闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第0765話 出雲へ急行!

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光頭の蛇人族は、眼前に漂っている緑色の炎蓮を鋭く凝視していた。

その炎蓮が放つ異様な威圧感と、蕭炎の無表情な瞳孔から伝わる確信めいた気配を感じ取ると、彼は自分が一歩前に出れば即座に迎撃されるという直覚的な危機感を抱いていた。

「この若造、炎経の主とは名高いだけあって…」

舌で唇を舐めた蛇人族が冷ややかに笑みながらも、先程までの軽蔑は完全になく、彼の心臓には確かに一種の畏怖が広がっていた。

周囲から囁かれる「斗宗級の強者を打ち破った」という噂が、この一瞬で現実味を帯びてきたのだ。

「私は戦いたくない。

メデューサ様にお伝えしてほしい」

蕭炎は目線を上げて蛇人族を見やると、掌に炎蓮を受け止めながら淡々と言葉を継いだ。

「貴方の顔色を見る限り、その火蓮がどれだけ危険か理解しているようだ」

「族長は閉門中。

邪魔するわけにはいかない」

蛇人族が首を横に振ると、その口調からは先程までの傲慢さは影も形もなく消えていた。

代わりに、炎蓮の周囲に漂う灼熱の気配が彼の額に冷や汗を滲ませていた。

「貴方には時間がない」

蕭炎が眉を僅かに動かした瞬間、掌から放たれた炎蓮は蛇人族めがけて疾風のように突進し始めた。

その軌跡は尾行するように蛇の尻尾を追うようにして、周囲の蛇人族たちの視界を完全に遮断していた。

「この馬鹿!」

再び炎蓮が迫る度に舌打ちしながら逃げ回る蛇人族の姿は、彼の誇りである「族長以外最強」という地位を完全に否定するものだった。

その滑稽な光景が周囲の蛇人族たちの視線を集めると、彼らの目には明らかに畏怖の色が混ざっていた。

「待て!」

蛇人族が最後の抵抗として炎蓮を忌避した瞬間、蕭炎は掌で炎を吸収し、その体から消えた。

彼の周囲では依然として驚愕と崇敬の入り交じった視線が注がれていた。

「貴方には時間がない」

蛇人族が牙を嚙み締めながら逃走する背中に、蕭炎は静かに笑みを浮かべた。

掌から消えた炎蓮は彼の体内で一粒の種のように潜り込み、いつか再び咲き誇る日を待っていた。



紫研は蕭炎のそばで退屈そうに周囲を見回していた。

先ほど光頭大将軍の一撃を正面から受けたにもかかわらず無傷だったことから、周囲の蛇人族たちが彼女に対して特別な敬意を示しているようだ。

彼らは紫研の視線を感じると皆にっこりと笑みを浮かべていた。

光頭大将軍が深山に入った約十分後、二つの影が急激にその場から現れ、次々と空中高くまで昇りながらゆっくり降下してきた。

首位の影を見た瞬間、周囲の蛇人族や護衛たちが一斉に敬礼をした。

「今日はどうして蛇人族に来られたのか?」

メデューサは地面に降り立った後、蕭炎と紫研の存在に驚きを隠せない様子で尋ねた。

彼女こそが蛇人族で最も権威ある人物だった。

「彩鳞姐(さいりんねえ)」紫研はメデューサを見つけると喜びの声を上げ、そのままその胸に飛び込んでいく。

メデューサは優しく彼女の頭を撫でながら微笑んだが、普段あまり見られないその笑顔に一瞬だけ光頭大将軍が呆気に取られていた。

「彩鳞姐!この白髪の大将軍が先ほどまでに私に手を出そうとしたのよ。

でも紫研は最近斗皇級になったから、もしそうでなかったらその一撃で死んでいたわ」紫研はメデューサの胸の中でくすりと笑いながら白髪の大将軍を指差した。

紫研の行動に驚きの表情が蕭炎と光頭大将軍の額に浮かんだ。

この小さな子供まで告発するとは。

メデューサは紫研の頭を軽く叩いてから、白髪の大将軍を見つめると冷ややかな視線を向けた。

その一瞬で白髪の大将軍が身震いした。

彼は慌てて口を開いた。

「族長!先ほどあれは誤解です。

ただあの男の実力を見てみたくて……」

しかしメデューサはそれを遮るように手を上げた。

彼女は淡々と告げた。

「蕭炎は长老達が認めた蛇人族の貴賓だ。

そのような人物に勝手に手を出すのは許されない。

すぐに蛇窟へ行き、一ヶ月後に出てこい」

白髪の大将軍は顔色を変えながらも抗議できず、ただ頷くしかなかった。

「お前は去れ」メデューサが白髪の大将軍を追い払うと、紫研の手を引いて蕭炎の方へ向かっていった。

彼女は優しく尋ねた。

「何か用事があるのか?」

メデューサの冷静な表情を見ながら、萧炎は頷いた。

「小医仙から連絡があった。

出雲帝国で魂殿の者たちの足取りが……彼らの情報を知っているか?例えばその人物の実力とか」

「ないわ」蕭炎は首を横に振った。

「でも私たち三人が協力すれば、あの護法(ごくほう)くらいは留められると思う。

私は今や斗皇級になったし、小医仙もメデューサさんと同等の実力を誇っている」

彼女の言葉にメデューサは黙り込んだ。

三人の強力な組み合わせが魂殿の護法を相手にできる可能性を考えると、彼女もまた頷くしかなかった。



美杜サ眼を瞬かせ、少々不安そうに言った。

「これで確かに上手いことになったとは思うが、私はその小医仙を信用できない。

今回は出雲帝国へと深く潜入するのだから、彼女の領地だ。

何かしら手脚を出す可能性がある」

その言葉を聞いたマイヤーは眉根を寄せた。

「まあ、炎の同盟で調べてみるか。

でも、これだけでは不十分かもしれないな」

「よし、お前が信用できるならそれでいいさ。

私が小肚っ張いと感じられるのは嫌だからね」マイヤーの苦々しい表情を見つめたメデューサは唇を歪めて言った。

マイヤーの手を引きながらメデューサの細腕に目をやったマイヤーが眉をひそめた。

「傷があるのか? どうしたんだ」

「あ、大したことない。

この辺りは魔獣山脈に近いから部族を作るために大規模な建設が必要だった。

それで強力な魔獣たちの注意を引いたんだ。

その際に一匹に引っかかってしまったのさ」

「炎の同盟で手伝わせてやらないか? 炎の同盟ならこの辺りの安全確保は問題ないはずだ」

「私が解決できるから大丈夫よ」メデューサが笑みを浮かべた。

「お前が少し怒っているのが分かるけど、私はそれがちょっと嬉しいの」

「いつ出発する?」

「早くに越えればいいさ」マイヤーは重々しく言った。

「それなら待っててくれ。

部族の用事を済ませたらすぐ行くわ」メデューサが頷いた瞬間、マイヤーが手を引いてきた。

「どうして?」

「ありがとう」

その言葉に驚きながらもメデューサは笑みを浮かべた。

「天魂融血丹の代償として受け取るわ」そう言いながら袖から腕を出した。

メデューサの背中を見つめるマイヤーがため息をついた。

出雲帝国への旅は危険性満載だ。

加マ帝国もようやく安定し、蛇人族は移住したばかりで部族内の問題も多いはずなのに彼女はまだ拒否していない…マイヤーは硬い心を持つわけではない。

ここまで尽くしてくれているのに、少しの感謝の念が胸に湧いてくる。

「あー」

紫研の頭を撫でながらマイヤーはため息をついた。

彼女には本当に助けられたんだから…

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