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強面騎士団長の憂鬱④
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シュッシュッ
というリズミカルな音に混じって、ニチャニチャという濡れた音が室内に響いている。
結局ジャスは王太子の命令には逆らえず、言われ
通り手淫を余儀なくされていた。
ジャスは俯き、ひたすら機械のように手を上下に擦る。
「はぁ、こんなんじゃ人形を相手にしているのと変わらないよ。もっと気の利いた慰みは出来ないの?まさか自分でする時もこんな単調な動きって事はないよね。僕が手解きをしてあげようか。」
耳元に吹きかけられる王太子の揶揄で、俯いていたジャスの耳が真っ赤に染まる。
それを嬉しそうな顔で王太子が見下ろしていた。
「顔を上げて。」
王太子に突然そう言われ嫌々ながらもゆっくりと顔を上げる。
顔が熱いし、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなジャスは王太子に情けない顔を晒していることを自覚せざるを得なかった。
王太子はジャスの顔をじっくり観察したかと思うと、いきなり手の中のものがムクムクと質量を増した。
ジャスは驚いて目を見開く。
王太子が何に興奮したのかがさっぱり分からなかったからだ。
シュッシュ
相変わらずジャスの手は休む事なく王太子を慰めていた。
「はぁもうもどかしいなぁ。」
そう言うと王太子はジャスの手に自分の手を重ね、手解きをする様に一緒に手淫をし始めた。
竿頭をクルクルと捏ねたり玉を揉んだり、裏筋をなぞったり、先程までジャスがしていた手淫が遊びだったのかと思うほどその手つきは巧みだった。
「はぁはぁ・・・」
次第に王太子の息が荒くなる。
その間も王太子は片時もジャスの顔から目を離さなかった。
居た堪れなさで思わず顔を背けようとすると、それを咎めるように反対の手で顎を掴まれ強制的に顔を上げさせられた。
終わりが近いのか、重ねられた手の速度が上がっていく。
そして、
「はぁ・・・ちょっとこっちに顔を近づけて。」
言われて顔を近づけた途端・・・
ビュルビュルっとジャスの顔に生温かいものが飛んできた。それは顔をゆっくり伝いやがて口の中にも流れて入ってくる。
少し苦く粘り気のあるそれにジャスが思わず顔を顰める。すると王太子は満足したようにジャスに見せたこともないような綺麗な顔で微笑むと寝台の横の机に置いていた清め用のタオルで己の下肢を拭い始めた。
そして元のように身なりを整えると、ジャスの汚れたままの顔を見ながら、
「明日もまたこの時刻、この部屋で。」
と短く言い放ち、退室を促した。
ジャスは顔の汚れを拭うことも許されず、そのまま部屋を後にした。
優雅な王太子の身なりとは対照的にヌラヌラ濡れた手に、男の精子を貼り付けた顔を晒してしまったジャスはなんとも惨めな気持ちになりながら、服の袖で乱雑に汚れを拭き取ると、フラフラとした足取りで自室へと戻るのだった。
そこからは、毎晩のように王太子の部屋に呼ばれた。
最初は手淫だけだった行為が今では口淫も加わりジャスを大いに戸惑わせた。
いつもあんたや、おい、などと名前で呼ばれることなどなかったが、最近では甘い声で王太子がジャスの名前を呼ぶようになった。
それと同時にジャスも名前呼びを強制された。たまに王太子様と呼ぶと口淫での責苦が激しくなるため、出来るだけフィリスの機嫌を損ねぬよう努力した。
そんな行為が10を超えようとした頃、いつもの夜伽の後フィリスがジャスにあるものを渡した。
「明日はこれで準備をしてきなさい。」
ジャスはフィリスから手渡されたそれを見て顔を青くした。
何故ならそれは香油と後ろを慣らすための鉤型だったからだ。
いくら堅物のジャスでもそれが何を意味するのかは分かった。
「フィリス様・・・。私は騎士団長としての仕事もあります。これは体にも負担がかかりますので翌日の業務に差し支えるかと。」
「だから、何が言いたい。」
フィリスの双眸が一際鋭利になりジャスを捉える。
「ですからこれ以上の行為はご容赦いただきたいのです。」
フィリスに気圧され、背中に嫌な汗を感じつつも何とか言い返す。それにへぇーと、フィリスが返事をした。その声が酷く冷ややかで、ジャスは膝に置いていた拳を強く握りしめた。
「僕は君が痛い思いをしない為に気を利かせてこれを渡しているんだよ。もし仮にジャスが準備をしてこないというのなら、明日はその狭い穴に無理やりねじ込むことだってできる。僕はその方が翌日の業務に差し支えると思うんだけど。」
ジャスの断りを真っ向から否定したフィリスは全く折れる気配はない。
「・・・。」
そんなフィリスを前にジャスは俯いたまま言葉を失ってしまった。
ジャスも思春期の間を常に男達の中で過ごしてきた。だから、知識としては男同士でそういう行為をすることもあることは知っていたが、剣術にも長け、大柄で逞しく更には厳つい顔のジャスがそういった誘いを受けるのは皆無に近かった。
それに、たとえ言い寄られたとしても興味がないとそれを跳ね除けるだけの力を持っていた。
だからここに来てジャスはフィリスの申し出にどう返したらいいか分からない。
ジャスが唯一逆らうことのできないのが王族である。
そんな彼らに命令されればジャスも首を縦に振る以外の選択肢はなかった。
「それだけはどうかこ勘弁を・・・」
それでも決心がつかず消え入るような声でジャスがフィリスに懇願する。
いつも相手を圧倒し薙ぎ倒してきた自分が、無様に男に組み敷かれ抱かれるなど考えたくもなかった。
ましてやそんな自分の姿を見るのが、自分が一生守ると誓ったフィリスであることを事実として受け入れることができない。
「どうか、お願いいたします。」
ベッドに腰掛けるフィリスの下で、床に跪きながら必死にいい募るがー
「ダメだよ。」
その一言でジャスの願いの全てが否定された。
自身の視界が揺らぐのを感じながら、憔悴した顔でジャスは
「御意。」
と小さく答えるしかなかった。
というリズミカルな音に混じって、ニチャニチャという濡れた音が室内に響いている。
結局ジャスは王太子の命令には逆らえず、言われ
通り手淫を余儀なくされていた。
ジャスは俯き、ひたすら機械のように手を上下に擦る。
「はぁ、こんなんじゃ人形を相手にしているのと変わらないよ。もっと気の利いた慰みは出来ないの?まさか自分でする時もこんな単調な動きって事はないよね。僕が手解きをしてあげようか。」
耳元に吹きかけられる王太子の揶揄で、俯いていたジャスの耳が真っ赤に染まる。
それを嬉しそうな顔で王太子が見下ろしていた。
「顔を上げて。」
王太子に突然そう言われ嫌々ながらもゆっくりと顔を上げる。
顔が熱いし、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうなジャスは王太子に情けない顔を晒していることを自覚せざるを得なかった。
王太子はジャスの顔をじっくり観察したかと思うと、いきなり手の中のものがムクムクと質量を増した。
ジャスは驚いて目を見開く。
王太子が何に興奮したのかがさっぱり分からなかったからだ。
シュッシュ
相変わらずジャスの手は休む事なく王太子を慰めていた。
「はぁもうもどかしいなぁ。」
そう言うと王太子はジャスの手に自分の手を重ね、手解きをする様に一緒に手淫をし始めた。
竿頭をクルクルと捏ねたり玉を揉んだり、裏筋をなぞったり、先程までジャスがしていた手淫が遊びだったのかと思うほどその手つきは巧みだった。
「はぁはぁ・・・」
次第に王太子の息が荒くなる。
その間も王太子は片時もジャスの顔から目を離さなかった。
居た堪れなさで思わず顔を背けようとすると、それを咎めるように反対の手で顎を掴まれ強制的に顔を上げさせられた。
終わりが近いのか、重ねられた手の速度が上がっていく。
そして、
「はぁ・・・ちょっとこっちに顔を近づけて。」
言われて顔を近づけた途端・・・
ビュルビュルっとジャスの顔に生温かいものが飛んできた。それは顔をゆっくり伝いやがて口の中にも流れて入ってくる。
少し苦く粘り気のあるそれにジャスが思わず顔を顰める。すると王太子は満足したようにジャスに見せたこともないような綺麗な顔で微笑むと寝台の横の机に置いていた清め用のタオルで己の下肢を拭い始めた。
そして元のように身なりを整えると、ジャスの汚れたままの顔を見ながら、
「明日もまたこの時刻、この部屋で。」
と短く言い放ち、退室を促した。
ジャスは顔の汚れを拭うことも許されず、そのまま部屋を後にした。
優雅な王太子の身なりとは対照的にヌラヌラ濡れた手に、男の精子を貼り付けた顔を晒してしまったジャスはなんとも惨めな気持ちになりながら、服の袖で乱雑に汚れを拭き取ると、フラフラとした足取りで自室へと戻るのだった。
そこからは、毎晩のように王太子の部屋に呼ばれた。
最初は手淫だけだった行為が今では口淫も加わりジャスを大いに戸惑わせた。
いつもあんたや、おい、などと名前で呼ばれることなどなかったが、最近では甘い声で王太子がジャスの名前を呼ぶようになった。
それと同時にジャスも名前呼びを強制された。たまに王太子様と呼ぶと口淫での責苦が激しくなるため、出来るだけフィリスの機嫌を損ねぬよう努力した。
そんな行為が10を超えようとした頃、いつもの夜伽の後フィリスがジャスにあるものを渡した。
「明日はこれで準備をしてきなさい。」
ジャスはフィリスから手渡されたそれを見て顔を青くした。
何故ならそれは香油と後ろを慣らすための鉤型だったからだ。
いくら堅物のジャスでもそれが何を意味するのかは分かった。
「フィリス様・・・。私は騎士団長としての仕事もあります。これは体にも負担がかかりますので翌日の業務に差し支えるかと。」
「だから、何が言いたい。」
フィリスの双眸が一際鋭利になりジャスを捉える。
「ですからこれ以上の行為はご容赦いただきたいのです。」
フィリスに気圧され、背中に嫌な汗を感じつつも何とか言い返す。それにへぇーと、フィリスが返事をした。その声が酷く冷ややかで、ジャスは膝に置いていた拳を強く握りしめた。
「僕は君が痛い思いをしない為に気を利かせてこれを渡しているんだよ。もし仮にジャスが準備をしてこないというのなら、明日はその狭い穴に無理やりねじ込むことだってできる。僕はその方が翌日の業務に差し支えると思うんだけど。」
ジャスの断りを真っ向から否定したフィリスは全く折れる気配はない。
「・・・。」
そんなフィリスを前にジャスは俯いたまま言葉を失ってしまった。
ジャスも思春期の間を常に男達の中で過ごしてきた。だから、知識としては男同士でそういう行為をすることもあることは知っていたが、剣術にも長け、大柄で逞しく更には厳つい顔のジャスがそういった誘いを受けるのは皆無に近かった。
それに、たとえ言い寄られたとしても興味がないとそれを跳ね除けるだけの力を持っていた。
だからここに来てジャスはフィリスの申し出にどう返したらいいか分からない。
ジャスが唯一逆らうことのできないのが王族である。
そんな彼らに命令されればジャスも首を縦に振る以外の選択肢はなかった。
「それだけはどうかこ勘弁を・・・」
それでも決心がつかず消え入るような声でジャスがフィリスに懇願する。
いつも相手を圧倒し薙ぎ倒してきた自分が、無様に男に組み敷かれ抱かれるなど考えたくもなかった。
ましてやそんな自分の姿を見るのが、自分が一生守ると誓ったフィリスであることを事実として受け入れることができない。
「どうか、お願いいたします。」
ベッドに腰掛けるフィリスの下で、床に跪きながら必死にいい募るがー
「ダメだよ。」
その一言でジャスの願いの全てが否定された。
自身の視界が揺らぐのを感じながら、憔悴した顔でジャスは
「御意。」
と小さく答えるしかなかった。
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