闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0055話 「古族の試練」

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言うまでもなく、ミテル・オークションの宣伝効果は非常に強力だ。

蕭炎が筑基灵液をオークションに提出した翌日には、ウータン城の大勢力から小勢力までがその情報を知り、皆が血眼になって沸き返っている。

前回のオークションで売られた『天位級高級功法』とは異なり、その超高額品は屈指の強大勢力のみに許される。

他方、筑基灵液は多くの人にとって現実的だ。

子孫を早く斗者にするため、長老たちも金を払って手に入れたいと願う。

筑基灵液がウータン城で賑やかさを増す中、深く家族に隠された蕭炎も些かもその声を聞き取り、不思議なほど丹薬のこの大陸での独自性を感じるようになる。

翌日、蕭家はミテル・オークションからの招待状を受け取った。

おそらく前回萧戦が蕭炎のために筑基灵液を購入したことが関係しているのか、家族の長老たちも今回の再登場する筑基灵液に興味を持ち、特にまだ子孫が斗者に達していない長老たちは熱心だ。

午後、単独で外に出ようとした蕭炎だが、萧戦から先に知らされる。

仕方なく通報者の後に続き、家門に向かう。

門前には蕭戦の他にも長老たちが集まり、賑やかな様子だった。

ゆっくりと近づいてくる蕭炎を見上げると、萧戦は口角を緩めて手で促す。

父の催促を受けながらも、蕭炎は眉を顰める。

その姿に、待たれていた蕭玉が不機嫌な表情になる。

「くどい女のようだ」そう言いかけた蕭炎を見て、萧寧(もう二人の人物)は皮肉を込めて言った。

蕭炎は目を上げて軽蔑するように見つめる。

「きゃー」という笑い声が群衆から響く。

その中で、薰(薰儿)が近づいてくると、蕭炎は肩をすくめて笑みを浮かべる。

「オークションに行くのか?」

「家にいるのは退屈だから、ちょっと見物するだけだ」薰も並んで歩きながら微笑む。

「どうせ筑基灵液くらいでしょ。

お前には役立たないんだぜ」蕭炎は軽く笑いかけた。

「はあ?」

その言葉に反応したのは、萧寧(もう一人の人物)だった。

「あの子はお前の力のおかげでここまで来たんだぞ」

「骨が疼くのか?」

蕭炎は目を細めて皮肉な表情を見せた。



「あなた……」顔をしかめ、蕭寧は緊張した拳を握り直し、やがてゆっくりと手を開いた。

冷たく言い放った。

「お前、今度は私を負傷させたからこそ感謝しているんだ。

もし今回の休養期間がなければ、私は第九段の斗之気(とうち)に到達できなかっただろう。

あと七日もすれば第九段になっていたのに……その時は、誰かが骨をすり減らしたのはお前だけじゃないぞ」

周囲の長老たちが驚きの目で見つめる中、大长老は老ふりの顔に少しだけ得をしたように見えた。

蕭戦は眉をひそめ、不満げな目で大长老を睨みつけた。

その瞬間、小炎(しょうえん)の小顔に浮かんだ皮肉な笑みが目に飛び込んできた。

言葉の端を飲み込んでしまった。

冷たい表情の蕭寧を見つめる小炎は、口を湿らせて沈黙した。

やがて小さく頷いた。

「あの……ごめんなさい。

先日誤って第九段に達しました。

これで、お前はまた私より遅れたことになりますね」

「えっ?」

周囲の族人は一瞬息を呑んだ。

突破したのは偶然なのか?

小炎は肩をすくめて首を振った。

「この子は意地悪だな……蕭寧さんをさらに落とし込むつもりか?」

と皆が暗に口に出さない言葉で囁いた。

その言葉を聞いた瞬間、蕭寧の顎が揺らぎ、頬が引きつり、目尻が下がった。

思ってもみなかった落差だ。

玉手で蕭寧の肩を掴む蕭玉(しょうぎょく)は、小炎に不満な視線を向けたものの、普段から小炎と仲良くないはずなのに「この子はどうやってここまで進んだんだろう……たった二ヶ月で第九段か? 信じられない」などと考えていた。

小炎の父である蕭戦(しょうせん)は眉根が緩み、大笑いを始めた。

「いいぞいいぞ、みんな早く行こう。

オークションはすぐ始まるからね。

遅れたら取られちゃうよ」

門外に出た長老たちを見送りながら、小炎の頭を揉んでやんわりと笑った。

「いい加減にしてよ。

その老人(大长老)は孫に筑基液を買ってあげたいんだろうけど、口実でぐるぐると回っているんだから……この爺さんったら、本当に節約癖が抜けない」

「あーあ……」小炎は髪を乱された頭頂部を押さえてため息をついた。

「私は何も言わないよ。

お前の孫だからって特別扱いするなんて、もともと無理なことだしね」

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