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6章
41話「奪還する!それはこの暗黒期を終わらせる為の必要な事!」
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関所の華に飲み込まれてしまった騎士達の大半は蔓が身体を固定しているせいで、身動きが取れない状態ではあった。そして、ガイアとルプス達も似たような境遇ではあったが、飲み込まれる寸前にガイアは剣で身体をカバーしていたお陰で蔓から脱出出来ていた為に動きが取れていた。
ガイアは周囲を見回して、周囲の状況を確認すると1人1人の騎士達を助ける為に蔓を切り落としていく。ルプス達も解放すると全員が状況を把握し始める。
「飲み込まれた、って感じだよな?」
「そうだね。まるで僕達の動きを封じる為、って感じみたいだけれど」
「ガイアはどう見ている?」
「俺達だけを動きを封じているだけなら内部から攻撃していけば脱出も出来るんだろうが、この華の目的が封じているだけには思えないんだよな」
ガイアの言葉にルプスも顎に指を添えて考え込む。そして、ジェイドとヴォルグはその間にも他の騎士達の解放をしていき、ガイアの元には解放された騎士達が集まってくる。
殆どの騎士達は魔法騎士であり、接近戦の騎士達の姿が見えない。ガイア達に集まってきた騎士の中には脱出路の確保をした方が良くないか? と提案してくる騎士達もいた。
だが、他の騎士達の救出でも分かったがガイア達の剣じゃないとこの大輪の華達は傷付ける事も出来てないのである。普通の騎士達の武器では一切傷付ける事も出来ないでいる。
「俺達、ってのが何か意味がある……?」
「考えられるのは、運命の者達だからとか世界樹の力を受けているとかしか考えられない」
「あとはそう仕込まれているとか考えられるよね?」
「気味の悪い話だぜ。今の所囚われている騎士達は解放してきた」
「取り敢えず俺達しか攻撃手段がないんだ。どうにか外部のアベルゾさんの判断と合わせて、この華を撃破するしかない」
ガイアの言葉にルプス達も同意する。そして、救助した騎士達を連れてガイア達は迷路の様な華の中を歩き始めていく。
蔓で覆われているが蔓がガイア達には一切何もしてこない様子から、本当に閉じ込めているだけ、と考えられる。歩き続けて暫くして大きな空間に辿り着く。
巨大な空間だと思われる場所には何もない、と思われていたがそうではない。明らか様に誘い込む為に作り出されている空間であったのをガイア達は見て気付く。
何もない空間に1羽の小鳥が迷い込んでいたのをミリーアが気付き、呼び寄せようとした時。蔓が物凄い勢いで小鳥を捕食し、そのまま中央の大輪の華の口だと思われる場所に引き摺り込んで租借をしていたのである。
「マジかよ……あの華、容赦ねぇって感じか」
「つまり、あの華を倒す事で僕達の脱出が出来るって事だね」
「少々骨が折れる程の手強さを感じるけれどな。他の皆はここで待機しててくれ。俺達4人でどうにかしてみる」
「ミリーアちゃん、他の人達に結界を。ここで何が起きるか分からない」
「分かったわ」
武器を引き抜いたヴォルグ・ガイア・ルプス・ジェイドは一気にその場から駆け出す。そして、ガイア達に気付いた華が当然の様に防衛として蔓を伸ばして捕食しようとし始める。
ガイアとヴォルグが剣と大剣でその蔓を切り落としてルプスのハンマーに軽々と飛び乗ったジェイドが空に上がって魔法を込めた矢を華の中心に向かって放つ。しかし、華もバカではない、矢が届く前に花弁を閉じて中心部分を防御すると矢を弾き返す。
全員が華の根元にまで到着して一気に華の撃破に挑んでいる頃の、関所の外にいるアベルゾ達の方でも動きがあった。アベルゾの元に合流を果たしたのはユリウスの部隊だった。
ユリウスはスジエルでもガイア達に協力をしたいという義勇軍を率いて駆け付けてくれたのである。そして、関所の華を見て少し考え込む。
「普通の華、ではありませんよね。根元が何処にあるか分かればそこに攻撃も仕掛ける事は可能だとは思うのですが」
「その根元部分にガイア君達がいると思います。何があっても彼らを奪還しなくては、この暗黒期を終わらせる為には彼らの力は必要なのです」
「そうですね。それは俺にも分かります。なので、この様な方法はどうでしょうか?」
「何を?」
「華を炎で燃やし尽くすのです。華とは言えど立派な植物、炎には弱いかと思います」
「あぁ、それは一理ありますね。ですが、内部に囚われている者達の身の安全も考えて早急に手を打って方がいいかも知れませんね」
アベルゾはすぐに残っている騎士達に火矢の用意を命じる。ユリウスの部隊も同じ様に火矢を用意し始め準備が整うと関所の華を目掛けて火矢が一斉に放たれる。
火矢による攻撃を受けている華は最初は身動きも見せなかったが、次第に身体を覆う蔓や葉が燃え始めるとゴゴゴッと動きを見せ始める。まるで身体を守るような動きを見せている華に騎士達は士気を高めて火矢の攻撃を続けていく。
関所にも火が移り関所全体が火に包まれて、大輪の華が徐々に燃え始める。それと同時に内部でもガイア達の攻撃が続いていた。
「外でも何かし始めたか。このまま一気に仕留めるぞ!」
「ガイア、左は任せろ! 正面を頼む!」
「ジェイドは右! 私が上を魔法でカバーする!」
「行くよ!」
ガイア達は外からの攻撃が始まったのを感じ取り、同じ様に内部でも攻撃の手を強めていた。そして、蔓がガイアを狙い、そのままヴォルグの剣を蔓で絡み取ると最後の足掻きの様に無数の蔓が物凄い勢いでガイア達に絡み付いてきた。
身動きが取れないガイア達に華の口元に運び始める蔓は、徐々に華の元にガイア達を引き込む。だが、それがガイアの狙いだった。
口元まであと少し! って所でガイアの持っていた剣が光を放って蔓を切り裂く。ルプス達も自由になると一気に華の口元に武器を突き刺す。
『!!』
「これで最後だ!!」
ガイアの剣が華の最深部まで突き刺さり、それが致命傷となって華はシュルルルルと縮小し始める。それと同時に空間から蔓達も枯れ始めてミリーアに守られていた騎士達が枯れた蔓を切り裂きながら脱出口を作り始めていた。
次第に熱さを感じ始めたガイア達も急いで脱出口を作り始めて全員が脱出した頃には、周囲は火の海だったが次第に鎮火していった。アベルゾ達本隊が関所の内部まで進軍してきてガイア達を再度合流を果たすとガイア達の前にユリウスが姿を見せる。
「ユリウス様、一体どうしてここに?」
「皆さんだけを戦わせるつもりはありません。俺だって次期スジエルの国を治めるルーベリド王女の伴侶として皆さんの力になりたくて。義勇軍を率いて合流したんです」
「ユリウス様のご意見がなかったら火攻めを行うのも出来ませんでした。ですが、この関所を突破したとはいえ、まだ先は長い。皆さん、要注意して進軍しましょう」
ガイアとヴォルグを再度先頭に、ルプス、アベルゾ、ユリウスが中央、ジェイドとミリーアが後方で進軍を再開。それはアガルダの方にも届いていた。
「ほぅ? ローゼルの華を燃やしたか」
「普通に考えれば妥当な突破手段かと。そして、このまま第2の関所に到達するまでにスケルトンエリアを進軍する事になりますね。あのエリアは戦力を奪う為ではなく、足止めが目的ですので進軍も遅れるかと」
「あと数日内でマナは最大になる。そうなれば問題はない。それまでにあの男は落とせそうか? お前の方法の内容ではかなり面白味を感じているがイルスールト?」
「はい、我々魔族の性処理人形と屈服させました。自分の中に光などないと思っているのか自ら腰を振る雌犬に成り果てております」
「クククッ、それは最高だな。一度味見をしてもみたいが、油断は出来ん。しっかりそのまま鎖に繋いでおけ。「バルシス」復活の儀式の時の悲鳴が楽しみよ」
アガルダの瞳にマナから抽出した魔力が宿り始める。そのままアガルダを通して繭にそのマナの力が流し込まれていく。
そこにヴェレネットがやってきてアガルダに真っ赤なワインを差し出す。その真っ赤に染まるワインは静かに揺れてアガルダの喉に流し込まれるのを待ち侘びていた。
ワインを受け取り一気に飲むアガルダは微笑みを浮かべてワインの味に満足そうにしている。既にオジナルに女子供は生存していない筈だが、このワインに使われている血は……。
「あの御子の血か」
「アガルダ様のお口に合えばと思い、適量をワインに混ぜております」
「それはいい。適量でこの味とは……かなり濃厚ではないか。ヴェレネット、お前の考えからして御子の血を飲む事で”取り込む”時の力になると考えたな?」
「はい。いずれあの御子は光を取り戻す可能性もございます。でしたら、取り込む事も視野に入れておけばそれはそれで面白いかと思いまして」
「流石私の巫女だ。やはりお前こそ私の一番の理解者だな。近くにいろ」
「有りがたきお言葉でございます。それではお傍に控えます」
ヴェレネットがアガルダの隣に立って寄り添う様にしているのを、四天王のキャロドゼは深々と一礼して2人の前から辞する。キャロドゼは別にヴェレネットが羨ましいとかは思わない。
いつかは人間の女と言えど寿命が来ればアガルダの前から消えてしまうのであるのだと知っている。その点、自分達魔族はその命が尽き果てるまでアガルダに仕える事が出来る。
人間の小娘等に出来ない長い時間の忠誠に関してはキャロドゼ達魔族の方が軍配が上がるのである。それを踏まえればキャロドゼにはヴェレネットが哀れで仕方ないのであった。
人間なんて所詮魔族や魔神の力になる餌でしかない。そうキャロドゼは考えているからこそ、あの2人の間に流れている空気等気にする事は無い。
「所詮、小娘に我々の王が誘惑されているとは考えにくいのだがな……」
「何が考えにくいのだ?」
「イルスールト……例の人間に手を掛けていたのではないのか?」
「なに、今下っ端の魔族達の相手をさせている。俺達の相手はそう身体が持たんからな。それで、お前は何を考えている?」
「我らが王は、人間に誘惑される王ではないと言っていたのだ」
「ヴェレネットか。あの娘はこのオジナルをアガルダ様に差し出す程にアガルダ様に心酔しているからな。それが気に入らんか」
「気に入るいらんの話ではない。人間など我々には餌にしか過ぎぬと言うのだ」
「まぁな。だが、アガルダ様にはそれなりのお考えがあるのだろう。今は様子を見ておけ」
イルスールトとの会話をしていながらキャロドゼは密かにフェランドの活用法を考えていた。あの男を使ってアガルダの魔力を高める方法がないだろうか? と考えていたのはキャロドゼ以外は知らない――――。
ガイアは周囲を見回して、周囲の状況を確認すると1人1人の騎士達を助ける為に蔓を切り落としていく。ルプス達も解放すると全員が状況を把握し始める。
「飲み込まれた、って感じだよな?」
「そうだね。まるで僕達の動きを封じる為、って感じみたいだけれど」
「ガイアはどう見ている?」
「俺達だけを動きを封じているだけなら内部から攻撃していけば脱出も出来るんだろうが、この華の目的が封じているだけには思えないんだよな」
ガイアの言葉にルプスも顎に指を添えて考え込む。そして、ジェイドとヴォルグはその間にも他の騎士達の解放をしていき、ガイアの元には解放された騎士達が集まってくる。
殆どの騎士達は魔法騎士であり、接近戦の騎士達の姿が見えない。ガイア達に集まってきた騎士の中には脱出路の確保をした方が良くないか? と提案してくる騎士達もいた。
だが、他の騎士達の救出でも分かったがガイア達の剣じゃないとこの大輪の華達は傷付ける事も出来てないのである。普通の騎士達の武器では一切傷付ける事も出来ないでいる。
「俺達、ってのが何か意味がある……?」
「考えられるのは、運命の者達だからとか世界樹の力を受けているとかしか考えられない」
「あとはそう仕込まれているとか考えられるよね?」
「気味の悪い話だぜ。今の所囚われている騎士達は解放してきた」
「取り敢えず俺達しか攻撃手段がないんだ。どうにか外部のアベルゾさんの判断と合わせて、この華を撃破するしかない」
ガイアの言葉にルプス達も同意する。そして、救助した騎士達を連れてガイア達は迷路の様な華の中を歩き始めていく。
蔓で覆われているが蔓がガイア達には一切何もしてこない様子から、本当に閉じ込めているだけ、と考えられる。歩き続けて暫くして大きな空間に辿り着く。
巨大な空間だと思われる場所には何もない、と思われていたがそうではない。明らか様に誘い込む為に作り出されている空間であったのをガイア達は見て気付く。
何もない空間に1羽の小鳥が迷い込んでいたのをミリーアが気付き、呼び寄せようとした時。蔓が物凄い勢いで小鳥を捕食し、そのまま中央の大輪の華の口だと思われる場所に引き摺り込んで租借をしていたのである。
「マジかよ……あの華、容赦ねぇって感じか」
「つまり、あの華を倒す事で僕達の脱出が出来るって事だね」
「少々骨が折れる程の手強さを感じるけれどな。他の皆はここで待機しててくれ。俺達4人でどうにかしてみる」
「ミリーアちゃん、他の人達に結界を。ここで何が起きるか分からない」
「分かったわ」
武器を引き抜いたヴォルグ・ガイア・ルプス・ジェイドは一気にその場から駆け出す。そして、ガイア達に気付いた華が当然の様に防衛として蔓を伸ばして捕食しようとし始める。
ガイアとヴォルグが剣と大剣でその蔓を切り落としてルプスのハンマーに軽々と飛び乗ったジェイドが空に上がって魔法を込めた矢を華の中心に向かって放つ。しかし、華もバカではない、矢が届く前に花弁を閉じて中心部分を防御すると矢を弾き返す。
全員が華の根元にまで到着して一気に華の撃破に挑んでいる頃の、関所の外にいるアベルゾ達の方でも動きがあった。アベルゾの元に合流を果たしたのはユリウスの部隊だった。
ユリウスはスジエルでもガイア達に協力をしたいという義勇軍を率いて駆け付けてくれたのである。そして、関所の華を見て少し考え込む。
「普通の華、ではありませんよね。根元が何処にあるか分かればそこに攻撃も仕掛ける事は可能だとは思うのですが」
「その根元部分にガイア君達がいると思います。何があっても彼らを奪還しなくては、この暗黒期を終わらせる為には彼らの力は必要なのです」
「そうですね。それは俺にも分かります。なので、この様な方法はどうでしょうか?」
「何を?」
「華を炎で燃やし尽くすのです。華とは言えど立派な植物、炎には弱いかと思います」
「あぁ、それは一理ありますね。ですが、内部に囚われている者達の身の安全も考えて早急に手を打って方がいいかも知れませんね」
アベルゾはすぐに残っている騎士達に火矢の用意を命じる。ユリウスの部隊も同じ様に火矢を用意し始め準備が整うと関所の華を目掛けて火矢が一斉に放たれる。
火矢による攻撃を受けている華は最初は身動きも見せなかったが、次第に身体を覆う蔓や葉が燃え始めるとゴゴゴッと動きを見せ始める。まるで身体を守るような動きを見せている華に騎士達は士気を高めて火矢の攻撃を続けていく。
関所にも火が移り関所全体が火に包まれて、大輪の華が徐々に燃え始める。それと同時に内部でもガイア達の攻撃が続いていた。
「外でも何かし始めたか。このまま一気に仕留めるぞ!」
「ガイア、左は任せろ! 正面を頼む!」
「ジェイドは右! 私が上を魔法でカバーする!」
「行くよ!」
ガイア達は外からの攻撃が始まったのを感じ取り、同じ様に内部でも攻撃の手を強めていた。そして、蔓がガイアを狙い、そのままヴォルグの剣を蔓で絡み取ると最後の足掻きの様に無数の蔓が物凄い勢いでガイア達に絡み付いてきた。
身動きが取れないガイア達に華の口元に運び始める蔓は、徐々に華の元にガイア達を引き込む。だが、それがガイアの狙いだった。
口元まであと少し! って所でガイアの持っていた剣が光を放って蔓を切り裂く。ルプス達も自由になると一気に華の口元に武器を突き刺す。
『!!』
「これで最後だ!!」
ガイアの剣が華の最深部まで突き刺さり、それが致命傷となって華はシュルルルルと縮小し始める。それと同時に空間から蔓達も枯れ始めてミリーアに守られていた騎士達が枯れた蔓を切り裂きながら脱出口を作り始めていた。
次第に熱さを感じ始めたガイア達も急いで脱出口を作り始めて全員が脱出した頃には、周囲は火の海だったが次第に鎮火していった。アベルゾ達本隊が関所の内部まで進軍してきてガイア達を再度合流を果たすとガイア達の前にユリウスが姿を見せる。
「ユリウス様、一体どうしてここに?」
「皆さんだけを戦わせるつもりはありません。俺だって次期スジエルの国を治めるルーベリド王女の伴侶として皆さんの力になりたくて。義勇軍を率いて合流したんです」
「ユリウス様のご意見がなかったら火攻めを行うのも出来ませんでした。ですが、この関所を突破したとはいえ、まだ先は長い。皆さん、要注意して進軍しましょう」
ガイアとヴォルグを再度先頭に、ルプス、アベルゾ、ユリウスが中央、ジェイドとミリーアが後方で進軍を再開。それはアガルダの方にも届いていた。
「ほぅ? ローゼルの華を燃やしたか」
「普通に考えれば妥当な突破手段かと。そして、このまま第2の関所に到達するまでにスケルトンエリアを進軍する事になりますね。あのエリアは戦力を奪う為ではなく、足止めが目的ですので進軍も遅れるかと」
「あと数日内でマナは最大になる。そうなれば問題はない。それまでにあの男は落とせそうか? お前の方法の内容ではかなり面白味を感じているがイルスールト?」
「はい、我々魔族の性処理人形と屈服させました。自分の中に光などないと思っているのか自ら腰を振る雌犬に成り果てております」
「クククッ、それは最高だな。一度味見をしてもみたいが、油断は出来ん。しっかりそのまま鎖に繋いでおけ。「バルシス」復活の儀式の時の悲鳴が楽しみよ」
アガルダの瞳にマナから抽出した魔力が宿り始める。そのままアガルダを通して繭にそのマナの力が流し込まれていく。
そこにヴェレネットがやってきてアガルダに真っ赤なワインを差し出す。その真っ赤に染まるワインは静かに揺れてアガルダの喉に流し込まれるのを待ち侘びていた。
ワインを受け取り一気に飲むアガルダは微笑みを浮かべてワインの味に満足そうにしている。既にオジナルに女子供は生存していない筈だが、このワインに使われている血は……。
「あの御子の血か」
「アガルダ様のお口に合えばと思い、適量をワインに混ぜております」
「それはいい。適量でこの味とは……かなり濃厚ではないか。ヴェレネット、お前の考えからして御子の血を飲む事で”取り込む”時の力になると考えたな?」
「はい。いずれあの御子は光を取り戻す可能性もございます。でしたら、取り込む事も視野に入れておけばそれはそれで面白いかと思いまして」
「流石私の巫女だ。やはりお前こそ私の一番の理解者だな。近くにいろ」
「有りがたきお言葉でございます。それではお傍に控えます」
ヴェレネットがアガルダの隣に立って寄り添う様にしているのを、四天王のキャロドゼは深々と一礼して2人の前から辞する。キャロドゼは別にヴェレネットが羨ましいとかは思わない。
いつかは人間の女と言えど寿命が来ればアガルダの前から消えてしまうのであるのだと知っている。その点、自分達魔族はその命が尽き果てるまでアガルダに仕える事が出来る。
人間の小娘等に出来ない長い時間の忠誠に関してはキャロドゼ達魔族の方が軍配が上がるのである。それを踏まえればキャロドゼにはヴェレネットが哀れで仕方ないのであった。
人間なんて所詮魔族や魔神の力になる餌でしかない。そうキャロドゼは考えているからこそ、あの2人の間に流れている空気等気にする事は無い。
「所詮、小娘に我々の王が誘惑されているとは考えにくいのだがな……」
「何が考えにくいのだ?」
「イルスールト……例の人間に手を掛けていたのではないのか?」
「なに、今下っ端の魔族達の相手をさせている。俺達の相手はそう身体が持たんからな。それで、お前は何を考えている?」
「我らが王は、人間に誘惑される王ではないと言っていたのだ」
「ヴェレネットか。あの娘はこのオジナルをアガルダ様に差し出す程にアガルダ様に心酔しているからな。それが気に入らんか」
「気に入るいらんの話ではない。人間など我々には餌にしか過ぎぬと言うのだ」
「まぁな。だが、アガルダ様にはそれなりのお考えがあるのだろう。今は様子を見ておけ」
イルスールトとの会話をしていながらキャロドゼは密かにフェランドの活用法を考えていた。あの男を使ってアガルダの魔力を高める方法がないだろうか? と考えていたのはキャロドゼ以外は知らない――――。
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