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第0910話 丹成
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血の中の圧力を追い払うと、龍血芝などの薬材がようやくその力を見せ始める。
それらは紫研の力によって徐々に融合し始め、血液の中に宿る強大なエネルギーと調和を図りながらゆっくりと一体化していく。
紫研の助けを得て危機を乗り越えた蕭炎は、この薬液が秘めている驚異的な力を直感的に感じ取っていた。
一滴の魔獣の血と紫研の精血が混ざったその液体には、彼女本体がどのような存在かさえも想像できないほどの圧倒的な力が宿っている。
もしこの丹を完成させれば、蛇人族の秘術最上位に匹敵する存在となるだろう。
紫研は薬鼎から離れた後、周囲の視線を感じて小さく舌を鳴らした。
彼女自身もその出来事に驚いていたが、すぐに次の作業に戻る必要があった。
「問題は解決したようだね。
これで残りは時間の問題だろう。
もし本当に七品丹薬を一度に完成させたら、それは凄いことだよ。
聞いた話では、七品薬師でも失敗率が高いらしい」
胡須を撫でながら蘇千が笑みを浮かべた。
石台の上で再び緊張した表情を見せ始めた蕭炎を見つめながら。
「そうだね。
我々の世代でも見たことがないレベルだよ。
この黒角域では七品薬師は数十年ぶりに現れていないし、去年の韓楓でさえ一度も成功しなかった」
周囲の長老たちが頷く。
彼らにとっては七品丹薬は伝説のような存在だった。
蕭炎は再び意識を薬鼎の中に向けた。
彼の霊力が全てその内部に注ぎ込まれ、火候や薬液の反応を詳細に感知する。
緑色の炎が約半拳サイズの液体を包み込む。
その液体は複雑な色彩で覆われていたが、全体的に赤味が強い。
その中に様々なエネルギーがゆっくりと融合し始める。
その液体の平静さを感じ取ると、蕭炎はほっと息を吐いた。
前の混乱を経てからは落ち着いてきた。
この状態であれば、薬液が完全に融合すれば丹の形骸が形成されるだろう。
しかし、それは相当な時間を要する。
彼の予測では少なくとも五日間はかかるはずだった。
心中ゆっくりと息を吸い込むと、蕭炎は眼を開きながら焚決(ふんけつ)で周囲の天地エネルギーを取り込み、薬鼎(やくてい)内に魂魄(こんぱく)力を回転させつつ火候(かこう)と諸々の薬効を融合させる。
彼が今すべきことは静かに待つことだった。
六日間の待機後、内院の人々は次第に散り始める。
彼らの視線は石台に据えられた如磐のごとき動かない姿へと自然に向く。
その光景を目にした人々は皆、ある種の感銘を抱いていた。
この六日間で、誰もが薬鼎の存在を習慣的に認識するようになり、七品丹薬の希少性に納得していた。
彼らは煉丹術の困難さを初めて実感し、その難しさから価値があることを理解したのである。
毎日午前と午後に蘇千(そせん)と小医仙が空を見上げる様子も見られた。
二人は薬鼎の上にいる蕭炎が動きを見せない限り帰宅する。
この期間中、蕭炎の気配は次第に薄くなり、呼吸すらほとんど感じられなくなった。
まるで悟りに入った老僧のように、その存在感は曖昧になり、蘇千もその状態を理解しないとすれば心配していたかもしれない。
薬鼎の中では雷鳴のような轟音が絶えず響き、そこには驚異的な魂魄力が渦巻いていた。
この力量の前では至高の炎である琉璃蓮心火(りゅうりれんしんか)さえも従順に従わざるを得なかった。
もし高位の煉丹術師がこの光景を目撃すれば驚愕しただろう。
蕭炎は「丹魂」と呼ばれる特殊な状態に入っていたのだ。
この状態では魂魄力が極限まで拡大され、その一瞬だけでも成功率100%を保証する。
つまりこの状態にいれば失敗はないというわけだ。
しかし「丹魂」は偶然の産物であり、機運によるものである。
明らかに蕭炎は天からの恵みを得ていた。
第七日の朝日が林海から石台を照らすと、黒衣の青年は六日間閉じた目を開いた。
その漆黒の瞳孔には陽光が眩しいほど反射し、彼の体からは以前よりも精緻な気配が溢れ出していた。
以前は六星初期だったものが、今や六星頂点に立ち、七星への突破も目前となっていた。
この一次の丹薬作りは、蕭炎に大きな恩恵を与えたようだ。
自身の体内から溢れ出す気配を感じ取った蕭炎は僅かに眉をひそめ、目元に深く思考する色が浮かんだ。
数日間、彼は一種奇妙な状態に身を置いている。
その状態では、魂の力が最大限まで解放され、薬炉の中での複雑極まりない薬効の融合を、全てを凝縮させた上、無駄な消費すら一切なかった。
通常ならば成功率は高くないとされるこの天魂融血丹だが、その理由は龍血芝の薬効が余分に加わっていることと、紫研の一滴の精血が勝手に混ざり込んだからだ。
これらは全く薬方と一致しない要素であり、薬方の一つの材料さえ欠けていれば失敗する可能性があることを忘れてはならない。
なぜなら、その配合は前人によって無数の試行錯誤を経て確立されたものだから。
もしもこの数日間で魂の力を最大限まで解放する奇異な状態に偶然入っていなかったならば、強引に丹薬の原型を作り出せても最終工程で失敗していたであろう。
しかし運よく彼はその奇跡的な状態を利用できたのだ。
薬炉の中を覗き込む蕭炎の視線が紫紅色の丹薬の原型に注がれる。
約一粒の大きさ、表面には不規則な凹凸があるものの、その中に宿る純粋な薬効は彼の心を安堵させる。
皆が知っているように、修業の才能は生まれつきで、それを向上させることは極めて困難だ。
しかしこの天魂融血丹はそれが可能にする。
その理由からこそ七品という称号にふさわしいのだ。
丹薬の原型が完成した後は最後の工程である「孕丹」を行う必要がある。
蕭炎が陥っていた「丹魂境」という状態のおかげで、この工程はリスクゼロだった。
なぜなら薬炉の中の全ての薬効が完璧に融合しているからだ。
しかし薬師として完璧を目指す彼はその工程を省略しなかった。
緑色の炎が弱まり、やがて微かな甘味を放ちながら丹薬の原型の中に徐々に浸透していく。
この最後の工程は十時間ほど続いた。
その間に紫紅色の不整形な丹薬の原型は、指先ほどの大きさで円形になり、表面には赤と紫が陰陽魚のように描かれる。
その瞬間、学院の空は急速に暗くなり、重厚な雲が広がり始めた。
雲の中では銀色の稲妻が蠢いている。
この異変を見た人々は全員動きを止めた。
彼らの視線は石台の方向へと集中し、そこで黒い影が背中を向けている。
「七品丹薬…現れようとしているのか?蕭炎さん、本当に成功したんだね?」
磐門の一画室で欣藍が天を見上げる。
彼女の胸中に栗色の興奮が湧き上がった。
それらは紫研の力によって徐々に融合し始め、血液の中に宿る強大なエネルギーと調和を図りながらゆっくりと一体化していく。
紫研の助けを得て危機を乗り越えた蕭炎は、この薬液が秘めている驚異的な力を直感的に感じ取っていた。
一滴の魔獣の血と紫研の精血が混ざったその液体には、彼女本体がどのような存在かさえも想像できないほどの圧倒的な力が宿っている。
もしこの丹を完成させれば、蛇人族の秘術最上位に匹敵する存在となるだろう。
紫研は薬鼎から離れた後、周囲の視線を感じて小さく舌を鳴らした。
彼女自身もその出来事に驚いていたが、すぐに次の作業に戻る必要があった。
「問題は解決したようだね。
これで残りは時間の問題だろう。
もし本当に七品丹薬を一度に完成させたら、それは凄いことだよ。
聞いた話では、七品薬師でも失敗率が高いらしい」
胡須を撫でながら蘇千が笑みを浮かべた。
石台の上で再び緊張した表情を見せ始めた蕭炎を見つめながら。
「そうだね。
我々の世代でも見たことがないレベルだよ。
この黒角域では七品薬師は数十年ぶりに現れていないし、去年の韓楓でさえ一度も成功しなかった」
周囲の長老たちが頷く。
彼らにとっては七品丹薬は伝説のような存在だった。
蕭炎は再び意識を薬鼎の中に向けた。
彼の霊力が全てその内部に注ぎ込まれ、火候や薬液の反応を詳細に感知する。
緑色の炎が約半拳サイズの液体を包み込む。
その液体は複雑な色彩で覆われていたが、全体的に赤味が強い。
その中に様々なエネルギーがゆっくりと融合し始める。
その液体の平静さを感じ取ると、蕭炎はほっと息を吐いた。
前の混乱を経てからは落ち着いてきた。
この状態であれば、薬液が完全に融合すれば丹の形骸が形成されるだろう。
しかし、それは相当な時間を要する。
彼の予測では少なくとも五日間はかかるはずだった。
心中ゆっくりと息を吸い込むと、蕭炎は眼を開きながら焚決(ふんけつ)で周囲の天地エネルギーを取り込み、薬鼎(やくてい)内に魂魄(こんぱく)力を回転させつつ火候(かこう)と諸々の薬効を融合させる。
彼が今すべきことは静かに待つことだった。
六日間の待機後、内院の人々は次第に散り始める。
彼らの視線は石台に据えられた如磐のごとき動かない姿へと自然に向く。
その光景を目にした人々は皆、ある種の感銘を抱いていた。
この六日間で、誰もが薬鼎の存在を習慣的に認識するようになり、七品丹薬の希少性に納得していた。
彼らは煉丹術の困難さを初めて実感し、その難しさから価値があることを理解したのである。
毎日午前と午後に蘇千(そせん)と小医仙が空を見上げる様子も見られた。
二人は薬鼎の上にいる蕭炎が動きを見せない限り帰宅する。
この期間中、蕭炎の気配は次第に薄くなり、呼吸すらほとんど感じられなくなった。
まるで悟りに入った老僧のように、その存在感は曖昧になり、蘇千もその状態を理解しないとすれば心配していたかもしれない。
薬鼎の中では雷鳴のような轟音が絶えず響き、そこには驚異的な魂魄力が渦巻いていた。
この力量の前では至高の炎である琉璃蓮心火(りゅうりれんしんか)さえも従順に従わざるを得なかった。
もし高位の煉丹術師がこの光景を目撃すれば驚愕しただろう。
蕭炎は「丹魂」と呼ばれる特殊な状態に入っていたのだ。
この状態では魂魄力が極限まで拡大され、その一瞬だけでも成功率100%を保証する。
つまりこの状態にいれば失敗はないというわけだ。
しかし「丹魂」は偶然の産物であり、機運によるものである。
明らかに蕭炎は天からの恵みを得ていた。
第七日の朝日が林海から石台を照らすと、黒衣の青年は六日間閉じた目を開いた。
その漆黒の瞳孔には陽光が眩しいほど反射し、彼の体からは以前よりも精緻な気配が溢れ出していた。
以前は六星初期だったものが、今や六星頂点に立ち、七星への突破も目前となっていた。
この一次の丹薬作りは、蕭炎に大きな恩恵を与えたようだ。
自身の体内から溢れ出す気配を感じ取った蕭炎は僅かに眉をひそめ、目元に深く思考する色が浮かんだ。
数日間、彼は一種奇妙な状態に身を置いている。
その状態では、魂の力が最大限まで解放され、薬炉の中での複雑極まりない薬効の融合を、全てを凝縮させた上、無駄な消費すら一切なかった。
通常ならば成功率は高くないとされるこの天魂融血丹だが、その理由は龍血芝の薬効が余分に加わっていることと、紫研の一滴の精血が勝手に混ざり込んだからだ。
これらは全く薬方と一致しない要素であり、薬方の一つの材料さえ欠けていれば失敗する可能性があることを忘れてはならない。
なぜなら、その配合は前人によって無数の試行錯誤を経て確立されたものだから。
もしもこの数日間で魂の力を最大限まで解放する奇異な状態に偶然入っていなかったならば、強引に丹薬の原型を作り出せても最終工程で失敗していたであろう。
しかし運よく彼はその奇跡的な状態を利用できたのだ。
薬炉の中を覗き込む蕭炎の視線が紫紅色の丹薬の原型に注がれる。
約一粒の大きさ、表面には不規則な凹凸があるものの、その中に宿る純粋な薬効は彼の心を安堵させる。
皆が知っているように、修業の才能は生まれつきで、それを向上させることは極めて困難だ。
しかしこの天魂融血丹はそれが可能にする。
その理由からこそ七品という称号にふさわしいのだ。
丹薬の原型が完成した後は最後の工程である「孕丹」を行う必要がある。
蕭炎が陥っていた「丹魂境」という状態のおかげで、この工程はリスクゼロだった。
なぜなら薬炉の中の全ての薬効が完璧に融合しているからだ。
しかし薬師として完璧を目指す彼はその工程を省略しなかった。
緑色の炎が弱まり、やがて微かな甘味を放ちながら丹薬の原型の中に徐々に浸透していく。
この最後の工程は十時間ほど続いた。
その間に紫紅色の不整形な丹薬の原型は、指先ほどの大きさで円形になり、表面には赤と紫が陰陽魚のように描かれる。
その瞬間、学院の空は急速に暗くなり、重厚な雲が広がり始めた。
雲の中では銀色の稲妻が蠢いている。
この異変を見た人々は全員動きを止めた。
彼らの視線は石台の方向へと集中し、そこで黒い影が背中を向けている。
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