闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0672話 夜談

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海波東と蕭炎が薬師公会を後にした後、前者はミーテル家へ帰宅し、後者は繁華街の中心部まで歩いた。

その広大な邸宅の門に掲げられた新規の看板には龍虎のような筆跡が躍り、通りすがりの人々が足を止めざるを得なかった。

「蕭府!」

蕭炎がその邸宅に近づくと、外側から人だかりができていた。

彼はため息をつきながら壁を伝って中庭へ侵入した。

体勢を立て直すと耳元で風切り音が響き、彼は指先で軽く弾いただけで陰から飛び出した四つの影の攻撃を無効化した。

「慌てるな。

俺だ」そう言いながら彼は笑みを浮かべた。

その声に反応し四体は膝まずいて叫んだ。

「門主!失礼しました!」

「ふん、まあ可も不可もないか」袖を軽く叩きながら彼は笑い、手勢に小さく合図を送り庭道を通って中庭へ向かった。

蕭烈が選んだこの邸宅は面積と格式においてかつての烏坦城の蕭家よりも遥かに規模が大きく、一族の人数が激減したため広大な敷地が静寂に包まれていた。

庭道を歩くうち視界に入ってきたのは広い客殿でその中に笑い声が聞こえた。

彼はそっとドアを開き中には蕭烈と蕭鼎が下人を指揮しているところだった。

「どうだ?この邸宅いいだろう?この立地でこれだけの規模を買うには金以外にも力が必要なんだよ」四隅を見回す蕭炎を見て萧烈は笑みを浮かべた。

黄金地段は大商人たちが握っているが、現在の蕭家の勢力は雲嵐宗と同等にまで成長しており、彼らも値段交渉をためらうことはなかった。

「ああ」彼は頷いた。

この邸宅はミーテル家の大邸宅には及ばないものの十分満足できるものだった。

「そうさ、これからこれが蕭家の本部だ……」

その返事に萧烈は安堵の表情を浮かべた。

「三弟、今朝の交渉はどうだった?」

輪椅に座る蕭鼎が笑みながら尋ねた。

「全て順調。

二日後には人員を集めて雲嵐宗と決戦だ」彼は笑顔で答えた。

「二日後?」

「古河を云韻と結婚させようとしている云山。

もし本当に成功すれば今後の手間が増えるから……」その話題に彼の表情が曇った。

「云山もこの状況を危機視しているはずだ。

我々はそれを阻止する必要がある」



「雲山が雲韻を古河に嫁がせようとしているのか?」

蕭炎の言葉を聞いた瞬間、蕭烈と蕭鼎の顔色も一変した。

二人は声を上げて驚いた。

「うむ」

萧鼎は椅背に指先を軽く叩きながら、重々しく言った。

「もし本当にそのようなら確かに厄介な問題だ。

古河という男は尋常ではない。

加瑪帝国での彼の影響力は、煉薬師公会の法犸さえも及ばないほどだ。

もし云嵐宗に利用されれば、雲山には確実に有利な条件が生まれるだろう」

「どうするつもりか?」

蕭烈は視線を蕭炎に向けた。

「当然、その結婚を阻止しなければならない」萧炎は薄く笑みながら、目元をわずかに鋭くした。

「二日後には古河の問題を解決し、少なくとも云嵐宗に関与させないようにする」

二人が顔を見合わせた時、下人が報告してきた。

夭夜が「混元塑骨丹」の材料を持ってきたというのだ。

「皇室はあの幽海蛟獣を非常に重視しているようだな」内心でつぶやきながら、蕭炎は夭夜を部屋に招いた。

二人が挨拶を交わした後、夭夜は準備していた材料を萧炎に渡した。

その材料は低級の納晶に入っていた。

蕭炎が一瞥しただけで舌打ちしたのは、その量が十粒分にも達しているからだ。

皇室の出費は確かに豪華だった。

材料を受け取った後、夭夜はしばらく留まると去っていった。

夭夜を見送りながら、萧炎と蕭鼎は密室で作業を始めた。

二人に指示した後、蕭炎は庭園に入って行き、静かな部屋の扉を閉めた。

深く息を吐きながら、彼は目を開けたまま拳を握りしめた。

「畜生、雲山の野郎よ」彼は小さく笑った。

「お前の手もなかなかだな。

二日後に云嵐山に来させようとしているのか」

漆黒の指輪が震えると同時に、薬老の影が現れた。

薬老は蕭炎を見つめながら言った。

「戦場は云嵐山か。

雲嵐宗には地勢の利があるし、多くの門下生も山にいる。

人数で優位だな。

おや、雲山も貴様を忌避しているようだ。

そうでなければこんな計画は立てないだろう」

蕭炎が頷くと、薬老は続けた。

「云嵐宗の人数は多いし、合同戦術にも長けている。

その威力は貴様も実体験があるはずだな」

「あなたと雲韻の関係は雲山も知っているだろうし、彼がこのような行動を取るのは、あなたを怒らせたり混乱させようとする意図があるかもしれない」薬老はため息をついたように言った。

その鋭い目は一瞬で雲山の真実を見抜いていた。

**歳の頃に年少として旅に出た際、雲芝と化した雲韻が魔兽数林で出会った時の山洞での春光や甲を与えた記憶、その後何度も危険を冒して助け出した出来事など。

これらはどれだけ冷酷な心を持つ蕭炎でも完全に忘却できない瓜葛だった。

薬老の視線が蕭炎の表情の変化を見つめる。

掌をひっくり返すと森白い指輪が不気味に浮かび上がり、彼の前に漂った。

「これを身につけておけ」

指先で軽く弾くと指輪は蕭炎へ向かい、正確にその手に収まった。

「これは?」

掌に触れた冷たい感覚。

異様なまでの熱さが混ざり合う不気味な感触が全身を駆け巡る。

「白骨冷炎で鍛えた指輪だ。

中に封じられた冷炎は五日間持続するが、それ以上は自動的に消散する」

薬老の笑みと共に指輪が輝く。

今回の雲嵐宗との戦いでは魂殿の強者が現れるかもしれない。

その時は私が手を貸すから、この指輪はあらかじめ準備しておく必要があるのだ。

「中の冷炎は仏怒炎蓮に一度しか使えない。

絶対に危機的でない限りは控えろ」

その言葉に蕭炎が一瞬硬直し、二日後の戦いを前に薬老も少し不安そうだったらしい。

「二日後は雲嵐宗との戦いだ。

今は考えても仕方ないから、貴方の側の戦力を可能な限り高めておくべきだろう」

陰気な表情を見た薬老が笑顔で諭すように言った。

黙って頷いた蕭炎が夭夜から届けられた納戒を取り出すと、静かに「混元塑骨丹」を作り始めると告げた。

「その場合、皇室の幽海竜獣を回復させれば、我々にとって大きな助力になる」

薬老は頷きながら笑った。

「久しぶりに貴方の手で丹薬を作るのを見るのは楽しみだ。

二種類の異火を持つ今は、水を得た魚のように調合が進むだろう」

その評価を聞いた蕭炎が軽く笑い、韓楓から継承した赤銅の獣紋炉を召喚し、碧緑の炎を掌で弾き出すと、薬炉の中に炎が消えた。

碧緑の炎が立ち上るにつれ密室の温度も徐々に上昇。

炎の光が壁を照らすことで密室はまるで薪場のように見えてくる…

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