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4章
29話「まずは情報を集めて目的地を決めよう」
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国境の街にて情報を集めにガイアが出て行き、フェランドはミリーアと共に街の散策を行っていた。街は比較的に冒険者達や旅の商人達が多くてフェランドはまだこの街がアガルダの手に落ちていない事に喜びを感じていた。
「こんなにも賑わっているんだね」
「そう。アガルダがわざと残しているっていう人もいるけれど、マナの力が弱いから見逃されているんだと思うわ」
「つまりアガルダはマナの力が強い国や街を手に入れている、って事かい?」
「えぇ、それが目的なのだと思う」
そう言えばオルターナもマナの力が強い土地だってユリウスが話していた事を思い出す。それだけの理由でこのオルガスタン大陸を支配していくのはどうしてなのだろうかと、フェランドは少し考えてみるが全然答えなんて出てこない。
ミリーアの案内で街の広場に行くとエルフの旅一団が何かの演目を行っているのが見えて、フェランドは少し眺めていた。明るめの時間ではあるので見物客はそれなりにいるが皆がエルフだと分かると驚きから見ている様でもあった。
「やっぱりまだエルフは珍しいという事なのかな……?」
「そうでしょうね。あら? あのエルフは演目に入らないのかしら……」
「ん? あのエルフかい?」
「えぇ、ただ立っているだけみたいだけれど……」
ミリーアが知らせてくれた先にいるエルフは何もしないで立っているだけのエルフの様で、フェランドはミリーアを連れてそのエルフに近寄る。フェランドとミリーアが近付くとエルフは驚きながらも頭を下げる。
ミリーアがエルフに話し掛けてどうして立っているだけなのかと問い掛けていると、そこに1人の老人が近寄る。その老人は立っているだけのエルフに何かを渡して立ち去る。
「それはなぁに?」
「街の人々から演目のお礼のお金です。僕の役目はこのお金を受け取るだけの仕事なんです」
「だから立っているだけなんだな。でも、それで生活しているのかい?」
「えぇ、僕達エルフは精霊と共に生きているから狩りとかでも食料を得る事は出来ます。でも、魔神アガルダの目につかない様に移動しながら生活するのはとても苦労するんです」
「やっぱり魔神アガルダに怯えているのね……」
「俺達が倒してこんな小さな街だとか、頑張って生きている皆の為に戦わないと……」
「えっ、お兄さんアガルダと戦うのですか?」
「うん。そんな運命の元に生まれた人間だからね。だから、少しでも抗ってみようと思うんだ」
エルフはそれを聞いて驚きで瞳を大きく見開く。そして、演目が終わったのかエルフにお金を渡しに来る市民達の邪魔にならない様に離れていくフェランドをエルフはただ見つめていた。
フェランドはガイアがここにいれば合流できるだろうかと考えていると、エルフの旅一団のリーダーらしいエルフがフェランドに声を掛ける。フェランドがその声に振り向くとリーダーエルフは頭を深々と下げて挨拶をしてくる。
「運命の……騎士様ですな?」
「……そうだけれど、よく分かりましたね?」
「カルズ、先程金を受け取っていたエルフから話を聞きまして。私達は貴方を探していたんです」
「それって……エルフの意思じゃないの? エルフが外に出るのには運命の騎士が関わっているって事?」
「私達はある言葉を聞いて危機感を募らせていました。そして、里の長老達に言われて運命の騎士を探す旅に出たのです。そう……アガルダを倒す事が出来る騎士を」
「じゃあ旅一団として旅をしていたのも? あの、俺達もエルフに力を借りたくて情報を集めていたんです! 仲間がもう少ししたら……」
「私がガイアを呼んでくるわ。フェランドは彼らから話を聞いていて」
ミリーアがフェランドの肩から離れてガイアを呼びに行っている間に、エルフのリーダーはフェランドをテントの中に案内する。案内されたフェランドは中に集まっているエルフ達が頭を下げてくるのを受けて一礼する。
リーダーエルフは椅子にフェランドを座らせるとある地図を取り出して広げて見せる。その地図には大きな円が描かれており、なにを示すのかはフェランドには分からなかった。
リーダーエルフがその円の中心である場所を指で指し示す。そこはアガルダがいるとされているオジナル国があった。
「これは……」
「オジナル国を中心にこの円が描かれているのはご理解頂けますかな?」
「オジナル国を中心に広がっていますね……まるでオジナル国に何かあるような……?」
「そう、オジナル国にこの円が集まって行く様に書かれております。その理由は……マナによるマナ脈と呼ばれる流れが集まる場所だからです」
フェランドの頭には以前レジェース本部の座学で習った事が思い出される。マナの脈流と呼ばれる存在についての座学であった。
フェランドがその座学の内容を思い出しているとミリーアとガイアがテント内に入ってくる。ガイアがリーダーエルフに頭を下げてフェランドの隣に座ると先程までの話をリーダーエルフはガイアにもしてくれた。
「つまり、マナの流れがある大地にこの円が描かれていてオジナルはその流れが他の国や土地よりも強いって事か」
「えぇ、そしてそれは異常な程までのマナの集まりを見せているのです。それをアガルダは何かに利用し始めている、そう考えてよろしいかと」
「だが、それが本当なら他のマナを奪う理由もその目的に利用していると推測するべきなんだろうな。それがアガルダの真なる目的であったなら」
「そして、エルフ一族はこの事態に早急に気付き……運命の騎士を探す様に仲間達に知らせてきました。全ての命を守る為に」
リーダーエルフの言葉にフェランドもガイアも先にミリーアから聞かされたエルフと人間の確執の話を思い出す。人間を救うじゃなく全ての命を守る為に、里から出ないエルフ達がこうして出てきているのは異常でもあるのだとガイアは感じていた。
エルフ達の目的が自分達である事を知ってガイアとフェランドはエルフ達が感じている事について聞く事にする。そして、その情報はガイア達にとっては衝撃過ぎていたが。
「エルフの里の中にはアガルダに服従するべきだという者達も出ています。しかし、その者達は姿をダークエルフと呼ばれる肌が黒い種族に変えてアガルダの元に。しかし、残った者達は運命の騎士達に従うべきだと考えています。世界を、オルガスタン大陸を救えるのがその騎士達だけだと知っているから」
「それはそれは……たいそうな期待だな? 俺達が負けるかも知れないって考えないのか?」
「世界樹がそうは告げてないからです」
「世界樹ってエルフにも何かしらの声を届けているのかな?」
「えぇ、エルフは世界樹の力になる「マナの聖樹」を育む一族として世界樹の恩恵を受けている筈。でも、マナの聖樹はもうそんなに残っていないと思うのだけれど……」
「最後の聖樹が間もなく開花します。それと同時にアガルダの猛攻が始まる……そう世界樹は私達に知らせてくれました。時間はそう残されてはいないでしょう」
ガイアもフェランドも「マナの聖樹」についての説明を受けていないのでミリーアに視線を向けていると、先程のお金を受け取っていたエルフが1枚の葉を取り出して見せてきた。
その葉は淡い光を放っており、仄かに温かさを感じる程であった。そんな葉に魅入っていたフェランドは気付く、何か声がする事に。
「?」
『私の……』
「どうしたフェランド?」
『私の声が聞こえたら』
「声が……聞こえる……」
「声?」
「もしかして、こちらの方は……マナの御子様ですか?」
『私の言葉を届けて、私の言葉を聞いて』
フェランドの意識が次第に声に包まれていく。それを危険だと思ったガイアが声を掛けるが既にフェランドの意識は声に飲まれていた。
それからガイアはフェランドをエルフの手を借りて宿屋に運び、眠っているかの様に目を伏せているフェランドをベッドに寝かせて見守っていた。何が起きているのかは明確ではないが「声」が聞こえているだけなのだろうか? そんな考えがガイアの脳裏に過ぎる。
ミリーアが部屋に来てガイアの肩に乗りフェランドの様子を見守る。そして、ガイアは目覚めるまでは動けない事を告げて情報の整理を行おうとミリーアに告げる。
「それで、ガイアの考えではエルフの協力を得て里に移動する、って考えなのね?」
「あぁ、そして、里にいるだろう運命の者達の事を聞いてその者達に判断を仰ぐつもりだ。俺達の旅には危険が絶対に付き物であるし、それによって里から出ないといけない事も明確だからな」
「そうね。そして、その旅の果てに魔神アガルダとの戦闘は避けられないもの」
「あと、次の目的地だが……ハルーネルト国に向かう」
「あら? そこは魔神アガルダに支配されている国じゃない。危ないのでは?」
「だから敢えて行くんだ。敵の情報を得るには懐に入るのが一番にいい」
「それは反対よ。まずいはエルフの里に行くべきだわ。フェランドの事も含めて今は安全策を取るべきよ」
ガイアの視線は寝ているフェランドに向けられる。エルフから言われたマナの御子という言葉にも引っ掛かりを覚えているのは事実である。
そして、ミリーアが身体を休ませて眠ってしまったのを確認してからガイアはフェランドの右手を握る。まだ力の入らないフェランドに不安だけが増していく。
そんな瞬間、ガイアの手を握り返すフェランドに気付く。顔を覗き込んだガイアにフェランドの瞳が見つめ返す。
「ガイア……」
「フェランド、大丈夫か?」
「懐かしい夢を見てた……あの頃の夢」
「あの頃の夢?」
「2人で秘密基地を作って村長に怒られた夢……懐かしかった」
「そっか……ん、良かったよ目が覚めて」
「ガイア、キスして……」
「フェランド……」
重なる唇に込められた愛おしさ、優しさ、心配を感じてフェランドの両目を溢れ出た涙が濡らす。フェランドの中に何かが起こったのをガイアはそこで気付く。
だが、今の自分ではフェランドの何かを知る事は出来ない。そして、この事からフェランドは次第に覚醒へと進んでいくのであった――――。
「こんなにも賑わっているんだね」
「そう。アガルダがわざと残しているっていう人もいるけれど、マナの力が弱いから見逃されているんだと思うわ」
「つまりアガルダはマナの力が強い国や街を手に入れている、って事かい?」
「えぇ、それが目的なのだと思う」
そう言えばオルターナもマナの力が強い土地だってユリウスが話していた事を思い出す。それだけの理由でこのオルガスタン大陸を支配していくのはどうしてなのだろうかと、フェランドは少し考えてみるが全然答えなんて出てこない。
ミリーアの案内で街の広場に行くとエルフの旅一団が何かの演目を行っているのが見えて、フェランドは少し眺めていた。明るめの時間ではあるので見物客はそれなりにいるが皆がエルフだと分かると驚きから見ている様でもあった。
「やっぱりまだエルフは珍しいという事なのかな……?」
「そうでしょうね。あら? あのエルフは演目に入らないのかしら……」
「ん? あのエルフかい?」
「えぇ、ただ立っているだけみたいだけれど……」
ミリーアが知らせてくれた先にいるエルフは何もしないで立っているだけのエルフの様で、フェランドはミリーアを連れてそのエルフに近寄る。フェランドとミリーアが近付くとエルフは驚きながらも頭を下げる。
ミリーアがエルフに話し掛けてどうして立っているだけなのかと問い掛けていると、そこに1人の老人が近寄る。その老人は立っているだけのエルフに何かを渡して立ち去る。
「それはなぁに?」
「街の人々から演目のお礼のお金です。僕の役目はこのお金を受け取るだけの仕事なんです」
「だから立っているだけなんだな。でも、それで生活しているのかい?」
「えぇ、僕達エルフは精霊と共に生きているから狩りとかでも食料を得る事は出来ます。でも、魔神アガルダの目につかない様に移動しながら生活するのはとても苦労するんです」
「やっぱり魔神アガルダに怯えているのね……」
「俺達が倒してこんな小さな街だとか、頑張って生きている皆の為に戦わないと……」
「えっ、お兄さんアガルダと戦うのですか?」
「うん。そんな運命の元に生まれた人間だからね。だから、少しでも抗ってみようと思うんだ」
エルフはそれを聞いて驚きで瞳を大きく見開く。そして、演目が終わったのかエルフにお金を渡しに来る市民達の邪魔にならない様に離れていくフェランドをエルフはただ見つめていた。
フェランドはガイアがここにいれば合流できるだろうかと考えていると、エルフの旅一団のリーダーらしいエルフがフェランドに声を掛ける。フェランドがその声に振り向くとリーダーエルフは頭を深々と下げて挨拶をしてくる。
「運命の……騎士様ですな?」
「……そうだけれど、よく分かりましたね?」
「カルズ、先程金を受け取っていたエルフから話を聞きまして。私達は貴方を探していたんです」
「それって……エルフの意思じゃないの? エルフが外に出るのには運命の騎士が関わっているって事?」
「私達はある言葉を聞いて危機感を募らせていました。そして、里の長老達に言われて運命の騎士を探す旅に出たのです。そう……アガルダを倒す事が出来る騎士を」
「じゃあ旅一団として旅をしていたのも? あの、俺達もエルフに力を借りたくて情報を集めていたんです! 仲間がもう少ししたら……」
「私がガイアを呼んでくるわ。フェランドは彼らから話を聞いていて」
ミリーアがフェランドの肩から離れてガイアを呼びに行っている間に、エルフのリーダーはフェランドをテントの中に案内する。案内されたフェランドは中に集まっているエルフ達が頭を下げてくるのを受けて一礼する。
リーダーエルフは椅子にフェランドを座らせるとある地図を取り出して広げて見せる。その地図には大きな円が描かれており、なにを示すのかはフェランドには分からなかった。
リーダーエルフがその円の中心である場所を指で指し示す。そこはアガルダがいるとされているオジナル国があった。
「これは……」
「オジナル国を中心にこの円が描かれているのはご理解頂けますかな?」
「オジナル国を中心に広がっていますね……まるでオジナル国に何かあるような……?」
「そう、オジナル国にこの円が集まって行く様に書かれております。その理由は……マナによるマナ脈と呼ばれる流れが集まる場所だからです」
フェランドの頭には以前レジェース本部の座学で習った事が思い出される。マナの脈流と呼ばれる存在についての座学であった。
フェランドがその座学の内容を思い出しているとミリーアとガイアがテント内に入ってくる。ガイアがリーダーエルフに頭を下げてフェランドの隣に座ると先程までの話をリーダーエルフはガイアにもしてくれた。
「つまり、マナの流れがある大地にこの円が描かれていてオジナルはその流れが他の国や土地よりも強いって事か」
「えぇ、そしてそれは異常な程までのマナの集まりを見せているのです。それをアガルダは何かに利用し始めている、そう考えてよろしいかと」
「だが、それが本当なら他のマナを奪う理由もその目的に利用していると推測するべきなんだろうな。それがアガルダの真なる目的であったなら」
「そして、エルフ一族はこの事態に早急に気付き……運命の騎士を探す様に仲間達に知らせてきました。全ての命を守る為に」
リーダーエルフの言葉にフェランドもガイアも先にミリーアから聞かされたエルフと人間の確執の話を思い出す。人間を救うじゃなく全ての命を守る為に、里から出ないエルフ達がこうして出てきているのは異常でもあるのだとガイアは感じていた。
エルフ達の目的が自分達である事を知ってガイアとフェランドはエルフ達が感じている事について聞く事にする。そして、その情報はガイア達にとっては衝撃過ぎていたが。
「エルフの里の中にはアガルダに服従するべきだという者達も出ています。しかし、その者達は姿をダークエルフと呼ばれる肌が黒い種族に変えてアガルダの元に。しかし、残った者達は運命の騎士達に従うべきだと考えています。世界を、オルガスタン大陸を救えるのがその騎士達だけだと知っているから」
「それはそれは……たいそうな期待だな? 俺達が負けるかも知れないって考えないのか?」
「世界樹がそうは告げてないからです」
「世界樹ってエルフにも何かしらの声を届けているのかな?」
「えぇ、エルフは世界樹の力になる「マナの聖樹」を育む一族として世界樹の恩恵を受けている筈。でも、マナの聖樹はもうそんなに残っていないと思うのだけれど……」
「最後の聖樹が間もなく開花します。それと同時にアガルダの猛攻が始まる……そう世界樹は私達に知らせてくれました。時間はそう残されてはいないでしょう」
ガイアもフェランドも「マナの聖樹」についての説明を受けていないのでミリーアに視線を向けていると、先程のお金を受け取っていたエルフが1枚の葉を取り出して見せてきた。
その葉は淡い光を放っており、仄かに温かさを感じる程であった。そんな葉に魅入っていたフェランドは気付く、何か声がする事に。
「?」
『私の……』
「どうしたフェランド?」
『私の声が聞こえたら』
「声が……聞こえる……」
「声?」
「もしかして、こちらの方は……マナの御子様ですか?」
『私の言葉を届けて、私の言葉を聞いて』
フェランドの意識が次第に声に包まれていく。それを危険だと思ったガイアが声を掛けるが既にフェランドの意識は声に飲まれていた。
それからガイアはフェランドをエルフの手を借りて宿屋に運び、眠っているかの様に目を伏せているフェランドをベッドに寝かせて見守っていた。何が起きているのかは明確ではないが「声」が聞こえているだけなのだろうか? そんな考えがガイアの脳裏に過ぎる。
ミリーアが部屋に来てガイアの肩に乗りフェランドの様子を見守る。そして、ガイアは目覚めるまでは動けない事を告げて情報の整理を行おうとミリーアに告げる。
「それで、ガイアの考えではエルフの協力を得て里に移動する、って考えなのね?」
「あぁ、そして、里にいるだろう運命の者達の事を聞いてその者達に判断を仰ぐつもりだ。俺達の旅には危険が絶対に付き物であるし、それによって里から出ないといけない事も明確だからな」
「そうね。そして、その旅の果てに魔神アガルダとの戦闘は避けられないもの」
「あと、次の目的地だが……ハルーネルト国に向かう」
「あら? そこは魔神アガルダに支配されている国じゃない。危ないのでは?」
「だから敢えて行くんだ。敵の情報を得るには懐に入るのが一番にいい」
「それは反対よ。まずいはエルフの里に行くべきだわ。フェランドの事も含めて今は安全策を取るべきよ」
ガイアの視線は寝ているフェランドに向けられる。エルフから言われたマナの御子という言葉にも引っ掛かりを覚えているのは事実である。
そして、ミリーアが身体を休ませて眠ってしまったのを確認してからガイアはフェランドの右手を握る。まだ力の入らないフェランドに不安だけが増していく。
そんな瞬間、ガイアの手を握り返すフェランドに気付く。顔を覗き込んだガイアにフェランドの瞳が見つめ返す。
「ガイア……」
「フェランド、大丈夫か?」
「懐かしい夢を見てた……あの頃の夢」
「あの頃の夢?」
「2人で秘密基地を作って村長に怒られた夢……懐かしかった」
「そっか……ん、良かったよ目が覚めて」
「ガイア、キスして……」
「フェランド……」
重なる唇に込められた愛おしさ、優しさ、心配を感じてフェランドの両目を溢れ出た涙が濡らす。フェランドの中に何かが起こったのをガイアはそこで気付く。
だが、今の自分ではフェランドの何かを知る事は出来ない。そして、この事からフェランドは次第に覚醒へと進んでいくのであった――――。
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