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6章
42話「怒涛の快進撃!それはこのオルガスタン大陸の希望としての光」
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レジェース部隊は第1の関所を超えてオジナルの国内領域に侵入を開始。それと同時に今まで第1関所で療養していた怪我人達を駆け付けた義勇軍と妖精一族のお陰で医療が終わり、出立当時の戦力に回復。
全軍での移動をしていると第2の関所、ここを抜けなくてはオジナル本国の領域には入り込めない。だが、斥候部隊の報告にアベルゾとユリウスは険しい顔をしている。
そこにガイアとルプスが入ってきたので2人に事情を説明する。この先の第2関所は至って普通の関所ではある事と、その内部に怪しげな魔法陣が無数に描かれている事が報告に上がっていたという。
「その魔法陣が何か力を溜め込んでいる、というの?」
「いえ、その魔法陣で何かを召喚し続けている様なんです。オルターナに書かれていた魔法陣とはまた別の魔法陣だと思います」
「それならば魔法陣をどうにか破壊するかで召喚を妨害して、占領するって流れが打倒なのですが……斥候部隊の数人がそれを実行した所、魔法陣には一切何も出来なかったと言うのです」
「つまり、目に見えている魔法陣だけが今回のターゲットじゃないって事ですか。ルプス、ジェイドを呼んで来てくれるか? エルフなら何か知っているかもしれない。」
「分かった」
ルプスがジェイドを呼びに行っている間にアベルゾとユリウスが今回の関所を急いで抜けたい理由を話す。斥候部隊が関所から確認出来たのだと報告があって、その内容に些か準備をしたい状況である事を前に置いて話をし始める。
「実は、関所を抜けた先に無数のアンデット部隊が待機していると報告が入っています」
「それもボーンアンデットが無数に。これには魔法騎士と皆さんのお力が最前線を展開する事になるかと思います」
「確かに、魔法騎士の聖属性の魔法と……俺達運命の者達の光属性の攻撃でアンデットの消滅は間違いない。ただ、敵だってそんな事は充分に理解していると思いますから、何かしらの方法を取っているか用意はしているかと思いますよ」
「それはそれでこちらにも考えはありますからいいのですが、少し気になるのが足止めされてしまうのでは? という懸念です」
「少しでも迅速にこの陣営を突破して本国に行かないとフェランドさんの事があります。彼が何かしらの理由で闇堕ちでもしてしまったら、破壊竜「バルシス」の復活は行われてしまいますから」
ガイアの心はかなり焦りを見せていた。フェランドが敵の手に落ちてから一回もフェランドのいい情報がガイア達にもたらされてないからだ。
だから、ガイアはこの陣営の中で殆ど1人フェランドの力を強めてくれるだろう世界樹に願いを欠かさずに祈りを捧げている。少しでもフェランドが生きてさえくれればいい。
生きて、光を諦めなければきっとこの先の救出までにどうにか持ち堪えてくれると信じているから。そんなガイアの願いを察してかアベルゾがガイアに視線を向けて提案してくる。
「今回、先導はガイア君にお任せしてもいいですか?」
「俺で、いいんですか?」
「君の素早さを活かせばまだ敵陣も掻き乱す事も出来ます。アンデットだと相手になってくれば君の様に素早い攻撃の騎士がいるのといないのとでは、作戦の成功率はかなり違ってきますので」
「それは俺も同じ考えです。ガイアさんならきっといい成功を収めてくれると信じています」
「……分かりました。それじゃ関所内部の魔法陣はアベルゾさん達にお任せしてもいいですか?」
「えぇ、任せて下さい。ジェイド君の意見も取り入れて対処をしてみます」
「ガイアさん、あとこれを使って下さい」
「これは……?」
「白の騎士団の方々が運命の方々に神の祝福があるように、と市民の方々と一緒に祈りを込めて織り込んだミサンガです。少しでも貴方のお力になれればと思い持参したんです」
「ありがとうございます」
ガイアはミサンガを受け取り左手に巻き付ける。その時にジェイドが入ってきてルプスと一緒にアベルゾの説明を聞いてから、顎に手を添えて色々な知識の引き出しを探り始める。
そして、導き出された答えは。破壊竜の復活に必要な人手を召喚するのでは? であった。
「そのが当たりなら、魔法陣を破壊さえ出来れば破壊竜の復活も遅れるって事か?」
「あくまで可能性だよ。それに色々と考えられる可能性もまだ無い訳じゃないし」
「それでも、可能性として考えられるのであればここで崩すのも得策だと思います。ジェイド君に1部隊を預けます。魔法陣の破壊をお願い出来ますか?」
「分かった。ルプス、ヴォルグと一緒にガイアのサポートをお願いしていい?」
「分かった。私もサポート頑張る」
「それでは、作戦実行……と行きましょう」
アベルゾの号令でそれぞれが自分達の役目を果たす為の準備に取り掛かる。ユリウスはジェイドのサポートに、ルプスとヴォルグは先陣を切るガイアの後方支援、ジェイドはミリーアを連れて魔法陣破壊の部隊を率いる。
ガイアは自分の剣に祈りを捧げてディークに乗ると、魔法騎士達と共に関所の入口に陣取った。そして、アベルゾの剣が振り下ろされて作戦実行の合図がされる。
魔法陣破壊部隊は関所の至る場所に散って魔法陣の本体を見つけ出す作業に取り掛かり、関所の入口に陣取ったガイア達は馬を走らせて関所の出口付近に陣取るアンデット部隊の殲滅に取り掛かる。中央にはルプスとヴォルグが陣取り魔法で支援を行いながら、流れてきたアンデットをヴォルグが始末する。
ガイアは魔法騎士達と共に馬に乗ったままアンデット部隊を中央突破。剣を左右に振りながらアンデット部隊を粉々に砕いていく。
だが、アンデット部隊は復活するアンデット。打ち砕かれても時間が経過すれば復活して何度もガイア達を襲ってくる。
そこで聖魔法を持つ騎士達の力が発揮される。聖魔法でアンデットを浄化して消滅させていく。
時間は掛かってしまうが、その方法で確実にアンデット部隊の数を減らし続けていく。そして、かなりのアンデット部隊の消滅が整った時に魔法陣破壊の知らせが入った。
「ジェイド達が成功したか。残りも僅かだ! 一気に攻め切るぞ!」
「おぉー!」
魔法騎士達も士気が上がり、アンデット部隊の消滅もかなり進んで殆どアンデット部隊の残存数はいないのも同然になっていた。ガイアは少し先に行ってオジナル国の本拠地が見える高台にディークを走らせた。
そこから見えたオジナルにガイアは一瞬息を飲む。暗黒の闇に支配されているオジナル本国には至る所から闇の力を感じ取る事が出来た。
あそこにフェランドがいる。そこに行かないとフェランドを助けられないという事実に気合いが入る。
「あそこに……」
「ガイア」
「ジェイド」
「オジナルって思っていた以上に闇に包まれているというか飲まれているね」
「アガルダがいる国だからな」
「そのアガルダの手にフェランドが落ちたのは正直嫌な予感がする」
「俺もだ。……でも、俺達しか行けない場所でもある」
「世界樹の願いを果たす為、そして、同時に僕達しか果たせない願いを叶える為」
「俺達の手で、この悲しみの戦いを終わらせる」
ガイアもジェイドも闇に包まれたオジナルを見つめて強い決意を秘める。それをアガルダの手下が見ているとも知らずに。
オジナル城の最深部、マナの泉にてヴェレネットは祈りを捧げていた。自分の心を占めて離さないアガルダの魔力を増幅させる祈りを捧げている所だった。
そんなヴェレネットの元に怯えながらも近寄る1人の少女がいた。見た目はヴェレネットと同じ見た目をしている……双子の妹のオベリウスであった。
「姉様……どうか、もうお止め下さい……それ以上闇を生んではなりません」
「……まだ貴女は私のやる事を認めないのねオベリウス。でも、この国は我が主アガルダ様の物。闇こそ正義、闇こそ私が求めた理想。お父様やお母様の力に守られている貴女には分からないでしょうけれど」
「お姉様……どうしてそんなに闇を愛してるのですか? 昔のお姉様はそんな闇に染まるお方者なかった筈です……」
「……貴女に分かる筈ないわ……聖女と呼ばれた貴女には」
「お姉様!」
ヴェレネットはオベリウスの横を通ってマナの泉から出ていってしまう。オベリウスは涙を流しながらマナの泉に生まれた闇をその聖女としての光を使って浄化する。
オベリウスがまだこの闇に染まっているオジナル城内で生きていられるのは、姉であるヴェレネットの力のお陰でもある。だが、オベリウスは微かに感じる光を持つ存在……フェランドの事を救出する事を考えていた。
姉はもう二度と光を取り戻す事は出来ない程に闇に染まり切っている。でも、この光を感じる人間をこのままこの城内に留めておいてはいけないとオベリウスは感じていたのである。
逃がせばきっとオジナルを救う光になると信じて。そして、自分の命も逃がす時に潰える事を覚悟の上でオベリウスは光を感じる人間の元へと静かに歩みを向けていた。
だが、それは全てアガルダの計画通りの動きであった。オベリウスを生かしている理由はフェランドを救出する時の捨て駒にする為。
「オベリウスが動き出したか。いいぞ……そのままあの御子に近付くがいい。そして、御子に絶望を与える者としてその命を散らすがいい……。お前という娘の存在がヴェレネットの心にいる以上、ヴェレネットが私の本当の巫女になる事はまずないのだからな……」
アガルダの瞳が細められて水晶玉に移るオベリウスを見ていた。アガルダが時折見せるヴェレネットの事を見つめる横顔には人間の男の様な愛情を感じさせる。
だが、利用しているだけの関係に近い2人の間に流れている力はアガルダの心に何かしらの変化があったのだろうか? それとも、ヴェレネットの事を人間の様に愛したとでもいうのだろうか? 軍師のキャロドゼはそんなアガルダを見つめながらそう考えていた。人間の娘に恋をしたのでは今後の支配に影響が及ぶ、そう考えてもアガルダの心を支配するのが闇であるのには変わりないのを考えれば、放置しても構わないと判断する。
それが結果としてキャロドゼの期待を裏切る結果になるとはこの時のキャロドゼは知る由もなかった――――。
全軍での移動をしていると第2の関所、ここを抜けなくてはオジナル本国の領域には入り込めない。だが、斥候部隊の報告にアベルゾとユリウスは険しい顔をしている。
そこにガイアとルプスが入ってきたので2人に事情を説明する。この先の第2関所は至って普通の関所ではある事と、その内部に怪しげな魔法陣が無数に描かれている事が報告に上がっていたという。
「その魔法陣が何か力を溜め込んでいる、というの?」
「いえ、その魔法陣で何かを召喚し続けている様なんです。オルターナに書かれていた魔法陣とはまた別の魔法陣だと思います」
「それならば魔法陣をどうにか破壊するかで召喚を妨害して、占領するって流れが打倒なのですが……斥候部隊の数人がそれを実行した所、魔法陣には一切何も出来なかったと言うのです」
「つまり、目に見えている魔法陣だけが今回のターゲットじゃないって事ですか。ルプス、ジェイドを呼んで来てくれるか? エルフなら何か知っているかもしれない。」
「分かった」
ルプスがジェイドを呼びに行っている間にアベルゾとユリウスが今回の関所を急いで抜けたい理由を話す。斥候部隊が関所から確認出来たのだと報告があって、その内容に些か準備をしたい状況である事を前に置いて話をし始める。
「実は、関所を抜けた先に無数のアンデット部隊が待機していると報告が入っています」
「それもボーンアンデットが無数に。これには魔法騎士と皆さんのお力が最前線を展開する事になるかと思います」
「確かに、魔法騎士の聖属性の魔法と……俺達運命の者達の光属性の攻撃でアンデットの消滅は間違いない。ただ、敵だってそんな事は充分に理解していると思いますから、何かしらの方法を取っているか用意はしているかと思いますよ」
「それはそれでこちらにも考えはありますからいいのですが、少し気になるのが足止めされてしまうのでは? という懸念です」
「少しでも迅速にこの陣営を突破して本国に行かないとフェランドさんの事があります。彼が何かしらの理由で闇堕ちでもしてしまったら、破壊竜「バルシス」の復活は行われてしまいますから」
ガイアの心はかなり焦りを見せていた。フェランドが敵の手に落ちてから一回もフェランドのいい情報がガイア達にもたらされてないからだ。
だから、ガイアはこの陣営の中で殆ど1人フェランドの力を強めてくれるだろう世界樹に願いを欠かさずに祈りを捧げている。少しでもフェランドが生きてさえくれればいい。
生きて、光を諦めなければきっとこの先の救出までにどうにか持ち堪えてくれると信じているから。そんなガイアの願いを察してかアベルゾがガイアに視線を向けて提案してくる。
「今回、先導はガイア君にお任せしてもいいですか?」
「俺で、いいんですか?」
「君の素早さを活かせばまだ敵陣も掻き乱す事も出来ます。アンデットだと相手になってくれば君の様に素早い攻撃の騎士がいるのといないのとでは、作戦の成功率はかなり違ってきますので」
「それは俺も同じ考えです。ガイアさんならきっといい成功を収めてくれると信じています」
「……分かりました。それじゃ関所内部の魔法陣はアベルゾさん達にお任せしてもいいですか?」
「えぇ、任せて下さい。ジェイド君の意見も取り入れて対処をしてみます」
「ガイアさん、あとこれを使って下さい」
「これは……?」
「白の騎士団の方々が運命の方々に神の祝福があるように、と市民の方々と一緒に祈りを込めて織り込んだミサンガです。少しでも貴方のお力になれればと思い持参したんです」
「ありがとうございます」
ガイアはミサンガを受け取り左手に巻き付ける。その時にジェイドが入ってきてルプスと一緒にアベルゾの説明を聞いてから、顎に手を添えて色々な知識の引き出しを探り始める。
そして、導き出された答えは。破壊竜の復活に必要な人手を召喚するのでは? であった。
「そのが当たりなら、魔法陣を破壊さえ出来れば破壊竜の復活も遅れるって事か?」
「あくまで可能性だよ。それに色々と考えられる可能性もまだ無い訳じゃないし」
「それでも、可能性として考えられるのであればここで崩すのも得策だと思います。ジェイド君に1部隊を預けます。魔法陣の破壊をお願い出来ますか?」
「分かった。ルプス、ヴォルグと一緒にガイアのサポートをお願いしていい?」
「分かった。私もサポート頑張る」
「それでは、作戦実行……と行きましょう」
アベルゾの号令でそれぞれが自分達の役目を果たす為の準備に取り掛かる。ユリウスはジェイドのサポートに、ルプスとヴォルグは先陣を切るガイアの後方支援、ジェイドはミリーアを連れて魔法陣破壊の部隊を率いる。
ガイアは自分の剣に祈りを捧げてディークに乗ると、魔法騎士達と共に関所の入口に陣取った。そして、アベルゾの剣が振り下ろされて作戦実行の合図がされる。
魔法陣破壊部隊は関所の至る場所に散って魔法陣の本体を見つけ出す作業に取り掛かり、関所の入口に陣取ったガイア達は馬を走らせて関所の出口付近に陣取るアンデット部隊の殲滅に取り掛かる。中央にはルプスとヴォルグが陣取り魔法で支援を行いながら、流れてきたアンデットをヴォルグが始末する。
ガイアは魔法騎士達と共に馬に乗ったままアンデット部隊を中央突破。剣を左右に振りながらアンデット部隊を粉々に砕いていく。
だが、アンデット部隊は復活するアンデット。打ち砕かれても時間が経過すれば復活して何度もガイア達を襲ってくる。
そこで聖魔法を持つ騎士達の力が発揮される。聖魔法でアンデットを浄化して消滅させていく。
時間は掛かってしまうが、その方法で確実にアンデット部隊の数を減らし続けていく。そして、かなりのアンデット部隊の消滅が整った時に魔法陣破壊の知らせが入った。
「ジェイド達が成功したか。残りも僅かだ! 一気に攻め切るぞ!」
「おぉー!」
魔法騎士達も士気が上がり、アンデット部隊の消滅もかなり進んで殆どアンデット部隊の残存数はいないのも同然になっていた。ガイアは少し先に行ってオジナル国の本拠地が見える高台にディークを走らせた。
そこから見えたオジナルにガイアは一瞬息を飲む。暗黒の闇に支配されているオジナル本国には至る所から闇の力を感じ取る事が出来た。
あそこにフェランドがいる。そこに行かないとフェランドを助けられないという事実に気合いが入る。
「あそこに……」
「ガイア」
「ジェイド」
「オジナルって思っていた以上に闇に包まれているというか飲まれているね」
「アガルダがいる国だからな」
「そのアガルダの手にフェランドが落ちたのは正直嫌な予感がする」
「俺もだ。……でも、俺達しか行けない場所でもある」
「世界樹の願いを果たす為、そして、同時に僕達しか果たせない願いを叶える為」
「俺達の手で、この悲しみの戦いを終わらせる」
ガイアもジェイドも闇に包まれたオジナルを見つめて強い決意を秘める。それをアガルダの手下が見ているとも知らずに。
オジナル城の最深部、マナの泉にてヴェレネットは祈りを捧げていた。自分の心を占めて離さないアガルダの魔力を増幅させる祈りを捧げている所だった。
そんなヴェレネットの元に怯えながらも近寄る1人の少女がいた。見た目はヴェレネットと同じ見た目をしている……双子の妹のオベリウスであった。
「姉様……どうか、もうお止め下さい……それ以上闇を生んではなりません」
「……まだ貴女は私のやる事を認めないのねオベリウス。でも、この国は我が主アガルダ様の物。闇こそ正義、闇こそ私が求めた理想。お父様やお母様の力に守られている貴女には分からないでしょうけれど」
「お姉様……どうしてそんなに闇を愛してるのですか? 昔のお姉様はそんな闇に染まるお方者なかった筈です……」
「……貴女に分かる筈ないわ……聖女と呼ばれた貴女には」
「お姉様!」
ヴェレネットはオベリウスの横を通ってマナの泉から出ていってしまう。オベリウスは涙を流しながらマナの泉に生まれた闇をその聖女としての光を使って浄化する。
オベリウスがまだこの闇に染まっているオジナル城内で生きていられるのは、姉であるヴェレネットの力のお陰でもある。だが、オベリウスは微かに感じる光を持つ存在……フェランドの事を救出する事を考えていた。
姉はもう二度と光を取り戻す事は出来ない程に闇に染まり切っている。でも、この光を感じる人間をこのままこの城内に留めておいてはいけないとオベリウスは感じていたのである。
逃がせばきっとオジナルを救う光になると信じて。そして、自分の命も逃がす時に潰える事を覚悟の上でオベリウスは光を感じる人間の元へと静かに歩みを向けていた。
だが、それは全てアガルダの計画通りの動きであった。オベリウスを生かしている理由はフェランドを救出する時の捨て駒にする為。
「オベリウスが動き出したか。いいぞ……そのままあの御子に近付くがいい。そして、御子に絶望を与える者としてその命を散らすがいい……。お前という娘の存在がヴェレネットの心にいる以上、ヴェレネットが私の本当の巫女になる事はまずないのだからな……」
アガルダの瞳が細められて水晶玉に移るオベリウスを見ていた。アガルダが時折見せるヴェレネットの事を見つめる横顔には人間の男の様な愛情を感じさせる。
だが、利用しているだけの関係に近い2人の間に流れている力はアガルダの心に何かしらの変化があったのだろうか? それとも、ヴェレネットの事を人間の様に愛したとでもいうのだろうか? 軍師のキャロドゼはそんなアガルダを見つめながらそう考えていた。人間の娘に恋をしたのでは今後の支配に影響が及ぶ、そう考えてもアガルダの心を支配するのが闇であるのには変わりないのを考えれば、放置しても構わないと判断する。
それが結果としてキャロドゼの期待を裏切る結果になるとはこの時のキャロドゼは知る由もなかった――――。
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