媚薬専門店を開いたら、ED騎士が釣れました。

金時ジュゴン

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2瓶目:そしてさようなら、麗しい騎士様

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 先程ヴァネッサが話した経歴に、騎士には話していない事柄がある。
 それは、馬車の事故に遭い昏睡状態の際に、自分の前世を思い出したこと。
 前世の自分は、高岡優里という名前で、ある会社で6年間勤めていた28歳OLだった。
 勤めていた会社というのが、大人の玩具の会社。所謂バイブとかローションを作っている会社で、研究開発部門として日夜性の研究をしていたのである。

『家族も商会も無くした私が一人で生きていくには…この知識に頼るしか…!』

 昏睡状態から目が覚めたヴァネッサは、絶望の縁で思考を巡らせて決意するのである。
 当時16歳は結婚適齢期である為格上の家の者と結婚する手立てもあるが、そんなタイミング良く何の後ろ盾のない自分と結婚してくれる人が現れるとは考えにくい。親戚はわずかにいるが、ほとんど連絡を取っていなかったことと、何よりヴァネッサは容姿のせいで、心を許せる友人や頼りにできる大人がいなかったのだ。

 焦げ茶色のウェーブヘアと蜂蜜色の瞳は至って地味なのに、身体があまりにも男の理想を詰め込んだようなプロポーション過ぎて、常に嫉妬と情欲の的だった。
 現代で言うHカップ以上はある豊満な胸、細い腰、形の良い大きな桃尻、極めつけは鎖骨から胸元にある2つのホクロが、妖艶さをカンストさせてしまっている。
 友人の想い人が自分に惹かれてしまったり、近所の親切にしてくれたご夫婦も、夫がヴァネッサに迫るようになり奥さんは激怒、夫はヴァネッサに誘われたと言い訳し、ご近所付き合いはほぼ皆無になった。
 12歳ごろからその発育の良さが現れ始めた為、少女の頃から寄ってくる男には困らなくても皆身体目当てでろくな者がいない。その結果引きこもりがちになって薬草や化粧品の作り方の本などを読み漁るようになっていた。

 今世の知識と、前世の知識で、たった一人で自分が生きていくには―·····




「ふぅ、重かった·····」

 鎧を脱がして地下の寝室のベッドに騎士を運んだヴァネッサは、ブラウスの胸ポケットに入っている身分証明書を確認した。

(名前はアシェル・グリフィスさん。·····王国騎士団副団長!?思った以上に身分の高い人だった!)

 やると決めていたとは言え、とんでもない人に媚薬をお見舞いしてしまった。
 そう、先ほどヴァネッサが煎れた紅茶には無味無臭のなかなか強力な媚薬を仕込み、その後の特製香水は、催淫効果もある睡眠剤だったのだ。
 睡眠剤と言っても本当に眠ってしまう程のものではなく、いわゆる事後にぐっすり眠れるようにする為のものである。
 だが何故かこの金髪ポニーテールの美男騎士ことアシェルは気を失ってしまった。どうやら刺激が強すぎたらしい。
 よくよく観察するとアシェルは本当に綺麗な顔をしていて、きめ細かい白い肌、金色に縁取られた長い睫毛は苦しそうに時折痙攣し、媚薬による身体の紅潮や汗ばんだ首筋がさらに色香まで増大させて、男でも襲いそうな仕上がりになっている。
 ヴァネッサはごくりと息を呑んで、次の工程に進もうとしたが。

「うっ·····ここは·····!!」

  目が覚めてしまったようだ。

「お前っ·····!俺に何をした!!」

 主語が「私」から「俺」になっている。これは相当怒っている。だが鎧を脱がした際に剣も取り上げているので相手は丸腰ではある。
 ヴァネッサは緊急用の別の特製香水も忍ばせながら頭を下げた。

「すみません。これが私の店の商品なんです」
「商品だと!?」
「はい。媚薬です」
「びっ·····」

 アシェルは絶句していた。初めて飲まされたのだろう。

「効果は今実感していますよね?これを、セックスレスに悩むご夫婦や、娼館に売っているのです」

 この世界で媚薬は高級品で、王族が世継ぎを作るために香油として使われるぐらいだ。
 それをもっと庶民の人にも楽しめるようにと、ヴァネッサはこの転生したと思われる異世界で、媚薬専門店『ヴァニィ薬店』を開いたのである。

「ふ、夫婦はまだ分かるが、なぜ娼館に」
「客がすぐ果てるように飲み物に数滴入れるんです。回転がとても速くなるって重宝して下さるんですよ」

 アシェルがゾッとしたような顔をした。自分が通う娼館でも使われているのではなどと思ったのだろうか。

「王都に届出をしない理由は、いかがわしいからと門前払いされるのが目に見えているからです」

 ヴァネッサは机の引き出しから書類を取り出し、

「こちらは今まで私の商品を買って下さった方々の名簿です。たくさんの方が私の商品を、この店を必要として下さっています。嘘だと思うならこの名簿は差し上げますので、本人達にひとりずつ聞いてみて下さい」 

ベッド傍のサイドテーブルにバサリと置いた。

「さて·····では。そろそろ限界でしょう?今、楽にしますね」

 そのままヴァネッサはギシリとベッドに乗り上げ、アシェルのブラウスに手をかける。

「はっ?な、なにを·····」

 あまりの混乱に声が裏返っている。

「なにって、抜いて差し上げるんですよ。大丈夫です、優しくしますから」
「はぁ!?ま、待て、そんな必要は」

 ただでさえ赤い顔がさらに真っ赤になった。
 意外とウブなのかしら?と思いながら耳に顔を近づけ、

「でも、お辛いでしょう?こんなに大きくなっているのに·····」

囁きながらテントを張っているトラウザーズを、手のひらですりすりと撫でた。

 途端にうっ!?と弾かれたようにビクンと身体をしならせ、耳まで真っ赤にして「なんで·····こんな·····」と呻くように股間を抑えている。

(なにこれ·····そそる)

 正直な感想だった。前世では男性経験があり、仕事柄AVを見た事もある高岡優里ことヴァネッサには、嗜虐心がたまらなく唆られてしまった。
 本当は上から攻めるつもりだったが問答無用でトラウザーズをずるりと下ろす。

「うわぁ!?お前っ···正気か!?」
「えぇ。至って冷静ですよ?気分は高揚していますが」

 ブルリと奮い出てきた性器は前世で見たものよりかなり立派で、すでに先走りが溢れていた。それを軽くペロリと舐めてやると、「んっ·····」と吐息混じりの声が漏れ出てきて、正直もうめちゃくちゃにしてやりたい。
 なんとか欲望を抑えつけて血管がドクドクと浮き出る肉棒を優しく握り、上下にゆっくりこき始める。
 が、なんと数回でビクリと痙攣し先端から白い奔流が溢れ出てきた。

「え·····?」

  思わず漏れた声に、アシェルは「くそっ···どうなってるんだこれは···!!」と羞恥で真っ赤にしながら、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

(どういうこと···?いや、これも我慢汁という可能性も···)

 そう思ってさらにピストンさせようとすると「も、もういい!もう十分だ!」と止められそうになる。
 ならばと塗るタイプの媚薬を手に馴染ませ、ぬるりと肉棒全体を包む。そしてヌチュッヌチュッと先程より激しめにしごいてみると。

「―っ!?あっ·····」

 さらに質量を増した肉棒がビクビクとまた痙攣しだした。今度は先端からは何も出てこない。

(よし、このまま·····)

 ヴァネッサはその勢いで絶妙な力加減と速さでピストンを再開させ、アシェルは根負けしたように手で顔を覆ってベッドに長い金髪を横たわらせていた。



 ―数分後。
 無事に抜けたのでヴァネッサは手を洗いに行き、その間にアシェルは未だ顔を林檎のように赤くしながら服を整えた。
 ヴァネッサが寝室に戻ると、ベッドの端に座ったアシェルがなんとも言えない顔でこちらを見上げてくる。

「ええと、その·····いきなりこんな事をしたのは謝ります。でも、こうでもしないと分かって貰えないと思ってたので、視察が来たらこうすると前から決めてました」
「·····つまり君はもしも今回の相手が私でなくても、もっと屈強で身体が大きい男でも、こうしたと?」
「はい」

 アシェルは「何を言ってるんだ君は·····」と膝に肘をついて顔を覆っている。
 主語が「私」に戻り、ヴァネッサの事を「お前」ではなく「君」と呼ぶようになっている。たぶん怒りはマシになっている、はず。

「·····ひとまず。君の店は薬店と書いてあるが、治療薬などではなく、媚薬を売る店という事だな?」  

 口調がなんだか諦めた感じになっている。これはどちらかと言うと呆れた方だろうか。

「はい、媚薬専門店とお客様にはお伝えしております。」
「·····分かった。」

 アシェルはそう言うとふらりと立ち上がって、思わず身構えたヴァネッサの横を通り過ぎ、

「そろそろ表にいる部下が気にする頃だ。私は王城に戻り、君の店の事を報告させてもらう。この名簿は貰っていくぞ」

名簿を持って1階へ続く階段を上って行った。

 アシェルが店内に入ってきてから、30分が経とうとしていた頃だった。

(·····とりあえず、切り抜けた―·····)  

 ぺたんと床に座り込んだヴァネッサは、開店以来最大の長い溜め息をついた。
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