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「お前も、俺のことが好きなのだろう?
早く白状しろよ、じゃないと婚約破棄するぞ?」
......本当にうんざりです、この婚約者。
私は貴方のことなんか好きじゃありません!!
_____
私たちは、いわゆる...親同士が勝手に決めた婚約だった。
あまり話したこともないのに、いきなり婚約させられた。
......正直、ナルシストで傲慢で...。
「...俺のことを好きだと言ったら、俺も好きだといってやらなくもない。
だけど、こんな良い男を逃したら、お前これからやっていけないぞ?」
......はぁ~。
「あの、毎日毎日...困るんですけど。
親同士が勝手に決めた婚約ですので、私は貴方のことを好きじゃありません。
いい加減分かってもらえますか?」
「...フッ、照れ隠しもそこまでにしといてくれよ。
本当は好きなんだろ、分かってるんだからな?」
......き、気持ち悪い~!
...なんでこの人はこんなに自分に自信があるのかしら?
婚約した時からずっと言っているでしょう、好きじゃないって!
「なぁ、早く言ってくれよ、好きだって。」
「......だから、いい加減にしてください。
貴方なんか好きじゃないので。」
私がそう言うと、婚約者は堪忍袋の緒が切れたようで......。
「......お前ッ...!!!!
俺のことを好きじゃないなんて、そんなわけないだろう!? そんなに言うなら婚約破棄するぞ!!」
......あら?婚約破棄して良いんですか?
婚約破棄して良いなら、勝手に婚約破棄させていただきます。
_____
今日の婚約者も、またもナルシストっぷりが炸裂していた。
「なぁなぁ、そろそろ、好きだと言ってくれても良いんじゃないか?
そうしないと、俺...他の女の所に行っちゃうぞ?」
「...そうですね、どうぞご勝手に。
あ、そろそろ...婚約破棄の手続きが終わるころですわね。」
婚約者は、驚いたように、
「は......!? 婚約破棄だと!?!? お前、何を言っているんだ!!」
「なので、これから貴方と私は他人です。
貴方が...他の女と仲良く出来るのなら、それは勝手にどうぞ?
私が知ったことではありませんので。」
「おい、待てッ!! 行かないでくれ、お前を好きなんだ...ッ!!」
とかなんとか聞こえたような気がしましたが、私はそのまま家を出ていく。
少し可哀想な気もしますが...好きでもないのに毎日あのナルシストっぷりは困りますから。
_____
あの後、新しい婚約者を探すためのお見合いをしました。
そうして、とても素敵な男性と巡り合えましたわ...!
少し控えめな男性だけど、私に寄り添ってくれる男性で。
私も心から愛したいと思える男性に、巡り合えました。
そして、今日...その殿方と婚約いたします。
「愛しています、生涯、愛し続けます。」
「えぇ、私もですわ!!大好きです!」
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