国民の監察医(こくみんのかんさつい)

きりしま つかさ

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第0136話「遺体解体」

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解剖室のドアが開くと、葉法医と王澜法医が清河市局から駆け寄ってきた。

江遠は砂鍋を抱えながら笑い声を上げた。

「師匠、これでいいんですか?」

「大丈夫だよ。

**(解剖台)**の上に置けばいいんだってさ。

清掃済みだから問題ないはずだ」

葉法医が急いで手袋を外しながら言うと、王澜法医が驚いたように目を見開いた。

「えっ? 本当に? でも...」

江遠は笑いながら砂鍋の蓋を開けた。

**(猪肚鸡)**の香りが解剖室中に広がる。

「師匠、これでいいんですか?」

「大丈夫だよ。

**(解剖台)**の上に置けばいいんだってさ。

清掃済みだから問題ないはずだ」

部屋に入ると、ステンレスの解剖台上に横たわる遺体が目に入った。

頭髪はすべて剃り落とされ、頭蓋骨が横向きに切断されていて、その断面から脳が取り出されていた。

江遠は一瞥しただけで視線を外し、「結論は?」

と尋ねた。

「棍子で殴打死だ」葉医師が豪語すると、急いで砂鍋を隣の解剖台に置いた。

隆利県の解剖室は寧台県より広く、三つの解剖台が間隔を置いて配置されていた。

市局から来た王藍は厳然と述べた。

「頭部に鈍性外力が作用し、脳損傷による死亡」と。

これは鑑定書にそのまま記載できる表現だが、葉医師の説明ほど直感的ではない。

江遠は葉医師を見やりつつ父を覗き、「凶器は見つかっていないか?」

と訊ねた。

「うむ、全身に殴打痕がある。

腹や胸も同様で、股間までも打ち付けられたようだ」吴軍が箸を動かしながら続けた。

「我々は比钢管より軽く柔軟な物、例えば細い木棍のようなものと推測している」

江遠が頷き、「まずは皆で食事を」と言いながら着替えと手袋を準備し、遺体に近づいていった。

死亡原因は明確だった。

頭蓋骨の断面から脳損傷が鮮明に確認できた。

しかし現場に凶器がないため、その種類や形状を特定することが最重要課題となる。

凶器は犯人の手にあったものだから、それが判明すれば加害者の身元も容易に特定できる。

特殊な武器の場合、即座に事件解決につながることもある。

江遠は通常の死体解剖順序通り、遺体をじっくりと観察し始めた。

彼が見に来なければ、吴軍たちは既に検査を終えていたはずだ。

全身に殴打痕が散在していた。

腕や脚だけでなく背中や胸腹部も同様で、股間までも打ち付けられていた。

「長時間の殴打だったのか?」

江遠が静かに問うた。

吴軍は腸子を口に入れたまま、「軽量武器と推測する根拠だ。

重い物なら即死していたはず」と答えた。

江遠は拾荒小屋の情景が脳裏に浮かんだ。

彼はその場所を何度も調べ上げた記憶があった。

ついでに「PVC管?」

と口走った。

「うむ、可能性はある」吴軍がスープを飲んでから頷いた。

「おそらく……」

王藍も驚きの目で江遠を見やる。

「PVC管を目撃したのか?」

「小屋内に積まれていた。

門前にも少しあったわ」江遠は続けた。

「犯人が侵入後、その場でPVC管を手に入れたと考えられる」

「そうだな」葉医師も賛同する。

ただし確定はできずとも、リストの最上位候補として問題ない。

同時に、遺体の頭部から輝くような塊が流れ出てきた。

江遠がそれを受け取ると、システムメッセージが表示された:

張洪の遺志:分別(Lv4)——ゴミこそが張洪が最も熟知したものだった。

彼は物品を自分の小屋に分類するのに長けていた。

通常は価値で分けたが、自治体が分別ルールを制定後もすぐに習得した。

方法は単純で、十分な数のゴミ箱を調べて記憶すればよかった。

張洪にとって、ゴミ箱の中だけでなく外側のものも全てゴミだった。



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