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第三十三話 膝枕 2/2
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ミラの眉が微かに動きゆっくりと瞼が持ち上がった。
「ん……。あれ? 僕は……」
岩だらけの天井を見つめて瞬きを繰り返すこと数回、ミラは自分の記憶を辿った。記憶の読み取りを行っているまでは良かったのだが、急に足元がふらついて意識が遠のいた。このまま地面にぶつかるのかな、とぼんやりと考えながらも体が動かず意識を手放した。
「目、覚めた?」
好意を寄せている相手の声がしてそちらを向くと、セシリヤが覗き込んできた。心配していたのか眉が下がっている。次いで後頭部に柔らかな感触を感じてミラは脳内で状況の整理を始めた。
(えっと、僕は気を失って……今セシリヤさんが見下ろしていて頭には柔らかな感触……ってこれは太もも⁉)
導き出された状況は現在セシリヤが膝枕をしているという事だ。理解した途端にミラの頬に熱が集中した。口を魚のように何度もパクパクと開閉し、時折「ああ……、うわぁああ……」と唸り声を上げて両手で顔を覆った。
「なにやってるのよ」
頭上からセシリヤの呆れ声が降ってくるが、ミラはそれどころではない。嬉しい、恥ずかしいと感情がごちゃ混ぜになっているのだ。ついでに柔らかい、と感想を持ったが口にした途端に軽蔑の眼差しを向けられるか、肘鉄を顔面に受ける未来しか予想できず唇をキュッと引き結んだ。けれど、両手で顔を覆いながらも嬉しさが勝っているせいか、ほんの少しミラの口元は緩んだ。
「まあ、落ち着くまで待ってあげれば?」
ティルラの提案にセシリヤは仕方ない、と言わんばかりに肩を竦めた。
♦♦♦
少しして落ち着きを取り戻したミラは体を起こした。
「……こほん、お見苦しいところを見せてしまいました。それと、セシリヤさんありがとうございます。たぶんと言うか、間違いなく気を失った僕を助けてくださいましたよね?」
礼を述べたミラにセシリヤは照れくさいのか「そうね」と視線を逸らしながら答える。
「お礼ならアンディーンにも言った方が良いわよ? 共倒れになるところを助けてくれたんだから」
突然話を振られたアンディーンは「へ⁉」と間の抜けた声を上げる。彼女はミラが唸り声を上げている間ピー助と水の鳥を操作して遊んでいたところだ。
「アンディーンさん、ありがとうございます」
そう言って微笑む彼は先ほどまで盛大に照れていた人物と同一なのだろうか、と疑問が浮かんだが、アンディーンは「いえ」と小さく笑みで返した。
「ところでミラ、何があったの?」
気を失った理由を問うセシリヤにミラは「えっと」と言葉を探す。彼女のエメラルド色の瞳がジッとミラを見つめた。
「……お恥ずかしながら力の使い過ぎです」
セシリヤの視線から逃れるようにミラは瞳を伏せて肩を落とした。
「力の使い過ぎ?」
繰り返す相手にミラは「はい……」と力なく答える。
「ふーん。なら仕方ない、か。魔力不足で倒れる人がいるって話は珍しくないしね」
納得したセシリヤはもう一度ミラをジッと見つめた。
「あの……セシリヤさん?」
「倒れた時よりも顔色は良くなったみたいね」
良かった、と息を吐いたセシリヤは立ち上がると両手を組んで背筋を伸ばした。ミラが気を失っている間同じ姿勢で動いていなければ体も固まる。ある程度体を動かしたセシリヤは「それで」とミラへと話を振った。
「ん……。あれ? 僕は……」
岩だらけの天井を見つめて瞬きを繰り返すこと数回、ミラは自分の記憶を辿った。記憶の読み取りを行っているまでは良かったのだが、急に足元がふらついて意識が遠のいた。このまま地面にぶつかるのかな、とぼんやりと考えながらも体が動かず意識を手放した。
「目、覚めた?」
好意を寄せている相手の声がしてそちらを向くと、セシリヤが覗き込んできた。心配していたのか眉が下がっている。次いで後頭部に柔らかな感触を感じてミラは脳内で状況の整理を始めた。
(えっと、僕は気を失って……今セシリヤさんが見下ろしていて頭には柔らかな感触……ってこれは太もも⁉)
導き出された状況は現在セシリヤが膝枕をしているという事だ。理解した途端にミラの頬に熱が集中した。口を魚のように何度もパクパクと開閉し、時折「ああ……、うわぁああ……」と唸り声を上げて両手で顔を覆った。
「なにやってるのよ」
頭上からセシリヤの呆れ声が降ってくるが、ミラはそれどころではない。嬉しい、恥ずかしいと感情がごちゃ混ぜになっているのだ。ついでに柔らかい、と感想を持ったが口にした途端に軽蔑の眼差しを向けられるか、肘鉄を顔面に受ける未来しか予想できず唇をキュッと引き結んだ。けれど、両手で顔を覆いながらも嬉しさが勝っているせいか、ほんの少しミラの口元は緩んだ。
「まあ、落ち着くまで待ってあげれば?」
ティルラの提案にセシリヤは仕方ない、と言わんばかりに肩を竦めた。
♦♦♦
少しして落ち着きを取り戻したミラは体を起こした。
「……こほん、お見苦しいところを見せてしまいました。それと、セシリヤさんありがとうございます。たぶんと言うか、間違いなく気を失った僕を助けてくださいましたよね?」
礼を述べたミラにセシリヤは照れくさいのか「そうね」と視線を逸らしながら答える。
「お礼ならアンディーンにも言った方が良いわよ? 共倒れになるところを助けてくれたんだから」
突然話を振られたアンディーンは「へ⁉」と間の抜けた声を上げる。彼女はミラが唸り声を上げている間ピー助と水の鳥を操作して遊んでいたところだ。
「アンディーンさん、ありがとうございます」
そう言って微笑む彼は先ほどまで盛大に照れていた人物と同一なのだろうか、と疑問が浮かんだが、アンディーンは「いえ」と小さく笑みで返した。
「ところでミラ、何があったの?」
気を失った理由を問うセシリヤにミラは「えっと」と言葉を探す。彼女のエメラルド色の瞳がジッとミラを見つめた。
「……お恥ずかしながら力の使い過ぎです」
セシリヤの視線から逃れるようにミラは瞳を伏せて肩を落とした。
「力の使い過ぎ?」
繰り返す相手にミラは「はい……」と力なく答える。
「ふーん。なら仕方ない、か。魔力不足で倒れる人がいるって話は珍しくないしね」
納得したセシリヤはもう一度ミラをジッと見つめた。
「あの……セシリヤさん?」
「倒れた時よりも顔色は良くなったみたいね」
良かった、と息を吐いたセシリヤは立ち上がると両手を組んで背筋を伸ばした。ミラが気を失っている間同じ姿勢で動いていなければ体も固まる。ある程度体を動かしたセシリヤは「それで」とミラへと話を振った。
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