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私には、大好きな婚約者がいる。
相思相愛で、私を大切にしてくれる、大好きな人。
そして、その想いはこれからも変わらない...今までも、これからも。
私は、そう思っていた...のに。

「あぁ、こんなに可愛い僕の婚約者!
僕は幸せ者だ~っ!」
「あら、私の方が幸せ者ですわ。
こんなに貴方に愛してもらえて、私も愛していますよ、大好き。」
「僕もだよ、一生愛してる~!!」

こんな会話が出来るのも、今日で最後でした。
......貴方との関係は、強い愛で結ばれていると思っていたんですけどね。
...とっても脆い関係だったみたい...。

なぜ、貴方は変わってしまったのか。
それは、この国に聖女だと名乗る女性が現れたから。

その聖女様は...とても誠実な方で、美貌の持ち主でした。
...表向きは、ですが。

ですが、その女性が聖女だと証明できる根拠はありませんでした。
だから、怪しむ者が大半...だったのですが。
その女性は、不治の病で苦しむ子供を救ったそうです。

そのおかげか、国中が歓迎ムードに変わりました、「このお方は女神さまだ!」と。

...そうして、聖女様に求婚する殿方が集まりました。
......私の婚約者も、例外じゃなかったようです。

「本当にすまない。
僕は、聖女様に身も心も捧げることを決めた!
あの方とは、運命だったんだ!!
...本当にごめん、婚約破棄させてもらいたい。」
「…え?待ってください。
貴方の「一生愛す」と言う言葉は、嘘だったのですかっ!?」
「あの言葉は撤回する、
じゃあ、僕は聖女様へ会いに行かないといけないから。」

_そうして、貴方は消息不明になってしまいました。
私は、心に空いた穴を、埋めることができませんでした。

...私が傷付いて屋敷に籠っていると、一人の来客が来た。
幼馴染で、親友だった...隣国の王子だ。
何故来たのか問いかけると、

「君が好きだ。
僕と、結婚を前提に婚約してほしい。
...勿論、答えはすぐじゃなくていいから。」

ということだった。
今すぐには答えは出せないけれど、新しい恋をしてみるのも、良いかと思った。

私が傷付いて屋敷に籠っていたころ、国では大事件が起きていた。
実は、聖女様の能力は、人を意のままに操れる能力だった。
そのせいで、聖女様を愛している男性を意のままに動かし、国中の宝石を貢がせたそうだ。
わけあってその事がばれてしまい、聖女様は国外追放されてしまった。

「本当にすまなかった!
僕はなぜ君と婚約破棄してしまったのだろう、君ほど美しい女性が居ないことに気が付いてしまったよ!
...だから、僕ともう一度婚約してくれないか、?」
私の元婚約者が、聖女に裏切られたから都合よく戻ってきてしまいました。

「...あら、都合よく戻ってきたんですね。
『元』婚約者様?
貴方に興味はもうありませんので、さっさと帰って下さる?」
「っ...!今度は君だけを愛すと誓うよ!」
「視界に貴方が映るのでさえも汚らわしいですわ...。
それに、今私には婚約者がいますもの。
貴方と違って、誠実に愛してくれる方ですわ!!」
冷たい言葉で言って見せると、元婚約者は魂が抜けたように帰っていった。

今は、婚約してくれた幼馴染の彼と婚約を結んでいる。
聖女様は、今もどこかの国で生きていると思うと、少しゾッとするわね...。
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