6 / 8
第六話 龍虎相対。玄武到来。生死制止に朱雀来々
しおりを挟む
「このような夜更けに屋敷へとおいでとは……謀ですかな、秀吉殿」
明智屋敷。人知れずやってきた秀吉は、明智光秀と対談する。
誰にも気づかれていない、ふたりでの面会。ようやく、逃げ回る光秀との連絡が付き、面会と相成った。状況は悪くない。ここで明智光秀を殺せば、証拠は何も残らないと秀吉は思った。
「ああ、謀じゃて。……悪巧みは、暗い方が盛り上がる……じゃろ?」
「そうですね。そろそろ来る頃ではないかと、思っておりましたよ」
光秀が茶を点て、そっと差し出す。秀吉はそれを一瞥する。さすがにこれは飲みたくない。茶に毒が入っている可能性はある……よな?
「……毒など入っていませんよ。飲んで見せましょうか?」
「結構。わしが、これを飲まぬことぐらいおぬしもわかっとるじゃろ。……そろそろ腹を割って話さんか?」
序盤は世間話。そして、柴田勝家に持ちかけたような、手柄の山分けを提案する。油断したところを、懐にある短刀で斬り殺す。まずは、明智の気の緩みを待つ。
「わしゃ、おみゃーが好かん。おみゃーも、わしのことが好かんじゃろ? なんせ、桶狭間で斬りかかってきたぐらいでゃあや」
「そうですね。織田家にて、あなたの才能は恐ろしい。目の上のコブです」
「しかし、このままでは織田家の混乱は収まらにゃあ。ここはひとつ、手柄を山分けせんか? わしが真犯人ということで手を打て。出世はわしがもらう。おみゃーには、金をくれてやる。それで手打ちといかんか?」
「真犯人を名乗るにしては、随分弱気な提案ですね」
「いかに真犯人とて、ここから勝ち取るのは無理であろ。いずれはわしらも火炙りよ。そうなる前に、終わらすのが得策と思うてな」
「なるほど。しかし、あなたが約束を守るとは限りませんな。お互い、信頼関係がないのですから」
「信頼か。じゃあ、こういうのはどうじゃ」
そう言うと、秀吉は茶碗を手に取り、ぐいっと一気に飲み干した。
この行為には、さすがの光秀も目を丸くしていた。正直、秀吉も心臓は爆発寸前だ。毒が入ってないとも限らないのだから。けど、たぶん入っていないと思ってはいる。明智なら『秀吉が毒が入っていると見抜いていることを見抜いている』と思ったからである。
秀吉は身を乗り出し、空になった茶碗を光秀の前へと置く。膝を突き、そのまま詰め寄る。
「仲良くしてくれとは言わん。だが、一度だけわしを信じてみぃ。わしは、おぬしの茶を飲んだで、おぬしはわしの提案を飲んでくれにゃあかのう」
「……そこまでのお覚悟か」
光秀は空になった茶碗に視線を落とす。
――好機だと秀吉は思った。
心拍数が上がる。茶碗を片付けようと手に取ったが最後。その隙を突いて、懐にある短刀にて両断してくれる――!
「……良い、でしょう。私とて、これ以上織田家が荒れることは望んでいません。あなたは名誉。私は金……そういうことで手を打つとしましょうか」
明智光秀が姿勢を下げるように茶碗を掴んだ。
――いまだ! さらばだ明智くん!
と、秀吉が思ったその時であった。
凄まじい怒号が屋敷を震わせる。
「ひぃぃぃぃでぇえぇぇぇえぇよぉぉぉおぉぉぉしィィィィィッ!」
ずがんずがんと、まるで巨人が侵入してきたかのような足音。思わず、短刀に伸ばしていた腕が止まる。
「な、なんじゃッ?」
狼狽する秀吉。
ふすまが勢いよく開いた。
「ここにいたか秀吉ぃぃぃぃぃぃッ!」
「にゃ、にゃしッ……ししし柴田勝家ッ!」
幽閉されていたはずの柴田勝家が、刀を持ってご登場。鼻息荒く、秀吉を睨みつけている。
「なぜ、おぬしがここにッ! 地下牢に閉じ込められておったはずでゃあッ?」
「よくも謀りおったなクソザルが! 貴様のせいで信用は失墜! 信長様はわしの焼き討ちを所望しておるッ。……だが! その前に、貴様の首だけは刎ねてやる!」
「……これは、どういうことで?」
事情を知らぬ明智が、冷静に問いかける。
「い、いやややや、ここここれは、その……かかか、勝家はわしらを亡き者にしようとしとるんぎゃあ。ふふふ、ふたりで協力して倒すしかにゃあ!」
必死に取り繕う秀吉。だが、柴田が怒鳴りつけるように反論する。
「油断するなよ光秀ぇ……そやつは、褒美を山分けするという条件で、わしに取引を持ちかけてきたのだ。そうしたら、その一部始終を信長様に聞かせおったのよ!」
「褒美を山分け……ほう、なるほど」
疑惑のまなざしを向けてくる明智光秀。非常にマズいことになった。光秀を暗殺する機会を失った。それどころか勝家に殺されてしまう!
「み、光秀ッ! わしはなんも企んでおらん! 勝家は乱心じゃ! 協力して奴を倒そうぞ!」
「騙されるなよ光秀ぇッ そやつの言葉を信じたら仕舞いぞ!」
「さて、どうしたものでしょうか……」
「ええい! まあ良いわ! ふたりまとめてあの世に送ってやるわいッ!」
万事休す。そもそも、明智と協力したところで、勝家に勝てると思えない。勝家の刀が振り下ろされる。
「ひいぇぇえぇえぇッ!」
ザグンと、畳に巨大な亀裂が入る。奴の一振りは、馬をも斬り飛ばす威力。さらに二撃目。のけぞるように回避。その風圧が秀吉の髪をぶわりと持ち上げる。
「あわわわわッ! み、みつッ――た、助け……」
勝家が、たたみを勢いよく踏みつける。衝撃で家屋が揺れた。秀吉は思わず尻餅をついてしまうのであった。
ぬぅ、と、勝家が影を落とす。
「これで仕舞いだ、秀吉。百姓如きが、このわしを謀るから、こうなるのだ」
「ゆ、許してくれ、わ、わしゃあ、そんなつもりは……か、官兵衛が……黒田官兵衛が……」
「見苦しいぞッ、いいわけはあの世にて申せッ! 死ねぇぇえいッ!」
勝家の渾身の一撃。斬られるどころか、木っ端微塵に消し飛びそうなほど豪快な一刀。
――終わった。と、秀吉は思った。だが、その時。勝家の刀が『槍』によってガキンと防がれる。
「――ちょっと待ちな、勝家の旦那!」
「ぬ、ぐッ! な、何奴ッ!」
槍を振り払うように剣を動かす勝家。
「き、貴様はッ!」
「お、おみゃあは!」
「貴方は――」
「――そこまでだ。この喧嘩は、この前田利家が預かるぜ」
前田利家。槍の名手たる彼が、騒動の最中に現れ、柴田勝家の一撃を防いでくれたのだった。ただ、黒焦げ。そしてふんどし。あの日からずっと黒焦げだったのだろう。どういう事情か、牢から飛び出し助けにきてくれたようだ。
「おのれ、利家めが! 邪魔をするかぁッ!」
刀を振り回す勝家。利家は、それらを槍にて受け止めていく。さすがは織田家の猛将。柴田勝家と互角に渡り合える唯一の人間である。
「待てっていってんだろうが髭親父ッ! りゃあッ!」
「槍使いの駄犬がぁあぁぁぁッ! 別に貴様も殺してしまっても構わんのだぞぉッ!」
奮闘する勝家と利家。
ちょうどいいと秀吉は思った。この隙に逃げ――。
「ひッ!」
ひゅんと、短刀が振るわれる。光秀の剣閃だった。すんでのところで秀吉は回避。
「な、なななななにをする光秀ぇッ!」
「いえ、ちょうどよいと思ったものでね。……ここで貴方を始末すれば、手柄は私のものかと――」
「にゃにゃ! み、光秀ッ! う、裏切る気かッ! というきゃ、短刀を用意しているとは、おみゃあ最初からこうする気でおったにゃッ? ここここうなったらッ!」
秀吉も、懐の短刀を抜いて構える。
「あなたも、人のことを言えないようで……」
向かい合う秀吉と光秀。そこへ、前田利家が一喝する。
「やめろっていってんだろうがぁッ!」
豪快に、槍を振り回す利家。そのあまりの圧力に、柴田勝家が怯む。秀吉も光秀も、気圧されて下がった。
「ふざけたことやってんじゃねえ! 俺たちが戦う必要なんてないんだよ! こんなことをしても、なんの意味もねえ!」
「なにを言うか利家ッ! おまえとて、信長様に酷い目に遭わされたではないか!」
「落ち着けや、柴田の旦那ッ! いいか? 信長様は、すでに誰が真犯人か見抜いておられる!」
その言葉に、誰もが一様に目を丸くする。
「にゃ……そ、それは本当か利家ッ?」
「おうよ。だから、俺ぁ一足先に騒動を止めにきただけだ。……ったく」
「だ、誰なのだ、桶狭間の怪人はッ?」
詰め寄る勝家。光秀は「……」と、様子を窺っている。
「い、いや、その……俺も教えてもらってねえけどよ……。信長様が言うには、明日の評定で伝えるそうだ。……だから、今日はとりあえず家に帰れ。柴田の旦那も、牢に戻らなくてもいいってよ。――もう、争いはやめろや……」
☆
一方その頃。織田信長は清洲城の天守閣にいた。
茶杓で緑色の粉をすくい、そっと茶碗へ入れる。釜から柄杓いっぱいの湯を注ぎ、茶筅で細やかにかき混ぜる。抹茶をふんわり仕上げると、目の前の客人に差し出して、こう言った。
「おぬしが真犯人……桶狭間の怪人であろう?」
「夜更けに呼び出されたと思ったら……これはいったいどういうことでしょうかな?」
黒田官兵衛は、にっこりと笑い、茶を受け取ると一気に飲み干した。
明智屋敷。人知れずやってきた秀吉は、明智光秀と対談する。
誰にも気づかれていない、ふたりでの面会。ようやく、逃げ回る光秀との連絡が付き、面会と相成った。状況は悪くない。ここで明智光秀を殺せば、証拠は何も残らないと秀吉は思った。
「ああ、謀じゃて。……悪巧みは、暗い方が盛り上がる……じゃろ?」
「そうですね。そろそろ来る頃ではないかと、思っておりましたよ」
光秀が茶を点て、そっと差し出す。秀吉はそれを一瞥する。さすがにこれは飲みたくない。茶に毒が入っている可能性はある……よな?
「……毒など入っていませんよ。飲んで見せましょうか?」
「結構。わしが、これを飲まぬことぐらいおぬしもわかっとるじゃろ。……そろそろ腹を割って話さんか?」
序盤は世間話。そして、柴田勝家に持ちかけたような、手柄の山分けを提案する。油断したところを、懐にある短刀で斬り殺す。まずは、明智の気の緩みを待つ。
「わしゃ、おみゃーが好かん。おみゃーも、わしのことが好かんじゃろ? なんせ、桶狭間で斬りかかってきたぐらいでゃあや」
「そうですね。織田家にて、あなたの才能は恐ろしい。目の上のコブです」
「しかし、このままでは織田家の混乱は収まらにゃあ。ここはひとつ、手柄を山分けせんか? わしが真犯人ということで手を打て。出世はわしがもらう。おみゃーには、金をくれてやる。それで手打ちといかんか?」
「真犯人を名乗るにしては、随分弱気な提案ですね」
「いかに真犯人とて、ここから勝ち取るのは無理であろ。いずれはわしらも火炙りよ。そうなる前に、終わらすのが得策と思うてな」
「なるほど。しかし、あなたが約束を守るとは限りませんな。お互い、信頼関係がないのですから」
「信頼か。じゃあ、こういうのはどうじゃ」
そう言うと、秀吉は茶碗を手に取り、ぐいっと一気に飲み干した。
この行為には、さすがの光秀も目を丸くしていた。正直、秀吉も心臓は爆発寸前だ。毒が入ってないとも限らないのだから。けど、たぶん入っていないと思ってはいる。明智なら『秀吉が毒が入っていると見抜いていることを見抜いている』と思ったからである。
秀吉は身を乗り出し、空になった茶碗を光秀の前へと置く。膝を突き、そのまま詰め寄る。
「仲良くしてくれとは言わん。だが、一度だけわしを信じてみぃ。わしは、おぬしの茶を飲んだで、おぬしはわしの提案を飲んでくれにゃあかのう」
「……そこまでのお覚悟か」
光秀は空になった茶碗に視線を落とす。
――好機だと秀吉は思った。
心拍数が上がる。茶碗を片付けようと手に取ったが最後。その隙を突いて、懐にある短刀にて両断してくれる――!
「……良い、でしょう。私とて、これ以上織田家が荒れることは望んでいません。あなたは名誉。私は金……そういうことで手を打つとしましょうか」
明智光秀が姿勢を下げるように茶碗を掴んだ。
――いまだ! さらばだ明智くん!
と、秀吉が思ったその時であった。
凄まじい怒号が屋敷を震わせる。
「ひぃぃぃぃでぇえぇぇぇえぇよぉぉぉおぉぉぉしィィィィィッ!」
ずがんずがんと、まるで巨人が侵入してきたかのような足音。思わず、短刀に伸ばしていた腕が止まる。
「な、なんじゃッ?」
狼狽する秀吉。
ふすまが勢いよく開いた。
「ここにいたか秀吉ぃぃぃぃぃぃッ!」
「にゃ、にゃしッ……ししし柴田勝家ッ!」
幽閉されていたはずの柴田勝家が、刀を持ってご登場。鼻息荒く、秀吉を睨みつけている。
「なぜ、おぬしがここにッ! 地下牢に閉じ込められておったはずでゃあッ?」
「よくも謀りおったなクソザルが! 貴様のせいで信用は失墜! 信長様はわしの焼き討ちを所望しておるッ。……だが! その前に、貴様の首だけは刎ねてやる!」
「……これは、どういうことで?」
事情を知らぬ明智が、冷静に問いかける。
「い、いやややや、ここここれは、その……かかか、勝家はわしらを亡き者にしようとしとるんぎゃあ。ふふふ、ふたりで協力して倒すしかにゃあ!」
必死に取り繕う秀吉。だが、柴田が怒鳴りつけるように反論する。
「油断するなよ光秀ぇ……そやつは、褒美を山分けするという条件で、わしに取引を持ちかけてきたのだ。そうしたら、その一部始終を信長様に聞かせおったのよ!」
「褒美を山分け……ほう、なるほど」
疑惑のまなざしを向けてくる明智光秀。非常にマズいことになった。光秀を暗殺する機会を失った。それどころか勝家に殺されてしまう!
「み、光秀ッ! わしはなんも企んでおらん! 勝家は乱心じゃ! 協力して奴を倒そうぞ!」
「騙されるなよ光秀ぇッ そやつの言葉を信じたら仕舞いぞ!」
「さて、どうしたものでしょうか……」
「ええい! まあ良いわ! ふたりまとめてあの世に送ってやるわいッ!」
万事休す。そもそも、明智と協力したところで、勝家に勝てると思えない。勝家の刀が振り下ろされる。
「ひいぇぇえぇえぇッ!」
ザグンと、畳に巨大な亀裂が入る。奴の一振りは、馬をも斬り飛ばす威力。さらに二撃目。のけぞるように回避。その風圧が秀吉の髪をぶわりと持ち上げる。
「あわわわわッ! み、みつッ――た、助け……」
勝家が、たたみを勢いよく踏みつける。衝撃で家屋が揺れた。秀吉は思わず尻餅をついてしまうのであった。
ぬぅ、と、勝家が影を落とす。
「これで仕舞いだ、秀吉。百姓如きが、このわしを謀るから、こうなるのだ」
「ゆ、許してくれ、わ、わしゃあ、そんなつもりは……か、官兵衛が……黒田官兵衛が……」
「見苦しいぞッ、いいわけはあの世にて申せッ! 死ねぇぇえいッ!」
勝家の渾身の一撃。斬られるどころか、木っ端微塵に消し飛びそうなほど豪快な一刀。
――終わった。と、秀吉は思った。だが、その時。勝家の刀が『槍』によってガキンと防がれる。
「――ちょっと待ちな、勝家の旦那!」
「ぬ、ぐッ! な、何奴ッ!」
槍を振り払うように剣を動かす勝家。
「き、貴様はッ!」
「お、おみゃあは!」
「貴方は――」
「――そこまでだ。この喧嘩は、この前田利家が預かるぜ」
前田利家。槍の名手たる彼が、騒動の最中に現れ、柴田勝家の一撃を防いでくれたのだった。ただ、黒焦げ。そしてふんどし。あの日からずっと黒焦げだったのだろう。どういう事情か、牢から飛び出し助けにきてくれたようだ。
「おのれ、利家めが! 邪魔をするかぁッ!」
刀を振り回す勝家。利家は、それらを槍にて受け止めていく。さすがは織田家の猛将。柴田勝家と互角に渡り合える唯一の人間である。
「待てっていってんだろうが髭親父ッ! りゃあッ!」
「槍使いの駄犬がぁあぁぁぁッ! 別に貴様も殺してしまっても構わんのだぞぉッ!」
奮闘する勝家と利家。
ちょうどいいと秀吉は思った。この隙に逃げ――。
「ひッ!」
ひゅんと、短刀が振るわれる。光秀の剣閃だった。すんでのところで秀吉は回避。
「な、なななななにをする光秀ぇッ!」
「いえ、ちょうどよいと思ったものでね。……ここで貴方を始末すれば、手柄は私のものかと――」
「にゃにゃ! み、光秀ッ! う、裏切る気かッ! というきゃ、短刀を用意しているとは、おみゃあ最初からこうする気でおったにゃッ? ここここうなったらッ!」
秀吉も、懐の短刀を抜いて構える。
「あなたも、人のことを言えないようで……」
向かい合う秀吉と光秀。そこへ、前田利家が一喝する。
「やめろっていってんだろうがぁッ!」
豪快に、槍を振り回す利家。そのあまりの圧力に、柴田勝家が怯む。秀吉も光秀も、気圧されて下がった。
「ふざけたことやってんじゃねえ! 俺たちが戦う必要なんてないんだよ! こんなことをしても、なんの意味もねえ!」
「なにを言うか利家ッ! おまえとて、信長様に酷い目に遭わされたではないか!」
「落ち着けや、柴田の旦那ッ! いいか? 信長様は、すでに誰が真犯人か見抜いておられる!」
その言葉に、誰もが一様に目を丸くする。
「にゃ……そ、それは本当か利家ッ?」
「おうよ。だから、俺ぁ一足先に騒動を止めにきただけだ。……ったく」
「だ、誰なのだ、桶狭間の怪人はッ?」
詰め寄る勝家。光秀は「……」と、様子を窺っている。
「い、いや、その……俺も教えてもらってねえけどよ……。信長様が言うには、明日の評定で伝えるそうだ。……だから、今日はとりあえず家に帰れ。柴田の旦那も、牢に戻らなくてもいいってよ。――もう、争いはやめろや……」
☆
一方その頃。織田信長は清洲城の天守閣にいた。
茶杓で緑色の粉をすくい、そっと茶碗へ入れる。釜から柄杓いっぱいの湯を注ぎ、茶筅で細やかにかき混ぜる。抹茶をふんわり仕上げると、目の前の客人に差し出して、こう言った。
「おぬしが真犯人……桶狭間の怪人であろう?」
「夜更けに呼び出されたと思ったら……これはいったいどういうことでしょうかな?」
黒田官兵衛は、にっこりと笑い、茶を受け取ると一気に飲み干した。
0
あなたにおすすめの小説
【アラウコの叫び 】第4巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日19:20投稿】
4巻は、序盤は「推理もの」、中盤から後半は「ロマンスもの」が展開されます。
・サンティアゴで起こる「事件」と「裁き」
・「アンデスの悪魔」として悪名を轟かせた狂気の老人カルバハルの存在感
・ニドス家の兄妹の「行く末」
・イネスとバルディビアとの「出逢い」と「結末」
大きく分けてこの様な展開になってます。
-------------------
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助
蔵屋
歴史・時代
わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。
何故、甲斐国なのか?
それは、日本を象徴する富士山があるからだ。
さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。
そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。
なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。
それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。
読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。
【最新版】 日月神示
蔵屋
歴史・時代
最近日月神示の予言本に不安を抱いている方もあると思うがまったく心配いらない。
何故なら日月神示では「取り越し苦労や過ぎ越し苦労はするな!」
「今に生きよ!」
「善一筋で生きよ!」
「身魂磨きをせよ!」
「人間の正しい生き方」
「人間の正しい食生活」
「人間の正しい夫婦のあり方」
「身も心も神さまからお借りしているのじゃから夜になって寝る前に神さまに一旦お返しするのじゃ。そうしたら身と心をどのようにしたらよいか、分かるじゃろ!」
たったのこれだけを守れば良いということだ。
根拠のない書籍や情報源等に惑わされてはダメだ。
日月神示も出口王仁三郎もそのようなことは一切言っていない。
これらの書籍や情報源は「日月神示」が警告する「臣民を惑わすものが出てくるから気をつけよ!」
という言葉に注目して欲しい。
今回、私は読者の皆さんに間違った解釈をされている日月神示を分かりやすく解説していくことにしました。
どうか、最後までお読み下さい。
日月神示の予言については、私が執筆中の「神典日月神示の真実」をお読み下さい。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎週月曜07:20投稿】
3巻からは戦争編になります。
戦物語に関心のある方は、ここから読み始めるのも良いかもしれません。
※1、2巻は序章的な物語、伝承、風土や生活等事を扱っています。
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
下級武士の名の残し方 ~江戸時代の自分史 大友興廃記物語~
黒井丸
歴史・時代
~本作は『大友興廃記』という実在の軍記をもとに、書かれた内容をパズルのように史実に組みこんで作者の一生を創作した時代小説です~
武士の親族として伊勢 津藩に仕える杉谷宗重は武士の至上目的である『家名を残す』ために悩んでいた。
大名と違い、身分の不安定な下級武士ではいつ家が消えてもおかしくない。
そのため『平家物語』などの軍記を書く事で家の由緒を残そうとするがうまくいかない。
方と呼ばれる王道を書けば民衆は喜ぶが、虚飾で得た名声は却って名を汚す事になるだろう。
しかし、正しい事を書いても見向きもされない。
そこで、彼の旧主で豊後佐伯の領主だった佐伯權之助は一計を思いつく。
不屈の葵
ヌマサン
歴史・時代
戦国乱世、不屈の魂が未来を掴む!
これは三河の弱小国主から天下人へ、不屈の精神で戦国を駆け抜けた男の壮大な物語。
幾多の戦乱を生き抜き、不屈の精神で三河の弱小国衆から天下統一を成し遂げた男、徳川家康。
本作は家康の幼少期から晩年までを壮大なスケールで描き、戦国時代の激動と一人の男の成長物語を鮮やかに描く。
家康の苦悩、決断、そして成功と失敗。様々な人間ドラマを通して、人生とは何かを問いかける。
今川義元、織田信長、羽柴秀吉、武田信玄――家康の波乱万丈な人生を彩る個性豊かな名将たちも続々と登場。
家康との関わりを通して、彼らの生き様も鮮やかに描かれる。
笑いあり、涙ありの壮大なスケールで描く、単なる英雄譚ではなく、一人の人間として苦悩し、成長していく家康の姿を描いた壮大な歴史小説。
戦国時代の風雲児たちの活躍、人間ドラマ、そして家康の不屈の精神が、読者を戦国時代に誘う。
愛、友情、そして裏切り…戦国時代に渦巻く人間ドラマにも要注目!
歴史ファン必読の感動と興奮が止まらない歴史小説『不屈の葵』
ぜひ、手に取って、戦国時代の熱き息吹を感じてください!
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる