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第三十四話 魔族ーフラヴィ = アルディ
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「ここでの記憶を読んだんでしょ。クエストは達成ってことでいいの?」
「はい。汚染により暴走したアンディーンさんを浄化したことで元に戻ったことを確認したので達成しています。そして、記憶をアンディーンさんが汚染されてしまった時まで遡りました」
言葉を切ったミラをセシリヤとアンディーンが見た。元に戻ったアンディーンから一人の魔族によって汚染された話は聞いていたが、ミラが読んだ記憶の内容に興味はある。
「アンディーンさんと対峙した魔族は金色の髪にアメジスト色の瞳の女性で間違いないですよね?」
ミラの言葉にアンディーンは頷いた。
(金色の髪にアメジスト色の瞳の魔族、ね……)
セシリヤの脳裏に浮かんだ一人の魔族の顔。それを払拭するように左右に頭を振った。
「その魔族の名を僕は知っています」
「え⁉」
勢いよく見上げたセシリヤにミラは目を丸くした。すぐに続きを話しはじめる。
「魔族の名前は“フラヴィ = アルディ”。上位魔族であり魔王の幹部……と言われている存在ですね。本部にある情報からですが」
「……」
「あの、セシリヤ様?」
俯き加減で無言になったセシリヤを心配したアンディーンが声を掛けた。アンディーンの声に顔を上げたセシリヤの表情は険しい。無意識なのか、セシリヤは首から下げているアメジスト色の石が付いたペンダントに触れている。
「セシリヤさん、大丈夫ですか?」
「ええ。魔族の名前はフラビィって言ったわよね?」
「はい。それは間違いないです」
「……」
再び無言になったセシリヤに今度はティルラが声を掛けた。明らかに様子がおかしい。
「フラビィを知ってるの?」
ティルラの問いにセシリヤの眉がぴくりと反応した。視線を受けて諦めたようにセシリヤは口を開いた。
「……知ってるわよ。だってフラン……いえ、フラビィだったわね。彼女は私の故郷を滅ぼしたんだもの」
「え……」
セシリヤから放たれた言葉に三人の声が重なる。ミラもアンディーンも目を丸くしていた。ピー助だけが首を傾けてピィー、と鳴く。
「そんな顔しないで、昔の話よ。別にフラビィに復讐したいとか考えていないから。ただ……」
「ただ?」
言葉を切ったセシリヤにティルラが続きを促した。
「もう一度会う機会があれば聞いてみたいことがあったから、彼女の情報を探していたのよね。まさかこんなに早く情報が手に入るなんて思わなかったから」
苦笑交じりに言うセシリヤに三人は言葉を探す。けれど、何を言っていいのか分からず結局沈黙が続いた。
「はい。汚染により暴走したアンディーンさんを浄化したことで元に戻ったことを確認したので達成しています。そして、記憶をアンディーンさんが汚染されてしまった時まで遡りました」
言葉を切ったミラをセシリヤとアンディーンが見た。元に戻ったアンディーンから一人の魔族によって汚染された話は聞いていたが、ミラが読んだ記憶の内容に興味はある。
「アンディーンさんと対峙した魔族は金色の髪にアメジスト色の瞳の女性で間違いないですよね?」
ミラの言葉にアンディーンは頷いた。
(金色の髪にアメジスト色の瞳の魔族、ね……)
セシリヤの脳裏に浮かんだ一人の魔族の顔。それを払拭するように左右に頭を振った。
「その魔族の名を僕は知っています」
「え⁉」
勢いよく見上げたセシリヤにミラは目を丸くした。すぐに続きを話しはじめる。
「魔族の名前は“フラヴィ = アルディ”。上位魔族であり魔王の幹部……と言われている存在ですね。本部にある情報からですが」
「……」
「あの、セシリヤ様?」
俯き加減で無言になったセシリヤを心配したアンディーンが声を掛けた。アンディーンの声に顔を上げたセシリヤの表情は険しい。無意識なのか、セシリヤは首から下げているアメジスト色の石が付いたペンダントに触れている。
「セシリヤさん、大丈夫ですか?」
「ええ。魔族の名前はフラビィって言ったわよね?」
「はい。それは間違いないです」
「……」
再び無言になったセシリヤに今度はティルラが声を掛けた。明らかに様子がおかしい。
「フラビィを知ってるの?」
ティルラの問いにセシリヤの眉がぴくりと反応した。視線を受けて諦めたようにセシリヤは口を開いた。
「……知ってるわよ。だってフラン……いえ、フラビィだったわね。彼女は私の故郷を滅ぼしたんだもの」
「え……」
セシリヤから放たれた言葉に三人の声が重なる。ミラもアンディーンも目を丸くしていた。ピー助だけが首を傾けてピィー、と鳴く。
「そんな顔しないで、昔の話よ。別にフラビィに復讐したいとか考えていないから。ただ……」
「ただ?」
言葉を切ったセシリヤにティルラが続きを促した。
「もう一度会う機会があれば聞いてみたいことがあったから、彼女の情報を探していたのよね。まさかこんなに早く情報が手に入るなんて思わなかったから」
苦笑交じりに言うセシリヤに三人は言葉を探す。けれど、何を言っていいのか分からず結局沈黙が続いた。
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