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1章
8話「代価の重さとその覚悟の強さ」
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ユリウスはガイアとフェランドからの言葉に驚かされた。2人の命を代価にする事で転生者の輝きと言う力を可能とする事に驚く事しか出来ない。
フェランドはユリウスに静かに近寄りある物を見せる。それは転生者のコーネルドとガラハッドの力と運命を刻まれた書物である本を差し出してこう語る。
「俺達はオルガスタン大陸の先駆者であるコーネルドとガラハッドの器として産まれてきた者です。その器として覚醒した俺達はある記憶を受け継いでいます……そう、2人が死ぬ間際に残す人々への願いを託して死んだ事を知らせてくれました。その結果、コーネルドとガラハッドの意思を俺とガイアは受け継ぎました。俺達はこの記憶と共に代価としての器として天命を全うする事を決意しています。だから、俺達の事を信じてくれるのであれば俺達の力を使って下さい」
「……しかし……」
「ユリウス様、俺もフェランドも覚悟はもう心に刻んでいます。だからこそ、俺達はオルガスタンの未来を取り戻す為に命を使って戦う所存です」
「ユリウス様、ガイア君もフェランド君も自分達の運命を受け入れております。その覚悟を私達は受け入れて前に進まないといけません。でも、決して悲しみに浸っている訳にはいかないのです」
アベルゾはユリウスに静かに諭す。ガイアもフェランドもその代価としての器としての役目に準じる決意は秘めている。
だからユリウスも覚悟を決めて腹を括った。だからこそ、ガイアとフェランドもユリウスに強い信頼を寄せるのであった。
そして、アベルゾとユリウスはガイアとフェランド達の前で色々と説明をし始めて現状を確認していく。現状として確認されたのはオルターナの国内にはモンスターを俳諧させて、同時にデデルの支配をより強固にしていかんと国内は次第にモンスターの数と闇の力が増加したのである。
だが、それはオルターナの国内に生存している国民達の命を奪い取り生命の力であるマナを吸収していった。それがオルターナの国土と力を地底へと落としていった。
「正直、早急にデデルを討たねばもう時間は残されていません。このオルターナが陥落してもう長い事国民達には希望を求める余裕も願いもありません。デデルを打ち倒しオルターナの光を灯さないとスジエルの願いは果たせないと思います」
「増援も受ける事は絶望的ではありますが、ここにいる騎士達とユリウス様の仲間達と力を合わせて城内に侵入、そしてデデルの撃破を目的として行動をしなくてはならない。そして、同時にオルターナの解放はスジエルにとっても急務ではありますからね」
「俺達もオルガスタンの未来を切り開く為に全力を注ぎます。それは同時に俺達は転生者の運命を全うすると決めていますから」
「ユリウス様、俺はこの解放戦で自分の実力を見極めて貴方様の故郷オルターナを救出してみせます」
「フェランド殿、ガイア殿、この戦いで貴方方の命を使う事になるのは避けれませんがどうかお互いに生きて再会を果たしましょう」
ホームを出てオルターナの国内に散っていく。ガイアとアベルゾは広場の北側に、フェランドとルーデリッシュが広場の西側に散った。
静かに移動するガイアとフェランドはそれぞれの持ち場に着いた時に気付く。広場の中央にどす黒い模様が浮かぶ、それは同時に闇魔法を強化して効果と威力を上げていく。
その模様を維持しているのはモンスター達を支配する下級の魔族が魔力を使っているのが伺えた。下級の魔族は魔法を詠唱しながらもジワリと確実に闇の力を高めていく。
ガイアとアベルゾは下級の魔族目掛けて突貫していく。ルーデリッシュとフェランドはモンスターの数を減らしていきながら次第に進軍を実行し始める。
「行くぞ! このままモンスターの数を減らして一気に城門へ向かうぞ!」
「城内に進軍して一気にデデルを追い詰めますよ! このまま連携して上がります!」
「……」
「どうした?」
「いえ、デデルの目的を見抜かないと危ないかも、って思って……」
「ガイアとアベルゾがそれを見抜いているのではないだろうか?」
「そうだとは思いますが、なんだろう……嫌な予感がしているんです。ガイアやアベルゾさんの予想を超える何か大きな力が動いている様な気がして……」
フェランドはそう口にしながらも決して絶望を浮かべてはいない。でも、それは転生者としての本能を活かして希望を抱いているのだとルーデリッシュに感じさせている。
静かに忍び寄る闇の力、それがオルターナの全てを多い隠さんとしている。だが、それを絶望とは思っていないのは戦っているアベルゾ・ルーデリッシュ・ガイア・フェランドの心に刻まれていた。
諦めない、それだけでも希望として仲間達の心に闘志を持たせている。城内へと入り込んだガイア達は馬から降りて城内を駆け抜ける。
ユリウスの先導で城内を走る5人を中心として数名の騎士達が随従して城内を警戒しながら走っていく。そして、デデルがいるとされている地下にある魔力の間、そこに駆け込んだガイア達は異常な光景に瞳を見開く。
「これはっ……!?」
「これが魔族デデル……!?」
「こんな姿をしているのか……!」
「来たか。このオルターナの地を我がアガルダ様の命により支配する私に挑むとは愚かなり。人間如きには私を倒そうと言うのは不可能だと言う事を教えてやろう」
「ガイア、俺が盾になる」
「フェランド、だが……」
「私とルーデリッシュを使って下さい。貴方達は転生者の輝きを準備してタイミングを討つのです」
「チャンスはそう多くはない。一撃一撃の威力を高めて挑め!」
ルーデリッシュとアベルゾがガイアとフェランドの前に立って時間稼ぎに立ち向かう。だが、ユリウスは気付いてしまった、2人は死ぬ気でこの戦いへ挑むつもりなのだ。
ガイアとフェランドはアベルゾとルーデリッシュの背を見つめながら2人は転生者の輝きを右手に持っている剣へと宿していく。その行動を実行に移している2人の顔から生気が徐々に失われ始めていた。
だが、2人は決して絶望には染まらない。希望を胸に、自分達の為に背を預けているアベルゾとルーデリッシュの為にも絶望に染まる訳にはいかなかった。
そして、デデルはアベルゾとルーデリッシュの身体に無数の尖爪と化した自分の爪を突き刺す。だが、それだけの攻撃では収まらない……アベルゾが剣を振るって尖爪を叩き折り動きを解放するとデデルへと突撃していく。
「はぁぁぁぁ!」
「甘いわ! その程度の動きでは私は捉えれないぞ」
「俺の事も忘れるな。アベルゾだけではない」
「ふふふっ、愚か愚か愚か。人間はその身体に爪を突き立てて鮮血を上げれば死んでしまうひ弱な生物である人間如きには私は倒せん」
「デデル!!」
「ほぅ……オルターナの王族であるユリウス、貴様もまた来たか。だが、もう諦めればいいものを。お前の命は我が主アガルダ様の糧になってこのオルガスタンの支配を強めるのだ!!」
デデルの高い笑い声が響く中でアベルゾもルーデリッシュも一歩も引く気は見せないで挑み続ける。そして、デデルの頭上から剣を振り下ろすユリウスの怒りに満ちた瞳がデデルを捉えて離れはしなかった。
だからこそ、デデルには確信を持った。まだこの者達は何かを隠し持っているものがあると。
だが、それに対応する必要はないとデデルは笑っている。デデルは静かにアベルゾとルーデリッシュに決定的な怪我を負わせに掛かった。
「ちょこまかと動き回る煩い虫には少し退場してもらおうか」
「ぐっ!!」
「がはっ!!」
「アベルゾ様! ルーデリッシュ様!」
「ユリウス様! 離れて! ガイア!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
「な、貴様……転生者か!?」
「魔神アガルダの手下である魔族デデル! この剣で全てでお前を討つ!」
「転生者! 殺してやる! 生かしてはおけぬ! 魔神アガルダ様の世界には不要だ!!」
デデルが怒りを見せながら魔力の間全体を覆い隠す様に巨大化していき、アベルゾとルーデリッシュ、ガイアとフェランド、ユリウスを包み込まんとする。だが、ガイアを中心に魔力の間を転げ出てデデルと対峙すると剣を構えて全員が臨戦態勢を取る。
いよいよデデルは魔力の間から身体全体を出して5人を襲い始めた。だが、その攻撃は意図を持って5人を殺しに掛かる。
そして、ガイアは転生者の力を宿した剣でデデルの攻撃を切り下していく。そのガイアをサポートする様にアベルゾとルーデリッシュが身体中から鮮血を流しながらも動き回ってデデルの攻撃を退けていた。
「ガイア君、行けますか?」
「俺とアベルゾが視界を奪う。タイミングを計って切り込め。俺達を使え」
「分かりました。俺が必ず仕留めます」
「……よしっ」
ガイアとアベルゾ、ルーデリッシュがデデルに向かって挑んでいく背中をフェランドはある決意を持って見ていた。そして、ガイア達が離れたと同時に1人で立ち上がり腰に差している剣を引き抜きデデルの死角を狙って移動を開始する。
ガイアの前に立ってデデルから見せない様に動き回っているアベルゾの右足には深々と尖爪が突き刺さり、ルーデリッシュの左肩には闇の魔力で生み出された鋭い刃の鎌が深々と食い込んでいる。だが2人の騎士は決して怯みもしなければ後退する事は決してしなかった。
それがデデルの自我に焦りに近い感情を生み出し、デデルは気付くのが遅れた。2人の騎士達の背に隠れていた転生者の魂を持つガイアが、転生者の輝きを宿した剣を構えて攻撃のタイミングを計って駆け出して接近している事に。
「今ですガイア君!」
「行けっ……!」
「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぐっ、この際! 腕の1本くらいくれてやるわ! 転生者には死を!!!」
「!!」
「ガイア君!」
「ガイアっ!」
「させるかぁ!」
「「!!」」
「フェランド!!」
デデルの死角に走っていたフェランドはデデルの意識がガイアに固定されているのを絶好のチャンスだと確信して……その右手に握り締めている白銀の剣を光らせてデデルの懐に滑り込んだ。そして、剣を下から上へと振り上げてデデルの顎から頭部にまで切り上げた。
その攻撃を受けたデデルは驚きとダメージによる怯みで行動が暫く停止する。それが最後のチャンスであった。
「ガイア!!」
「っ!! 消えろぉぉぉぉ!!!」
「いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ザシュとガイアの持つ転生者の輝きを宿した白銀の剣がデデルの心臓部分を貫く。そして、どす黒い血を流しながらデデルは最後の呻きとして主である魔神アガルダへの賛美を語って息絶える。
「我が主……どうぞ……この愚かな世界に……闇と……絶望を与えし……我が主の……支配こそ……幸福なりぃぃぃぃぃぃ!!」
シュウっと煙と砂に変わり果てたデデルの死体となった最後の姿を5人は見つめる。ユリウスは暫く騎士達の勇ましい行動と勇気ある姿に呆然としていたが、暫くして我を取り戻す。
「あ……ガイア殿、フェランド殿、アベルゾ様、ルーデリッシュ様!」
「どうやら……作戦は達成された、と見ていいようですね……」
「絶望を退けた……結果は明白だ」
「フェランド、お前無茶し過ぎだろう……焦ったじゃないか」
「あはは、ごめん。でも、結果オーライだろ」
騎士達は地面に座り込んでお互いの無事を確認する。そして、騎士達を案じたユリウスの声に返事をする様に騎士達は笑顔で声を返すのだった。
だが、まだ戦いの始まりの鐘は鳴り始めたばかりなのだから――――。
フェランドはユリウスに静かに近寄りある物を見せる。それは転生者のコーネルドとガラハッドの力と運命を刻まれた書物である本を差し出してこう語る。
「俺達はオルガスタン大陸の先駆者であるコーネルドとガラハッドの器として産まれてきた者です。その器として覚醒した俺達はある記憶を受け継いでいます……そう、2人が死ぬ間際に残す人々への願いを託して死んだ事を知らせてくれました。その結果、コーネルドとガラハッドの意思を俺とガイアは受け継ぎました。俺達はこの記憶と共に代価としての器として天命を全うする事を決意しています。だから、俺達の事を信じてくれるのであれば俺達の力を使って下さい」
「……しかし……」
「ユリウス様、俺もフェランドも覚悟はもう心に刻んでいます。だからこそ、俺達はオルガスタンの未来を取り戻す為に命を使って戦う所存です」
「ユリウス様、ガイア君もフェランド君も自分達の運命を受け入れております。その覚悟を私達は受け入れて前に進まないといけません。でも、決して悲しみに浸っている訳にはいかないのです」
アベルゾはユリウスに静かに諭す。ガイアもフェランドもその代価としての器としての役目に準じる決意は秘めている。
だからユリウスも覚悟を決めて腹を括った。だからこそ、ガイアとフェランドもユリウスに強い信頼を寄せるのであった。
そして、アベルゾとユリウスはガイアとフェランド達の前で色々と説明をし始めて現状を確認していく。現状として確認されたのはオルターナの国内にはモンスターを俳諧させて、同時にデデルの支配をより強固にしていかんと国内は次第にモンスターの数と闇の力が増加したのである。
だが、それはオルターナの国内に生存している国民達の命を奪い取り生命の力であるマナを吸収していった。それがオルターナの国土と力を地底へと落としていった。
「正直、早急にデデルを討たねばもう時間は残されていません。このオルターナが陥落してもう長い事国民達には希望を求める余裕も願いもありません。デデルを打ち倒しオルターナの光を灯さないとスジエルの願いは果たせないと思います」
「増援も受ける事は絶望的ではありますが、ここにいる騎士達とユリウス様の仲間達と力を合わせて城内に侵入、そしてデデルの撃破を目的として行動をしなくてはならない。そして、同時にオルターナの解放はスジエルにとっても急務ではありますからね」
「俺達もオルガスタンの未来を切り開く為に全力を注ぎます。それは同時に俺達は転生者の運命を全うすると決めていますから」
「ユリウス様、俺はこの解放戦で自分の実力を見極めて貴方様の故郷オルターナを救出してみせます」
「フェランド殿、ガイア殿、この戦いで貴方方の命を使う事になるのは避けれませんがどうかお互いに生きて再会を果たしましょう」
ホームを出てオルターナの国内に散っていく。ガイアとアベルゾは広場の北側に、フェランドとルーデリッシュが広場の西側に散った。
静かに移動するガイアとフェランドはそれぞれの持ち場に着いた時に気付く。広場の中央にどす黒い模様が浮かぶ、それは同時に闇魔法を強化して効果と威力を上げていく。
その模様を維持しているのはモンスター達を支配する下級の魔族が魔力を使っているのが伺えた。下級の魔族は魔法を詠唱しながらもジワリと確実に闇の力を高めていく。
ガイアとアベルゾは下級の魔族目掛けて突貫していく。ルーデリッシュとフェランドはモンスターの数を減らしていきながら次第に進軍を実行し始める。
「行くぞ! このままモンスターの数を減らして一気に城門へ向かうぞ!」
「城内に進軍して一気にデデルを追い詰めますよ! このまま連携して上がります!」
「……」
「どうした?」
「いえ、デデルの目的を見抜かないと危ないかも、って思って……」
「ガイアとアベルゾがそれを見抜いているのではないだろうか?」
「そうだとは思いますが、なんだろう……嫌な予感がしているんです。ガイアやアベルゾさんの予想を超える何か大きな力が動いている様な気がして……」
フェランドはそう口にしながらも決して絶望を浮かべてはいない。でも、それは転生者としての本能を活かして希望を抱いているのだとルーデリッシュに感じさせている。
静かに忍び寄る闇の力、それがオルターナの全てを多い隠さんとしている。だが、それを絶望とは思っていないのは戦っているアベルゾ・ルーデリッシュ・ガイア・フェランドの心に刻まれていた。
諦めない、それだけでも希望として仲間達の心に闘志を持たせている。城内へと入り込んだガイア達は馬から降りて城内を駆け抜ける。
ユリウスの先導で城内を走る5人を中心として数名の騎士達が随従して城内を警戒しながら走っていく。そして、デデルがいるとされている地下にある魔力の間、そこに駆け込んだガイア達は異常な光景に瞳を見開く。
「これはっ……!?」
「これが魔族デデル……!?」
「こんな姿をしているのか……!」
「来たか。このオルターナの地を我がアガルダ様の命により支配する私に挑むとは愚かなり。人間如きには私を倒そうと言うのは不可能だと言う事を教えてやろう」
「ガイア、俺が盾になる」
「フェランド、だが……」
「私とルーデリッシュを使って下さい。貴方達は転生者の輝きを準備してタイミングを討つのです」
「チャンスはそう多くはない。一撃一撃の威力を高めて挑め!」
ルーデリッシュとアベルゾがガイアとフェランドの前に立って時間稼ぎに立ち向かう。だが、ユリウスは気付いてしまった、2人は死ぬ気でこの戦いへ挑むつもりなのだ。
ガイアとフェランドはアベルゾとルーデリッシュの背を見つめながら2人は転生者の輝きを右手に持っている剣へと宿していく。その行動を実行に移している2人の顔から生気が徐々に失われ始めていた。
だが、2人は決して絶望には染まらない。希望を胸に、自分達の為に背を預けているアベルゾとルーデリッシュの為にも絶望に染まる訳にはいかなかった。
そして、デデルはアベルゾとルーデリッシュの身体に無数の尖爪と化した自分の爪を突き刺す。だが、それだけの攻撃では収まらない……アベルゾが剣を振るって尖爪を叩き折り動きを解放するとデデルへと突撃していく。
「はぁぁぁぁ!」
「甘いわ! その程度の動きでは私は捉えれないぞ」
「俺の事も忘れるな。アベルゾだけではない」
「ふふふっ、愚か愚か愚か。人間はその身体に爪を突き立てて鮮血を上げれば死んでしまうひ弱な生物である人間如きには私は倒せん」
「デデル!!」
「ほぅ……オルターナの王族であるユリウス、貴様もまた来たか。だが、もう諦めればいいものを。お前の命は我が主アガルダ様の糧になってこのオルガスタンの支配を強めるのだ!!」
デデルの高い笑い声が響く中でアベルゾもルーデリッシュも一歩も引く気は見せないで挑み続ける。そして、デデルの頭上から剣を振り下ろすユリウスの怒りに満ちた瞳がデデルを捉えて離れはしなかった。
だからこそ、デデルには確信を持った。まだこの者達は何かを隠し持っているものがあると。
だが、それに対応する必要はないとデデルは笑っている。デデルは静かにアベルゾとルーデリッシュに決定的な怪我を負わせに掛かった。
「ちょこまかと動き回る煩い虫には少し退場してもらおうか」
「ぐっ!!」
「がはっ!!」
「アベルゾ様! ルーデリッシュ様!」
「ユリウス様! 離れて! ガイア!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
「な、貴様……転生者か!?」
「魔神アガルダの手下である魔族デデル! この剣で全てでお前を討つ!」
「転生者! 殺してやる! 生かしてはおけぬ! 魔神アガルダ様の世界には不要だ!!」
デデルが怒りを見せながら魔力の間全体を覆い隠す様に巨大化していき、アベルゾとルーデリッシュ、ガイアとフェランド、ユリウスを包み込まんとする。だが、ガイアを中心に魔力の間を転げ出てデデルと対峙すると剣を構えて全員が臨戦態勢を取る。
いよいよデデルは魔力の間から身体全体を出して5人を襲い始めた。だが、その攻撃は意図を持って5人を殺しに掛かる。
そして、ガイアは転生者の力を宿した剣でデデルの攻撃を切り下していく。そのガイアをサポートする様にアベルゾとルーデリッシュが身体中から鮮血を流しながらも動き回ってデデルの攻撃を退けていた。
「ガイア君、行けますか?」
「俺とアベルゾが視界を奪う。タイミングを計って切り込め。俺達を使え」
「分かりました。俺が必ず仕留めます」
「……よしっ」
ガイアとアベルゾ、ルーデリッシュがデデルに向かって挑んでいく背中をフェランドはある決意を持って見ていた。そして、ガイア達が離れたと同時に1人で立ち上がり腰に差している剣を引き抜きデデルの死角を狙って移動を開始する。
ガイアの前に立ってデデルから見せない様に動き回っているアベルゾの右足には深々と尖爪が突き刺さり、ルーデリッシュの左肩には闇の魔力で生み出された鋭い刃の鎌が深々と食い込んでいる。だが2人の騎士は決して怯みもしなければ後退する事は決してしなかった。
それがデデルの自我に焦りに近い感情を生み出し、デデルは気付くのが遅れた。2人の騎士達の背に隠れていた転生者の魂を持つガイアが、転生者の輝きを宿した剣を構えて攻撃のタイミングを計って駆け出して接近している事に。
「今ですガイア君!」
「行けっ……!」
「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぐっ、この際! 腕の1本くらいくれてやるわ! 転生者には死を!!!」
「!!」
「ガイア君!」
「ガイアっ!」
「させるかぁ!」
「「!!」」
「フェランド!!」
デデルの死角に走っていたフェランドはデデルの意識がガイアに固定されているのを絶好のチャンスだと確信して……その右手に握り締めている白銀の剣を光らせてデデルの懐に滑り込んだ。そして、剣を下から上へと振り上げてデデルの顎から頭部にまで切り上げた。
その攻撃を受けたデデルは驚きとダメージによる怯みで行動が暫く停止する。それが最後のチャンスであった。
「ガイア!!」
「っ!! 消えろぉぉぉぉ!!!」
「いゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ザシュとガイアの持つ転生者の輝きを宿した白銀の剣がデデルの心臓部分を貫く。そして、どす黒い血を流しながらデデルは最後の呻きとして主である魔神アガルダへの賛美を語って息絶える。
「我が主……どうぞ……この愚かな世界に……闇と……絶望を与えし……我が主の……支配こそ……幸福なりぃぃぃぃぃぃ!!」
シュウっと煙と砂に変わり果てたデデルの死体となった最後の姿を5人は見つめる。ユリウスは暫く騎士達の勇ましい行動と勇気ある姿に呆然としていたが、暫くして我を取り戻す。
「あ……ガイア殿、フェランド殿、アベルゾ様、ルーデリッシュ様!」
「どうやら……作戦は達成された、と見ていいようですね……」
「絶望を退けた……結果は明白だ」
「フェランド、お前無茶し過ぎだろう……焦ったじゃないか」
「あはは、ごめん。でも、結果オーライだろ」
騎士達は地面に座り込んでお互いの無事を確認する。そして、騎士達を案じたユリウスの声に返事をする様に騎士達は笑顔で声を返すのだった。
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