転生彼女は王子に夢中! -俺はフォローをする脇役-

gagaga

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第一章

4.王位継承者とは一体

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 婚約者から唐突の婚約破棄を言い渡された俺ですが、どうやら無意識の内に彼女を引き留めていた。

「そのゲームでは婚約は継続していたのだろう? なら今すぐ婚約解消するのはそぐわないんじゃないのか?」

 その通りだと彼女は納得し、その場での三行半は回避された。


「とは言え、これからどうするか……」

 彼女の事は、個人的な感情で言えば好きだ。彼女の実家にも世話になっているし互いに支え合うような仲で良好だ。
 しかし俺は貴族。
 お家第一で俺の婚約者が変わってしまったり、側室を数名娶る事もあり得るのは理解していた。
 彼女にしても子爵家第一で婚約破棄もあり得る。
 そんな理由であればまだ納得がいった。

「王子が好きだから別れてくれ、か……」

 彼女の妄想の中の王子は果たしているのだろうか。同姓同名で別人の可能性もある。
 そのわずかな望みに賭け、人を使い王子について探らせている。


 その間、ただ待つだけかと言えばそうとはいかない。
 彼女の言う最初のイベント、大熊の村襲撃の真偽を確かめ、場合によっては現れた大熊を退治する必要がある。
 大熊は危険な動物だ。
 その牙は骨を易々と砕き、その爪は大地を深くえぐる。
 こんなものが何の守りもない村に現れれば惨劇は免れない。
 少数規模の集落であれば、大熊一匹で全滅もあり得る程の脅威だ。放ってはおけないだろう。


 その村へと移動する。
 連れて行くのはゴードン以下五名。
 戦力は俺とゴードンのみ。
 残る三名は世話係と行者と連絡係。

 真偽の分からない情報故に、大人数で動けなかったからだ。
 揺れる馬車の中でもし仮にこの話が嘘だった場合を考える。

「大熊はああ見えて臆病だから人里には来ない。そんなの彼女だって知っている」

 周知の事実を捻じ曲げて俺に伝えたとなれば、それは暗に俺が嫌いと言っているようなもの。
 嫌われるような事をした覚えはないが、彼女曰くゲームの俺は怠け者だそうだからな。頭を打つ前の彼女も怠け者は嫌いだ。先日のデート中にもよく

「休んでばかりいないで学園に来て下さい」

 と訴えかけられていた。

「……、おや? もしかしてこれが原因なのか?」

 ゴトゴトと馬車が揺れる。
 共にいる世話係は一切口を開かない。その様子を薄目で観察しつつ俺はある計画を前倒しにする決意をする。



 村に着き、世話係にそれとなくアレクシアス様を探すよう伝える。
 村長へはゴードンが挨拶に向かっている。

 俺の方はと言えば、村人への聞き込みだ。

「そこの者、済まないが少しいいだろうか」

 今まさにクワを振り下ろし、地面を掘り起こしている青年に声をかけた。
 後姿からでも分かる精強さに、腰の入った一振りはその作業に年季を感じさせる。
 さぞ立派な農民なのだろうと、自分の領地の若者に誇らしささえ思えての声かけだ。

 しかし果たして、この展開を誰が予想出来たか。
 振り向いた人物こそ、俺が密かに探していたアレクシアス様だった。

「ええ、構いませんよ? おや……」

 あちらも声をかけてきたのが俺だと気付いていなかった様子で、お互いに目が点になっていた。
 気まずい空気が流れる。

 どうしよう。
 この国で四番目に次期国王に近いお方がうちの領地で畑弄りしていた。
 ほっかむりをして汗水たらすそのお姿は誰がどう見ても農民です。
 一方俺は軽装とは言え武装している身。
 これではアレクシアス様をお迎えに上がった騎士に見えている事だろう。

 デイジーの話を考えるに、アレクシアス様をここで拿捕し、領地へ強制送還が正しい。
 しかしその、何だろうか。
 先ほどまでのお姿はとても楽しそうだった。
 案外、彼女の話にあった俺を蹴落とすというのも当人にその気はなく、この農作業をごまかす嘘の所為で間接的に俺が追いやられてしまっただけなのかもしれない。

 ならばどうするか。
 俺の予想が正しければ、友好に接してこちら側に懐柔してしまえばいいのではないだろうか。
 彼にとっても今の姿の味方がいれば、俺の領地を奪おうとは思わないはず。

「そこのの方、少し宜しいでしょうか?」

 農民をことさら強調し、俺は何も知りませんと主張する。
 もちろん気付いているが、その上で見なかった事にするとこちらは訴えかける。
 するとその意図に気付いたアレクシアス様は一つ頷き、ほっと息を吐く。

「え、ええ、です、農民ですとも。……それで、何のご用でしょうか?」
「そんなに硬くならないで、の方。少しばかり調査をしていましてね。この辺りに害獣が出たという噂を聞きつけまして、何かご存じないかとお声かけ致した次第です」

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