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王子様がベッドを作ってくれるそうです。

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パンケーキならぬポンケーキをいただいた後、私はアスラン様に洗い物の仕方を教えてもらった。

この世界では合成洗剤がないから、固形石鹸を布に擦り付けて、泡だててから食器を洗うらしい。

「これなら私でもできますね。食事の後片付けは、これから私がやりますから」

「そんなに頑張る必要はない。そなたは好きなことだけしていれば良い」

「ありがとうございます、アスラン様。それじゃ後片付け、好きにやらせてもらいます」

「むう」

「へへ」


アスラン様は、ため息をついた後、庭に出るべくリビングの大窓を開いた。

「あ、アスラン様」

「なんだ」

「無理に庭へ出なくても良いですよ。私はアスラン様といるのは苦ではないので。お部屋でくつろぎたかったら、いつでも入ってきてくださいね」

「......これからそなたのベッドを作ってやろうと思ってな。購入を頼んでも時間がかかるだろうから」

「わあ、すごい!ベッド手作りできるんですか、アスラン様!私、手伝ってもいいですか?」

「......そこの履物で良かったら履いて出て来い」

見ると窓の外に大きな男物の草履があった。

履いたら私の足には大きすぎて、すぐに脱げそうになるので歩きにくい。

何度か転びそうになりながら、よたよた歩いてアスラン様について行った。

「歩き始めたばかりの子供のようだな」

「失礼な」

「あいすまぬ」

「許します」


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