闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1185話 火雷子

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炎の雷子が誕生する瞬間、蕭炎は掌に収めた紫黒い珠体を見つめて深呼吸した。

その表面には神秘的な紋様が浮かび上がり、内部では無限に燃えるような炎が渦を巻いていた。

額から滲む冷や汗が、彼の苦労を物語っていた。

「凝!」

と叫んだ瞬間、掌心のエネルギーは驚異的な速度で回転し始めた。

十丈にも及ぶ巨大な炎の渦が形成され、無数の炎柱がその中心へと吸い込まれていく。

回転速度が極限に達した時、紫黒い光の渦が現れ、低く唸るような音を響かせながら空間を震わせる。

約半時間後、渦は掌サイズまで縮小した。

しかし蕭炎にとってはまだ不完全だった。

彼は掌を握り締めると、渦は再び加速し「うーん」という低音が響き渡った。

次の瞬間、強烈な光爆発が発生し、その中心に紫黒い珠体が浮かび上がった。

この炎の結晶は、薬老の遺した古文書で知りえた特殊なアイテムだった。

同じ種類の炎を極限まで圧縮する必要があり、バランスを誤れば爆発リスクも伴う。

しかし現在の蕭炎ならではの実力で、三千煐炎火という強大な炎を使い、さらに星々の力を凝縮させたこの珠体は、まさしく最適な素材だった。

彼が作り上げた炎の雷子は、予期せぬ一撃で斗尊級の敵をも打ち破る可能性を持っていた。

その威力は使用した材料に依存し、この場合は最も純粋な炎の力と星々のエネルギーが結晶化されていた。

掌から放たれた瞬間、相手の予測を超える奇襲となるだろう。



火雷子を煉成成功させた蕭炎は、納戒から木箱を取り出し慎重にその中へ入れた。

この物は玉の器で盛るわけにはいかない。

玉の冷気は内部のバランスを破壊し、取り出せばまだ投げ出す前に手元で爆発するかもしれない。

それこそ滑稽な光景だ。

煉成に成功した火雷子を手に入れたものの蕭炎はそこで終わらせず、この紫黒い炎が天然の煉成場所であることに気づいた。

この星域には膨大な星の力が含まれており、外界では滅多に見られない。

蕭炎は満足を得るまで続けた。

もし十数個二十個と同時に放つなら、慕骨老人のような強者でも炸裂させられるだろう。

その構想を胸にくすっと笑った彼は掌を握ると強い吸引力が再び発生した。

蕭炎の猛烈な吸い込みにより長らく死寂していた星域もまた活気づき、炎の嵐が四方八方に吹き荒れ恐怖の余波で空間に黒い亀裂が浮かんだ。

三千焱炎火で作られた火雷子の凄まじい威力ゆえに蕭炎は飽きるまで作り続けたが、この煉成には相当な消耗が必要だった。

彼の実力でも約十八個を作ると精疲労尽きてさらに進めなかった。

その様子を見てすぐに座り込んで修練を始めた。

半時間後、消費した斗気は十中八九回復していた。

しかしエネルギーを取り戻す間、蕭炎は驚きの事実に気づいた。

焚決がついに地階高級の層に達したのだ。

エネルギーの吸収と精錬能力が大きく向上し、以前なら半日かかっていた斗気の回復が今では一時間未満で済むようになった。

これは焚決進化後の恩恵だった。

そしてその特殊性ゆえに一般的な地階高級の功法は比べ物にならなかった。

蕭炎の推測では現在の焚決は天階以下の第一級のものと見えたが、古くからある勢力や種族の伝承功法とは別次元だ。

例えば薰家の古族のように長年継承されてきたなら、何かに堪えうる功法や技術がないはずはない。

しかしいずれにせよ現在の焚決はその真価を現しつつあった。

焚決で修練した斗気と異火の増幅効果があれば、彼が何も技を使わなくても斗宗最上位の強者と正面対決しても勝てるかもしれない。

そう考えると、あの氷河谷の天蛇大長老を思い浮かべた。

当時は全ての手段を尽くさなければならなかったが、今では再会した時こそ彼は手を出す機会さえ得られないだろう。



心の中で小さな陶醉を味わった後、蕭炎は再び立ち上がり、また火雷子を作ろうとしたが、残りの紫黒い炎の中に星の力がほとんどなくなっていることに驚愕した。

この炎で作られた火雷子は威力が大幅に低下し、長期間保存できず、時間と共に自然と消散してしまうため、それほど大きな価値はない。

その光景を見て、蕭炎はため息をつき、百八十個を作ろうという考えを諦めた。

視線を星域の空に向けた後、空間の門がある方向へ炎を踏んで進み始めた。

今や、去るべき時が来たのだ…

蕭炎が火雷子を作る際に知らなかったのは、彼の行動によって現在の丹塔がどれほど緊張状態にあるかということだった。

丹塔では、ほぼ全員の強者が塔から撤退し、重い表情で空を見上げていた。

そこには空間の激しい歪みがあり、その中から恐ろしい高温が滲み出ていた。

この天地の温度は次第に上昇していた。

その空の部分、丹塔の人々にとっては非常に明確な場所だった。

それは現在「丹塔禁地」として指定されている星域であり、半年前玄空子がそこから逃げ出した際の狼狽した様子を誰も忘れてはいなかった。

彼のような実力でも星域に長く滞在できず、ましてや他の人間など…

もし星域の炎が完全に爆発したら、この聖丹城は瞬時に廃墟と死の街になってしまうだろう。

しかし半年以上動きを見せていなかった星域が、突如として噴出する兆候を示し、その封印も崩壊寸前だった。

これは聖丹城の人々の魂を震わせるほどだった。

「斗皇以下の者は即座に撤退せよ。

それ以外の強者たちは聖丹城を護るため結界を作れ」

空で玄空子ら三人が浮かび、重い表情で命令を下した。

彼らは星域の異常な動きを感じ取っていた。

今日の星域は暴動している。

もし爆発したらそれは大災害であり、丹塔ですら耐えられないだろう。

「玄衣、天雷子、我々三人で封印を強化しよう」

命令を下した後、玄空子は一歩前に出た二人を見つめながら重々しく言った。

「はい」玄衣と天雷子も真剣な表情で頷いた。

彼らは星域の爆発後の破壊力を十分に理解していた。

「小医仙、撤退するか?」

丹塔周辺の一建物の上で天火尊者が苦々しい表情で小医仙を見た。

現在の小医仙は白い衣を着ていても、以前より顔が痩せていた。

天火尊者の問いに、小医仙は首を横に振って囁いた。

「彼を待つ」

「あー」

天火尊者はため息をつき、隣で髪の毛をひねりながら掌に金色の符印を作っている紫研を見た。

彼女は独り言のように言った。

「龍印なら問題ないはずよ。

蕭炎は…大丈夫だと思うけど、どうしてこんなに連絡がつかないんだろう」

話しながら、紫研は小医仙の方をちらりと見た。

小医仙は空の揺らめく空間を見つめていた。

「封印を強化せよ!」



空の上、玄空子が鋭い叫びを上げた。

三人は虚無空間へと強烈な光線を突き入れた。

その光線は次第に円形の波紋となって広がり始めた。

玄空子たちが全力で術を繰り出すにつれ、ゆらぐ空間も徐々に安定し始める。

人々が安堵する間もなく、星域出口付近の空間が奇妙な動きを見せた。

すると、丈許りの巨大な亀裂が彼らの呆然とした視線の中に現れた。

「終わった…」

その不気味に開いた空間の亀裂を見つめた三人は、瞬時に顔色を変えた。

「バキィ!」

その言葉が消えた直後、亀裂が突然震え動き出した。

そこから滔々と黒紫色の炎が嵐のように噴き出し、聖剣城全体をパニックに陥れた。

「結陣!」

玄空子は顔を引き攰り叫んだ。

「はい!」

多くの丹塔強者が一斉に雄大な気功を放ち、光線のようなものが天高く伸びた。

その時、「くそっ」と低く罵声が炎の中から聞こえた。

その不鮮明な罵声にもかかわらず、空の上の玄空子と建物の屋根に立つ小医仙たちの身体は瞬時に固まった。



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