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第一章 カースドナイト
第四話 悪魔の探し物
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「おいおい、俺様たちはちゃんと契約を結んだだろう?」
シンが眉根を下げてやれやれと首を振ると、エミーリアはますます怒りの形相を深めて反論した。
「なぁーにが「契約を結んだだろう?」よ! 騙し討ちみたいな真似しといてよく言うわ! このペテン師!」
「わっはっはー! 悪魔だからな!」
「威張るな!」
ぎゃあぎゃあと二人で言い合いを始めてしまった二人に、クローシィは小さく手を挙げて訊いた。
「王女殿下、最初の質問と合わせてお訊きしますが、王女殿下がルビーの剣をご所望なのはそこの悪魔と何か関係が?」
そもそもの話の起点はルビーの剣にある。
エミーリアがルビーの剣を見せて欲しい、場合によっては譲って欲しいと言ってきて、それを断ったらこの悪魔が現れた。悪魔とルビーの剣に何か因果があるのかも知れない。
エミーリアは眉間を摘まんで暫し考え込み、重たそうな口を開いた。
「バカシン・・・・・・もう悪魔の姿を見られた以上、隠しても無意味よね。クローシィ・ジャンプティ。事情を説明します。その代わり、私が悪魔と契約していることや、この悪魔に関することは他言しないでいただけるかしら?」
「・・・・・・一つ、王女殿下はその悪魔と結託してエストーン王国に仇成すおつもりはないのですね」
「それは天地神明に誓ってないわ」
「分かりました」
悪魔は周囲に災厄を撒き散らす存在。王族が悪魔と契約した場合、願いによっては国を大混乱に落としかねない。
そのため、悪魔と契約した王族は国家転覆罪や反逆罪の容疑で一生幽閉された者や処刑された者もいる。エミーリアにどんな事情があるにせよ、話を訊くまでは油断出来ない。
エミーリアはクローシィの質問を間髪入れずに否定し、その目に一点の曇りもないことを見てとったクローシィはエミーリアの言葉を信じることにした。
「そもそも、ルビーの剣──というか、ルビーを探しているのは、ここにいる悪魔──シンなのよ」
「悪魔が探し物?」
悪魔は魔族の中でも上位の種族であり、豊かな魔力と優れた魔法制御能力を持っている。
そんな悪魔であれば、失せ物など魔法を使えば一発で探し出せるだろう。わざわざ人間の契約者を経由してこんなまだるっこしい手段なんて使わない筈だ。
その疑問には、シン自身が答えた。
「ま、探し出せない原因はその探し物のせいだからな」
「探し物のせい? ルビーの剣が?」
シンは神妙な顔をして、何を探しているかを告げる。
「剣自体に興味はねぇよ。探しているのはルビーそのものだからな。ただのルビーじゃねぇぞ? 俺様が探しているのは俺様の心臓──悪魔の心臓だ」
シンが眉根を下げてやれやれと首を振ると、エミーリアはますます怒りの形相を深めて反論した。
「なぁーにが「契約を結んだだろう?」よ! 騙し討ちみたいな真似しといてよく言うわ! このペテン師!」
「わっはっはー! 悪魔だからな!」
「威張るな!」
ぎゃあぎゃあと二人で言い合いを始めてしまった二人に、クローシィは小さく手を挙げて訊いた。
「王女殿下、最初の質問と合わせてお訊きしますが、王女殿下がルビーの剣をご所望なのはそこの悪魔と何か関係が?」
そもそもの話の起点はルビーの剣にある。
エミーリアがルビーの剣を見せて欲しい、場合によっては譲って欲しいと言ってきて、それを断ったらこの悪魔が現れた。悪魔とルビーの剣に何か因果があるのかも知れない。
エミーリアは眉間を摘まんで暫し考え込み、重たそうな口を開いた。
「バカシン・・・・・・もう悪魔の姿を見られた以上、隠しても無意味よね。クローシィ・ジャンプティ。事情を説明します。その代わり、私が悪魔と契約していることや、この悪魔に関することは他言しないでいただけるかしら?」
「・・・・・・一つ、王女殿下はその悪魔と結託してエストーン王国に仇成すおつもりはないのですね」
「それは天地神明に誓ってないわ」
「分かりました」
悪魔は周囲に災厄を撒き散らす存在。王族が悪魔と契約した場合、願いによっては国を大混乱に落としかねない。
そのため、悪魔と契約した王族は国家転覆罪や反逆罪の容疑で一生幽閉された者や処刑された者もいる。エミーリアにどんな事情があるにせよ、話を訊くまでは油断出来ない。
エミーリアはクローシィの質問を間髪入れずに否定し、その目に一点の曇りもないことを見てとったクローシィはエミーリアの言葉を信じることにした。
「そもそも、ルビーの剣──というか、ルビーを探しているのは、ここにいる悪魔──シンなのよ」
「悪魔が探し物?」
悪魔は魔族の中でも上位の種族であり、豊かな魔力と優れた魔法制御能力を持っている。
そんな悪魔であれば、失せ物など魔法を使えば一発で探し出せるだろう。わざわざ人間の契約者を経由してこんなまだるっこしい手段なんて使わない筈だ。
その疑問には、シン自身が答えた。
「ま、探し出せない原因はその探し物のせいだからな」
「探し物のせい? ルビーの剣が?」
シンは神妙な顔をして、何を探しているかを告げる。
「剣自体に興味はねぇよ。探しているのはルビーそのものだからな。ただのルビーじゃねぇぞ? 俺様が探しているのは俺様の心臓──悪魔の心臓だ」
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