闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1177話 激戦

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「バシャッ!」

慕骨老人の冷たい喝破と共に、無数の何物か分からない漆黒の鎖が霧の中から天を覆うように暴れ出し、互いに絡み合いながらも三千焱炎火の巨大な体躯へと激しく突き刺さった。

鎖が震える度にその巨体は紫黒い炎で包まれ、鎖を灼き始める。

「ゴウ!」

鎖の束縛に対し、三千焱炎火は怒りの咆哮を上げながらも巨大な身体を激しく捩らせた。

体内から湧き出す紫黒い炎が鎖に絡みつくと同時に、その中に無数の悲惨な叫び声が響き渡った。

鎖からは黒い霧が溢れ出し、炎の焼き付けを必死で防いでいた。

「バキッ」

猛り返すように鎖が折れる音と共に、断ち切られた鎖から黒い霧が湧き上がり、その中には小さな恐ろしい顔がちらつくのが見えた。

老人の表情が険しくなった瞬間、冷たい喝破と共に「魂喰え!」

と叫び声が響く。

他の三人の黒衣男も手印を変えると、彼らの袖から濃厚な粘着質の霧が噴き出し、その中に無数の恐ろしい顔を持つ魂が現れた。

その魂たちは悲惨な叫びを上げながら三千焱炎火の巨大な体に突進していく。

「ドン!」

紫黒い炎で魂はたちまち消滅するが、その数は途方もなく膨大だった。

丘陵の顔が青ざめ、震える声で罵り、「この野郎!」

と叫ぶ。

蕭炎も無言で、魂殿の凄惨な手段に胸を締め付けられる。

「ゴウ!」

紫黒い炎が弱まり始めたことに三千焱炎火は気付き、赤く染まった目を開きながら巨大な身体を陀螺のように回転させた。

その動きから百丈規模の炎の嵐が霧の中から形成され、鎖は全て崩壊した。

「ゴウ!」

紫黒い炎の嵐が空を支配し、周囲の黒い霧を恐ろしい熱で吸い込み、その全てを蒸発させた。



突然の激しい反撃は、慕骨老人ら四人の顔色を一変させた。

鎖鏈から伝わる恐ろしい熱気は彼らの手に直接衝突し、連続して数歩後退した彼らをやっと制御するまでにはならなかった。

掌を見ると、焦げ茶色に変わっていた。

「やはりこの野郎を軽視したか」

四人が協力しても三千焱炎火を封じ込められず、慕骨老人の顔は重苦しさを帯びた。

深呼吸をしてから鋭い眼光で言う。

「本命魂鎖を呼び出す!」

その声に反応して他の三人が手を止めた。

彼らは次々と忌ましい手印を作り、次の瞬間「本命魂鎖、現れ!」

と叫んだ。

ギラリと光る鋼鉄の擦れる音と共に十丈を超える黒い霧が四人の天蓋から噴出する。

その霧が蠢くと同時に十丈にも及ぶ漆黒の鎖が虚空中に出現した。

鎖には奇妙な紋様があり、そこには苦痛を表す無数の顔が凝固されていた。

鎖が現れた瞬間凄惨な叫び声が響き、蕭炎らは眉をひそめた。

「彼らも三千焱炎火で手一杯だな」丘陵の顔に幸災的な笑みが浮かんだ。

「この本命魂鎖は魂殿の最終手段だ。

彼らの魂と繋がっているから損傷すると重大な被害が出る。

だから危機的状況でない限り使わないはずだが…」

「この手品みたいなものなのか」蕭炎が興味深げに聞く。

「魂殿は本当に奇妙な術を編み出すもんだね」

「本命魂鎖の結界!」

鎖が現れた瞬間慕骨老人の目から凶気の光が消えた。

彼は叫んだ。

「開始!」

凄惨な金属音と共に四つの巨大な鎖が空間を貫き、炎嵐の外に出た。

バチバチと炎に突入し反対側から出ていく。

その繰り返しが数回行われると四本の鎖は炎嵐を完全に絡め取った。

「ギィ!」

鎖が絡み付いた瞬間炎嵐の速度が急激に低下し、やがて完全に停止した。



その中の三千炎火が、蕭炎たちの目に映り出したのは、今や…巨大な体躯を四本の鎖で貫かれ、その体内から伸びる鎖は絡み合い、その全身を束縛していた。

この光景を見た慕骨老人ら四名の斗尊が三千炎火をここまで追い詰めたことに、蕭炎も思わず息を飲んだ。

四人の協力による強さは想像以上だった。

「ふふ…」

慕骨老人は鎖で拘束された炎火を見るや、白い顔に怪しげな笑みが浮かび上がる。

彼の心はほっと安堵していた。

三大頂点封印を奪う際にこの炎火が莫大な消耗を受けたことが幸運だったのだ。

もしなかったら、今日ここで四人がこの暴虐なる獣を完全に制圧することはできなかっただろう。

「お前たちでその炎火を抑えとけ!俺は本命の炎を取りに行く」

慕骨老人が言うと、黒衣の一人が苦しげな声で言った。

「早くやれ!本命魂鎖で束縛するのは限界だ。

この炎火の厄介さは予想以上だぞ」

慕骨老人は頷き、体内から深紅色の炎を噴出させた。

その瞬間、彼の身体が一瞬で炎火の頭部に移動した。

そこには既に龍鱗が破壊された半丈ほどの黒洞があった。

炎火の本源の炎はその中に隠されていた。

慕骨老人はその黒洞を見つめながら、欲望の色を強めた。

しかし彼が突入しようとした時、炎火は不自然にも動きを止めた。

その巨眼に凶暴な光が走った。

「シュッ!」

炎火が動きを止めた瞬間、慕骨老人の心臓が一拍子早くなる。

だが次の瞬間、黒洞から紫黒い小龍が爆発的に飛び出した。

その小龙は紫黒い炎を体に取り込みながら縮小し、漆黒の色へと変化していく。

その過程で、破滅的な気配が漂ってきた。

「この野郎!本源の炎まで暴き出すとは…」

慕骨老人が驚愕する間も、漆黒の小龙は瞬時に彼の前に現れ、激しく衝突した。

「プチッ!」

見た目は弱々しい衝撃だったが、慕骨老人は顔色を失い血を吐きながら後方に吹っ飛んだ。

「捕まえろ!」

慕骨老人が叫ぶと同時に、蕭炎の目に漆黒の小龙が飛び込んでくるのが見えた。

彼の瞳孔が鋭く細まり、「このチャンスだ!」

と叫び声を上げた。

ついに、彼が長年求めてきた三千炎火の本源が眼前に現れたのだ。



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