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8章(ラスト)
54話「最終決戦!打倒魔神アガルダ!」
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フェランドの身体に定着しているアガルダの魂はフェランドの身体の動きをしっかりと掌握していた。思っている以上の身軽さにガイア達は迂闊に手出しは出来ない上に、フェランドの身体だと思うと攻撃にも力が入れれない。
バルシスがそんなガイア達に激を飛ばす。フェランドの身体だからと言って手加減していれば自分達が死ぬ事は明らかなのである。
『ここでお前達が死ねば御子は永遠に闇に囚われたまま。それでいいのであればそのまま殺されるがいい』
「……フェランド、絶対に助けるからな。まずはアガルダの足を止めるぞ!」
ガイアの剣がフェランドの手足を切り付ける、だが、それで動きが止まる様なアガルダではない。寧ろもっとフェランドの身体を傷付けさせるように攻撃を集中させてくる。
ルプスとジェイドが魔法でフェランドの手足を拘束するが、ヴォルグの大剣がフェランドの身体に向かって振り下ろされてもアガルダは動じなかった。ヴォルグの大剣がフェランドの右肩から胴体に振り下ろされて傷を付けるとアガルダはクスクスと笑い始める。
「何がおかしい」
『お前達にはこの器になっている男の事を気遣いながら戦わないといけないが、私にはどうって事もない。魂の定着が成されているこの身体はいわば魔神の力を満たしている。つまり……こうする事も出来るという事だ!』
「!!」
拘束されていた手足からマナが溢れ出し、拘束を解除すると同時にアガルダのマナはフェランドの身体に変化を与えていく。背中には4枚の羽根、頭には2本の角、手足の爪は鋭利な尖爪に、口元には牙が生えている。
人間離れしている姿に変化したフェランドにガイア達は言葉を失くす。だが、一番ガイアが我に戻りすぐに剣を構えて地を蹴って懐に入り込む。
ガイアの剣がフェランドの腹部を刺そうとした矢先、フェランドの右手がガイアの首を掴み吊り上げる。気道を抑えられて呼吸がしにくいガイアはバタバタと手足を動かす。
『この身体は既に人間を止めた魔神の身体。その程度の攻撃では致命傷にもなりはせぬ。そして、同時にお前は最後まで生かしておかねばならない。この男の魂を完全に私が食らう為にな』
「ぐっ……ふぇ、らんど……!」
「ガイアを離せぇぇ!」
「ジェイド、飛んで!」
「はぁぁぁ!」
ヴォルグの大剣がフェランドの魔神化した右腕を切り落とそうとする。ジェイドの身体に魔法で威力を与えた風を纏わせてジェイドを懐に潜り込ませ、ジェイドはナイフでフェランドの瞳を狙うが左腕で払われて体勢を崩す。
右腕に捕まっているガイアもなんとか逃げ出そうとしている所にヴォルグの大剣がなんとかダメージを与えて、ガイアの首を掴む力が弱まったのを同時に感じて抜け出す。地面に落ちたガイアをヴォルグが支えて距離を取るとバルシスが4人の前に立ってアガルダと対峙する。
『お前がこうなるのであれば、私も本気を出さねばなるまい』
『笑わせる。バルシス、お前が私に従わないのは運命が見えているからだと言ったが、それはお前の弱さが見せている幻だとは思わないのか』
『幻だと思うか。それがお前の弱さ故の言葉だと私は聞き取る事が出来る。どうせお互いに相容れないのだ。力で証明すればいいだけの話であろう』
「それも確かに道理だな。いいだろう……完全体がどれだけ破壊竜を超えているか刻み込んでやろう』
バルシスの両手の爪が淡く光始め、フェランドの双眸が妖しく光始める。ガイア達はその2人から発せられる強大な力に息を飲む。
片方は破壊竜としての力を持つ竜。もう片方は魔神の力を持つ者……この両者の力がぶつかり合ってしまったらこの場の空間は無事ではないだろうというのは嫌でも分かってしまう。
ガイア達はその空間でも両者は遠慮などしないだろう事は分かり切っている。ルプスが3人の前に立って魔法を使い簡易的ではあるもののバリアを展開して衝撃を和らげようとする。
バルシス・アガルダの両名の力が最大にまで高まり、そして……巨大な力同士のぶつかり合いが大きな衝撃波を生み出しルプスの生み出したバリアをバリバリと破壊していく。だが、ルプスが限界まで魔力を使って維持した事でなんとか4人は衝撃波をやり過ごす事が出来た。
ぶつかり合った力の衝撃波が収まった頃、ガイア達の視界に入ったのは心臓を貫かれてぐったりしているバルシスの姿だった。死んではいない、死んではいないが致命傷に近いダメージを負わされているのは明白だった。
「バルシス!」
「バルシスー!」
『フッハハハ、これぞ魔神の完全体の力よ。破壊竜など恐れるに至らぬ』
『……』
心臓から剣を引き抜いたアガルダはガイア達の方にバルシスの身体を投げ飛ばす。ルプスがすぐに治療の魔法を唱えて治療に取り掛かる。
ガイアとヴォルグ、ジェイドは冷静に状況を判断して、武器を構えてアガルダの力と向き合う。このままではバルシスの二の舞になるのは避けれない。
今選べる選択は2つ、1つはこのままバルシスの二の舞になるか。もう1つは最後まで抵抗を続けて希望を繋ぐか。
ガイア達には後者の選択肢しか選ぶ気は無かった。ガイアの剣が光を帯びて強い希望を繋ぐ。
ヴォルグとジェイドの武器には闇の力が宿り光と闇の力が調和を始める。その力を前にしてもアガルダの瞳は愉快に細められているだけの光景が広がる。
「タイミングを合わせて行くぞ」
「俺が先陣を切る。ジェイドと次を任せるな」
「ガイア、クリティカル出してね」
『来るがいい。その調和された力すらも私は超えてみせる。そして最強の力を以ってこのオルガスタン大陸の支配をしてくれるわ!』
ガイアとヴォルグ、ジェイドがアガルダに突撃していく。アガルダもその突撃を真っ向から受け止める気でいるのか両手を前に突き出して、力の集中を始める。
ヴォルグの大剣に宿る闇の力とガイアの剣に宿っている光が調和して新しい力を生み出す。ジェイドの闇の力とガイアの光の力が調和してヴォルグの身体に掛ける魔法の力を高めていき、そして3人の攻撃はアガルダの集め出していた力を散らすまでは効果があった。
しかし、アガルダはその散った力を遠隔操作して、後方でバルシスの治療をしていたルプスをターゲットにしてマナを付与してルプスの周囲に破壊の力を展開させる。それに気付いたガイア達が戻る前にルプスの身体は無数の破壊の力から生まれた小型のナイフにより、身体中に突き刺さってダメージを与えていた。
「姉さん!!」
「私はいいから……アガルダを!」
「ガイア!」
「光よ、世界樹の力よ、俺達に力を、加護を!」
ガイアの言葉に応じて光が最大にまで光を放ち始める。闇の力を解放してきたヴォルグとジェイドの力と交じり合って生み出された調和された力が、ガイアの剣に宿ってアガルダに迫る。
アガルダは右手に破壊の力を集めて調和されし力に対抗を試みる。ガイアの剣とアガルダの右手がぶつかり合う。
『ほぅ。これが調和されし力か。バルシスの時より手応えがありそうだ』
「フェランド! 目を覚ませ! お前はこんな奴の力に屈する人間じゃないだろう!」
ガイアの言葉にアガルダはクックッと喉から笑い声を漏らして嘲笑う。この目の前にいる騎士はまだ自分の中に封じられし御子の魂に言葉を掛けているのが笑えるのだ。
アガルダはこの時に気付くべきであった。世界樹は何故目の前の男と御子であるこの肉体の持ち主である男に加護を与えて、力を与えたのかを。
ガイアの声が聞こえたかは分からない。だが、アガルダは微かな違和感を自分の中に感じ始める。
『何かが……違う……』
「フェランド! お前は闇に負ける人間じゃない! 光に導かれし騎士だろう! エヴァ様やアルフォード様の事を思い出せ!!」
ガイアの剣がアガルダの右手にダメージを負わせる。そして、アガルダは自分の力を集中しようとして違和感に直面する。
破壊の力の集まりが悪くなり始めている事に気付いたのだ。それは明らかにアガルダの内部に取り込まれているフェランドの魂に変化があった事を意味する。
だが、とアガルダは小さくほくそ笑む。今更魂が反応を、反乱を起こしてもそれを封じ込むだけの力をアガルダはこの身体に蓄えている。
アガルダの深層意識が目覚めようとしているフェランドの魂が眠る場所に向かう。御子としての魂を維持させていたのは、こうなった時に徹底的に絶望を与える為に破壊の力の元にする為である。
『目覚めるか』
【アガルダ……お前は何を求める?】
『何を求める? それを聞いてお前が何をするという? 何も出来ぬ魂の存在でしか過ぎぬお前の様な弱者には何も出来ぬ』
【それはそうかもしれない。でも、お前が本当の意味で解放される為にする事には協力出来るかもしれない】
『そんな戯言をいう為に私と相対するか。私の運命は私自身が切り開く。それがお前達の望む力の使い方であろう。私は自分のこの運命を誰かに委ねたりはしない』
アガルダの右手が破壊の力を集める。そして魂だけの存在であるフェランドに向かって破壊の力を放とうとする。
しかし、フェランドはその破壊の力を受け止めて……そして破壊の力を浄化させる。それにアガルダは驚愕の表情を浮かべる。
魂だけの存在でしかないフェランドの力に驚きは感じ得ない。どうしてそんな力を持っている? どうして破壊の力に屈しない? 謎ばかりがアガルダを支配し始める。
再度、破壊の力を集めてフェランドに放つとフェランドはまたその破壊の力を受け止めて浄化して散らしてしまう。明らかにフェランドには常人なる以上の力を秘めている事が判明した瞬間であった。
そして、それは現実のアガルダにも異変として現れていた。ガイアの剣を受け止めていたアガルダの口から鮮血が流れ始めたのである。
『ぐっ……この様な事が許されたりするのか……』
「アガルダ……?」
『私はこの破壊の力を取り込んだ完全体……それが意味も分からぬ光の力に翻弄されて失うなど許されはしないのだ……こうなれば……!』
「っ! 待て! アガルダ!」
ガイアの剣を弾き飛ばしてアガルダは羽根を使って宙に浮かび上がる。そして、ガイアの言葉を背に受けて何処かに飛び立ってしまった。
ガイアはアガルダの異変に考える。今のアガルダは光の力に侵され始めている……それは魂として封じていたフェランドの目覚めを意味する事ではないかという事を。
ルプスの治療で意識を取り戻したバルシスの元に集まったジェイドとヴォルグに合流してガイアはバルシスに近寄る。バルシスは身体を起こして静かに語り始める。
『アガルダの完全体には時間が残されてない。恐らくルシスを取り込んで時間を伸ばす気だ。それを阻止して止めるのだ。そして、終わりの時を与えるしかない』
バルシスの言葉にガイアは頷く。ジェイドとヴォルグと共にアガルダの後を追う。ルプスとバルシスも遅れて3人の後を追うのであった――――。
バルシスがそんなガイア達に激を飛ばす。フェランドの身体だからと言って手加減していれば自分達が死ぬ事は明らかなのである。
『ここでお前達が死ねば御子は永遠に闇に囚われたまま。それでいいのであればそのまま殺されるがいい』
「……フェランド、絶対に助けるからな。まずはアガルダの足を止めるぞ!」
ガイアの剣がフェランドの手足を切り付ける、だが、それで動きが止まる様なアガルダではない。寧ろもっとフェランドの身体を傷付けさせるように攻撃を集中させてくる。
ルプスとジェイドが魔法でフェランドの手足を拘束するが、ヴォルグの大剣がフェランドの身体に向かって振り下ろされてもアガルダは動じなかった。ヴォルグの大剣がフェランドの右肩から胴体に振り下ろされて傷を付けるとアガルダはクスクスと笑い始める。
「何がおかしい」
『お前達にはこの器になっている男の事を気遣いながら戦わないといけないが、私にはどうって事もない。魂の定着が成されているこの身体はいわば魔神の力を満たしている。つまり……こうする事も出来るという事だ!』
「!!」
拘束されていた手足からマナが溢れ出し、拘束を解除すると同時にアガルダのマナはフェランドの身体に変化を与えていく。背中には4枚の羽根、頭には2本の角、手足の爪は鋭利な尖爪に、口元には牙が生えている。
人間離れしている姿に変化したフェランドにガイア達は言葉を失くす。だが、一番ガイアが我に戻りすぐに剣を構えて地を蹴って懐に入り込む。
ガイアの剣がフェランドの腹部を刺そうとした矢先、フェランドの右手がガイアの首を掴み吊り上げる。気道を抑えられて呼吸がしにくいガイアはバタバタと手足を動かす。
『この身体は既に人間を止めた魔神の身体。その程度の攻撃では致命傷にもなりはせぬ。そして、同時にお前は最後まで生かしておかねばならない。この男の魂を完全に私が食らう為にな』
「ぐっ……ふぇ、らんど……!」
「ガイアを離せぇぇ!」
「ジェイド、飛んで!」
「はぁぁぁ!」
ヴォルグの大剣がフェランドの魔神化した右腕を切り落とそうとする。ジェイドの身体に魔法で威力を与えた風を纏わせてジェイドを懐に潜り込ませ、ジェイドはナイフでフェランドの瞳を狙うが左腕で払われて体勢を崩す。
右腕に捕まっているガイアもなんとか逃げ出そうとしている所にヴォルグの大剣がなんとかダメージを与えて、ガイアの首を掴む力が弱まったのを同時に感じて抜け出す。地面に落ちたガイアをヴォルグが支えて距離を取るとバルシスが4人の前に立ってアガルダと対峙する。
『お前がこうなるのであれば、私も本気を出さねばなるまい』
『笑わせる。バルシス、お前が私に従わないのは運命が見えているからだと言ったが、それはお前の弱さが見せている幻だとは思わないのか』
『幻だと思うか。それがお前の弱さ故の言葉だと私は聞き取る事が出来る。どうせお互いに相容れないのだ。力で証明すればいいだけの話であろう』
「それも確かに道理だな。いいだろう……完全体がどれだけ破壊竜を超えているか刻み込んでやろう』
バルシスの両手の爪が淡く光始め、フェランドの双眸が妖しく光始める。ガイア達はその2人から発せられる強大な力に息を飲む。
片方は破壊竜としての力を持つ竜。もう片方は魔神の力を持つ者……この両者の力がぶつかり合ってしまったらこの場の空間は無事ではないだろうというのは嫌でも分かってしまう。
ガイア達はその空間でも両者は遠慮などしないだろう事は分かり切っている。ルプスが3人の前に立って魔法を使い簡易的ではあるもののバリアを展開して衝撃を和らげようとする。
バルシス・アガルダの両名の力が最大にまで高まり、そして……巨大な力同士のぶつかり合いが大きな衝撃波を生み出しルプスの生み出したバリアをバリバリと破壊していく。だが、ルプスが限界まで魔力を使って維持した事でなんとか4人は衝撃波をやり過ごす事が出来た。
ぶつかり合った力の衝撃波が収まった頃、ガイア達の視界に入ったのは心臓を貫かれてぐったりしているバルシスの姿だった。死んではいない、死んではいないが致命傷に近いダメージを負わされているのは明白だった。
「バルシス!」
「バルシスー!」
『フッハハハ、これぞ魔神の完全体の力よ。破壊竜など恐れるに至らぬ』
『……』
心臓から剣を引き抜いたアガルダはガイア達の方にバルシスの身体を投げ飛ばす。ルプスがすぐに治療の魔法を唱えて治療に取り掛かる。
ガイアとヴォルグ、ジェイドは冷静に状況を判断して、武器を構えてアガルダの力と向き合う。このままではバルシスの二の舞になるのは避けれない。
今選べる選択は2つ、1つはこのままバルシスの二の舞になるか。もう1つは最後まで抵抗を続けて希望を繋ぐか。
ガイア達には後者の選択肢しか選ぶ気は無かった。ガイアの剣が光を帯びて強い希望を繋ぐ。
ヴォルグとジェイドの武器には闇の力が宿り光と闇の力が調和を始める。その力を前にしてもアガルダの瞳は愉快に細められているだけの光景が広がる。
「タイミングを合わせて行くぞ」
「俺が先陣を切る。ジェイドと次を任せるな」
「ガイア、クリティカル出してね」
『来るがいい。その調和された力すらも私は超えてみせる。そして最強の力を以ってこのオルガスタン大陸の支配をしてくれるわ!』
ガイアとヴォルグ、ジェイドがアガルダに突撃していく。アガルダもその突撃を真っ向から受け止める気でいるのか両手を前に突き出して、力の集中を始める。
ヴォルグの大剣に宿る闇の力とガイアの剣に宿っている光が調和して新しい力を生み出す。ジェイドの闇の力とガイアの光の力が調和してヴォルグの身体に掛ける魔法の力を高めていき、そして3人の攻撃はアガルダの集め出していた力を散らすまでは効果があった。
しかし、アガルダはその散った力を遠隔操作して、後方でバルシスの治療をしていたルプスをターゲットにしてマナを付与してルプスの周囲に破壊の力を展開させる。それに気付いたガイア達が戻る前にルプスの身体は無数の破壊の力から生まれた小型のナイフにより、身体中に突き刺さってダメージを与えていた。
「姉さん!!」
「私はいいから……アガルダを!」
「ガイア!」
「光よ、世界樹の力よ、俺達に力を、加護を!」
ガイアの言葉に応じて光が最大にまで光を放ち始める。闇の力を解放してきたヴォルグとジェイドの力と交じり合って生み出された調和された力が、ガイアの剣に宿ってアガルダに迫る。
アガルダは右手に破壊の力を集めて調和されし力に対抗を試みる。ガイアの剣とアガルダの右手がぶつかり合う。
『ほぅ。これが調和されし力か。バルシスの時より手応えがありそうだ』
「フェランド! 目を覚ませ! お前はこんな奴の力に屈する人間じゃないだろう!」
ガイアの言葉にアガルダはクックッと喉から笑い声を漏らして嘲笑う。この目の前にいる騎士はまだ自分の中に封じられし御子の魂に言葉を掛けているのが笑えるのだ。
アガルダはこの時に気付くべきであった。世界樹は何故目の前の男と御子であるこの肉体の持ち主である男に加護を与えて、力を与えたのかを。
ガイアの声が聞こえたかは分からない。だが、アガルダは微かな違和感を自分の中に感じ始める。
『何かが……違う……』
「フェランド! お前は闇に負ける人間じゃない! 光に導かれし騎士だろう! エヴァ様やアルフォード様の事を思い出せ!!」
ガイアの剣がアガルダの右手にダメージを負わせる。そして、アガルダは自分の力を集中しようとして違和感に直面する。
破壊の力の集まりが悪くなり始めている事に気付いたのだ。それは明らかにアガルダの内部に取り込まれているフェランドの魂に変化があった事を意味する。
だが、とアガルダは小さくほくそ笑む。今更魂が反応を、反乱を起こしてもそれを封じ込むだけの力をアガルダはこの身体に蓄えている。
アガルダの深層意識が目覚めようとしているフェランドの魂が眠る場所に向かう。御子としての魂を維持させていたのは、こうなった時に徹底的に絶望を与える為に破壊の力の元にする為である。
『目覚めるか』
【アガルダ……お前は何を求める?】
『何を求める? それを聞いてお前が何をするという? 何も出来ぬ魂の存在でしか過ぎぬお前の様な弱者には何も出来ぬ』
【それはそうかもしれない。でも、お前が本当の意味で解放される為にする事には協力出来るかもしれない】
『そんな戯言をいう為に私と相対するか。私の運命は私自身が切り開く。それがお前達の望む力の使い方であろう。私は自分のこの運命を誰かに委ねたりはしない』
アガルダの右手が破壊の力を集める。そして魂だけの存在であるフェランドに向かって破壊の力を放とうとする。
しかし、フェランドはその破壊の力を受け止めて……そして破壊の力を浄化させる。それにアガルダは驚愕の表情を浮かべる。
魂だけの存在でしかないフェランドの力に驚きは感じ得ない。どうしてそんな力を持っている? どうして破壊の力に屈しない? 謎ばかりがアガルダを支配し始める。
再度、破壊の力を集めてフェランドに放つとフェランドはまたその破壊の力を受け止めて浄化して散らしてしまう。明らかにフェランドには常人なる以上の力を秘めている事が判明した瞬間であった。
そして、それは現実のアガルダにも異変として現れていた。ガイアの剣を受け止めていたアガルダの口から鮮血が流れ始めたのである。
『ぐっ……この様な事が許されたりするのか……』
「アガルダ……?」
『私はこの破壊の力を取り込んだ完全体……それが意味も分からぬ光の力に翻弄されて失うなど許されはしないのだ……こうなれば……!』
「っ! 待て! アガルダ!」
ガイアの剣を弾き飛ばしてアガルダは羽根を使って宙に浮かび上がる。そして、ガイアの言葉を背に受けて何処かに飛び立ってしまった。
ガイアはアガルダの異変に考える。今のアガルダは光の力に侵され始めている……それは魂として封じていたフェランドの目覚めを意味する事ではないかという事を。
ルプスの治療で意識を取り戻したバルシスの元に集まったジェイドとヴォルグに合流してガイアはバルシスに近寄る。バルシスは身体を起こして静かに語り始める。
『アガルダの完全体には時間が残されてない。恐らくルシスを取り込んで時間を伸ばす気だ。それを阻止して止めるのだ。そして、終わりの時を与えるしかない』
バルシスの言葉にガイアは頷く。ジェイドとヴォルグと共にアガルダの後を追う。ルプスとバルシスも遅れて3人の後を追うのであった――――。
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