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私がなんとかするしかない!
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しおりを挟む思い返せば、確かに辻褄が合う。
リリアーナはドレッサーの前でレティシアの髪を結いながら、これまでの彼女の様子を思い出していた。
まずレティシアは絶望的に人付き合いが下手なのだが、その根底にはどうやら極度の人見知りがあるようだった。だからなるべく人と会わないよう過ごしてきたのだろう。そのせいで表情筋を動かす機会がなく、表情を作るのがド下手くそなまま今日まで来てしまった。
それゆえに彼女はいつも怒っているように見えるのだ。キツく見えやすい目つき、顔立ちに加えて、彼女は表情がほぼ2パターンしかない。真顔か、怒り顔。
困った時も、悲しい時も、不安な時も、恐ろしい時も、負の感情の時は全部怒り顔。
そして、それ以外の感情の時は全部真顔。
……これでは人が寄り付かなくて当然だ。
さらに極度の人見知りがそれを助長させている。人と関わろうとしても、恐怖や不安で怒り顔になってしまい、人が離れていき、恐怖や不安が募り……そうやってどんどん付き合いが下手になっていく。絶望的負の連鎖。
ただ、希望の光はある。レティシアは、リリアーナに対してだけは少しだけ積極的になるのだ。ほぼ初対面で大泣きしたのを見られているからだろうか。なにか主張があれば声をかけてくれるし、この間だって勘違いではあったが、泣いて辞職を止めてくれた。
きっとレティシアも心の底では人と関わりたいと思っているのだ。きっかけさえあれば他者にも心を許すことができるようになる。そうしたら誤解も解けて「悪魔令嬢」だなんて呼ばれなくなるはずだ。
問題は、レティシアが誤解を受けずに関われる他者は、恐らくリリアーナだけであるということ。たとえレティシアが心を許したとしても、誤解されたままでは彼女はいずれ傷ついてまた内にこもってしまうだろう。
リリアーナはレティシアが選んだレモンイエローのリボンを頭の後ろに編み込みながら目の前の鏡をチラリと見る。
鏡の中にはまるで絵画のように美しい少女が映し出されていた。
動かないよう言い含めたからか、レティシアは大人しく前を見つめているが、瞬き以外の動きが全くない彼女の顔はやはり少し不気味に見えた。
「レティシア様。私、決めました」
レティシアの青い瞳がギョロリと動いて、鏡越しにリリアーナの顔を見つめる。リリアーナは彼女の瞳を真っ直ぐに見つめ返して言った。
「レティシア様の人見知り、直します!」
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