悪魔に囁く愛言葉

チョイと語録

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1章 悪魔の子育て

12話 俺達は親子だ

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意味が良くわからない質問に思考が停止する

「え?うん?」

サラマンダーの質問にルカが反応する

「結んでいる?何のこと?」

「さっき、ふと思い出したんすけど、想い合う同士が同じ屋根の下で暮らす、その事をオレらは結ぶって言ってた気がするんすよ!」

「想い合う........?」

「あ!結ぶは人の言葉でとも言った気がするっす!」

「!?」
「プッ!」

思い切り吹き出しそうになった
おいおい、サラマンダーすごい勘違いしてるな?

「結んで、結婚して、いるっすよね?想い合ってる好き同士なんすよね?」

「..........」

きっとそうだという自信に溢れた質問をするサラマンダーとは対照的にルカ無言で何とも分からない表情で固まっていた
まぁショックなんだろう、親と、しかも男と結婚してるだろ?なんて言われて
可哀想に

「おい、サラマンダー?俺らは親と子の関係だ。それは分かってるか?」

「えぇ、分かってるっすけど」

「それに俺らは男同士だ、結婚は出来ないぞ?」

「え、ウーン?う~ん、そうっすか」

「それに、結婚ってのはお前が言うような、単純なものじゃないぜ」

「?」

サラマンダーは不思議そうに首を傾ける
エルマは笑みを浮かべ、どこか遠くを見つめいつかの過去を思い出すように語り始める

「結婚はな、想い合うだけじゃダメなんだ。対等な関係でお互いが良き理解者であり、心を通じ合わせてどこにいても何をしてても相手を想い、何があってを相手を離さない。二人で完璧でどちらかが欠けては不完全になってしまうような、弱く脆い関係でお互いで助け合って生きるんだ、足りないところを補ってな」

「......」

二人ともエルマのさっきまでとは違う様子を不思議がりながらも、静かに耳を傾ける

「そして、結婚したら相手だけを見るんだ。他の奴に目移りなんて許されない、相手だけを、そいつの全てを愛すんだ、ずっとな。結婚したらその他の奴らなんてそいつらの輪に入ることは出来やしねぇんだよ」

「......そんなに複雑なものなんすね」


なんだか今日は自分じゃない見たいによく喋る

結婚なんて、どんなものか殆ど知らない筈なのに、まるで体験談のごとく語ってしまった

「まぁ、結婚したこと無いけどな」

「ホントにご主人とは結んでいなかったんすね」

「そうだ、まだ俺達の関係を疑ってたのかよ」

「だって、ご主人とお父様は種族が全く違うっじゃないっすか。血の繋がりは無いのに家族だって言ってるっすから、結んでると思ったんすよ」

そうだった、サラマンダーは記憶喪失だったな
断片的に思い出したとはいえ、血の繋がりがない親子関係を知らないのか

「?、てか、どうして種族の違いが分かったんだ?」

「確かに、記憶喪失なのに種族が分かるものなのか?」

俺は今も人化をしている
自惚れてる訳ではないが、今の俺は完全に人間にしか見えない筈なんだが

「種族が分かる能力でもあるのか?」

「えーと、能力というほどじゃなくてっすね、匂いが違ったんすよ」

「「匂い?」」

「そうっす、何って言うんすかね?種族の匂い?人間の匂いだけは覚えてたので、ご主人は人間とそれとは別の匂いが混ざってたのがわかったっす。お父様は人間でも、その別の匂いでもなくて、」

匂い...。
記憶は無くても違いは分かるのか
種族は親から受け継がれる、それに当てはまらない種族が全く違うの俺たちが一緒に暮らしてると分かって、あんな勘違いしたのだろう
いや、それでも普通はそんな勘違いしないだろ。やっぱり常識って大事だ

「ああ、ま、俺とルカは血の繋がりは無いし、種族は違うけどちゃんと親子だぜ!」

「そうなんすか、そういう親子もあったんすね。ちなみにですけど、お父様は何の種族っすか?」

「俺は悪魔だな。ほら尾尻と角、目もルカとは違うだろ?」

俺は人化を解き、尾尻と角を出す

「へー、お父様オレとはちょっと違うっすけど、カッコいい尾尻持ってるんすね!」

「ふふ、そうだろ~」

俺はカッコいいという言葉に気分を良くして、尻尾を揺らす

「ではでは、ご主人は人間と何の種族か分かるっすか?」

「それは僕も気になる!」

ルカは興味津々にこちらを見る
う~ん、ルカの種族か~
ルカの親は......あいつらは.......

その時、頭に鋭い痛みが走る

「痛っ、」

「!!大丈夫?父さん?どこか痛いの?頭?怪我でもあるの?」

頭を軽く押さえる俺にルカはすぐさま駆け寄り、大袈裟に心配する
痛みは一瞬だったので、すぐ収まりルカに何ともないと伝える

「大丈夫、大丈夫、もう痛くないからそんな心配すんな」

「そう、でもあまり無理しないでね」

「ああ、サラマンダー?ルカの種族だったか?すまん、俺もコイツの種族ついては何も知らねぇんだ」

「そうなんだ...」

「何なのか気になるっすね」

ルカもやっぱり自分の出生が気になってるんだな
何も知らなくて、ごめんな

「サラマンダー、もう用は済んだろ。早く僕の部屋に戻れ」

「ハイハイっす~」

「俺も部屋に戻るか~。ルカも今日は色々あって疲れただろ?お前も早く部屋に戻って休めよな」

「え?、うん、そうする」

なんだかルカは不満そうだが、エルマは気づいていない

「おやすみルカ、サラマンダーもな」

「おやすみなさい、父さん」

「おやすみっス~」


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