幸せになったらダメなんです。

裏道

文字の大きさ
2 / 2

しおりを挟む
(あれ?僕死んだはずじゃ…)

「そうだね、君は死んだよ。」

(良かった。ちゃんと死ねたんだ。ちょっとまって、この人は誰?)

「僕は神様だよ。」

(僕と同じぐらいなのに神様?)

「見た目はそう見えるかもしれないけど、君よりずっと年上なんだよ。」

(そっか、それで僕は地獄に行くの?)

「いや、君を大切にしてくれる人たちのところに行くんだよ。」

(何で?僕はお母さんを殺してしまったから地獄に行かないと行けないのに何で大切にしてくれる人たちのところに行くの?)

『あなたは、私を殺してなんかいないわ』

(綺麗な人、あなたは誰?)

『私は、優也あなたのお母さんよ』

(あなたが……僕のお母さん……)

『そうよ、今までごめんね。私が死んでしまったせいで辛い思いをさせてしまって。ごめんね……』

(僕がいけなかったんだよ。僕が産まれてしまったから。僕が生まれなければ……)

『やめて………私は優也あなたを産むことがどれほど嬉しかったか。優也とは少しの間しか一緒に入れなかったけど私の一番の幸せな時間だったのよ。だから、私の死で優也が苦しむことなんて何一つないのよ。さぁ、おいで私の可愛い優也。かわいい顔を見せてちょうだい。』

優也は戸惑っていた。今まで自分が生まれたから母が死んだと言われ続けていたのに、母の死は自分のせいじゃないと言われどっちが本当か分からなくなっていた。本当は、手を広げ待っている母に抱きつきたい。でも、僕なんかが抱きついていいのか一歩が踏み出せずにいた。

「ほら、君のお母さんが待っているよ。言っておいで。」

優也は、恐る恐る母に近づいた。母は、自分の前まで来てくれた優也を力いっぱい優しく優しく抱きしめた。

『かわいい、かわいい私の優也。』

この一言で優也は、心の糸がプツンと切れたように泣き、優也も力いっぱい母を抱きしめた。

(お母さんお母さん、お母さん)

それから優也は今まで甘えられなかった分、母に目一杯甘えた。

『今までよく頑張ったわ、これからはあなたを心から愛してくれる人に会えるわ。私は一緒にはいけないけど、優也の幸せをいつまでも願っているわ』

(やだ!僕はずっと、お母さんと一緒にいたい)

優也の母は足元からどんどん透明になっていった。

『優也、あなたをいつまでも愛してるわ。』

この一言を最後に優也の母は、涙を浮かばせ、とびきりの笑顔で消えていった。

(うゎぁぁぁあ、お母さん!お母さん、やっと会えたのに!)

「ごめんね、もっと時間を上げたかったけど、限界だったんだ」

(いえ、僕もお母さんと会えてとても嬉しかったです。会わせていただきありがとうございました。)

優也は、涙を流しながら神に感謝を伝えた。

「今から、転生するよ。彼女は、君の幸せを誰よりも願っていた。彼女の為にも誰よりも幸せになりなね。これからの君が幸多からんことを。」

それを最後に周りが暗くなった。






しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

あお
2019.11.02 あお

続きめちゃ気になります!

解除

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

偽物勇者は愛を乞う

きっせつ
BL
ある日。異世界から本物の勇者が召喚された。 六年間、左目を失いながらも勇者として戦い続けたニルは偽物の烙印を押され、勇者パーティから追い出されてしまう。 偽物勇者として逃げるように人里離れた森の奥の小屋で隠遁生活をし始めたニル。悲嘆に暮れる…事はなく、勇者の重圧から解放された彼は没落人生を楽しもうとして居た矢先、何故か勇者パーティとして今も戦っている筈の騎士が彼の前に現れて……。

虐げられた令息の第二の人生はスローライフ

りまり
BL
 僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。  僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。  だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。  救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。  お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。        

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

手切れ金

のらねことすていぬ
BL
貧乏貴族の息子、ジゼルはある日恋人であるアルバートに振られてしまう。手切れ金を渡されて完全に捨てられたと思っていたが、なぜかアルバートは彼のもとを再び訪れてきて……。 貴族×貧乏貴族

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

愛されることを諦めた途端に愛されるのは何のバグですか!

雨霧れいん
BL
期待をしていた”ボク”はもう壊れてしまっていたんだ。 共依存でだっていいじゃない、僕たちはいらないもの同士なんだから。愛されないどうしなんだから。 《キャラ紹介》 メウィル・ディアス ・アルトの婚約者であり、リィルの弟。公爵家の産まれで家族仲は最底辺。エルが好き リィル・ディアス ・ディアス公爵家の跡取り。メウィルの兄で、剣や魔法など運動が大好き。過去にメウィルを誘ったことも レイエル・ネジクト ・アルトの弟で第二王子。下にあと1人いて家族は嫌い、特に兄。メウィルが好き アルト・ネジクト ・メウィルの婚約者で第一王子。次期国王と名高い男で今一番期待されている。 ーーーーー 閲覧ありがとうございます! この物語には"性的なことをされた"という表現を含みますが、実際のシーンは書かないつもりです。ですが、そういう表現があることを把握しておいてください! 是非、コメント・ハート・お気に入り・エールなどをお願いします!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。