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第二十五話〜意思表示①〜
しおりを挟むサキ君と再びお付き合いを始めてから早二ヶ月。
中学生みたいなキスから、未だに進展を見せない私達。
流石に少し心配になってきたので、華奈ちゃんに相談に乗ってもらう事にした。
「えっ!? 澄依ちゃん達まだシてないの?」
「華奈ちゃん、シー!」
予想外の大声に、唇の前に慌てて人差し指を立てた。
人の少ない時間帯の学食とは言え、この手の話題はやはり誰にも聞かれたくないのが乙女心というもの。
「ごめん。ちょっとビックリしちゃって」
「やっぱり変だよね?」
「変って事はないし、澄依ちゃんのペースでとは言ったけど、毎日のように会ってあれだけ青山君のアパートに行ってるのに、よく我慢出来るなと思って。主に青山君が」
「そうなの。サキ君のアパートに行っても、全然そういう感じにならないの」
健全過ぎるって言うか、よく言えば純愛そのものっていうか。
この間なんて、部屋にある電子ピアノをサキ君が弾いて聴かせてくれたから、中二の時の合唱コンクールで歌った『マ◯バラード』覚えてる? って言ったら、それもその場でサラッと弾き始めてくれて。
二人で一緒に一番の最後までノリノリで歌ってしまったんだよね。
私達って、大学生カップルだよね!?
音楽の授業前にはしゃぐ中学生じゃないよね!?
すごく楽しかったけど、なんか物足りないって言うか。
かなり物足りないって言うか……。
「まさか、チューはしてるよね?」
「うん。たまに、ちゅってするよ」
「え? たまに? ちゅって、フツーのやつ?」
「普通……だと思うけど。普通がどんなもんなのか、実はよく分からなくて」
そんなにおかしな発言をしているのだろうか、信じられないと言った顔つきで、絶句してる華奈ちゃん。
合唱の話しないで良かった。
きっと、何かしら突っ込まれるに違いないもの。
「この間の澄依ちゃんのお誕生日はどうしたの? 一緒にお出かけしてプレゼントもらったんでしょ?」
「うん、これお揃いのピアス」
「わぁ~お星さま可愛いね!」
そう。
この間の私の誕生日には、ちょっとお洒落なフレンチレストランのディナーに連れて行ってくれたの。
フレンチなんて初めてで緊張していたけど、お母さんのお知り合いのお店だから気楽にって言ってくれて、お店自体も思ってたよりも全然カジュアルで。
私は無難に花柄のワンピを着て行ったけど、サキ君はノーカラーのジャケットに綺麗めなスラックスを合わせていて、かっちりし過ぎない程よい感じのお洒落さに、心臓がギュンと撃ち抜かれた。
お料理は彩りよくどれも手が込んでいて美味しかったし、サプライズのケーキには涙が出るほど感動した、その上帰りはドライブまでしてくれて――
夢心地のように楽しかったし、プレゼントで貰ったサキ君とお揃いのピアスも本当に嬉しくて……だからその日はもしかしてお泊まりかもって期待していたのに、そんなイケナイ事を考えていたのは、どうやら私だけだったみたい。
華奈ちゃんと買いに行った、ピンク色のお花の刺繍が可愛いブラとショーツのセット、この日の為に準備してたんだけどな。
例の脱毛は完璧とは言えないけど、ちゃんと自分でお手入れもして、少しダイエットも頑張って、いつそうなっても良かったのに。
あの日は、レストランの駐車場で誰もいないのを見計らって一度だけキスしたけど、本当はそのせいで余計に物足りなくなっていた。
身体の奥が疼くような、サキ君に触れたくて仕方なくなるような変な気分に。
頬をくすぐる秋の夜風は冷たかったのに、私に灯った熱はちっとも奪い去ってくれなかった。
「ちなみに、澄依ちゃんはエッチな事はしたくならないの?」
「サキ君とくっついたり、もっと仲良くなりたいって思うから、そういう事なんだと……思ってはいるんだけど……」
「うーんなるほど。中学の時の事があるから、青山君は相当慎重になってるのかもしれないなぁ」
「やっぱりそう思う?」
あの時私が泣いて逃げ出したから、サキ君もしかして遠慮してるのかと思ってはいたんだよね。
でもあの頃の私と、今の私は違うのに。
「うん、間違いなくそうだと思う。澄依ちゃんそうしたらね、良い事教えてあげる……コソコソコソコソ」
「分かった、頑張ってみる。華奈ちゃんありがとう!」
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