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第七章 エピローグ
第1話 未知の領域
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佐藤が去った後の室内は混乱を極めた。
後から現れた集団は銀騎の縁者らしかった。奇怪な言葉や手振りの応酬が暫くあった後、詮充郎は研究室から運び出されていく。
皓矢がその先頭を行き、集団の後を星弥もついていった。永達三人はさらにその後を走り、どさくさに紛れるような形で外へ出る。
皓矢に星弥も含めた集団は脇目も振らず研究所の建物へと向かっていった。
ぽつんと残された三人は、鈴心の提案で銀騎の自宅へと戻り応接室で待機することにした。
「なんか、疲れたな」
ソファに腰を下ろして蕾生がため息とともに言うと、永も大きく頷いた。
「うん、それに消化不良だよ」
「そうだな。まだ話の途中だったのに。爺さん、死なないといいな」
蕾生が素直に言った言葉に、永は腰に手を当てて怒る。
「死ぬもんか、あのしぶといジジイが! 死んだら、もう絶対許さないんだ!」
仮に死んだとしても自業自得──くらい永なら言うと思った蕾生は少し驚いた。
詮充郎の告白と最後のあの姿を見て、永にも心境の変化があったのかもしれない。
ふと、黙ったままでいる鈴心が気になった。少し前から、青白い顔になって具合が悪そうだったなと蕾生は思い返す。
「鈴心? どうした、気分でも悪いのか?」
「──あ、いえ、別に。ライこそ大丈夫ですか? 一度鵺化してまた戻るなんて、体にどれだけの負担がかかったか」
話しかけると、鈴心は顔を上げて慌てたような素振りを見せた後、いつも通りの雰囲気を纏う。
「ん? 俺は何ともない。ちょっと疲れてるけど、一晩寝たら治るだろ」
「そうですか、それは良かったです」
安心して少し笑った鈴心の顔を見て、蕾生は気にし過ぎたかと思い直す。短い時間の中で色々なことが起き過ぎた。誰もが疲れて当然だと思った。
「あの女……」
「うん?」
永が思案しながら呟くのに蕾生が反応すると、永は首を傾げながら言った。
「あの佐藤って女、何者なんだろう。皓矢の口ぶりじゃ、銀騎の一族って訳でもなさそうだ。なのに不思議な術を使う……」
「永にも心当たりないのか? いつかの転生で会ってたりとか」
「いや──さっぱり検討もつかない。リンもそうだろ?」
一旦目を閉じて天井を仰いだ後、永がそう振ると、鈴心も頷いて答えた。
「そうですね……佐藤さんのような人は今回初めて会いました。以前から近寄りがたい人だったんですが、あんな本性があったなんて」
「すごい豹変ぶりだったもんね。呪いを解くどころか、新しい謎ばっかり増えるなあ……」
眉を寄せて難しい顔をして見せる永に、鈴心は少し明るい声で言った。
「ですが、確実に私達が経験したことのない事ばかり起きています。前向きに考えれば──」
「そうだねえ、未知の領域に来たことが吉兆だと捉えていいものか……。ていうか、未知過ぎてこれからどうすればいいのか全然わかんないんだけど!?」
「確かに……」
永の言葉は狼狽えていたけれど、事態が一応の終結を見せたため、少し余裕さも見える。相槌を打った鈴心とともに、更に考えを巡らせた。
後から現れた集団は銀騎の縁者らしかった。奇怪な言葉や手振りの応酬が暫くあった後、詮充郎は研究室から運び出されていく。
皓矢がその先頭を行き、集団の後を星弥もついていった。永達三人はさらにその後を走り、どさくさに紛れるような形で外へ出る。
皓矢に星弥も含めた集団は脇目も振らず研究所の建物へと向かっていった。
ぽつんと残された三人は、鈴心の提案で銀騎の自宅へと戻り応接室で待機することにした。
「なんか、疲れたな」
ソファに腰を下ろして蕾生がため息とともに言うと、永も大きく頷いた。
「うん、それに消化不良だよ」
「そうだな。まだ話の途中だったのに。爺さん、死なないといいな」
蕾生が素直に言った言葉に、永は腰に手を当てて怒る。
「死ぬもんか、あのしぶといジジイが! 死んだら、もう絶対許さないんだ!」
仮に死んだとしても自業自得──くらい永なら言うと思った蕾生は少し驚いた。
詮充郎の告白と最後のあの姿を見て、永にも心境の変化があったのかもしれない。
ふと、黙ったままでいる鈴心が気になった。少し前から、青白い顔になって具合が悪そうだったなと蕾生は思い返す。
「鈴心? どうした、気分でも悪いのか?」
「──あ、いえ、別に。ライこそ大丈夫ですか? 一度鵺化してまた戻るなんて、体にどれだけの負担がかかったか」
話しかけると、鈴心は顔を上げて慌てたような素振りを見せた後、いつも通りの雰囲気を纏う。
「ん? 俺は何ともない。ちょっと疲れてるけど、一晩寝たら治るだろ」
「そうですか、それは良かったです」
安心して少し笑った鈴心の顔を見て、蕾生は気にし過ぎたかと思い直す。短い時間の中で色々なことが起き過ぎた。誰もが疲れて当然だと思った。
「あの女……」
「うん?」
永が思案しながら呟くのに蕾生が反応すると、永は首を傾げながら言った。
「あの佐藤って女、何者なんだろう。皓矢の口ぶりじゃ、銀騎の一族って訳でもなさそうだ。なのに不思議な術を使う……」
「永にも心当たりないのか? いつかの転生で会ってたりとか」
「いや──さっぱり検討もつかない。リンもそうだろ?」
一旦目を閉じて天井を仰いだ後、永がそう振ると、鈴心も頷いて答えた。
「そうですね……佐藤さんのような人は今回初めて会いました。以前から近寄りがたい人だったんですが、あんな本性があったなんて」
「すごい豹変ぶりだったもんね。呪いを解くどころか、新しい謎ばっかり増えるなあ……」
眉を寄せて難しい顔をして見せる永に、鈴心は少し明るい声で言った。
「ですが、確実に私達が経験したことのない事ばかり起きています。前向きに考えれば──」
「そうだねえ、未知の領域に来たことが吉兆だと捉えていいものか……。ていうか、未知過ぎてこれからどうすればいいのか全然わかんないんだけど!?」
「確かに……」
永の言葉は狼狽えていたけれど、事態が一応の終結を見せたため、少し余裕さも見える。相槌を打った鈴心とともに、更に考えを巡らせた。
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