? 最初から僕はその子に頼ればよかったっすよ」
そんなの俺とエンテ様が許すわけないじゃん。
「ふふ、仲が良くて結構な事です。私、生命神エンテはあなたを祝福しますよ、リュータ。どうかこの荒廃した世界で子沢山な家庭を築いてください。具体的には、百人ほど子供を作って下さい」
「百人って、無理ですよ!」
なんだよ子供が百人って! サッカーが出来るとかそう言う次元をはるかに超えてるんだけど!?
「それは冗談ですが、それでも励んでいただけると助かります」
「は、はぁ・・・」
「百はともかく最低でも十人、いえ二十人は作って下さい」
「妥協してその数ですか!?」
俺の叫びにこっくりと頷くエンテ様。
これ、遠回しに嫁も沢山もらえって言われてます?
そう思いエンテ様を見るも、ただ微笑まれるだけだった。
ああ、はい、そうですね。
が、がんばります・・・。
「ご納得いただけたようですね。それでは里に着くまで少しだけがあるようですので、ある神の話をしましょうか」
そう言って始まったのは、破壊神の話だった。
その神は、この世界で生まれた一番最初の神様でした。
つまり創造神ともなるべき存在。
しかし、その世界はゆがめられた世界だったのです。
創造すべき無の世界に、なぜか生命が存在する。しかも幾度も進化を繰り返し、その生命はいびつとなっていた。
原因は外的な要因。他の世界の神々が真っさらなその世界に勝手に手を加えてしまっていたのです。
それもおよそ他の世界では行われていないおぞましい進化の形に、苦悶するその生命たちの叫びに、最初の神はこう考えました。
- この世界は、滅びを望んでいる -
そしてその思いと同時に、第二の神が誕生しました。
最初の神はリセットを望む破壊神に、その次に生まれた神はその穴を埋めるために命を祝福する生命神に。
「これが、私とあの破壊神が生まれた理由です」
半分消えて幽霊みたくなっている笑いの神様を連れて森の中を歩きながら、俺は先ほどの話を考える。
今の破壊神の話に納得がいくかと言われると、難しい。かと言って否と即答も出来ない。
「あなたはどう思いますか、リュータ?」
すぐに答えが出ないから保留にしようとしたけど、どうやら今すぐに考えなくてはいけないようだ。
なら、俺の今の状況で置き換えてみてどう感じるか、考えてみよう。
そうして考えてみると俺の領地が今まさに似たような状況だ。俺と言う領主はいるけど、実際は周りが好き勝手やって地下都市を改造しまくっている。
これを周りの連中を他世界の神々、俺を破壊神に置き換えれば、だいたい外れてはいないだろう。
ここまではいい。
なら、そこでドワーフたちが地下で核燃料を作っていたらどうだろうか。
放射能はこの世界の生物にも有効だろう。そんな危険なものを作っている。
こちらがやめろと言ってもやめない。獣人王国に帰れと言っても居座られ続ける。
ヤツの状況を俺に当てはめるとこんな感じだったのだろうか。
・・・うん、そりゃ怒るわ。
「これは確かに怒るのも無理のない話ですね。世界を滅ぼそうと言うのも分からなくもないです」
そんな危険地帯となったら、住民全員避難させた上で封印処理か爆破処理せざるを得ないもんな。さすがにそこまで行くと、俺も強硬手段に出るしかないのは分かる。
さらにそれが魔法技術により、住人の体内で核燃料が生成され、それが解除できない、後は滅びるのみとなってしまったら、俺は無慈悲な選択をするしかない。一応これでも為政者だから、そう言う選択自体は否定すべきではないだろう。
しかし、それでも胸のあたりがスッキリしない終わりになりそうだな。それに、結局アイツと同じ結論ってのがヤダヤダ。俺はそんな事態にはさせないぞ!
「でも、最終手段を取る前に色々と手を打って、最後まであがきますね。いきなり全部ぶっ壊そうとか、いくらなんでも極端すぎます」
「・・・。あなたならそう言ってもらえると信じていました」
最終的な部分がアイツと同じだったのはシャクだけど、エンテ様の笑顔に免じてこれ以上は考えないようにしよう。
そして俺はそれ以外にもいろいろとエンテ様から話を聞いた。
エンテ様の後から生まれた神々の事。
この世界に生まれ、消えていった数々の種族の事。
それと俺がこれから先に向かうべき場所。最低限制圧して欲しいモノリスやダンジョンについて。
途中、笑いの神様が限界になって「じゃ、またっす!」と軽いあいさつと共に消えたのは、どうでもいい事か。
そして話は終局へ
「それで、破壊神の魂はどうなったのですか?」
この世界について粗方聞き終え、エルフの里も間近に見えてきた頃、俺はふとそんな事を口走っていた。
あの破壊神の事を考えないようにしていたけど、どうしてもやっぱり気になる。
そもそもあの『フォーチュン』って何さ。
俺、訳も分からん状態で訳の分からんスキルを使ってしまったんですけど。
しかしそんな俺に疑問に、エンテ様は笑顔ではぐらかした。
「うふふ、さぁて、どうなったんでしょうね、おにいさま?」
「え?」
「なんでもありません。さぁ、つきましたね。シルビィエンテクライテア、頼みますよ」
眼前に見えるは、超巨大ビル、を模しただけの巨壁。エルフの里の防壁だ。
そこの間にあるこれまた巨大な門は大きく開け放たれ、大勢のエルフ達がどうやら俺たちの帰還を待ち構えていたようだ。
みんな疲れているようだが、出る前に感じたあの悲壮感は一切なく、全員が笑顔だった。どうやらあれ以上の犠牲者は出なかったようで思わずほっとため息が漏れた。
「ただいま戻ったのじゃ! そして皆の者! さっそく宴の準備じゃ!」
シルちゃんが魔法を使い拡声しながらそう叫ぶと、里中からワッと歓声が上がった。
そして門で待ち構えていたエルフが一斉に倉庫へと向かい、残るリザードマンたちと軽く挨拶を俺は交わす。そして椅子を用意され疲れた俺は早速座り、労いの言葉や感謝の言葉を受けつつ来る人に対応していると、気が付けば小一時間で祭りの準備が整っていた。
「いくらなんでも早すぎない?」
ミチルさんたちが先に帰っていたとは言え、飾りつけだけでなく前準備も必要なパーティ料理もあっという間に出来上がってる。
エルフの人たちは平均身長二メートルほどで身体能力が高いとは言え、ちょっとこれは、どうなんだ。
「リュータよ、行くのじゃ」
「・・・」
よく分からないけど、まぁいいか!!
シルちゃんの手、あったかくて柔らかいなぁ、ニギニギ。
「皆の者、集まるのじゃ!」
「あれ? ここはドコ?」
気が付いたら俺は祭りの会場の中心部のお立ち台に、エンテ様と共に立っていた。
呆然とする俺とニコニコ笑顔なエンテ様をよそに、シルちゃんの声が会場全体に響くように魔法で拡声される。
「まずは右手側におわす方を紹介するのじゃ。なんと、あのお方は我らが守護神である生命神エンテ様じゃ! 皆の者、拍手!」
「「「「わーーー!」」」」
「うおお!?」
割れんばかりの歓声と鳴りやまない拍手に手を振って応えるエンテ様。なんかこう、王侯貴族っぽい立ち回り方と言うか、気品があると言うか。そんな雰囲気だった。
さっきまで俺に百人子供作れとか言っていた下世話なオバサンっぽくはない。
そう言えばエンテ様はすごい神様だったっけか。シルちゃんそっくりな顔と気さくな性格に、さっきまで話をしていたからか、そんな意識が無くなってたわ。
「続いて、その隣はリュータじゃ」
「わー」
・・・、うん、知ってた。
あ、リュータじゃん、って感じで指差された。そうだよね、みんな俺の事は見慣れてるもんね。歓声や拍手よりも、知り合いを見つけたからって手を振ってくれる人の方が圧倒的に多い。アレックスさんたちリザードマンズは両拳を振り上げて何故かガッツポーズしてるけど。
こういうアットホームな感じは好きだけど、規模が全然アットホームじゃないんだよなぁ。リザードマン含め千人超えてるからとんでもない迫力だよ、このアットホーム。
え? もう降りていいの? はいはいーっと。
「お疲れさまでした」
「あー、うん、おっつー」
「オッツー」
いえーい。ツヨシ君と力ないハイタッチ。
すると俺の元に集まってくるのはいつものメンバー。元からいるシルちゃんに、ツヨシ君、ミチルさんに、ミントさんもいる。妖精ズはどうやら体が慣れなくて横になっているらしい。
全員無事だと聞いてほっとしたら、ミントさんがお盆を持ってきた。
お盆に乗っているのは透明な液体で満たされたグラス。それの一つをミントさんは手に持ち、エンテ様に差し出している。
「エンテ様、こちらをどうぞ」
「あら、ありがとう」
「リュータも、これ」
「はーい、って、ミントさん、これは?」
最初は水かと思ったけど、このにおいは、アルコール?
「米から作られたお酒よ」
つまり、ほっほー、日本酒ですか。こちらの世界ではエールが基本、時々ワインだったからないと思ってたけど、あるんだね。
「エルフ秘蔵の品だそうよ。とてもおいしいらしいわ」
「へー、そうなんだ。それは楽しみ」
そう言って口を付けようとしたら、やんわりとミントさんの手で制されてしまった。
まだ飲んじゃダメ? ああ、そうなの。まだ何かあるのね。
そう思いミントさんの顔を見て、その視線の先を追えばシルちゃんが俺の持つグラスと同じものを手に持っていた。どうやら演説はもうちょっとばかり続くんじゃよ状態だったようだ。
「他にも勇者ミチル、勇者スレーブワンと、里の防衛、魔王の討伐に尽力してくれたものたちは多いのじゃ。そして里の者たちも、居場所を奪われたにも関わらず協力してくれたリザードマンの勇士たちも、本当によくやってくれたのじゃ! 里が無事なのは皆のお陰なのじゃ! よって、それぞれに対して、拍手じゃ!」
「「「「「わーーーーー!!」」」」」
・・・、中には泣いている人や抱き合っている人たちもいる。
そりゃそうだよね。あれだけの事態だったんだから、死人がまったくいない訳じゃない。だからそう言う人たちもいる、か。泣いている人の大半は被害が大きかったリザードマンたちで、もらい泣きなのか、あるいは共に戦った仲だからか一部のエルフの人たちも泣いていた。
だが、それもほんのわずかな時間だった。肩を、背を叩きあい、もう笑っている。一部泣き笑いっぽい人たちもいるけど、野暮な指摘をする人はいない。
「本来であれば今日から収穫祭を行うのじゃが、悲しい事があったのじゃ」
ざっと見ると、リザードマンたちは若干申し訳なさげに、それに対してエルフの人たちは胸を張りリザードマンを取り囲んで大半が肩を組んでいた。
「ゆえに、我らが行うべきは、エンテ様降臨の祝いと、勝利の祝いじゃ!!」
え!? そうなの!?
「皆の者、今日は飲んで食べて騒いで、それで明日からまたがんばるのじゃ!! 我らの元気を、先に大地へ還った者たちへと伝えるのじゃ!!」
「「「「うおおおおお!!」」」」
「我らは生きていると、そしてこれからも目いっぱい生きていくと、先に眠った者たちに力の限り伝えるのじゃ! それが、生き残った我らが行うべき使命じゃ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
すごい、すごい迫力、すごい大音量だ!
これなら確かに死んでいった人たちにも伝わるかもしれない。
「全ての者たちに感謝を込めて、乾杯じゃ!!」
「「「「感謝を!! 乾杯!!」」」」
そのあと俺たちは真昼間から飲んで食って騒いで、夕方には力尽きて翌日の朝まで寝た。
なお、里の大半の人間が翌日に二日酔いになってエルフの里が機能不全を起こしたのは、笑うしかないだろう。
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伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
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「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
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【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
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「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。
しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。
全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。
超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!?
万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。
一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。
「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」
――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。
これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
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「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
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「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
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