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第二十ニ話 そのキス、熱が出そうです
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第二十ニ話 そのキス、熱が出そうです
■貴姫の屋敷■
パ~ン
乾いた音がして、第二皇女は床に伏した
頬を抑え見上げる
「何ですかその目は」
冷たく貴妃が言い放つと
「お母さま……」
瞳が少し揺れる我が子に冷たく続ける
「アレほど将軍の心を、つかみなさいと言ったのに失敗したあげくになんの役に立たない男に嫁がされて
情けない
あなたの年の頃には陛下の一番の寵姫でしたよ!」
ワナワナと震え、怒りのあまりムチで打ち据えたい衝動をグッと抑えた
「色仕掛けが、駄目なら薬でも、罠を仕掛けるでもあるでしょう
何故出来ないんです!」
「出来ます。出来ます。お母さま!」
皇女は裾を掴んで懇願するように言った
そして、立ち上がり自分に言い聞かせるように
「アイツよあの田舎者さえ始末すればきっと将軍は私のものになるわ」
強い目で言い切る
それを見た貴姫はそれならばと
ヒソヒソと耳打ちをした
ーーーーーーーーーーーーーーーー
■将軍の寝所■
手当を、終え
将軍は寝台からおり、円卓を夫人と囲んで始めて和やかに話をする
はず…であったが
「それでね~嫁っ子ちゃん聞いよ~」
じゃまなハエが一匹飛んできた
「何故、居るんです?」
冷たい声で言う
「あ、酷い!色々裏や表で助けてるのに~薄情だなぁ~
ね?嫁っ子ちゃん♪」
相変わらずの軽口で2人の間にいすわっている
クスクス笑って王子の軽口を聞いている夫人を見て
くやしいやら、切ないやらの将軍は菓子を一つ口に放り投げた
「あ!それ、美味しいでしょ!」
突然、王子が将軍に自慢げに言う
「あ、ああ」
突然話を、振られ戸惑う
「それね、夫人のお手製だよ~♪
何が入ってるのかな~?
この前は胡桃で~その前は干した葡萄?」
夫人を見て話す。
将軍はぱっと明るい顔で
「夫人の手作りなのか?」
パクパクたべる将軍
「今日は薔薇の花びらです
でも、今日は明蘭が作りました」
「え?そうなの~残念~
嫁っ子ちゃんが作ったり菓子おいしかったのに~」
ぐっ、ゲホゲホゲホゲホっ
「わ~どうしたの」
将軍の背中をトントン叩く
夫人は急いでお茶を、つぐ
ぐ~~っとお茶を飲み干し
おかわりと湯呑みを差し出す
ハイハイと、急いで夫人が急須で注ぐ
「あ、将軍……、口元に」
手巾で口元をふく
将軍は優しい目で見ていたが、突然目の色が変わり
夫人の手を持って指先に「ちゅっ」と音を立てる
「ひゃっ」と声を上げて、手を引っ込めた
真っ赤な顔の夫人を見て、王子をチラリと意味ありげに見る将軍
「ちょと~見せつけないでくれる~」
熱い熱いと手で仰ぐ
ふふん♪と
何故か満足げな将軍
そこに懐かしい声が聞こえてきた
「奥様…」
「晨!」声を聞いてバッと振り向く
「ご所望の品々をお持ちして運び終えました」
「ありがとう! 早かったわね」
明るい笑顔で迎え
手は手は大丈夫なの?と手の平を
上げたりびっくり返したり
「もう、大丈夫ですよ」と照れながら手をふる
「そうなの?」ちょっとむくれて
ぱっとまた笑顔で
「さあみんなで荷物を整理しにいきましょ」
「はい!」と侍女達も返事をして戻って行く
「………将軍、俺達忘れられちゃった?」
「………………………」
「え、ちょっと将軍?墨将軍?」
目線が廊下の向こうに行った夫人を目で追いかけて固まっていた
はっと、我に返り将軍は王子を見た
「食べたのか?」と低く聞く
ソコへ泰が、やってきた
「将軍、頼まれましたものをお持ちしました」
何人かの黒装束の墨影兵が長持ちを持って来た
部屋の隅に置いて出ていく
「コレは?」王子が、聞くと
「古い記録だ」短く答え
何やら思案していると
「あ、コレ奥様の焼菓子ですか?
さっぱりとした甘さがクセになりますよね♪」
一つ下さいと口に運ぶ手を将軍が見ながら
「……お前も食べたのか……」
将軍の低く抑えた声に、泰は一瞬固まる。
「え、えぇ……将軍が宮廷で休んでる時に伝言を伝えに言った時、沢山食べてね♪って」
にこりと笑っていた泰だったが、その笑みがすっと引きつる。
「……晨は?」
と、将軍がさらに一言。言葉に棘こそないが、その鋭さは尋常ではない。
「えっ……た、たぶん、侍女の明蘭が、奥様は何かしてないと働き始めた晨が、気になって晨に邪険にされるから
お菓子作りにしばらく没頭していたと…」いい終わると背中に冷たいものが流れた
「……ふぅ……」
将軍は静かに深く息をついた。
「……な、なにか……問題がありましたか……?」
泰がおそるおそる聞くと、将軍はほんの少しだけ、視線を落とす。
「いや……問題など、何も……ない」
そのまま無言で、手元の湯呑みに残っていたお茶を飲み干す。
目はどこか遠くを見ていた。
──あの笑顔を自分にも向けてくれるが、それは晨にも、侍女たちにも、あの軽薄な第六王子にも分けられている。
──自分は、特別ではないのか。
その思いが心の奥でじくじくと疼く。
---
夫人の方では、荷物を片づけながら、晨の元気な様子にホッとしていた。
「晨、指先、もう全然痛くないの?」
「ええ、草盈がいい薬を使ってくれました。跡も残らなそうです」
「よかった……本当によかった……」
ほっとした顔をする夫人に、晨は言葉を選びながら、
「奥様は……将軍さまの事をもうこわがらないのですか?」
「え?」
一瞬ぽかんとする夫人。
「そうね?そう言われれば、前程怖く無くなったわ
それに命の恩人だもの
礼を尽くして恩を返さなきゃね?」
「そうですね」
嫁いだ将軍府で理不尽な思いをなさらないように付いてきたが
それは杞憂であった、
しかし、この危険な宮廷に何時までもいられない
---
その日の夜。
部屋に戻った夫人は、侍女たちと明日の段取りを決めた後、ふと、将軍の寝所へ足を向けた。
扉の前で一瞬ためらったが、ノックをして、
「墨将軍……お休みでしたら、申し訳ありません。今日のお薬、明日の分を置いていきますね」
そう声をかけると、ゆっくりと扉が開いた。
「入れ」
低く抑えた声。
中には将軍一人。机に何か古い書を広げていた。
「……お邪魔でなければ……」
そっと入ると、将軍は一瞥して、手を止めた。
「何の用だ?」
「いえ……明日の分の薬を……あと、今日のお話が途中だったような気がして……」
将軍は黙ったまましばし夫人を見つめる。
その視線に気圧され、夫人はおずおずと岡持ちを机に置いた。
「これ、明蘭が新しく焼いた菓子です。胡麻と蜂蜜入りで……」
「……お前が、焼いたわけではないのか?」
「え……ええ、あの、今日は明蘭が……」
将軍はふっと目を伏せた。
そしてぽつりと。
「……晨も食べたのか?」
「え?」
「……お前が焼いた菓子を、晨も、泰も、あの王子も、皆食べてたことがあ
る」
「えっ……?」
「私は……ない」
将軍が少しだけ、唇を噛んだ。
「私は、………いや。くだらないことを言った」
近づいたと思ったらそれは幻だった
君を捕まえるにはどうしたらいいんだ
「…………あの
焼菓子は、手持ち無沙汰で食べきれない程沢山作ったので作り飽きただけです。あの頃は将軍が留守でしたので……ご希望でしたら明日、台所をお借りして焼きます」
「……それは……無理に焼いてほしいわけじゃない」
懇願するような、泣きそうで切ない様な
こっちまで辛くなる
「すみません」反射的に謝っていた
「謝って欲しい訳じゃない!」
将軍の強い口調で言われ
「す、すみません」
と怯えたように言ってしまって
「あの、また来ます!」
気づけば走り出していた。
もう、どうしていいかわからなかった
将軍夫人として努力してここでの居場所を探っていたのに
少しは、馴染んだと思ったのに
ああ、無駄だった全ては無駄だった
将軍の触れた指先はまだ熱いのに…………
■貴姫の屋敷■
パ~ン
乾いた音がして、第二皇女は床に伏した
頬を抑え見上げる
「何ですかその目は」
冷たく貴妃が言い放つと
「お母さま……」
瞳が少し揺れる我が子に冷たく続ける
「アレほど将軍の心を、つかみなさいと言ったのに失敗したあげくになんの役に立たない男に嫁がされて
情けない
あなたの年の頃には陛下の一番の寵姫でしたよ!」
ワナワナと震え、怒りのあまりムチで打ち据えたい衝動をグッと抑えた
「色仕掛けが、駄目なら薬でも、罠を仕掛けるでもあるでしょう
何故出来ないんです!」
「出来ます。出来ます。お母さま!」
皇女は裾を掴んで懇願するように言った
そして、立ち上がり自分に言い聞かせるように
「アイツよあの田舎者さえ始末すればきっと将軍は私のものになるわ」
強い目で言い切る
それを見た貴姫はそれならばと
ヒソヒソと耳打ちをした
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■将軍の寝所■
手当を、終え
将軍は寝台からおり、円卓を夫人と囲んで始めて和やかに話をする
はず…であったが
「それでね~嫁っ子ちゃん聞いよ~」
じゃまなハエが一匹飛んできた
「何故、居るんです?」
冷たい声で言う
「あ、酷い!色々裏や表で助けてるのに~薄情だなぁ~
ね?嫁っ子ちゃん♪」
相変わらずの軽口で2人の間にいすわっている
クスクス笑って王子の軽口を聞いている夫人を見て
くやしいやら、切ないやらの将軍は菓子を一つ口に放り投げた
「あ!それ、美味しいでしょ!」
突然、王子が将軍に自慢げに言う
「あ、ああ」
突然話を、振られ戸惑う
「それね、夫人のお手製だよ~♪
何が入ってるのかな~?
この前は胡桃で~その前は干した葡萄?」
夫人を見て話す。
将軍はぱっと明るい顔で
「夫人の手作りなのか?」
パクパクたべる将軍
「今日は薔薇の花びらです
でも、今日は明蘭が作りました」
「え?そうなの~残念~
嫁っ子ちゃんが作ったり菓子おいしかったのに~」
ぐっ、ゲホゲホゲホゲホっ
「わ~どうしたの」
将軍の背中をトントン叩く
夫人は急いでお茶を、つぐ
ぐ~~っとお茶を飲み干し
おかわりと湯呑みを差し出す
ハイハイと、急いで夫人が急須で注ぐ
「あ、将軍……、口元に」
手巾で口元をふく
将軍は優しい目で見ていたが、突然目の色が変わり
夫人の手を持って指先に「ちゅっ」と音を立てる
「ひゃっ」と声を上げて、手を引っ込めた
真っ赤な顔の夫人を見て、王子をチラリと意味ありげに見る将軍
「ちょと~見せつけないでくれる~」
熱い熱いと手で仰ぐ
ふふん♪と
何故か満足げな将軍
そこに懐かしい声が聞こえてきた
「奥様…」
「晨!」声を聞いてバッと振り向く
「ご所望の品々をお持ちして運び終えました」
「ありがとう! 早かったわね」
明るい笑顔で迎え
手は手は大丈夫なの?と手の平を
上げたりびっくり返したり
「もう、大丈夫ですよ」と照れながら手をふる
「そうなの?」ちょっとむくれて
ぱっとまた笑顔で
「さあみんなで荷物を整理しにいきましょ」
「はい!」と侍女達も返事をして戻って行く
「………将軍、俺達忘れられちゃった?」
「………………………」
「え、ちょっと将軍?墨将軍?」
目線が廊下の向こうに行った夫人を目で追いかけて固まっていた
はっと、我に返り将軍は王子を見た
「食べたのか?」と低く聞く
ソコへ泰が、やってきた
「将軍、頼まれましたものをお持ちしました」
何人かの黒装束の墨影兵が長持ちを持って来た
部屋の隅に置いて出ていく
「コレは?」王子が、聞くと
「古い記録だ」短く答え
何やら思案していると
「あ、コレ奥様の焼菓子ですか?
さっぱりとした甘さがクセになりますよね♪」
一つ下さいと口に運ぶ手を将軍が見ながら
「……お前も食べたのか……」
将軍の低く抑えた声に、泰は一瞬固まる。
「え、えぇ……将軍が宮廷で休んでる時に伝言を伝えに言った時、沢山食べてね♪って」
にこりと笑っていた泰だったが、その笑みがすっと引きつる。
「……晨は?」
と、将軍がさらに一言。言葉に棘こそないが、その鋭さは尋常ではない。
「えっ……た、たぶん、侍女の明蘭が、奥様は何かしてないと働き始めた晨が、気になって晨に邪険にされるから
お菓子作りにしばらく没頭していたと…」いい終わると背中に冷たいものが流れた
「……ふぅ……」
将軍は静かに深く息をついた。
「……な、なにか……問題がありましたか……?」
泰がおそるおそる聞くと、将軍はほんの少しだけ、視線を落とす。
「いや……問題など、何も……ない」
そのまま無言で、手元の湯呑みに残っていたお茶を飲み干す。
目はどこか遠くを見ていた。
──あの笑顔を自分にも向けてくれるが、それは晨にも、侍女たちにも、あの軽薄な第六王子にも分けられている。
──自分は、特別ではないのか。
その思いが心の奥でじくじくと疼く。
---
夫人の方では、荷物を片づけながら、晨の元気な様子にホッとしていた。
「晨、指先、もう全然痛くないの?」
「ええ、草盈がいい薬を使ってくれました。跡も残らなそうです」
「よかった……本当によかった……」
ほっとした顔をする夫人に、晨は言葉を選びながら、
「奥様は……将軍さまの事をもうこわがらないのですか?」
「え?」
一瞬ぽかんとする夫人。
「そうね?そう言われれば、前程怖く無くなったわ
それに命の恩人だもの
礼を尽くして恩を返さなきゃね?」
「そうですね」
嫁いだ将軍府で理不尽な思いをなさらないように付いてきたが
それは杞憂であった、
しかし、この危険な宮廷に何時までもいられない
---
その日の夜。
部屋に戻った夫人は、侍女たちと明日の段取りを決めた後、ふと、将軍の寝所へ足を向けた。
扉の前で一瞬ためらったが、ノックをして、
「墨将軍……お休みでしたら、申し訳ありません。今日のお薬、明日の分を置いていきますね」
そう声をかけると、ゆっくりと扉が開いた。
「入れ」
低く抑えた声。
中には将軍一人。机に何か古い書を広げていた。
「……お邪魔でなければ……」
そっと入ると、将軍は一瞥して、手を止めた。
「何の用だ?」
「いえ……明日の分の薬を……あと、今日のお話が途中だったような気がして……」
将軍は黙ったまましばし夫人を見つめる。
その視線に気圧され、夫人はおずおずと岡持ちを机に置いた。
「これ、明蘭が新しく焼いた菓子です。胡麻と蜂蜜入りで……」
「……お前が、焼いたわけではないのか?」
「え……ええ、あの、今日は明蘭が……」
将軍はふっと目を伏せた。
そしてぽつりと。
「……晨も食べたのか?」
「え?」
「……お前が焼いた菓子を、晨も、泰も、あの王子も、皆食べてたことがあ
る」
「えっ……?」
「私は……ない」
将軍が少しだけ、唇を噛んだ。
「私は、………いや。くだらないことを言った」
近づいたと思ったらそれは幻だった
君を捕まえるにはどうしたらいいんだ
「…………あの
焼菓子は、手持ち無沙汰で食べきれない程沢山作ったので作り飽きただけです。あの頃は将軍が留守でしたので……ご希望でしたら明日、台所をお借りして焼きます」
「……それは……無理に焼いてほしいわけじゃない」
懇願するような、泣きそうで切ない様な
こっちまで辛くなる
「すみません」反射的に謝っていた
「謝って欲しい訳じゃない!」
将軍の強い口調で言われ
「す、すみません」
と怯えたように言ってしまって
「あの、また来ます!」
気づけば走り出していた。
もう、どうしていいかわからなかった
将軍夫人として努力してここでの居場所を探っていたのに
少しは、馴染んだと思ったのに
ああ、無駄だった全ては無駄だった
将軍の触れた指先はまだ熱いのに…………
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