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私の王子様
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パンパカパーン♪
「おめでとうございま~す!天国ツアーへようこそ!!あなたは抽選で選ばれた鈴木美紅さんですね?」
「はあ、私は鈴木美紅ですが。ここはどこですか?」
「あなたは矢に射られたので天国にやって来たのですよ♪」
「ああ、そうだったわ。でも私、あんまり良いこともしていないのに、天国に来させてもらえたんですか?」
「ハイ!良いことも悪いことも大してしていない平凡な人の中から、抽選で選ばれるのですよ♪」
「へえ、運が良かったんだ~。天国っていうからには、すごく良いところなんですよね?」
「ハイ!天国には、あなた好みのイケメンがたくさんいますよ!あなただけの王子様を選んで、二人で楽しく天国で暮らしてくださいませ~♪」
私は天国?の案内人らしき声に導かれ、大広間のようなところへ来ていた。
中世西洋の舞踏会のような場所。
女性たちは、みんな綺麗なドレスを着て、自分好みの王子様を選んでいる。
王子様に答えてもらえた女性は、王子様とペアになって楽しそうにワルツを踊り始める。
私が呆然と立っていると、近くにいたおばあさん(私を騙した、あのおばあさん)が、ニコリと笑って私に囁いた。
「ねえ、早く選ばないと、他の女性たちに王子様を取られてしまうわよ?」
そういって、ピンクのドレスを着たおばあさんは、もやしのエロジジイ王子様の手を取って、ウフフアハハと消えて行った。
私は人を騙したおばあさんと、妻がいるのに私に手を出そうとしたエロジジイでも、天国に来れるなんてインチキじゃない?とは思ったものの、他の人に王子様を取られると聞いて焦ってしまった。
私はとにかく、早く自分の王子様を見つけないと、と一人で立っている王子様に声をかけてみた。
「あの~、私の王子様ですか?」
後ろ姿の王子様は、くるりと振り返ってニコリと微笑んだ。
「やあ、シンデレラ。僕が君の王子だよ」
その顔は、私の苦手な宰相ルドルフだった。
「宰相やん!さっきまでスマートだと思ってたのにでっぷりやん!!」
なぜか関西弁になって私はその王子様から逃げ出した。
そして次の王子様に声をかけた。
「あの~、あなたは私の王子様?」
「おお、この世で最も美しい白雪姫。どうか私と結婚してください」
私に微笑みかけるのは、なぜかやっぱり宰相だった。
「おまっ、ルドルフやん!あんたお呼びでないからさあ!」
私は悪態をついてその場を辞した。
今度こそ、と声をかけようとしたら大勢の宰相が私に迫って来た。
「姫、どうか私の姫になってください」
「姫、私と一緒に天国で楽しく暮らしましょう」
「姫、私が一生お守りいたします」
「姫」「姫」「姫」
「もお~!ルドルフはもうええからっ!!もう消えてよ~っ!!」
私の王子様はこんな人じゃない。
もっと美しくて、なんでもできて、剣なんかすごい強くて、完璧すぎる神様みたいな、とても優しい、だけど寂しげな王子様。時々子供のように不安げな王子様。
「私の王子様はどこ......?」
「......く......みく......目を覚ましておくれ......みく......」
ああ、この声よ。
この声の持ち主が私の王子様。
私はぼんやりと目を開ける。そこには素敵な王子様の姿が。
「......この人です。この人が私の王子様。私、この人と天国で暮らします」
「......みく? 気がついたのか?」
「あ」
私はおかしな夢からやっと目が覚めたのだったーー。
「おめでとうございま~す!天国ツアーへようこそ!!あなたは抽選で選ばれた鈴木美紅さんですね?」
「はあ、私は鈴木美紅ですが。ここはどこですか?」
「あなたは矢に射られたので天国にやって来たのですよ♪」
「ああ、そうだったわ。でも私、あんまり良いこともしていないのに、天国に来させてもらえたんですか?」
「ハイ!良いことも悪いことも大してしていない平凡な人の中から、抽選で選ばれるのですよ♪」
「へえ、運が良かったんだ~。天国っていうからには、すごく良いところなんですよね?」
「ハイ!天国には、あなた好みのイケメンがたくさんいますよ!あなただけの王子様を選んで、二人で楽しく天国で暮らしてくださいませ~♪」
私は天国?の案内人らしき声に導かれ、大広間のようなところへ来ていた。
中世西洋の舞踏会のような場所。
女性たちは、みんな綺麗なドレスを着て、自分好みの王子様を選んでいる。
王子様に答えてもらえた女性は、王子様とペアになって楽しそうにワルツを踊り始める。
私が呆然と立っていると、近くにいたおばあさん(私を騙した、あのおばあさん)が、ニコリと笑って私に囁いた。
「ねえ、早く選ばないと、他の女性たちに王子様を取られてしまうわよ?」
そういって、ピンクのドレスを着たおばあさんは、もやしのエロジジイ王子様の手を取って、ウフフアハハと消えて行った。
私は人を騙したおばあさんと、妻がいるのに私に手を出そうとしたエロジジイでも、天国に来れるなんてインチキじゃない?とは思ったものの、他の人に王子様を取られると聞いて焦ってしまった。
私はとにかく、早く自分の王子様を見つけないと、と一人で立っている王子様に声をかけてみた。
「あの~、私の王子様ですか?」
後ろ姿の王子様は、くるりと振り返ってニコリと微笑んだ。
「やあ、シンデレラ。僕が君の王子だよ」
その顔は、私の苦手な宰相ルドルフだった。
「宰相やん!さっきまでスマートだと思ってたのにでっぷりやん!!」
なぜか関西弁になって私はその王子様から逃げ出した。
そして次の王子様に声をかけた。
「あの~、あなたは私の王子様?」
「おお、この世で最も美しい白雪姫。どうか私と結婚してください」
私に微笑みかけるのは、なぜかやっぱり宰相だった。
「おまっ、ルドルフやん!あんたお呼びでないからさあ!」
私は悪態をついてその場を辞した。
今度こそ、と声をかけようとしたら大勢の宰相が私に迫って来た。
「姫、どうか私の姫になってください」
「姫、私と一緒に天国で楽しく暮らしましょう」
「姫、私が一生お守りいたします」
「姫」「姫」「姫」
「もお~!ルドルフはもうええからっ!!もう消えてよ~っ!!」
私の王子様はこんな人じゃない。
もっと美しくて、なんでもできて、剣なんかすごい強くて、完璧すぎる神様みたいな、とても優しい、だけど寂しげな王子様。時々子供のように不安げな王子様。
「私の王子様はどこ......?」
「......く......みく......目を覚ましておくれ......みく......」
ああ、この声よ。
この声の持ち主が私の王子様。
私はぼんやりと目を開ける。そこには素敵な王子様の姿が。
「......この人です。この人が私の王子様。私、この人と天国で暮らします」
「......みく? 気がついたのか?」
「あ」
私はおかしな夢からやっと目が覚めたのだったーー。
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