悪魔に囁く愛言葉

１章 悪魔の子育て

１話 子供の部屋からラブレター

「父さん、いってきます」

昼間の13時半、俺にそう言ってルカは　ドアを開けた

「いってらっしゃい、早く帰ってこいよ」

俺がそう言うと

「日が沈む前には帰ってくるよ」

さっきと変わらない声色で返事をし外に出ていった。


「.........」


閉まったドアを見ながら、俺は考え事をしていた。

もうすぐルカの誕生日か

ルカは誕生日プレゼント何を渡したら喜ぶんだ？
本か？
でも去年も本だったし今年は別の物の方がいいな...

俺はもうすぐ17歳になるルカの親
といっても血の繋がりは無い、育ての親だけどな
ルカは誰に対しても優しくて、カッコいい、しかも俺の事を「父さん」って慕ってくれてもうほんと愛らしい
そんな目に入れても痛くない位可愛い子供の誕生日がもうすぐあるんだ

だからプレゼントも慎重に選ぶ必要があるんだが、

あいつ本当に何渡しても、喜ぶし
一番欲しいものを渡したいのに俺に物をねだることが最近無いから、欲しものが分かんねぇんだよな


そうやって悩んでいる俺はある事を思い付いた


ルカの部屋の中だったら好きなものとか欲しものが分かるかも
　
最近はルカの部屋に入る事が無いのだ　

あいつも年頃だし俺が部屋に入るのを嫌がると思うから、入らなかったけどこの際仕方ねぇ
部屋はそいつの個性が出るって言うし
早くあいつの好みを知らないとプレゼントを渡せなくなる
それだけは絶対にダメだな


考えがまとまり俺は立ち上がるとルカの部屋に続く階段を上がっていった

そして部屋の前に付きドアノブに手を掛けた

「ルカ失礼すんぞ」　

と居ない相手に声掛けをしドアを開けた　

部屋に入り俺は中を見渡した　

俺がルカにを与えた時から殆ど変っていない部屋を見て、ため息を吐く

「はぁ～、好き模様替えもして良いって言ったのに....何で家具の位置も変わってねぇの？」

変わってるのは本棚位だろうか
俺があげた本と多分自分で買ったと思われる本がある

しかしその本には統一性はなく物語から経済学、料理、占いや医学書、何処から見つけてきたのか、年代物の歴史書まで、それらが本棚に仕舞われていた

「やっぱり本か？本が良いのか？」

そう呟くがこれまでと同じというのはやはり味気ない

ふと本棚の隣にある机の引き出しに視線を向ける

その引き出しには鍵と開かずの魔法が施されていた

「へぇ～、ルカのやつ魔法使えてたのか。」

しかも結構強力な魔法

確かに本棚に魔導書があったし、ルカだったら使えるのも当然か

「だが、悪魔である俺に魔法の扱いで勝てると思うなよ。」

俺は引き出しに手をかざし開きの魔法を使った



ｶﾞﾀﾞｯ　


「おっ　開いた開いた...って何だこれ、紙か？いや、手紙か、誰からだ？」

そこにはピンク色の手紙があった
差出人は名前かして女の子からのようだ

女子から手紙？

うら若き乙女から爽やかな青年に宛てた手紙？

しかも誰にも見られないように、厳重に魔法まで施して？


おっと？これはこれは？！
あれだなぁ！

「ラブレターだなぁ！！そうか、そうだよな！　ルカは顔も良いし、優しいし、惚れるのもしょうがねぇよな！うんうん、あいつも年頃だし気になる子の一人や二人居るもんだなよな」

俺はそう言いながら失礼を承知で手紙を読んだ



フムフム....



「えっ？！」

この子明日ルカを呼び出して、告白するのか？！

まぁラブレターの定番は告白文だけどそいう決まりがある訳ではないからな

でも








「何て、面白そうなんだ！」

人が誰かに告白する瞬間なんて、そうそうないし、子供の成長を見れる絶好のチャンス！

あと

「どんな子がルカに告白するのか、
親として絶対に見届けなければ！」

うんうん

「明日の夕方、あの丘の上で待ってます。来てください！」かぁ、
ルカはいつも13時位に外へ出るし、　
その時からあとをつけて、普段の様子も見てみるのもいいな。

子供の成長を間近で見れる何て、嬉しいな








「あっ！読んだ事がバレたら怒られる」

手紙は元の場所に戻して、開かずの魔法をまた施して、

「よし！」