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第948回。#リプで来たものについて語る 散歩

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散歩か。散歩は好きだ。いまコレを書いているのは2019年8月24日の朝7時ちょっと前。このぐらいの時間には家に帰ってくるような、早朝の散歩にハマってた時期がある。
長い長い夏休みに入るより少し前くらいの、小学校2年生とか3年生ぐらいの時から家の近所を散歩するようになった。朝早く起きて、まだ薄暗いうちからうろうろ歩くと楽しかった。見慣れた街角も時間が違うだけで随分と変わって見えたものだ。それが楽しくて、どんどん遠くへ行ってどんどん早く起きた。あっちへ行ったらどうだろう、こっちへ行ったらこうだった。行くたびに行きたい場所、曲がりたい角が出来て、しまいには自転車に乗って走ってくるようになり、ついに夜中の3時ぐらいにイソイソ出掛けようとしてる私を見て母が
「オマエ補導されるぞ」
と言われて我に返った。そこから途切れてしまったけれど、長い事早朝の散歩は大きな趣味だった。みんな寝てるのに自分だけ起きてるのも面白かったし、その時間に電気が点いてる部屋を見ると
(何やってるんだろう)
と思ってまた可笑しかった。

だってさ、もう6時半とか7時になるとフツーに世の中が動き始めちゃってつまんないんだもん。クルマはバーバー走るし、通勤通学でセカセカしてる奴らはみんなつまんなそうな顔して怒りながら歩いてくるし…
あそうだツイッターじゃ言わなかったんだけど聞いておくれよ。
去年の6月に名古屋でお友達とシーシャして帰ってくるときの話なんだけどね。金山駅だったかどこだったか地下鉄の駅だよ。もう終電間近でさ、急いでたんだけどその駅で降りたのが私と、もう一人眼鏡かけてて大人しそうな、気弱そうな若い女の子だったのさ。ザ・図書委員って感じの。でもそんな彼女が実はド淫乱ですんごいTバックにガーターベルトでケツにごっついバイブ挿しててしかも巨根…!ええええ!?
っていう水龍敬先生のマンガはどこですか!?
じゃなくてさ、その大人しい女の子と私がちょっと距離がありつつ歩いてたんだ。でも地下鉄の通路だから狭いわけだよ。
そこにさ、顔真っ赤ですんごい、もう明らかに
オレサマは不機嫌なんだぢょ!イライラしてるんだぢょ!
って感じの、二十歳そこそこのオスのガキが乱暴なステップの速足で凄いイキってこっちに向かってきたんだけど一切退こうとしないんだよね。どっちにも。でもこの感じだと私にぶつかるなあ、どうしよう。怪我させちゃうのイヤだな、と思ったら急に
ぐいっ
っと向きを変えて、明らかにわざと女の子にドーーン!とぶつかって、そのまま歩いてっちゃったんだ。この野郎!と思ったけど、とりあえず女の子の方を向いたら(だってあんなクソみてえなガキなんかより女の子が心配じゃん)なんか困った顔して、大丈夫ですんで…みたいな感じで、会釈して向こう行っちゃってさ。あれはなんだったんだろうな、なんか、あんな奴いるんだな。わざとぶつかる男ってホントにいるし相手選んでるんだな。っていう。

閑話休題。
そんなふうに世の中が動き出す前の時間に行動するのは今でも好きで、車で遠くに行くとかそういう時も早朝が好きだ。特に夏前の、五月とかそのぐらいの季節は寒くもないし暑くもないしで散歩にもいい。朝は空気が冷たくて気持ちがいいしな。私の家から路面電車の線路をこえて商店街を抜けると古い寺町で、その辺りの路地を歩くのも楽しい。お城が近かったんで道路がクネクネしてるんだよ。昔からあるスーパーマーケットには品物を積んだトラックが沢山来てて、もう荷下ろしをやってたりする。これは私もやってた仕事だった。そのままさらに真っすぐいくと川に出る。この辺ではいちばん大きな川で、遊歩道もあるんでそこを歩く。小さな祠とか神社の森とかがあって、誰かがお線香をあげているのでいいにおいがする。
この辺まで来るとジョギングしてる人とかもいる。国道にかかる橋にはトラックが沢山走っている。ここは自動車産業の街なのだ。河口に向かって歩いていくと日が昇ってきて空と川面がちょっとずつ色を変えている。雲の切れ目から差す朝日がじりじりと温度を上げる。そのぐらいの時間になるとちょっとずつ人通りも増えてきて、信号待ちの車が並んでいる。みんな朝早いんだな。
もうすぐ辞めるけど今の会社入ってトラック乗って通勤ラッシュてなもんに巻き込まれると、
お前らあと五分早く家出ろよ!
って思うけど、まあそうしたら渋滞開始が五分早まるだけなんだろうな。
ホントにクルマが多い。そうなってくるとつまんないので、また遠回りして帰る。大きな道は自転車も多い。そういえば私も高校生の頃は自転車だったなあ。あんなもんでよく坂道登ったりしてたなあ。
自転車って自転車に乗れるようになった瞬間から自転車に乗るしかない間の期間が恐らく一番楽しめるんだろうな。別に苦手でも嫌いでも構わないけどさ、私は乗り回すのが好きだったのでよく漕いでた。でもX脚は治らなかったなあ…などと思い出しつつ家の近所まで来ると、町内の顔見知りのおばさんとかおじさんが出てきたりする。
さっきまで寝てたか、まあ朝早い人は家のなかで何かしてたのが外に出るようになる。その前の時間から動いてるのってやっぱり面白いし、みんな色んな生活リズムで行動してるのでそれがたまにこうして顔を合わせるっていうのも面白いよな。
朝早くに一人で散歩してると、そういうのの隙間にいるような気分になって、それが良いのかも知れない。いつもとちょっと違うことも出来るし、いつも通りのことをちょっと早めに出来たりもする。歩くんでも自転車漕ぐんでも体にいいしな。事故とか怪我に気を付ければ。

会社辞めるころにはもっと涼しくなってるし、散歩にでも行こうかな。体がなまってるから、ちょっとずつ鍛え直したいんだよね。
ジョギング?冗談じゃねえ私は走るのがキライなんだ。散歩がいいよ、散歩が。
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