ビビり冒険者の英雄譚

零猫

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第漆話 少女

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ぼっ、僕はまずスライムとかを相手にして少しずつ強くなってコツコツランクを上げていく予定だったのになんでこんなことに・・・

「帰ってきたぞぉ!!」

「お帰りゲンジ!リク!」

「リクくんAランク入りおめでとぉー!!」

ギルドのみんなが僕のAランク昇格を祝ってくれているのだ。

「いやぁー!まさかこの区域の中で3体しかいないAランクの内2体をすぐに倒しちゃんなんて本当に凄いな!」

「ありがとうございます!泣」

「なんだリク?嬉し泣きか?笑」

みんなに嘘ついてることへの罪悪感とどうしてこうなってしまったんだ?っていう後悔からの涙です・・・泣

「あっ、そういえばリク宛てにラック街の会長から依頼がきてたぞ?」

「依頼ですか?」

なんだか嫌な予感である・・・

「おう、なんでもこの区域の最後のAランクの魔物のホーンラビットを倒して欲しいらしいぞ?」

「え?ホーンラビットって確かEランクの魔物じゃなかったでしたっけ?」

ホーンラビットとは名前の通り角が生えているウサギのことであり角が鉄のように硬い、そして肉はとっても柔らかいので食料としても有名である。

「おう、でもこの区域のホーンラビットの長は別格でな?目で追えないほど素早くてしかも角を使った突進は鉄製の盾を貫くほどらしいぞ?」

それ僕1人だと確実に貫かれるんですけど…?

「まぁリクなら大丈夫だろ!」

「そうだな、リクなら安心だ」

「頑張れよリク!」

ギルドのみんなが応援してくれてるのに全然嬉しくない…
なんでかな?
目からまた涙が出そうだよ…泣

「あっ、そうだあとホーンラビットの長は他のホーンラビットと見た目があんまり変わらないらしいから気をつけろよ?角が唯一違いがあって長はピカピカらしいんだけど最近この区域は雨が続いてたから汚れてて分かりにくいらしいから。」

なんで僕が闘うことになった時に限って分かりにくくなってるの!?泣

「あとリクにはギルドからシルバーウルフの毛皮で作った軽鎧とキングスライムの核の欠片を集めて作ったネックレスがプレゼントされるからぜひつけていってくれ!キングスライムのネックレスには魔法防御耐性を上げる効果があってシルバーウルフの軽鎧は鉄以上の硬度なのに羽のように軽いからとても便利だぞ」

シルバーウルフの軽鎧は持ってみるとホントに軽い
羽とまではギリギリ言えないくらいだけどポンポンと僕でも余裕で投げれるくらいだった。
キングスライムのネックレスは青く艶やかで綺麗だった。
あのブニョブニョした気持ち悪い体から取れたものとは思えないものだった。

「ホーンラビットの討伐は明日からだから今日はゆっくりと休んでおけよ?」

「わっ、分かりました!これで失礼します!」

僕は急いで宿屋に行って部屋を準備してもらった。
お金はキングスライムとシルバーウルフを退治した(おじいちゃんが)お陰で沢山持っていた。

「ねぇおじいちゃん?僕でも通常のホーンラビットなら勝てるかな?」

「うーむ、りっくんはまだ実践経験が少ないからのぉ。魔法はワシが多少教えてやったから使えるだろうがりっくんは怖がって上手く使えないからのぉ」

そうなのだ。
僕は多少なりとも魔法が使えるのだがいざ戦闘となると緊張したり怖くなったりで魔法を中断してしまうのだ。

「魔法を使えるだけでそこそこのランクをもらえるはずじゃからなぁ。りっくんが本当の実力を出せればホーンラビットなんかけちょんけちょんじゃわい」

「本当に!?じゃあ僕明日頑張るよ!」

「ホーンラビットの長に出会ったらどうするのじゃ?」

「全力で逃げるに決まってるよ!」

りっくん…満面の笑みで逃走宣言しちゃあかんじゃろ・・・

「じゃあ明日に備えて寝るね?」

「そうじゃな、お休みりっくん」

「お休みおじいちゃん!」

こうして僕はホーンラビットとの戦闘に備えて早めに寝たのだった。


翌日…

「あっ、おはようゲンジさん!」

「ん?あぁおはようリク!今からギルドのやつを数人連れてホーンラビット狩りを始めるぞ!準備は出来たか?」

「出来ました!」

「それではホーンラビット狩り作戦を始める!目標はホーンラビットの長!通称は《デスラビット》!!これを討伐するのが目的だ!」

デスラビット!?なんか危ない感じしかしないんですけど!?

「こいつはその名の通り闘えば死者が続出することからつけられた名前だ!この区域ではまだ被害者は出てないがラック街の会長が安全のため退治して欲しいとのことだ!お前達!気合いをいれていくぞ!」

「「うおぉぉぉぉ!!」」

ギルドの人達は高々に叫んでいる。

「すみません?」

いつの間にか気がつくとそこに金髪の女の子が立っていた。


続く
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