8 / 15
8
しおりを挟む
辻側に向くのも、背を向けるのも違うなと、仰向けで直立のような寝姿で固まっていると
「樋口さんって、今付き合ってる人とかいるんですか?」
暗闇の中から、声がした。目が慣れてくると、部屋のあらゆるものの輪郭が見えてくる。
「いませんよ。かれこれもうずっと」
仰向けのまま、天井を見つめながら樋口が答える。消灯後の恋バナなんて、なんだか修学旅行みたいだな、なんて思いながら。
「そういう辻さんはどうなんですか」
「同じくずっといません。お互い、いたらこんな頻繁に会ったりお泊まりしたりしてませんよね」
辻がそう言って笑うので、それもそうだ、と樋口も笑った。
「でも辻さん、すごくモテそうだなと思ってるんですけど」
初めて出会った時から思っていた本音だ。この容姿に、押しつけがましくない頼もしさ、たまに見え隠れするちょっとドジなところ。女性が放っておかないだろうな、と。
「そんなことないですよ。それを言うなら樋口さんだって」
「えっ! どこが?!」
ここまでの人生、常に非モテの部類に属してきたと思っている樋口は驚きの声を上げた。
「落ち着いていて物腰柔らかで、一緒にいて安心します。声のトーンとかも、すごく好き」
胸の奥がどくん、と鳴った。思わず仰向けから辻の方へ寝返りを打つ。辻は笑みを湛えて樋口を見ている。
「あ……ありがとうございます、でも僕は、全然そんなんじゃ」
頬が熱い。自称『辛気くさい陰キャ』だというのに、辻からはそんな風に見られていただなんて。そして最後の「すごく好き」がずっと、脳内でリピート再生されている。
意識するなと言う方が、無理じゃないか?
「じゃあそろそろ寝ますね。おやすみなさい」
樋口は辻の反対方向に寝返りを打った。
探りを入れても、なかなか掴みどころがない。ガツガツしすぎか? と恐れてみたけれど、一向に気づく気配もない。
「もうちょっとグイグイいっても構わないんですか……?」
すっかり深い眠りについてしまった樋口に、辻は語りかけた。
「樋口さんって、今付き合ってる人とかいるんですか?」
暗闇の中から、声がした。目が慣れてくると、部屋のあらゆるものの輪郭が見えてくる。
「いませんよ。かれこれもうずっと」
仰向けのまま、天井を見つめながら樋口が答える。消灯後の恋バナなんて、なんだか修学旅行みたいだな、なんて思いながら。
「そういう辻さんはどうなんですか」
「同じくずっといません。お互い、いたらこんな頻繁に会ったりお泊まりしたりしてませんよね」
辻がそう言って笑うので、それもそうだ、と樋口も笑った。
「でも辻さん、すごくモテそうだなと思ってるんですけど」
初めて出会った時から思っていた本音だ。この容姿に、押しつけがましくない頼もしさ、たまに見え隠れするちょっとドジなところ。女性が放っておかないだろうな、と。
「そんなことないですよ。それを言うなら樋口さんだって」
「えっ! どこが?!」
ここまでの人生、常に非モテの部類に属してきたと思っている樋口は驚きの声を上げた。
「落ち着いていて物腰柔らかで、一緒にいて安心します。声のトーンとかも、すごく好き」
胸の奥がどくん、と鳴った。思わず仰向けから辻の方へ寝返りを打つ。辻は笑みを湛えて樋口を見ている。
「あ……ありがとうございます、でも僕は、全然そんなんじゃ」
頬が熱い。自称『辛気くさい陰キャ』だというのに、辻からはそんな風に見られていただなんて。そして最後の「すごく好き」がずっと、脳内でリピート再生されている。
意識するなと言う方が、無理じゃないか?
「じゃあそろそろ寝ますね。おやすみなさい」
樋口は辻の反対方向に寝返りを打った。
探りを入れても、なかなか掴みどころがない。ガツガツしすぎか? と恐れてみたけれど、一向に気づく気配もない。
「もうちょっとグイグイいっても構わないんですか……?」
すっかり深い眠りについてしまった樋口に、辻は語りかけた。
0
あなたにおすすめの小説
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる