闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0675話 大戦到来!

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「加老よ、何事かで起こしたのか? 今や私は元気も回復せず、お手伝いなどできぬと申す」

巨兽が現れた途端、雷鳴を帯びた不満の声が湖面に響き渡った。

湖上に立つ加刑天は幽海竜獣を見上げて笑みを浮かべ、「老友よ、これはお邪魔とは申せぬ。

ご覧あれ——」と手を振ると、玉瓶から飛び出した「混元塑骨丹」が眼前で毫芒を放ちながら漂っている。

その瞬間、濃厚な薬香が湖面全体に広がり、それを嗅ぎ取った幽海竜獣は一瞬の驚きを隠せない。

「混元塑骨丹か? ついに手に入れたのか?」

と巨声で叫んだ。

加刑天は笑みを深め、「蕭炎先生よ、これよりお頼み申し上げます」と岸辺の蕭炎を見やった。

その言葉に反応したのは幽海竜獣だった。

碧緑の火翼が現れた瞬間、巨眼で眇められた小さな人影を凝視し、「貴様は誰だ?」

と水気を帯びた声で問いかける。

「おや、この大家族も驚いたようだな」周囲が一時的に硬直する中、加刑天の笑い声が響く。

「老友よ、焦るな。

蕭炎先生は火属性の薬師だ。

この混元塑骨丹は彼が調合したものだが、完全に薬効を引き出すには特殊な手順が必要なのだ。

我慢しておくれ」

幽海竜獣はやっと落ち着きを取り戻したものの、依然として蕭炎との距離を開け続けた。

「この小坊主め、こんな巨体にも関わらず臆病者とは……」紫硯が鼻を膨らませると、雷鳴の余韻で耳を塞ぐように両手を叩く。

「おや、小さい子供に怯えるのか? お前こそ死ねる奴だ!」

幽海竜獣は目を剥き、「この宝石のような目玉が輝いているのは何だ?」

と紫硯の瞳孔を見つめる。



巨兽の瞳孔が紫研を睨みつけた。

幽海蛟獣はその目に浮かぶ奇妙な紫色の光を見つめ、突然自身の魂にまで迫る異様な圧力を感じ取った。

その瞬間、その巨大な身体は何かに引き締められたように一瞬沈んだ。

体勢を立て直したものの、幽海蛟獣の心臓は激しく跳ねていた。

紫研がただの斗王級であることは明らかだったが、先ほどの圧迫感は確かに彼女の体内から発せていた。

通常、このような威圧を感じるのは二つの理由がある——実力差か、血脈によるものだ。

紫研と幽海蛟獣の実力差は明確だったため、残る可能性は後者しかなかった。

その血脈が幽海蛟獣を支配するように感じたのだ。

それは上位種に対する下位種の畏怖に似ていた。

「この子はまさか……もしかしたら遠古の血脈か?」

巨眼が紫研を見詰める。

しばらくして、幽海蛟獣は低く唸り声を上げた。

その声色には従順さすら感じられた。

加刑天は相変わらず平静だったが、内心では驚愕に震えていた。

この六階級の強大な魔獣さえも怯えさせる存在——紫研の正体とは?

紫研は鼻を膨らませて萧炎と顔を見合わせ、勝ち誇ったように笑った。

「おやじ……」蕭炎が彼女の頭を撫でる。

先ほどの光景から、紫研の本質がますます気になった。

一体どのような異種魔獣だろうか?

「時間切れだよ」萧炎は加刑天に笑みを浮かべた。

混元塑骨丹を手のひらに乗せ、幽海蛟獣を見つめる。

「準備はいい?痛みは覚悟しておけ」

「承知しました……」幽海蛟獣が頭を垂れる。

先ほどの出来事で暴れ返る気力も失っていた。

蕭炎と紫研の親しげな様子を見て、態度も幾分優しくなった。

萧炎は笑みを浮かべて意識を集中させた。

碧緑の炎が混元塑骨丹に包まれ、指先から幽海蛟獣の額へ向けて放たれた。



緑色の炎が丹薬を包み込んだ直後、蕭炎は手印を変えた。

その瞬間、碧緑の炎が猛然と膨張し、灼熱の温度下で濃厚な青い光が一斉に溢れ出し、下方の幽海竜獣の巨大な体躯を水幕のように包み込んだ。

奇妙な光の影響を受けた幽海竜獣は突然体を捩り始め、苦痛の表情を見せながら低く唸り続け、湖面に波紋を立てていた。

一側で加刑天がその様子を見て心配そうに手を擦り合わせていたが、蕭炎の真剣な顔を見ると黙っていた。

低く響く獣の吼声が十数分続いた後ようやく弱まり、刑天は驚きの表情で見つめた。

幽海竜獣の体に広がった傷跡が次第に癒えていくのを確認した時、刑天の喜びはさらに増すばかりだった。

その青い光は明らかに彼に大きな効果があったのだ。

光の下で幽海竜獣の外傷だけでなく、衰えた気力も徐々に回復し始めていた。

蕭炎が目の前の幽海竜獣から発せられる気配を感じると、刑天の顔はますます喜びを帯びた。

かつてその龍獣のために戦った傷跡がいくつもあるにもかかわらず、今は混元塑骨丹の力で頂点に戻りつつあった。

皇室にとってこれは大いなる慶事だった。

空から降り注ぐ青い光は約一時間続いた。

その間、緑色の炎の中の混元塑骨丹は体積を数倍に縮小し、薬効がほとんど揮発したことを示していた。

さらに30分間、光は次第に減衰し範囲も狭まっていった。

やがて低く響く音と共に、混元塑骨丹は完全に灰燼となり光も消えた。

その瞬間、蕭炎は安堵の息を吐き、拡散した霊力を取り戻しながら加刑天に向かって笑顔を見せた。

「傷はほぼ癒えているので、しばらく休めば元に戻るだろう」

「萧炎様には感謝します。

何か必要なことがあれば遠慮なくお申し付けください。

可能な限り協力いたします」加刑天が熱心に言った。

軽く手を振ってから蕭炎は淡々と続けた。

「助ける必要はない。

二日後の決戦で皇室が全力を尽くせば良い」

「当然です!」

加刑天は厳粛な表情で答えた。

萧炎と加刑天の会話中、幽海竜獣の巨眼が突然開いた。

その中に溢れる鋭い気配が周囲に広がり、鳥獣を驚かせた。

その強大さを感じ取った蕭炎は満足げに頷いた。

この実力なら手を回す価値があった。

皇室の力を増すのは良いことだが、成功後もそれを盾にするようなら問題だ。

彼が龍獣の傷を癒したように、再び弱体化させる術もある。

興奮して天に吼える幽海竜獣を見ながら、蕭炎は口角を上げて微かな笑みを浮かべた。

今の彼は全てを考慮していた。

この手は確かに酷いが、皇室が約束を守れば最善の方向へ進むだろう。

龍獣が回復すれば、海老が紫霊丹を練化し頂点に戻った暁には雲嵐宗との大決戦が可能になるのだ……

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