闘破蒼穹(とうはそうきゅう)

きりしま つかさ

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第1351話 幽泉を弟子に

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星陨閣に戻った後、蕭炎の日々は確かに余裕をもって過ごせるようになった。

彼は星界に閉じこもり、時折星陨閣の弟子たちを見に現れ、彼らの修業や切磋を指導する。

現在の実力と名声を考えれば、客卿長老すら経験や見識で及ばないのは明らかだ。

三日が過ぎた頃、薬老が構築した空間虫洞は徐々に完成へと近づいていた……。

「喝!」

星界の広い訓練場では多くの弟子たちが日常的な修業と切磋を行っていた。

彼らのほとんどは訓練場中央に集まり、黒衣の青年を見つめていた。

その青年は笑顔で周囲の弟子たちの技の欠点を指摘し、宗師のような余裕ある態度で会話をしていた。

その様子は多くの弟子たちが心から羨望するものだった。

訓練場の一隅には緊身衣に身を包んだ少女たちが集まっており、風鈴のように軽やかな笑い声が響き渡っていた。

周囲の男たちはその音色に胸打たれ、視線をそちらに向けることも多かった。

その少女たちの中心には淡紅の衣装をまとった少女が立っていた。

細く柔らかい腰と長い脚は訓練場で最も注目を集める存在だった。

しかし現在、彼女は遠くに笑顔で指導する黒衣青年を見つめていた。

「ふふ、幽泉お姉ちゃん、ついに気付いてくれたの?」

その少女が蕭炎を凝視していると、隣の少女が突然笑いながら言った。

「ばかね……」と名前が幽泉の少女は頬を染め、咎めるように答えた。

「へへ、幽泉お姉ちゃん。

あなたは我々星陨閣の若い世代で最も優れた才能だよ。

当時は試験でさえも閣主様が現れていたほどだし、少主様と比べても恥ずかしくないはずだわ」

別の少女が口元を押さえて笑った。

「冗談はやめて……私の程度なんて少主様の目には微々たるものよ」幽泉は首を横に振ったが、その目に喜びの色が一瞬だけ浮かんだ。

若い女性なら誰しも恋心を持つものだ。

これまで出会ってきた自負家の若手たちと比べれば、このように気取らない蕭炎の方が遥かに魅力的だった。

「お姉ちゃん、少主様に指導してもらったらどう? 接触しないと機会はないわよ」

少女が誘いをかけてきた。

その言葉に幽泉は一瞬ためらった後、「でも……少主様の時間を無駄にするのは……」と弱々しく反応した。

「大丈夫よ。

お姉ちゃんは星陨閣で重点的に育てるべき人物なのだから、少主様が強化する理由があるわ」

「えぇ、そうよね……あ、私が行こうか? いや、ダメだ……」

…………………………………………………………………………………………

訓練場の端に立つ蕭炎は、頬を染めた赤い衣装の少女を見やり、「幽泉さんだね。

師匠から聞いたことだけど」と穏やかな笑みを浮かべた。



彼女の名を知った瞬間、幽泉は頬を染めて何度も頷いた。

吹き出るような笑顔が、その豆蒄年華にふさわしい清純さを湛えている。

「少当主様、少し時間を頂けますか? ご指導いただければ幸いです」

頬を染めたまま、幽泉は勇気を振り絞って声を上げた。

掌法の動きが止まり、その視線は蕭炎に向けられた。

「演武してみようか」

萧炎は笑みを浮かべて軽く言った。

彼女の動きを見つめる間、不意に薬老との会話が脳裏をよぎった。

この少女の才能は確かに非凡だ。

豆蒄年華で斗王級に達したという事実自体が驚異なのだから。

掌法の連続技が終わり、幽泉の額には汗が滲んでいた。

しかし彼女の目は輝きを帯びている。

余裕で蕭炎を見つめたその瞬間、彼女は質問を投げかけた。

「少当主様、幽泉の演技はどうでしたか?」

萧炎は頷いて答えた。

「ええ、素晴らしいわ」

その答えに安堵したのか、幽泉の表情がさらに明るくなった。

しかし次の言葉で緊張が戻ってきた。

「実は……一件、おинтересないですか?」

掌を顎に当てて彼女を見つめる蕭炎は、自分がこの言葉を口にするとは思ってもいなかった。

薬老が新たな弟子を受け入れることを拒んでいるため、その役目を彼に託したのだ。

「えっ……?」

幽泉の反応に萧炎は頬を染めた。

初めての提案でこんな返事だったなんて。

しかし次の言葉で彼女は沈黙し、考えるように眉をひそめた。

「記名弟子ならどうでしょう?」

その提案が通じたのか、蕭炎の表情が緩んだ。

豆蒄年華とはいえ、この少女の才能は確かに非凡だ。

薬老もまた、この選択に賛成するだろうと確信した瞬間だった。



「咳」幽泉の言葉は、蕭炎を激しくせき立てた。

彼の運命もまた哀れなものだ。

現在の地位なら、門弟を求める者で溢れるはずなのに、眼前の少女は諸般の条件を突きつけてくる。

「まあいいや」蕭炎はため息をつきながら首を横に振った。

指導する立場ではないから、記名か否かなど問題外だ。

幽泉の小顔には喜びの表情が浮かんだ。

「記名弟子なら、強くなってからは束縛も倫理的問題もないわ」

蕭炎は幽泉の心の中を読めない。

もし知っていたら、師門から追放する気になったかもしれない。

まだ幼いのに、すでにそのようなことを考えていたのだ……

「うむ!」

蕭炎がため息をつく間、星界の奥深くで空間が激しく震え始めた。

後山の方から微かに響く空間の波動が広がり始める。

その波動を感じ取った蕭炎は一瞬驚き、すぐに喜びの表情になった。

「空間虫洞が完成したのか……」

「幽泉、私は後山へ行くわ。

数日間離れるかもしれないから、師祖に頼んでみようか」

幽泉は苦々しい顔をしたが、「はい、少主様」と頷いた。

「今はそんな呼び方じゃないよ」蕭炎は幽泉の頬を撫でながら笑った。

「先生……」

幽泉の頬が赤くなり、小声で呼ばれた。

満足そうに微笑む蕭炎が幽泉の頭を揉んだ。

「がんばってね。

次会う時には斗皇級になっているといいわ」そう言い残し、後山へ向けて光となって消えた。

幽泉は肩を落とす。

「あぶない、少主様の弟子になってしまった……機会が減ってしまうわ。

記名弟子だからといって諦められないわ」

最後に拳を握り、遠ざかる背中に手を伸ばしたようにした。

「先生……同じく成長できるものよ」

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