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第三十一話 再び洞窟へ 3/3
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ピー助は湖の周りを走っている。時折止まり、水面に映る自身の姿に不思議そうな顔をしていた。その様子を見てアンディーンは指先を動かす。すると、水面が揺れてピー助に似た水の鳥が現れた。驚いたピー助がピッ⁉ と鳴き警戒心を強くする。水で出来た鳥はピー助の周りを飛んだ。危害を加えないことから敵ではないと感じたピー助は一鳴きすると羽を動かして水の鳥と遊びだす。それを見ていたセシリヤは目元を和らげた。
「セシリヤ様」
名を呼ばれてそちらへ顔を向けると、アンディーンが何かを言いたそうにしていた。
「ん? どうかしたの?」
促せば、アンディーンは口を開いた。
「街の方で何かあったのですか?」
コランマールは水に富んだ街として有名だ。水道水、井戸だけではなく、街の数か所には噴水まである。長年水の精霊としてこの地にいるが、水が枯れるなど聞いたことがない。それなのにセシリヤはアンディーンへ水の生成を頼んだ。
「私が泊っている宿の近辺だけなぜか水の供給が止まったみたいなのよね。水道水だけじゃなくて、近くの井戸も枯れてるみたいで困ってる人がいるの」
「水の供給が……」
ぽつり、と零したアンディーンは黙り込んだ。
「アンディーン?」
声を掛けるとはっ、としたように顔を上げた。彼女は眉間に皺を刻み難しい顔をしている。
「あの街にはここ以外にもたくさんの水源から水が供給されています。私が生まれてから水が途絶えたことは一度もありません。……ただし、私が感知できるのは自然のものだけです」
「つまり、水の供給が途絶えた原因は自然に起こったものではないと言いたいわけね」
アンディーンはゆっくりと頷いた。
「はい。何者かが意図的に水を枯らしたか、水路に細工を施したと考えるのが妥当かと」
「……いずれにしても調査する必要がありそうよね」
指を顎に添えて呟くセシリヤにアンディーンが目元を緩めて「出来る限りお手伝いいたしますよ」と言った。
「ありがとう、アンディーン。さて、そろそろミラは終わったかし……」
礼を述べたセシリヤが記憶を読んでいる最中のミラへと視線を移した刹那、彼の体が傾いだ。目を丸くしたのも束の間、セシリヤは腰を浮かせるとミラの元まで駆け寄った。岩で形成されている地面へと倒れ込めば大怪我を負うことは目に見えている。ミラが地面とぶつかる直前でセシリヤは彼を抱きとめた。けれど、青年である相手の体重を支えられるほどの筋力はない。必然的に待っているのは共倒れ。
「って、重っ! わっ!」
小さな悲鳴と共にセシリヤの体は後方へと傾いだ。
「セシリヤ様」
名を呼ばれてそちらへ顔を向けると、アンディーンが何かを言いたそうにしていた。
「ん? どうかしたの?」
促せば、アンディーンは口を開いた。
「街の方で何かあったのですか?」
コランマールは水に富んだ街として有名だ。水道水、井戸だけではなく、街の数か所には噴水まである。長年水の精霊としてこの地にいるが、水が枯れるなど聞いたことがない。それなのにセシリヤはアンディーンへ水の生成を頼んだ。
「私が泊っている宿の近辺だけなぜか水の供給が止まったみたいなのよね。水道水だけじゃなくて、近くの井戸も枯れてるみたいで困ってる人がいるの」
「水の供給が……」
ぽつり、と零したアンディーンは黙り込んだ。
「アンディーン?」
声を掛けるとはっ、としたように顔を上げた。彼女は眉間に皺を刻み難しい顔をしている。
「あの街にはここ以外にもたくさんの水源から水が供給されています。私が生まれてから水が途絶えたことは一度もありません。……ただし、私が感知できるのは自然のものだけです」
「つまり、水の供給が途絶えた原因は自然に起こったものではないと言いたいわけね」
アンディーンはゆっくりと頷いた。
「はい。何者かが意図的に水を枯らしたか、水路に細工を施したと考えるのが妥当かと」
「……いずれにしても調査する必要がありそうよね」
指を顎に添えて呟くセシリヤにアンディーンが目元を緩めて「出来る限りお手伝いいたしますよ」と言った。
「ありがとう、アンディーン。さて、そろそろミラは終わったかし……」
礼を述べたセシリヤが記憶を読んでいる最中のミラへと視線を移した刹那、彼の体が傾いだ。目を丸くしたのも束の間、セシリヤは腰を浮かせるとミラの元まで駆け寄った。岩で形成されている地面へと倒れ込めば大怪我を負うことは目に見えている。ミラが地面とぶつかる直前でセシリヤは彼を抱きとめた。けれど、青年である相手の体重を支えられるほどの筋力はない。必然的に待っているのは共倒れ。
「って、重っ! わっ!」
小さな悲鳴と共にセシリヤの体は後方へと傾いだ。
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