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嵐のような怒涛の1学期
第五話
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放課後になる頃には、学園内は転校生の話題で持ちきりだった。柏木の見た目の奇抜さに加え、生徒会が彼に付きっきりとあれば、話題にならない方が可笑しい。
それは、風紀委員も同じで今朝の出来事を話題に盛り上がっていた。
「しかし、柏木のあの見た目には驚きましたね。変装のつもりなのかな?」
三田が嬉々として他の三人に問いかける。
「変装だとしてもあの見た目じゃ、逆に目立っちゃうね。」
牧瀬も三田の話に乗っかり、楽しそうに話している。
「でも、姫川の顔にさぁ何の躊躇いもなく触るとかすごい度胸だよな。」
三田がまた、話し出すと今度は佐々木が答えた。
「そうだよね。姫川、顔怖いしね。」
横の庄司が佐々木の言葉にうん、うん、と頷いている。
「お前たち、楽しそうに話してる所申し訳ないが、そろそろ作業をしてくれないか?」
今まで話に入っていなかった姫川が人を射殺しそうな視線で4人を見る。
「怒ったの?まぁ今朝の柏木の行動はどうかと思うけど。あっ、お尻大丈夫?」
姫川の視線を受け、固まる3人を他所に佐々木は淡々と姫川に話しかける。
「いや、特に問題ない。」
本当は痛い。かなり痛む。だがここで痛いと言ってもどうにもならないので、姫川は無難な答えを返した。ふと、視線を上げるとニヤニヤと笑う佐々木と目が合った。
「何だ?」
こいつがこういう顔をする時は碌な事がないと嫌そうに姫川が聞き返す。
「いや、ちょっと気になったんだけど、姫川って今まで何人と付き合って来たのかなぁって。?いつも冷静で落ち着いてるからさぁ、なんか姫川の色恋って想像つかないだよね。」
佐々木のその言葉に固まっていた3人の目が輝き始める。
はぁぁぁぁ
姫川は大きなため息を吐き、側にある水に手を伸ばす。
「お前達が俺の恋愛事情を聞いてどうするんだ?」
「いや、だって気になるじゃん。この2年間姫川のそういう話一回も聞いた事ないよ。」
「恋愛も何も、ここは男子校だろ。色恋沙汰なんて起きてたまるか。」
姫川が佐々木の言葉に突っ込みながら、水を口にする。
「えっ?じゃあ姫川って童貞なの?」
「ぐっゴホッゴホッ!」
佐々木の言葉に姫川が、咽せた。
「えっ!姫川そうなの?動揺したってことはそういうことなの?」
三田が身を乗り出すように姫川に問いかける。何も言わないが、他の2人も興味深々だ。
「違う。たまたま気管に水が入っただけだ。いい加減にしろよ。談笑しにここに来たのかお前らは。さっさと仕事しろ!」
これで話は終わりとばかりに姫川はまた書類に目を向けた。
「佐々木、俺たちが転校生と直接関わるわけじゃないが、親衛隊の動きだけは暫くしっかり観察しといてくれ。他の3人は取り敢えず、スポーツ大会の警備の段取りを頼む。転校生も参加するだろう。おそらく俺たち5人じゃ目が届かない。ボランティアを募る案内を出してくれ。俺は、当日の警備配置を考える。取り敢えず、3日後に経過を教えてくれ。」
書類に目を向けたまま、姫川が4人に適宜仕事を振っていく。姫川のプライベートに興味があった4人は少し残念に思いながらも、渋々それぞれの作業を開始した。
今日1日だけで姫川はかなり疲弊していた。柏木葵。たった数分会っただけで、すごい破壊力だった。そして自分も少なからず、柏木に心を乱された事に姫川は苛立ちを感じざるを得なかった。
それは、風紀委員も同じで今朝の出来事を話題に盛り上がっていた。
「しかし、柏木のあの見た目には驚きましたね。変装のつもりなのかな?」
三田が嬉々として他の三人に問いかける。
「変装だとしてもあの見た目じゃ、逆に目立っちゃうね。」
牧瀬も三田の話に乗っかり、楽しそうに話している。
「でも、姫川の顔にさぁ何の躊躇いもなく触るとかすごい度胸だよな。」
三田がまた、話し出すと今度は佐々木が答えた。
「そうだよね。姫川、顔怖いしね。」
横の庄司が佐々木の言葉にうん、うん、と頷いている。
「お前たち、楽しそうに話してる所申し訳ないが、そろそろ作業をしてくれないか?」
今まで話に入っていなかった姫川が人を射殺しそうな視線で4人を見る。
「怒ったの?まぁ今朝の柏木の行動はどうかと思うけど。あっ、お尻大丈夫?」
姫川の視線を受け、固まる3人を他所に佐々木は淡々と姫川に話しかける。
「いや、特に問題ない。」
本当は痛い。かなり痛む。だがここで痛いと言ってもどうにもならないので、姫川は無難な答えを返した。ふと、視線を上げるとニヤニヤと笑う佐々木と目が合った。
「何だ?」
こいつがこういう顔をする時は碌な事がないと嫌そうに姫川が聞き返す。
「いや、ちょっと気になったんだけど、姫川って今まで何人と付き合って来たのかなぁって。?いつも冷静で落ち着いてるからさぁ、なんか姫川の色恋って想像つかないだよね。」
佐々木のその言葉に固まっていた3人の目が輝き始める。
はぁぁぁぁ
姫川は大きなため息を吐き、側にある水に手を伸ばす。
「お前達が俺の恋愛事情を聞いてどうするんだ?」
「いや、だって気になるじゃん。この2年間姫川のそういう話一回も聞いた事ないよ。」
「恋愛も何も、ここは男子校だろ。色恋沙汰なんて起きてたまるか。」
姫川が佐々木の言葉に突っ込みながら、水を口にする。
「えっ?じゃあ姫川って童貞なの?」
「ぐっゴホッゴホッ!」
佐々木の言葉に姫川が、咽せた。
「えっ!姫川そうなの?動揺したってことはそういうことなの?」
三田が身を乗り出すように姫川に問いかける。何も言わないが、他の2人も興味深々だ。
「違う。たまたま気管に水が入っただけだ。いい加減にしろよ。談笑しにここに来たのかお前らは。さっさと仕事しろ!」
これで話は終わりとばかりに姫川はまた書類に目を向けた。
「佐々木、俺たちが転校生と直接関わるわけじゃないが、親衛隊の動きだけは暫くしっかり観察しといてくれ。他の3人は取り敢えず、スポーツ大会の警備の段取りを頼む。転校生も参加するだろう。おそらく俺たち5人じゃ目が届かない。ボランティアを募る案内を出してくれ。俺は、当日の警備配置を考える。取り敢えず、3日後に経過を教えてくれ。」
書類に目を向けたまま、姫川が4人に適宜仕事を振っていく。姫川のプライベートに興味があった4人は少し残念に思いながらも、渋々それぞれの作業を開始した。
今日1日だけで姫川はかなり疲弊していた。柏木葵。たった数分会っただけで、すごい破壊力だった。そして自分も少なからず、柏木に心を乱された事に姫川は苛立ちを感じざるを得なかった。
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