闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0579話 本体

天の涯に落ちた炎が韓楓を打ち落とした後、意外にも追撃せず巨頭を猛然と転じさせ、遠方の蕭炎を見定めた。

その瞬間、彼の体内に宿る青蓮地心火は警戒を働かせ、突然体外へ爆発的に噴出。

瞬く間に全身を完全に包み込んだ。

「キィ!」

無形の火竜が天高く鋭い叫びを上げ、巨尾を激しく振り回すと、その巨大な身体は圧倒的な熱気を伴って蕭炎めがけて疾走した。

その姿を見た蕭炎は顔色が一瞬白くなり、背中の青蓮双翼を羽ばたくと同時に足元に銀光が浮かび上がり、雷鳴と共に瞬時に消えた。

巨尾が蕭炎が立っていた場所を横切ると、その恐怖の気浪が空気自体まで爆発させた。

一撃失敗した火竜は目を転じ、百メートル先の空中に現れた黒影を見つけると、蛇眼に冷たい光を宿し、体内から無形の炎が湧き出すと共にその巨大な身体は再び炎の中に消えた。

滅落炎がこんなにも突然姿を変えることに驚いた蕭炎は一瞬硬直したが、韓楓の経験から得た直感で、本体は通常の炎として天候に紛れ込んでいると悟った。

老人の声が彼の心に響く。

「…気をつけろ。

純粋な異火である滅落炎は自身を一筋の炎に変えて君の周囲に潜り、そこから本体に戻って攻撃する」

その言葉に背筋が凍る蕭炎は頷きながら、四方八方に迫る炎の中から隙間を見つけて飛び出した。

彼の身体が炎の網を抜けた直後、背後に激しい動きを感じた。

視線を一瞬動かすと、ある炎の中に火竜の巨大な姿がちらりと現れた。

「キィ!」

鋭い叫び声と共に無形の火竜が炎から凝縮し、脱出した蕭炎を見つけると蛇眼に怒りの色を浮かべた。

その獰悪な口を開くと同時に無形の炎が彼めがけて噴射された。

背後の熱気を感じ取った蕭炎は瞬時に振り返ると掌を開き、両手から澎湃な青蓮の炎が爆発的に飛び出し、多くの視線を集める中で対面した。

「バァン!」

衝撃音と共に灼熱のエネルギー波が広がり、既に乾燥していた空気をさらに焦げ立たせた。

砂漠のような暑さが周囲を包み込んだ。



青蓮地心炎の力を借りて、蕭炎は通常の斗王級強者でさえ避けるのが困難な炎の攻撃を防いだ。

しかし息もつかずに、彼は頭上に広がる天空から突然沸き起こったエネルギーを感じ取った。

猛然と顔を上げた瞬間、清々しい空気を支配する無形の炎の群れに目を奪われた。

それらは無形火竜の周囲で浮遊し、いつでも攻撃を開始する準備が整っているように見えた。

「キィ!」

鋭い鳴き声と共に、無数の炎が天から降り注ぐ。

人々は恐ろしさに目を見開いてその光景を眺め、空気を切り裂く轟音と灼熱の風で体が震えるほどだった。

薬老の力を借りていたとしても、蕭炎はこの圧倒的な攻撃に心臓が締め付けられるような感覚を味わった。

人間の力など異火に比べて脆いものだという事実が胸中で渦巻く。

「この野郎エネルギー源は尽きないみたいだ。

こんな連続攻撃ではいずれやられてしまう。

どうにかして本源を重傷にする必要があるんだ!」

拳を握りしめながら、彼は無形火竜を見据えた。

しかし、先ほどの韓脱の強大な異火攻撃さえもその体に大きなダメージを与えていなかった。

むしろ逆に激怒させられていたのだ。

「落ち着け。

今目の前にあるのは陨落心炎の外見だ。

本当の本源はその巨大な身体の中に隠れている。

それを発見し、その本源を傷つけるなら、陨落心炎は重創を受けるはずだ。

あの男のように無駄に攻撃するだけでは意味がないんだ」薬老の低く厳しい声が彼の意識に響いた。

全身が震えたが、蕭炎は歯を噛み締めながら頷いた。

呼吸を整え、激しく揺れ動いていた心臓もやっと落ち着きを取り戻した。

無形の炎が滅世の如く広がり、恐怖の情景に人々の足元から力が抜けるほどだった。

「シュ!シュ!」

炎は陨石のように不連続な破空音と共に灼熱の風を伴い、天から降り注ぐ。

天空では蘇千たちがその大規模破壊攻撃を見つめ、内院にそれが襲来すれば瞬時に全ての建物が消滅するだろうと想像して顔色を変えた。

炎が汗で光る顔を照らし、漆黒の瞳孔は次々と接近する炎の軌跡とその源である巨大な存在を見つめていた。

外界の騒音は徐々に薄れ、彼の視界にはただ炎の落下軌道と無形火竜だけが残った。

「探せ!本源を探せ!」



心の中でつぶやくように、青い炎が漆黒の瞳孔を包み始めた。

その瞬間、蕭炎の視界は一変し、空高く広大な体躯を持つ方形の火龍(**)の巨口から半尺先に位置する鱗片(**)の上に、目に見えないが感覚で察知できる強烈な光輝(**)がゆっくりと形成されていった。

「見つけた!」

炎の輝きが急速に消え、蕭炎の瞳孔は再び清明さを取り戻した。

足元から微かに浮かぶ銀色の光が次第に鮮やかになり、空を低く鳴らす雷鳴(**)と共に、彼は一歩踏み出した。

次の瞬間、残影だけが残された。

「チィ!チィ!」

無数の視線が突然動き始めた蕭炎を見つめ、次第に驚愕の表情になった。

黒装の人影は銀色の光が閃くたびに、火陨石(**)が落ちる地点に現れ、残影を残す。

驚異的な速度で空を駆け抜け、巨大な火龍の巨口近くまで接近した蕭炎は、視界がぼやけるほどの高速移動中にも、その巨口から発せられる無形の本源(**)だけが鮮明に映り込んでいた。

「シュッ!」

距離が縮まるにつれ、彼の喉元から低く重い咆哮(**)が迸り、掌を握ると清澄な炎が躍動し、瞬時に巨槍へと凝縮された。

足を踏み出した瞬間、雷鳴と共に残影が消え、黒影は一歩で火龍の前に立った。

その巨大な体躯に圧倒されるあまり、畏怖(**)の念が心を包んだ。

巨口から鋭い音波(**)が発せられると同時に、彼は叫び声と共に清澄な炎槍を巨鱗(**)に突き立てた。

「馬鹿野郎!死ね!」

地上では韓楓が冷笑し、蘇千も動揺していた。

しかし、火龍の動きを見れば、その本体は虚ろになり始めた。

「完璧だ!今こそ現れよ…小僧、異火を奪い取れ!」

薬老の笑い声が蕭炎の心に響き、その中には安堵と興奮が混ざっていた。



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