闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0642話 内院離脱

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「ドン!」

深い緑の重なる山々の中、突然轟音が響き渡り、林間の鳥たちを驚かせた。

その鳥たちが一斉に羽ばたく様子は、何か大災害が迫る前触れのようにも見えた。

ある山頂で、ぐらぐらと揺れ動く山峰から巨石が次々と転がり落ち、地面の巨樹を全て折り伏せた。

巨石が転がる度に、人間の腕ほどの太さの亀裂が山肌を這い上がり、数分のうちに完璧だった山頂は崩壊寸前まで近づいていた。

その山峰上空で、緑色の炎の翼を振るう黒衣の人影が、揺れ動く山を見やると満足げに頷いた。

「開山印」の威力は確かに以前よりも強大だ。

練習中とはいえ全力を使わずに済むため、もし本気で使ったらどれほどの力になるのか想像もできない。

「これが『開山印』か? 地階上位の斗技とは名にふさわしいな」と、黒衣青年の横に薄ぼんやりと浮かぶ老人が、崩壊した山を見ながら驚きを隠せない様子で笑った。

「はい」蕭炎も頷くと、「老師はこの斗技をご存知ですか?」

と尋ねた。

「ふーん、帝印決だよ。

その名前くらい知らないわけがないさ。

この手の秘術は貴族の一族にしか継承されないもので、彼女がそれをあなたにくれたのは、やはり血筋があるからだろうな。

でも、そんな希少な秘術をあなたに渡したなんて意外だったよ」と薬老は笑いながらため息をついた。

「私もかつてこの手の印技に興味を持ったことがあったが、手に入らなかったんだ。

この帝印決を極めれば、山を焼き尽くすような力も発揮できるだろう」老人がそう言うと、「しかし残念ながら、熏えがくれた巻物にはこの手の印は二つしか記載されていない」と蕭炎は頭をかいた。

「欲張りなやつだよ。

帝印決は地階上位の秘術だが、もし最終の印まで修得し、全ての印が連動するようになれば、天階秘術と並ぶ力になるかもしれない。

彼女が一族に隠された秘術をあなたに渡したのは、限界だったんだろうな。

貴族の一族は頂点の秘術を厳重に管理しているからね」薬老は笑いながらそう言い、蕭炎も恥ずかしそうに笑った。

「帝印決の第一印『開山印』だけでも斗王級以上の実力が必要なんだよ。

今の自分には練習する資格もないんだからな」と彼はため息をついた。



「山に入った半月が経ったが、二哥の消息はまだない。

何か問題が起きているのではないか?」

炎が背中に翼を広げながら、黒角域の方へと視線を向けた。

眉根を寄せながらそうつぶやいた。

「大丈夫だろう。

もし何事かあれば、必ず信号を送ってくるはずだ」やろうは笑みを浮かべた。

しかしすぐに真顔になり続けた。

「今は己の身に集中するべきだ。

あのうんざんと戦うには、強力な手段が必要なのだ」

その名前を口に出すだけで、炎の表情が引き締まった。

やろうも笑みを消し、頷いた。

「三年間で実力を大幅に上げたとはいえ、あの老人は決して同じ場所に留まっているはずがない。

雲嵐宗がガーマ帝国圏で長年存続している理由は底力にあるからだ。

彼の知っている斗技も弱くないだろう」

かつてやろうの力を借りてうんざんと数回戦ったことはあるが、あれは相手がほとんど斗技を使わなかったからに過ぎない。

もし斗技を駆使すれば、その凄まじい実力と組み合わせれば、当時の炎でさえも惨敗していたかもしれない。

現在の炎の実力は確かに向上したが、仏怒火蓮や帝印決という強力な武器があるとはいえ、うんざんを倒すのは確信を持って言えるほどではない。

なぜなら斗宗級は大陸全体を見渡しても頂点に近い存在であり、それを軽視することは滅びの道だ。

特に炎のような低段階者にとってはなおさらのこと。

しかし今回はガーマ帝国圏に戻ることで、炎は絶対に失敗できない。

かつてのように追われるように逃げ出すわけにはいかない。

あの時のように蕭家が大難を被ったように、今度も同じことが起これば、家族の滅亡は避けられない。

だからこそ今回は全てを賭けてでもうんざんを完全に抹殺する必要があったのだ。

もちろんメデューサとやろうという強力な味方を得れば倒せるが、炎はメデューサを説得できるとは思えなかった。

そしてやろうも現在の実力で斗宗級と戦えるかもしれないが、雲嵐宗には他の隠れた超人間的な存在がいる可能性もある。

「炎の家に言及したように、雲嵐宗は魂殿とつながっているらしい。

だから炎は最悪の状況を想定しておく必要がある。

もしやろうが戦えない場合、炎一人でうんざんと対峙しなければならないのだ。

そのためには彼自身がうんざんを倒せるだけの力を得る必要がある」

炎の冷たい顔を見ながらやろうは頷き、ゆっくりと言った。

「今の実力では絶対に確信を持って倒すのは難しいが、完全に不可能ではない」

「先生には何か方法があるのですか?」

炎は驚いて尋ねた。



闻言、蕭炎はたちまちくずれ落ちたように体を丸めた。

ため息まじりに語る。

「今や第一印さえ完全に掌握できていないのに、第二印など……黄儿の言う通り、その第二印は少なくとも斗皇級に達した上で修練できるものだ」

「ふん、そうであるなら最後の一途しかないわね」薬老が笑みを浮かべながら掌を振ると、森白い炎が泉のように湧き上がった。

彼は眼前の若者を見つめながら優しく続けた。

「三種類の異火を融合させ、仏怒火蓮を発動させるんだよ」

「三種類の異火を融合した仏怒火蓮」蕭炎の顔が複雑な表情に変わった。

眉根を寄せながら考え込むように語る。

「この凄まじい威力を持つ異火の花火を作り出した創造者として、その危険性と不安定さはよく知っているわ。

かつて二種類の異火のバランスを取り戻したのは奇跡的だったが、それは自分がほぼ死にかけた代償だった。

三種類を融合させるなら、単に一つ増えただけで済むように見えるけど、その困難度は第一印と並ぶものよ」

「もし君が三種類の異火を仏怒火蓮に融合させられたら、雲山を倒すことは確実でしょう」薬老は彼の眉根を見つめながら笑った。

「試してみようか」蕭炎がためらいが先立つように頷いた。

「これしかないんだから」

薬老も笑ってうなずき返した。

「焦らなくてもいいわ。

融合できればそれで結構、どうしてもなら師匠が出る手を貸すさ、雲山は倒せばいいのよ」彼女は笑みを浮かべながら続けたが、内心では真剣に考えていた。

「本当の安全を期するためには、やはり全力で挑戦すべきだわ」

目標を定めた後、蕭炎は三種類の異火を融合させる仏怒火蓮の研究に没頭した。

彼の予想通り、その融合は極めて困難だった。

何度か失敗し、異火同士がぶつかり合う爆発で軽傷を負うこともあった。

薬老もまた諦めきれない様子だったが、それは彼女の才能不足ではなく、この異火の融合自体が難しいからだ。

むしろ彼女は自身のピーク期にあってさえ三種類の異火を融合させられるかどうか疑問視していた。

さらに蕭炎が所有する骨霊冷火は彼のものとはいえ完全な制御には至っていない。

その微妙なコントロールの誤差が、この極めて繊細な融合プロセスにおいて決定的な役割を果たすのだ。

しかし反復される失敗にもかかわらず蕭炎は焦りを見せなかった。

これは薬老の心配を一掃した。

彼女はその若者が時間的プレッシャーに追い詰められて角を曲げるのではないかと懸念していたが、異火融合は焦れば逆効果なのだ。

静かであるほど成功率が高い。

そんな繰り返し実験の末、一ヶ月後には三種類の異火の融合に進展があった。

その時、黒角域から届いた伝書鳥が蕭炎を次の実験から遠ざけた。

「準備万端、いつでも出発可能」紙片に短い文面だけが記されていた。

しかしその一言は彼を長い沈黙に陥れた。

やがて天を見上げながら深く息を吐いた。

「待った三年の月日だったわ」

(第XXXX章 三種異火融合)

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