江戸時代にタイムスリップしたのでヤりたい放題ヤッてみます。

今宵叫ぶ

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第一章 始まりの板橋宿

第二話 10億円の落とし物

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 俺は恐怖と現在への状況に困惑に苛まれていたが、強盗から奪ったバックをなんとか背負いながら人が寄り付かなさそうな廃寺へとやって来ていた。

「ふぅぅ。」

 壊れかけの襖を閉じると、累積していた緊張がどっと疲れとして現れてきた。

 行儀が悪いことはわかっていたが、床の間に腰をおろした。バッグを前に置いて足を十分に伸ばす。

 自分しかいないスペースを獲得して安心したものの、過信はできない状況であった。壁に耳あり障子に目ありと昔から言うように、いつ誰が覗いたり、入ってきたりするか分からないのだ。

 現代の若者のスマホ依存症とは恐ろしいもので、このような状況でも俺はスマホを手にとっていた。

 しかし、今俺がいるのは江戸時代だ。いくら現代技術だとはいえ、機能が使えるとは思えなかった。そう、思っていた。

 不思議なことに俺のスマホはどこから流れてくるのかWiFiを捉えていたのだ。それも完璧に。ネットニュースを開けば最新のニュースが見られるし、オンラインゲームを開けば対戦が通常通り始まった。

「一体、どうなっているんだ?」

 不気味でしょうがなかったが、こころぼそかった今の俺にはとても安心できるものだった。

 とはいえ、充電には限りがある。いくら最新式の長時間バッテリーだとはいえ、いつ何があるかわからない。今残量は89%。スマホの計算によれば30時間は使えるらしい。それに加えてモバイルバッテリーの分がある。こちらはフル充電が2回分ほど残っている。合計時間でいうと100時間ほどになる。

「今俺はどこにいるんだ?」

 俺はGOOOGLMAPゴーグルマップのアプリを開いた。すると、恐ろしいことに表示されている地図は江戸時代の地図そのものであった。

 皇居は江戸城へと代わり、その他全ての表示が江戸仕様になっていた。

 そんな中、現在地として指し示されていたのは板橋宿近くの廃寺その物だった。一体何が起こっているのか分からなかったが、とりあえずスマホは通常通りに動くようだ。

 しばらく情報収集をしたあと、スマホを帯に差し込んだ。それからバッグのチャックを開ける。

 中に入っている金塊の数を数えてみる。一つ1kgの金塊が横に5つ、縦に8つ入っていて、高さが4つ分あるので合わせて160こもの金塊が入っていた。

 160kgもの荷物を背負いながら走っていたと考えると、人間が追い込まれたときに出す力というものは恐ろしく強いものだということが分かる。

 一つあたり約700万円だとすると、160個で10億円以上の金額になる。宝石も合わせれば20億円近いだろう。そんなものを狙ってその挙げ句江戸時代で殺されるとは全く思わなかっただろう。

「こ、これは落とし物だ。お、俺はその落とし物を拾っただけだ。そうだ。拾っただけだ。」

 そうやって自分の中で区切りをつけようとするが、やはりできるはずも無く、時間が経てば経つほど恐怖と緊張がどんどんと増していく。


 果たして俺は江戸時代で生きていくことが出来るのだろうか…
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