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第49話 新・勇者パーティ
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時代は変わった。
俺が親父から聞いた話だと、魔王討伐というのは過酷な長旅になるらしい。
いろんな町や村を訪問し、情報を集めて、時間をかけて魔王の居場所を探る。たどり着くまでに、数多の命が犠牲になり、心をすり減らしていく戦争のようなモノ。
――けど、現代は違うようだ。
俺たちラングリード騎士団1万は、魔王がいると言われるデスマゾン山岳へと進入。本来なら、魔物の抵抗があるのだろうが、一切ない。マジでない。
そりゃ、森に住む魔物ぐらいでは、1万の軍勢を見ただけで逃げ帰るだろう。まあ、たまにSクラスのドラゴンとかも遭遇するのだけど――。
『ぬぅッ! このデスマゾン山岳は、このアンシエントドラゴン様のものであるぞ! 弱き人間よ、立ち去れぃッ!』
高度1000メートルの山の頂。アンシエントドラゴンを名乗る魔物が道を塞いだ。城のようにデカく、町ぐらいなら一瞬で壊滅できそうだ。
「我らはラングリード騎士団。魔王討伐の任ゆえに、邪魔するものは始末します」
フランシェが剣を抜いて威圧する。
『ぐわはははは! 小娘が! 魔王様のもとへたどり着けると思うなよ! 貴様ら如き、捻り潰してくれる!』
「こちらには勇者ベイルもいるのですよ?」
『それがどうした! 俺は、あの勇者ヘルキスとも互角に渡り合った数少ないドラゴンであるぞ!』
俺や、この規模の軍隊を見て怯まないとは、なかなか気骨のあるドラゴンだ。親父と互角というのは眉唾だけどな。
ととのっていない状態でも、これぐらいの敵なら、みんなで力を合わせればなんとかなるだろう。
俺もフランシェもメリアも、騎士団の連中も剣を抜いた。
『クククッ! やるというのか! よかろう! 後悔させてやる!』
大口を開けて咆哮するアンシエントドラゴン。すると、騎士団の中からプリメーラが歩み出てきてこう言った。
「威勢がいいな。アンシエントドラゴン」
『へ? え……? プププププリメーラ様ァッ?』
「私がよっぽど怖くないと見える。いいだろう、みんな下がっていろ。こいつは私が相手をしよう」
そういった瞬間、ドラゴンが顎を地面へと叩きつけるかのようにひれ伏した。ドラゴンなりの土下座の仕方のようであった。
『め、滅相もございません! 自分如きが、プリメーラ様に歯向かうなど、そのようなことがあろうはずがございません!』
「勇者ヘルキスとも互角に戦えるのだろう?」
『嘘でございます! そういえば箔が付くかと思って言っただけでございます!』
おお、凄い。ドラゴンがプリメーラにひれ伏している。考えてみれば、プリメーラも知略担当とはいえ、相当な実力者なんだよな。魔王軍の奴らからすれば、トップクラスの5人に含まれる。
「ふむ……。では、私に従うということで良いか?」
『し、しかし……その、魔王様にここを守るよう仰せつかっておりまして……』
完全に媚びへつらっているアンシエントドラゴン。プリメーラは臆せず告げる。
「邪魔をすれば死ぬことになる。逃げ帰っても魔王に殺される。ならば、この地を離れて静かに暮らすがいい。それがもっとも聡明な選択だと思うが?」
『し、しかし……』
「言っておくが、こちらにはウルフィもいるぞ?」
『う、ウルヒィィィィィィッ?』
うん、この場にはいないけど、ウルフィは後方支援をがんばってくれている。道を整備しつつ、補給物資を連日連夜運んでくれているのだ。おかげで兵士たちは快適な旅を続けることができている。
『も、もうしわけございませんでしたぁぁぁぁッ!』
五大魔将の2人がこちらにいることを知ったアンシエントドラゴンとやらは、翼を羽ばたかせて空へと消えていった。
「さすがは暗略のプリメーラですね」
ドラゴンを眺めながら、フランシェが褒める。うん、お見事。プリメーラのおかげで怪我人を出さずに済んだ。
「――さて」
俺は、山頂からの景色を見やった。眼下に広がる壮大な砂漠。その一角に禍々しい城が鎮座していた。
「あれが魔王城か……」
「この辺りも、随分変わってしまったな」
プリメーラが感慨深そうにつぶやいた。
「そうなのか?」
「私がいた頃、この辺りは緑溢れる森だった。なのに、この有様だ。おそらく、敗戦に次ぐ敗戦によって魔王が憤り、その瘴気が周囲の植物を枯らしてしまったのだろう」
魔王の怒りは森を砂漠に変える。
それほどの存在か。
「だが、おまえの方が強い」
「そうか?」
「魔王のすべてを知っているわけではないが、おまえなら勝てると確信している」
「当然だ。俺だって負けるとは思ってねえよ」
言うと、プリメーラはほのかな笑みを浮かべた。
「あそこにオアシスが見えますね。今日は、あそこまで軍を進めます」
麓には、山からの雪解け水が小さな湖を成し、小さなオアシスが形成されていた。アレを利用することが、俺たちの必勝の策だ。
このような僻地でもサウナを楽しむ方法がある。
――それがテントサウナだ。
意外と手間だが、この開放感は、温泉施設のサウナとはまた別の良さがある。ただ、上級者向けなので、安易に挑戦はしないで欲しい。
必要なのはテントとストーブなのだが、このストーブを軽んじてはいけない。市販のストーブではダメ。
ちゃんと排煙できないと、一酸化炭素中毒になってしまう恐れがあるのだ。テントもしっかり固定していないと、風で飛ばされてしまうこともある。
繰り返すが、上級者向けなので、挑戦する場合は細心の注意を払って欲しい。
これをもって、俺は魔王城へと突撃する。
俺が親父から聞いた話だと、魔王討伐というのは過酷な長旅になるらしい。
いろんな町や村を訪問し、情報を集めて、時間をかけて魔王の居場所を探る。たどり着くまでに、数多の命が犠牲になり、心をすり減らしていく戦争のようなモノ。
――けど、現代は違うようだ。
俺たちラングリード騎士団1万は、魔王がいると言われるデスマゾン山岳へと進入。本来なら、魔物の抵抗があるのだろうが、一切ない。マジでない。
そりゃ、森に住む魔物ぐらいでは、1万の軍勢を見ただけで逃げ帰るだろう。まあ、たまにSクラスのドラゴンとかも遭遇するのだけど――。
『ぬぅッ! このデスマゾン山岳は、このアンシエントドラゴン様のものであるぞ! 弱き人間よ、立ち去れぃッ!』
高度1000メートルの山の頂。アンシエントドラゴンを名乗る魔物が道を塞いだ。城のようにデカく、町ぐらいなら一瞬で壊滅できそうだ。
「我らはラングリード騎士団。魔王討伐の任ゆえに、邪魔するものは始末します」
フランシェが剣を抜いて威圧する。
『ぐわはははは! 小娘が! 魔王様のもとへたどり着けると思うなよ! 貴様ら如き、捻り潰してくれる!』
「こちらには勇者ベイルもいるのですよ?」
『それがどうした! 俺は、あの勇者ヘルキスとも互角に渡り合った数少ないドラゴンであるぞ!』
俺や、この規模の軍隊を見て怯まないとは、なかなか気骨のあるドラゴンだ。親父と互角というのは眉唾だけどな。
ととのっていない状態でも、これぐらいの敵なら、みんなで力を合わせればなんとかなるだろう。
俺もフランシェもメリアも、騎士団の連中も剣を抜いた。
『クククッ! やるというのか! よかろう! 後悔させてやる!』
大口を開けて咆哮するアンシエントドラゴン。すると、騎士団の中からプリメーラが歩み出てきてこう言った。
「威勢がいいな。アンシエントドラゴン」
『へ? え……? プププププリメーラ様ァッ?』
「私がよっぽど怖くないと見える。いいだろう、みんな下がっていろ。こいつは私が相手をしよう」
そういった瞬間、ドラゴンが顎を地面へと叩きつけるかのようにひれ伏した。ドラゴンなりの土下座の仕方のようであった。
『め、滅相もございません! 自分如きが、プリメーラ様に歯向かうなど、そのようなことがあろうはずがございません!』
「勇者ヘルキスとも互角に戦えるのだろう?」
『嘘でございます! そういえば箔が付くかと思って言っただけでございます!』
おお、凄い。ドラゴンがプリメーラにひれ伏している。考えてみれば、プリメーラも知略担当とはいえ、相当な実力者なんだよな。魔王軍の奴らからすれば、トップクラスの5人に含まれる。
「ふむ……。では、私に従うということで良いか?」
『し、しかし……その、魔王様にここを守るよう仰せつかっておりまして……』
完全に媚びへつらっているアンシエントドラゴン。プリメーラは臆せず告げる。
「邪魔をすれば死ぬことになる。逃げ帰っても魔王に殺される。ならば、この地を離れて静かに暮らすがいい。それがもっとも聡明な選択だと思うが?」
『し、しかし……』
「言っておくが、こちらにはウルフィもいるぞ?」
『う、ウルヒィィィィィィッ?』
うん、この場にはいないけど、ウルフィは後方支援をがんばってくれている。道を整備しつつ、補給物資を連日連夜運んでくれているのだ。おかげで兵士たちは快適な旅を続けることができている。
『も、もうしわけございませんでしたぁぁぁぁッ!』
五大魔将の2人がこちらにいることを知ったアンシエントドラゴンとやらは、翼を羽ばたかせて空へと消えていった。
「さすがは暗略のプリメーラですね」
ドラゴンを眺めながら、フランシェが褒める。うん、お見事。プリメーラのおかげで怪我人を出さずに済んだ。
「――さて」
俺は、山頂からの景色を見やった。眼下に広がる壮大な砂漠。その一角に禍々しい城が鎮座していた。
「あれが魔王城か……」
「この辺りも、随分変わってしまったな」
プリメーラが感慨深そうにつぶやいた。
「そうなのか?」
「私がいた頃、この辺りは緑溢れる森だった。なのに、この有様だ。おそらく、敗戦に次ぐ敗戦によって魔王が憤り、その瘴気が周囲の植物を枯らしてしまったのだろう」
魔王の怒りは森を砂漠に変える。
それほどの存在か。
「だが、おまえの方が強い」
「そうか?」
「魔王のすべてを知っているわけではないが、おまえなら勝てると確信している」
「当然だ。俺だって負けるとは思ってねえよ」
言うと、プリメーラはほのかな笑みを浮かべた。
「あそこにオアシスが見えますね。今日は、あそこまで軍を進めます」
麓には、山からの雪解け水が小さな湖を成し、小さなオアシスが形成されていた。アレを利用することが、俺たちの必勝の策だ。
このような僻地でもサウナを楽しむ方法がある。
――それがテントサウナだ。
意外と手間だが、この開放感は、温泉施設のサウナとはまた別の良さがある。ただ、上級者向けなので、安易に挑戦はしないで欲しい。
必要なのはテントとストーブなのだが、このストーブを軽んじてはいけない。市販のストーブではダメ。
ちゃんと排煙できないと、一酸化炭素中毒になってしまう恐れがあるのだ。テントもしっかり固定していないと、風で飛ばされてしまうこともある。
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