そらに光る星

もやしのひげ根

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3.コンロは3口で。

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 その後、時折向けられる視線を無視しながらも授業を受ける。

 昼休みにスマホのバイブが着信を告げたが、表示された名前を見て顔を顰__しか__#め、無視した。


 授業を終え、いつもどおり誰よりも早く下校する。
 自宅にたどり着くと、ポストに封筒が入っていた。手紙……? と思い差出人を見て、またも顔を顰める。
 そこにあった名前は、神谷幸太郎かみやこうたろう
 認めたくはないが、俺の父親だ。昼の着信もこの手紙に関してなのだろう。



 学校から徒歩で約15分ほどの距離にあるマンションの206号室が我が家だ。
 間取りは2LDK。無駄に部屋があって掃除が大変だが、角部屋でキッチンが充実していて、お風呂には追い焚機能もついている。
 料理をする者にとってキッチンは大事だ。ここより狭い間取りの部屋だと、コンロが1口しかなかったり、学校からかなり遠い場所にあったりと満足する物件が無かった。

 以上の理由でこの部屋に決めた。
 家賃? そりゃあ高いが、父親アイツが気にしなくていいって言ったから気にしてない。


 玄関から入ってキッチンを横目に進むとリビングに着く。
 一旦手紙を置いて隣の部屋に行って着替える。
 制服のまま過ごすと皺になるし、料理をするときに臭いがついてしまうので、すぐに着替えるのがクセになっている。

 リビングに戻ってソファにかけ、封筒から手紙を出して読む。

 数分かけて読み終わると、大きくため息をついて頭を抱えた。


 手紙にあった内容はこうだ。

 ・電話はおそらく出ないので、手紙を送ったこと。

 ・再婚したこと。

 ・再婚相手に子供がいること。


 ここまではまだいい。どうしようが俺の知ったことではない。
 問題は次だ。



 ・
 
 


 意味がわからない。
 手続きは父親がやるらしいが、なぜ一緒に住むことになるんだ……。

 俺はスマホを取り出して、電話をかける。

 数コールののち、相手が応答した。


「もしもし」

 聞きたくもない声がスマホごしに聞こえる。

「これはどういうことだ」

「手紙は読んでくれたか。まあそれに書いたとおりだ」

「説明になってねえぞ。なんで俺が一緒に住むんだよ。そっちで勝手によろしくやってればいいだろうが」

「俺もそのつもりだったんだが、色々あってな」

「その色々を聞かせろってんだよ」

 いちいち癇に障る言い方をするヤツだ。だから電話なんてしたくなかったのに。


「あー、その子な。今までいた学校でイジめられてたらしいんだよ。それで不登校になっちまって、転校させることになったんだが、その状態で一人暮らしをさせるのも心配だしな」

「だからってなんで俺なんだよ! いつもいつもソッチの都合を俺に押し付けんなよ!」

 つい怒鳴ってしまう。

「……それは本当にすまないと思ってる。だけど、あの子を助けてやって欲しい。きっとお前ならあの子を」

 ブツッ。
 それ以上聞きたくなくて通話を切った。

 なんでこうも勝手なんだ。本当にイライラする。
 さんざん好き勝手やって家庭を壊しておいて、それでもまだ足りないというのか。
 の血を引いてるのかと思うと吐き気がする。







 ――ピンポーン。

 不意にインターホンが鳴る。

 時計を見ると、電話を終えてから30分近くが経っていた。

 ため息をついて玄関に向かう。

 覗き穴から見ると、俯いている少女が一人、立っていた。



 俺は再度ため息をついてドアを開けた。
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