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第二章 離された手、繋がれた手
第16話 否定したい運命
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星弥の頑固な態度に、肩で大きく息を吐いて鈴心は永に問いかける。
「ハル様、星弥も同席して構いませんか?」
「……でないと説明してもらえないなら仕方ないね」
永は顔色を少し取り戻しており、薄く笑った。
「ライ、あなたも座りなさい」
立っていた蕾生の方を向いて、鈴心は顎で促した。その偉そうな態度に少し怒りも感じたが、とりあえず何も言わずに蕾生も永の隣に座る。
「星弥、後でわからないことは説明しますから、会話を遮らないように」
「はい!」
永と蕾生の対面に鈴心と星弥が揃って座る。鈴心に釘を刺された星弥は忠犬のように返事をするとともに、鈴心の肩をがっちりと掴んでいた。
「まず……そうですね、今の私の名前は御堂鈴心です。年は十三。今年十四になります」
星弥の過保護な態度に呆れつつも、鈴心は深呼吸した後静かに語る。その言葉に永は意外そうな顔をしてみせた。
「驚いた、初めて教えてくれたな」
「そうですね、今までは私がリンであることが重要だと思っていたので。ですが、今回は私のことは鈴心と呼んでください」
「リンじゃだめなの?」
「星弥が混乱しますので」
短く答える鈴心の言葉に、何故か満足そうに頷いている星弥。その二人の間にある特別な空気を永も蕾生も感じ始めていた。
「私が転生した家は、銀騎の親戚筋のひとつです。ですが、今はこうやって銀騎の家に厄介になっています」
再び語り始めた鈴心の言葉を継ぐ形で星弥が喋り出す。
「あのね、すずちゃんのお母様身体が弱くて、夫婦で転地療養に行ってるの。そしたらお祖父様がすずちゃんはうちで預かることにしたからって──」
「星弥、黙って」
「ごめんなさい!」
冷たい目で鈴心が睨むと、星弥は弾かれたように謝った後、自分の口を両手で覆う。
「これは単なる事実に過ぎませんが、私はいつもより二年遅れて産まれました。それから記憶が覚醒したのはよく覚えていないのですが、とても幼い頃だったように思います」
「おれとライのことも小さい頃から思い出してたのか?」
鈴心に対する永の態度が、蕾生の知る永と少し違うことがその口調とともに露わになっていく。
「そうですね。わかってました。けれど私は行動しませんでした」
「何故!? いつもなら思い出したら真っ先に駆けつけてくれてたろう?」
永は身を乗り出して鈴心に詰め寄る。すると星弥が鈴心を守ろうと半ば抱きつくように手を伸ばす。それをめんどくさそうに払って鈴心は続けた。
「幼かったので、物理的に無理があったのと──今回の転生では自省する時間が多くあったためです」
「……何を考えていたんだ?」
永が聞くと、鈴心は少し躊躇った後きっぱりと言い放った。
「結論から言えば、私はもう嫌になりました。何度も何度も同じ事の繰り返し。希望の光さえ見えない、こんな運命に」
その瞳は、あの温室で見た時のような、拒絶の意思がこもっていた。
「ハル様、星弥も同席して構いませんか?」
「……でないと説明してもらえないなら仕方ないね」
永は顔色を少し取り戻しており、薄く笑った。
「ライ、あなたも座りなさい」
立っていた蕾生の方を向いて、鈴心は顎で促した。その偉そうな態度に少し怒りも感じたが、とりあえず何も言わずに蕾生も永の隣に座る。
「星弥、後でわからないことは説明しますから、会話を遮らないように」
「はい!」
永と蕾生の対面に鈴心と星弥が揃って座る。鈴心に釘を刺された星弥は忠犬のように返事をするとともに、鈴心の肩をがっちりと掴んでいた。
「まず……そうですね、今の私の名前は御堂鈴心です。年は十三。今年十四になります」
星弥の過保護な態度に呆れつつも、鈴心は深呼吸した後静かに語る。その言葉に永は意外そうな顔をしてみせた。
「驚いた、初めて教えてくれたな」
「そうですね、今までは私がリンであることが重要だと思っていたので。ですが、今回は私のことは鈴心と呼んでください」
「リンじゃだめなの?」
「星弥が混乱しますので」
短く答える鈴心の言葉に、何故か満足そうに頷いている星弥。その二人の間にある特別な空気を永も蕾生も感じ始めていた。
「私が転生した家は、銀騎の親戚筋のひとつです。ですが、今はこうやって銀騎の家に厄介になっています」
再び語り始めた鈴心の言葉を継ぐ形で星弥が喋り出す。
「あのね、すずちゃんのお母様身体が弱くて、夫婦で転地療養に行ってるの。そしたらお祖父様がすずちゃんはうちで預かることにしたからって──」
「星弥、黙って」
「ごめんなさい!」
冷たい目で鈴心が睨むと、星弥は弾かれたように謝った後、自分の口を両手で覆う。
「これは単なる事実に過ぎませんが、私はいつもより二年遅れて産まれました。それから記憶が覚醒したのはよく覚えていないのですが、とても幼い頃だったように思います」
「おれとライのことも小さい頃から思い出してたのか?」
鈴心に対する永の態度が、蕾生の知る永と少し違うことがその口調とともに露わになっていく。
「そうですね。わかってました。けれど私は行動しませんでした」
「何故!? いつもなら思い出したら真っ先に駆けつけてくれてたろう?」
永は身を乗り出して鈴心に詰め寄る。すると星弥が鈴心を守ろうと半ば抱きつくように手を伸ばす。それをめんどくさそうに払って鈴心は続けた。
「幼かったので、物理的に無理があったのと──今回の転生では自省する時間が多くあったためです」
「……何を考えていたんだ?」
永が聞くと、鈴心は少し躊躇った後きっぱりと言い放った。
「結論から言えば、私はもう嫌になりました。何度も何度も同じ事の繰り返し。希望の光さえ見えない、こんな運命に」
その瞳は、あの温室で見た時のような、拒絶の意思がこもっていた。
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