ナルシストで、傲慢な婚約者。…私が貴方を好き?ふざけないで、もうすぐ婚約破棄の手続きが終わります。

久遠りも

文字の大きさ
1 / 1

1.

しおりを挟む

_____


「お前も、俺のことが好きなのだろう?
早く白状しろよ、じゃないと婚約破棄するぞ?」

......本当にうんざりです、この婚約者。
私は貴方のことなんか好きじゃありません!!

_____

私たちは、いわゆる...親同士が勝手に決めた婚約だった。
あまり話したこともないのに、いきなり婚約させられた。

......正直、ナルシストで傲慢で...。

「...俺のことを好きだと言ったら、俺も好きだといってやらなくもない。
だけど、こんな良い男を逃したら、お前これからやっていけないぞ?」

......はぁ~。

「あの、毎日毎日...困るんですけど。
親同士が勝手に決めた婚約ですので、私は貴方のことを好きじゃありません。
いい加減分かってもらえますか?」

「...フッ、照れ隠しもそこまでにしといてくれよ。
本当は好きなんだろ、分かってるんだからな?」


......き、気持ち悪い~!
...なんでこの人はこんなに自分に自信があるのかしら?
婚約した時からずっと言っているでしょう、好きじゃないって!

「なぁ、早く言ってくれよ、好きだって。」

「......だから、いい加減にしてください。
貴方なんか好きじゃないので。」

私がそう言うと、婚約者は堪忍袋の緒が切れたようで......。

「......お前ッ...!!!!
俺のことを好きじゃないなんて、そんなわけないだろう!? そんなに言うなら婚約破棄するぞ!!」

......あら?婚約破棄して良いんですか?
婚約破棄して良いなら、勝手に婚約破棄させていただきます。

_____


今日の婚約者も、またもナルシストっぷりが炸裂していた。

「なぁなぁ、そろそろ、好きだと言ってくれても良いんじゃないか?
そうしないと、俺...他の女の所に行っちゃうぞ?」


「...そうですね、どうぞご勝手に。
あ、そろそろ...婚約破棄の手続きが終わるころですわね。」

婚約者は、驚いたように、

「は......!? 婚約破棄だと!?!? お前、何を言っているんだ!!」

「なので、これから貴方と私は他人です。
貴方が...他の女と仲良く出来るのなら、それは勝手にどうぞ?
私が知ったことではありませんので。」

「おい、待てッ!! 行かないでくれ、お前を好きなんだ...ッ!!」

とかなんとか聞こえたような気がしましたが、私はそのまま家を出ていく。

少し可哀想な気もしますが...好きでもないのに毎日あのナルシストっぷりは困りますから。

_____


あの後、新しい婚約者を探すためのお見合いをしました。

そうして、とても素敵な男性と巡り合えましたわ...!
少し控えめな男性だけど、私に寄り添ってくれる男性で。
私も心から愛したいと思える男性に、巡り合えました。

そして、今日...その殿方と婚約いたします。

「愛しています、生涯、愛し続けます。」

「えぇ、私もですわ!!大好きです!」

_____
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

【完結】その人が好きなんですね?なるほど。愚かな人、あなたには本当に何も見えていないんですね。

新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。 1作品数話(5000文字程度)の予定です。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?

ある愚かな婚約破棄の結末

オレンジ方解石
恋愛
 セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。  王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。 ※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。

婚約破棄を喜んで受け入れてみた結果

宵闇 月
恋愛
ある日婚約者に婚約破棄を告げられたリリアナ。 喜んで受け入れてみたら… ※ 八話完結で書き終えてます。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。

喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。 学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。 しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。 挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。 パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。 そうしてついに恐れていた事態が起きた。 レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。

処理中です...