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入学式

集中できない

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ルアンと俺は同じクラスだったらしく、集まる場所が同じだった。

50音順で座るため隣ではなかったのだが、ルアンは俺の隣に座っていた男に声を掛け、退けさせると堂々と俺の横に座った。


「おい、いいのか席順じゃなくて。」

「大丈夫だよ~、名前呼ばれることもないし、こんな人数だもん、いちいち先生も見れてないと思うよ~。」


それはいいんだが、俺の太ももの内側を触るのをやめてもらえないだろうか。

うっかり声が漏れそうだ。

俺の言いたいことが分かったのか、ニコリと笑ったルアンは、俺の股間ギリギリの際どいところまで手を移動させた。


「お、いっ…」

「ん~?なぁに~?」


そんなことをやっている間にも入学式は始まり、スカートを履いた男性たちがチアリーダーの格好をしてダンスを踊っている。

パンツがチラ見えするたびに歓声が起きている。


「おい、見なくてっ、いいのか…?…ダンス…踊ってるぞ……っ…?」

「え~、あんなダンス見てるより、ヴェルちゃん見てるほうが楽しいし~?」


くっ、ルアンはやめる気ないな…?

生徒会挨拶が始まり、俺が見たことある副会長のハインツや、初めて見た生徒たちが前に並んでいる。

ルアンの手が止まることなく俺の太ももを揉み始めた。


「ルアン…触りすぎだ…っ…」

「あっ、あれ兄ちゃんだ~。」


ん?兄ちゃん?

ルアンの言った方を見ると会計と紹介された2年生らしき男子生徒がヘラヘラと笑いながら手を振って挨拶している。

服装はルアンよりも派手でアクセサリーもジャラジャラ付いているし、金髪の髪も襟足が長く、見るからにチャラそうだ。

ただ、やはりルアンの兄なだけあって顔はかなりイケメンだ。


「あ、ヴェルちゃんもしかして兄ちゃんに見惚れてる…?やめといたほうがいいよ?兄ちゃん変わってるから、ヴェルちゃん酷いことされちゃうよ~?」


ルアンより変わってるってなんだ。

お前も相当変わってるぞ?


「別にルアンが俺を守ってくれればいいだろ…?」


俺がそう言うとルアンは頬を赤く染めて微笑んだ。


「あはは、ヴェルちゃん言うねぇ~。あ、そうだ~!このあと空いてる?俺達、入学式の後寮に戻るだけでしょ?俺の部屋で一緒にお喋りしない~?」

「お喋り?別に構わないが…。」

「あ、ほんと~!?やったぁ~!!」


お喋りぐらいどこでも出来ると思うけどな。


「…そういえば…俺は、まだ鍵貰ってないから寮監室に寄らなきゃいけない。」

「あ~、そっかヴェルちゃん高等部からの転入生だったね~。」


そんな会話の間に生徒会挨拶は終わり、長い理事長の話を聞いたあとは解散となった。


「寮監室、俺もついてってあげようか~?」

「ん?別に寮監室ぐらい一人で行けるぞ?」

「一人で行っちゃうと、ヴェルちゃん寮監さんに食べられちゃうんじゃないかな~。」


あぁ、そういうタイプのやつが寮監なんだな…。

俺としては一人で行きたい気持ちがあるが、この場合断りにくいからな…。


「じゃあ、お願いする。」

「よ~し、じゃあ行こっか!」


ルアンは鼻歌を歌いながらも俺の手を取ると引っ張り、入学式の会場から俺を連れ出した。
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