婚約破棄は承るので、後はもう巻き込まないでください。

夢草 蝶

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第二十話 かけられた容疑は売られた喧嘩

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 もう、こちらが全然、全容を掴めてないので、とりあえずヴィクト・オーヴェルに全て吐かせることにした。
 そしたら出るわ出るわ。知らない話。
 もうねぇ、忘れん坊の栗鼠が巣穴に溜め込んだ団栗くらいたっぷり出てきたわ。

 まず、私がレイズ殿下と婚約破棄して以降、シャルニィ嬢は何者からかのいじめを受けていたようだ。
 胸糞悪いので割愛するけど、そうとうヤバいめに合っていたらしい。
 そのせいで、最近は専ら(誑し込んだ教師の職権乱用で)授業に出ずに、ハーレム要員たちと茶室で過ごしていたそうだ。別室で授業を受けるわけでもないのなら、いっそ休んだ方が安全では?
 けれど、いじめは後を絶たずに悪化し、とうとう怪我までするようになったらしい。
 うん、正直頭上から植木鉢とか、リアル剣山仕込んだ落とし穴とか、階段に引っ掛け紐とか、ちょっと殺意が高過ぎる・・・・・・治安はどうした。治安は。
 当然シャルニィ嬢がそんな目に合えば、彼女を囲っている男子共は大激怒して、犯人探しを始めた。
 そして、影で暗躍し、邪智暴虐に長けた一人の女子生徒の存在を炙り出した。

「それが貴様だ。エルシカ・ガルルファング!」

 ふーん、へぇー、ほぉー。
 ヴィクト・オーヴェルの説明に、私は目を細め遠くを見た。
 あー、柿が美味しそうだなぁ。子供の頃、領地のお婆さんの家の柿の木に登ったら、枝が折れて落っこちて、足の骨折ったっけ。痛みにのたうち回ってた私に干し柿くれたお婆さん。元気にしてるかなぁ。
 少し懐古なんかしちゃったりして、まぁ、現実は変わらないけど。なので。
 とりあえず、まずは肺いっぱいに空気を吸い込みます。

「「それが貴様だ!」じゃねぇのよ! この逆毛男! 頭蓋の内にまで逆毛が刺さって脳味噌のスペース圧迫でもしてんの? 全くの事実無根だ。ふざけんな!」

 的外れな推理に、私の堪忍袋の緒も切れた。
 こんにゃろ、私を犯人扱いしてるこいつらもムカつくけど、それより何より、私を犯人に仕立て上げようとしている奴がいることに腹が立つ!
 何者か知らないけれど、見つけたらふん縛ってギッタンギッタンにして、ひき肉にしてやるわ──!

 相手が誰であろうと、私は売られた喧嘩は買う主義なのよ!!!
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