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5章
40話「今一度希望の騎士として剣を握る者達」
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魔神アガルダ打倒の為にスジエルを発って進軍をするレジェース部隊。光の加護が彼らにはあると思われているのも頷ける程に、天からの光が部隊を包み込んでいた。
だが、天が彼らを加護しているのではない。希望という名の光が彼らに加護を与えているだけなのだ。
「ご報告致します。前方に闇の軍団が」
「いよいよですか。規模は?」
「それがどう見てもゴブリンの集団の様で……。どうされますか?」
「普通のモンスターでしたら火を翳していれば近付く事はないでしょう。まずは進路上にいるゴブリン達に火矢を撃って様子を見て下さい」
「はっ!」
普通のモンスターであればまだいいのだが、とアベルゾは考えていたが隣に来たルプスはそんなアベルゾの眉間の皺を見てクスッと微笑む。ルプスにとってこのアベルゾという男性の人間には興味がそそられているらしい。
それはそれでアベルゾにとっては少しだけ不思議な関係性にも思えてしまうのだが。そして、先方にいるガイアとヴォルグは火矢で怯えて散っていくゴブリン達を確認すると進む為に移動を再開さあせる。
暫くは山道が続くのもあって、警戒をしたままで進軍していく。しかし、思っていた以上にアガルダからの邪魔は入らなかった。
「なんだか、味気ないな」
「まるでわざと近付ける為に手を出してこねぇって感じだ」
「わざと俺達がオジナルに近寄る事を見逃しているって感じか」
「そんな感じじゃないか? アガルダの考えは分かんないが」
「アベルゾさんがそれに気付かないとは思わないんだが……取り敢えず警戒したまま行くしかない」
「オジナルか。どんな風な国になっているんだろうなぁ」
ヴォルグは馬の上で大剣の柄を撫でる。ガイアはこの不穏な空気が漂う大地の風に不安が煽られてしまう。
少しでもいい、少しでもいいから希望に繋がる様な何か起きないだろうかと考える者達も少なくもない。フェランドの存在をここで強く感じでしまうのはそれだけの存在感があるからだ。
山道を抜けて広がる平原の麓に出たレジェース部隊はすぐに進軍する。そして、国境でもある関所が見えてくると全員が息を飲む。
「なんだよありゃ……」
「関所があんな状態だなんて聞いてないぜ……」
「あれは……」
「アガルダの魔力がここまで影響しているって事か。どうするか」
「全軍、一度止まれ!」
アベルゾの指示で進軍を止めたレジェース部隊の視線の先にある関所。そこは無数の蔓に包まれて毒々しい大輪の華が咲いている状態であった。
生きている人間などいない、そう伺わせるだけの猛毒しい光景でもある。それを見ても足を止める事はない騎士達で溢れているのが強味だろう。
だが、その関所を超えなくてはオジナルへの進軍はままならないのも事実。アベルゾは状況をしっかり把握して、状況的にも突破をするしか方法がないのも理解した上でレジェースの強味を活かす事に決めた。
「魔法部隊前に。魔法で入口をこじ開けますよ」
「確かに魔法ならマナの力が濃いこの大地でも効果的だね」
「ルプスも行ったのかしら? 姿が見えないけれど」
「ルプスの魔法は力になるからね。僕も行こうかな」
「ジェイドまで行ったらガイアも行かなきゃよ?」
「それは困るね」
ミリーアとジェイドがそんな軽口を言い合うのは緊張感を和らげる為でもある。だが、ルプスは別に魔法部隊に行ったのではない。
アベルゾに頼まれて魔法部隊とは別の門の部分の状態を確認に向かっていたのである。近くまで寄って確認していたルプスは気付く。
「この華……生きている」
「ルプスさん、どうしましょう?」
「アベルゾに知らせて。この華は自我を持っているって」
「はいっ!」
同じ調査隊の若い騎士にアベルゾに知らせに行ってもらい、ルプスは警戒しながら少しだけ離れて魔法部隊の攻撃後にまた門を確認する。すると華の悲鳴だろうか、耳をつんざく様な音がしてルプスは眉を寄せて門を抜けて蔓が伸びてくるのに気付く。
ハンマーを構えたルプスに蔓たちは一斉に向かって伸びてくる。それらから安全地帯までの退避をしながら攻撃をしているが、不意に若い騎士が蔓に捕まってしまう。
「うわぁぁぁ!!」
「!!、大地よ!」
「た、助かった……ルプスさん、ありがとうございます!」
「早く離れて! このまま本隊に戻る!」
「はいっ!」
騎士達と共に下がり続けているルプスはこの蔓の攻撃に対処しなくては、魔法部隊の攻撃にも応えれないと考えた。そして、アベルゾの元に戻ったルプスは事情を説明していく。
アベルゾはルプスの報告に少し考えてガイアとヴォルグ、ジェイドとミリーアを呼び寄せる。呼ばれた4人はアベルゾとルプスの元に来て話を聞き始める。
「まず、蔓の攻撃は接近して近接騎士で処理します。華が生きているというのであれば華も処理したいなと思います。ガイア君とヴォルグ君は蔓の処理に、ジェイド君とルプスさんには華の処理に、ミリーアさんはガイア君の傍にいて下さい」
「よーし、それじゃ一気に仕留めてやるか!」
「ジェイド、右側任せる」
「了解、それじゃ左は任せるよ」
「それじゃ行きますか」
アベルゾの前から立ち去るガイア達にアベルゾは小さく息を吐き出す。少しでも危険な事にはガイア達を向かわせたくはないのがアベルゾの本心ではあった。
それだけガイアを始めとする者達には希望を託している事も含めている。アベルゾの心配を知る者達はそんなアベルゾの為にガイア達のサポートに全力を注ぐ。
ガイア達が関所の華や蔓に対する攻撃をし始めた頃。アガルダの元にはレジェース部隊の進軍報告が入っていた。
四天王のキャロドゼがアガルダにレジェースの進軍速度や現在位置の報告をしていた。ヴェレネットの手によりフェランドは拷問を受けている間にアガルダは四天王を集めて、こうしてレジェースの動きを聞いていた。
「今現在スジエルの部隊は第1関所のローゼルの華に取り掛かっております。予定通り魔法部隊などの攻撃で突破を試みているようです」
「なんとも、人間とは本当に力だけで来るのだな」
「あのローゼルの華は力では突破は出来ぬというのになぁ?」
「アガルダ様、例の者は?」
「ヴェレネットの拷問を受けているが、まだまだ屈服していないらしい。流石は世界樹の加護を受けているとは言える。誰か屈服させる方法を持つ者はおるか? どんな方法でも構わん……屈服させて私の力を注げるだけに服従させてみよ」
「でしたら俺にお任せ願えますかな?」
「イルスールトか。どんな方法を取る?」
「もう一人の転生者の姿に見せた者を目の前で殺せば動揺を誘い、そこに闇の力の誘惑を仕掛け、最後は我々の処理人形化にさせれば闇の力も注ぎやすくなりましょう」
「ほぅ。それは良いな……さぞかしいい名器かも知れんぞ。もう一人の男がのめり込んだぐらいだからな」
アガルダの口元がニヤリと笑みを刻まれて、四天王のキャロドゼとイルスールトは深々と一礼する。他の2人も一礼してアガルダの前から辞する。
アガルダは次第に姿を見せ始めている繭の中の破壊神「バルシス」を見上げる。そこには黒い翼を持ち、赤い瞳でアガルダを見つめている「バルシス」はアガルダを見て笑っているようにも見える。
「もうじきお前の復活に必要なマナも集まる。そしたら、このオルガスタン大陸を混沌に落とすがいい」
『……』
「さて、世界樹は一体どの様な力をあの者達に与えるのだろうな。まぁ、世界樹の力などもはや私の敵ではないがな」
クスクスと笑いながらアガルダは座っていた玉座から立ち上がり窓の外を眺める。窓の外には漆黒の空がオジナルを包んでいるのもあって夜を思わせる程であった。
アガルダ達の目論み通り第1関所でガイア達は苦戦していた。大輪の華が思っている異常に頑丈なのもあるが、魔法が効果を出せてないのである。
それどころか大輪の華は魔法の攻撃を受けて更に色濃く変化して、次第に毒霧を花弁から溢れ出させているのが騎士達を寄せ付けない。それのせいでガイア達は未だに第1関所を突破は出来ていないのである。
このままでは時間とマナを消費するだけ。アベルゾは定期的に入ってくる報告を聞きながら状況を把握しているが、打開策が見出せないでいる。
アベルゾはどうにか打開策を見出そうと華の状態、攻撃を受けた直後の状態などの報告をお願いしていたがどれも打開策に繋がる報告は無かった。ただ、一部を除いては。
「間違いないんですか?」
「はい。確かに自分達の攻撃ではどの様な変化も見られていません。しかし、ガイアと運命の者達の攻撃には微かではありますが反応を示しているのは確認されております」
「つまり、運命の者達の攻撃に何かしらのヒントがある……という事ですか。他には何か気付いた事はありますか?」
「そう言えば……ガイアの攻撃には華の色が濃くなっていた部分が硬くなって崩れ落ちるのを確認した騎士もいました」
「……一度全員をここまで戻る様に指示を。攻撃方法を最後練り直します」
「はっ!」
アベルゾはガイアの攻撃によって華が硬くなって崩れ落ちたとの報告に着目。何かガイアが魔法でも使っているのだろうかとガイアから話を聞こうと撤退を指示した直後だった。
関所を覆っていた華が動き出して撤退を知らせに行った騎士達を始めとする者達を飲み込み始めたのである。予想外の動きもあって騎士達は焦りながらも抵抗するが呆気なく捕まって飲み込まれていく。
アベルゾはすぐに救助に向かわせるが、それはあっという間の出来事でガイア達も華の中に取り込まれてしまった。アベルゾの手元に残った騎士達は全体の4割程度。
「一体……何が……」
アベルゾの言葉には誰からの返事もない。ただ目の前でくねくねと動いている大輪の華と、その蔓による動きは早過ぎて理解が追い付かない。
そして、飲み込まれたガイア達の動向も分からない今、どの様な手を打てばいいのかなどは誰にも分からなかった。アガルダの狙いとは一体ガイア達を捕らえる事なのだろうか? そう考えるアベルゾの脳裏には嫌な予感が頻りに浮かんでいたのは言うまでもないのであろう――――。
だが、天が彼らを加護しているのではない。希望という名の光が彼らに加護を与えているだけなのだ。
「ご報告致します。前方に闇の軍団が」
「いよいよですか。規模は?」
「それがどう見てもゴブリンの集団の様で……。どうされますか?」
「普通のモンスターでしたら火を翳していれば近付く事はないでしょう。まずは進路上にいるゴブリン達に火矢を撃って様子を見て下さい」
「はっ!」
普通のモンスターであればまだいいのだが、とアベルゾは考えていたが隣に来たルプスはそんなアベルゾの眉間の皺を見てクスッと微笑む。ルプスにとってこのアベルゾという男性の人間には興味がそそられているらしい。
それはそれでアベルゾにとっては少しだけ不思議な関係性にも思えてしまうのだが。そして、先方にいるガイアとヴォルグは火矢で怯えて散っていくゴブリン達を確認すると進む為に移動を再開さあせる。
暫くは山道が続くのもあって、警戒をしたままで進軍していく。しかし、思っていた以上にアガルダからの邪魔は入らなかった。
「なんだか、味気ないな」
「まるでわざと近付ける為に手を出してこねぇって感じだ」
「わざと俺達がオジナルに近寄る事を見逃しているって感じか」
「そんな感じじゃないか? アガルダの考えは分かんないが」
「アベルゾさんがそれに気付かないとは思わないんだが……取り敢えず警戒したまま行くしかない」
「オジナルか。どんな風な国になっているんだろうなぁ」
ヴォルグは馬の上で大剣の柄を撫でる。ガイアはこの不穏な空気が漂う大地の風に不安が煽られてしまう。
少しでもいい、少しでもいいから希望に繋がる様な何か起きないだろうかと考える者達も少なくもない。フェランドの存在をここで強く感じでしまうのはそれだけの存在感があるからだ。
山道を抜けて広がる平原の麓に出たレジェース部隊はすぐに進軍する。そして、国境でもある関所が見えてくると全員が息を飲む。
「なんだよありゃ……」
「関所があんな状態だなんて聞いてないぜ……」
「あれは……」
「アガルダの魔力がここまで影響しているって事か。どうするか」
「全軍、一度止まれ!」
アベルゾの指示で進軍を止めたレジェース部隊の視線の先にある関所。そこは無数の蔓に包まれて毒々しい大輪の華が咲いている状態であった。
生きている人間などいない、そう伺わせるだけの猛毒しい光景でもある。それを見ても足を止める事はない騎士達で溢れているのが強味だろう。
だが、その関所を超えなくてはオジナルへの進軍はままならないのも事実。アベルゾは状況をしっかり把握して、状況的にも突破をするしか方法がないのも理解した上でレジェースの強味を活かす事に決めた。
「魔法部隊前に。魔法で入口をこじ開けますよ」
「確かに魔法ならマナの力が濃いこの大地でも効果的だね」
「ルプスも行ったのかしら? 姿が見えないけれど」
「ルプスの魔法は力になるからね。僕も行こうかな」
「ジェイドまで行ったらガイアも行かなきゃよ?」
「それは困るね」
ミリーアとジェイドがそんな軽口を言い合うのは緊張感を和らげる為でもある。だが、ルプスは別に魔法部隊に行ったのではない。
アベルゾに頼まれて魔法部隊とは別の門の部分の状態を確認に向かっていたのである。近くまで寄って確認していたルプスは気付く。
「この華……生きている」
「ルプスさん、どうしましょう?」
「アベルゾに知らせて。この華は自我を持っているって」
「はいっ!」
同じ調査隊の若い騎士にアベルゾに知らせに行ってもらい、ルプスは警戒しながら少しだけ離れて魔法部隊の攻撃後にまた門を確認する。すると華の悲鳴だろうか、耳をつんざく様な音がしてルプスは眉を寄せて門を抜けて蔓が伸びてくるのに気付く。
ハンマーを構えたルプスに蔓たちは一斉に向かって伸びてくる。それらから安全地帯までの退避をしながら攻撃をしているが、不意に若い騎士が蔓に捕まってしまう。
「うわぁぁぁ!!」
「!!、大地よ!」
「た、助かった……ルプスさん、ありがとうございます!」
「早く離れて! このまま本隊に戻る!」
「はいっ!」
騎士達と共に下がり続けているルプスはこの蔓の攻撃に対処しなくては、魔法部隊の攻撃にも応えれないと考えた。そして、アベルゾの元に戻ったルプスは事情を説明していく。
アベルゾはルプスの報告に少し考えてガイアとヴォルグ、ジェイドとミリーアを呼び寄せる。呼ばれた4人はアベルゾとルプスの元に来て話を聞き始める。
「まず、蔓の攻撃は接近して近接騎士で処理します。華が生きているというのであれば華も処理したいなと思います。ガイア君とヴォルグ君は蔓の処理に、ジェイド君とルプスさんには華の処理に、ミリーアさんはガイア君の傍にいて下さい」
「よーし、それじゃ一気に仕留めてやるか!」
「ジェイド、右側任せる」
「了解、それじゃ左は任せるよ」
「それじゃ行きますか」
アベルゾの前から立ち去るガイア達にアベルゾは小さく息を吐き出す。少しでも危険な事にはガイア達を向かわせたくはないのがアベルゾの本心ではあった。
それだけガイアを始めとする者達には希望を託している事も含めている。アベルゾの心配を知る者達はそんなアベルゾの為にガイア達のサポートに全力を注ぐ。
ガイア達が関所の華や蔓に対する攻撃をし始めた頃。アガルダの元にはレジェース部隊の進軍報告が入っていた。
四天王のキャロドゼがアガルダにレジェースの進軍速度や現在位置の報告をしていた。ヴェレネットの手によりフェランドは拷問を受けている間にアガルダは四天王を集めて、こうしてレジェースの動きを聞いていた。
「今現在スジエルの部隊は第1関所のローゼルの華に取り掛かっております。予定通り魔法部隊などの攻撃で突破を試みているようです」
「なんとも、人間とは本当に力だけで来るのだな」
「あのローゼルの華は力では突破は出来ぬというのになぁ?」
「アガルダ様、例の者は?」
「ヴェレネットの拷問を受けているが、まだまだ屈服していないらしい。流石は世界樹の加護を受けているとは言える。誰か屈服させる方法を持つ者はおるか? どんな方法でも構わん……屈服させて私の力を注げるだけに服従させてみよ」
「でしたら俺にお任せ願えますかな?」
「イルスールトか。どんな方法を取る?」
「もう一人の転生者の姿に見せた者を目の前で殺せば動揺を誘い、そこに闇の力の誘惑を仕掛け、最後は我々の処理人形化にさせれば闇の力も注ぎやすくなりましょう」
「ほぅ。それは良いな……さぞかしいい名器かも知れんぞ。もう一人の男がのめり込んだぐらいだからな」
アガルダの口元がニヤリと笑みを刻まれて、四天王のキャロドゼとイルスールトは深々と一礼する。他の2人も一礼してアガルダの前から辞する。
アガルダは次第に姿を見せ始めている繭の中の破壊神「バルシス」を見上げる。そこには黒い翼を持ち、赤い瞳でアガルダを見つめている「バルシス」はアガルダを見て笑っているようにも見える。
「もうじきお前の復活に必要なマナも集まる。そしたら、このオルガスタン大陸を混沌に落とすがいい」
『……』
「さて、世界樹は一体どの様な力をあの者達に与えるのだろうな。まぁ、世界樹の力などもはや私の敵ではないがな」
クスクスと笑いながらアガルダは座っていた玉座から立ち上がり窓の外を眺める。窓の外には漆黒の空がオジナルを包んでいるのもあって夜を思わせる程であった。
アガルダ達の目論み通り第1関所でガイア達は苦戦していた。大輪の華が思っている異常に頑丈なのもあるが、魔法が効果を出せてないのである。
それどころか大輪の華は魔法の攻撃を受けて更に色濃く変化して、次第に毒霧を花弁から溢れ出させているのが騎士達を寄せ付けない。それのせいでガイア達は未だに第1関所を突破は出来ていないのである。
このままでは時間とマナを消費するだけ。アベルゾは定期的に入ってくる報告を聞きながら状況を把握しているが、打開策が見出せないでいる。
アベルゾはどうにか打開策を見出そうと華の状態、攻撃を受けた直後の状態などの報告をお願いしていたがどれも打開策に繋がる報告は無かった。ただ、一部を除いては。
「間違いないんですか?」
「はい。確かに自分達の攻撃ではどの様な変化も見られていません。しかし、ガイアと運命の者達の攻撃には微かではありますが反応を示しているのは確認されております」
「つまり、運命の者達の攻撃に何かしらのヒントがある……という事ですか。他には何か気付いた事はありますか?」
「そう言えば……ガイアの攻撃には華の色が濃くなっていた部分が硬くなって崩れ落ちるのを確認した騎士もいました」
「……一度全員をここまで戻る様に指示を。攻撃方法を最後練り直します」
「はっ!」
アベルゾはガイアの攻撃によって華が硬くなって崩れ落ちたとの報告に着目。何かガイアが魔法でも使っているのだろうかとガイアから話を聞こうと撤退を指示した直後だった。
関所を覆っていた華が動き出して撤退を知らせに行った騎士達を始めとする者達を飲み込み始めたのである。予想外の動きもあって騎士達は焦りながらも抵抗するが呆気なく捕まって飲み込まれていく。
アベルゾはすぐに救助に向かわせるが、それはあっという間の出来事でガイア達も華の中に取り込まれてしまった。アベルゾの手元に残った騎士達は全体の4割程度。
「一体……何が……」
アベルゾの言葉には誰からの返事もない。ただ目の前でくねくねと動いている大輪の華と、その蔓による動きは早過ぎて理解が追い付かない。
そして、飲み込まれたガイア達の動向も分からない今、どの様な手を打てばいいのかなどは誰にも分からなかった。アガルダの狙いとは一体ガイア達を捕らえる事なのだろうか? そう考えるアベルゾの脳裏には嫌な予感が頻りに浮かんでいたのは言うまでもないのであろう――――。
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